• 更新日 : 2025年12月19日

雇用保険被保険者資格取得届の「13 職種」番号の分類は?間違えた時の対処も解説

従業員の入社手続きで「雇用保険被保険者資格取得届」を作成する際、「13 職種」の欄でどの番号を選べばよいか迷うことはありませんか。この雇用保険被保険者資格取得届職種欄は、国の統計などに利用されるため、厚生労働省が定める職業分類に基づき正しく記入する必要があります。

この記事では、「雇用保険被保険者資格取得届」の「13 職種」欄について、11区分の分類番号と具体例、迷いやすい職種の判断基準、万が一間違いがあった場合の対処法まで、わかりやすく解説します。

雇用保険被保険者資格取得届の職種欄とは?

「雇用保険被保険者資格取得届」の「13 職種」欄は、入社した従業員がどのような仕事内容に従事するかを、定められた分類コードで申告するための項目です。

13の職種欄に記入する番号は、厚生労働省が定める職業分類に基づいています。一般的には11区分のコード(番号)から、従業員の仕事内容に最も近いものを一つ選び、記入します。

そもそも「雇用保険被保険者資格取得届」とは、事業者が従業員を雇用した際、「この従業員が雇用保険に加入する要件を満たしました」とハローワーク(公共職業安定所)に届け出るための公的な書類です。この届出によって、従業員は雇用保険の被保険者となります。

雇用保険被保険者資格取得届の職種欄

なぜ職種の記入が必要か?

「雇用保険被保険者資格取得届」の職種分類は、主に労働市場の動向を把握するための公的な統計データとして活用されます。どの産業(会社)の、どの職種(仕事内容)で雇用が増減しているかを分析するために、正確な情報が求められます。

職種の11分類(番号)と職業例

雇用保険の「被保険者資格取得届」を作成する際、「13 職種」欄には従業員の主な仕事内容に該当する番号を記入します。この番号は、厚生労働省が定める「職業分類」に基づいており、職種ごとに区分されています。

以下では、11の職種区分と、それぞれの説明・具体例を一覧で紹介します。該当する内容を確認しながら、正しい番号を選びましょう。

区分
(番号)
職種説明・具体例
1管理的職業会社・団体等の役員及び管理職員(法人組織等の課以上の内部組織の業務を管理・監督する仕事に従事するもの)をいう。

例)会社部長、課長、支店長、工場長、営業所長

2専門的・技術的職業高度な科学的知識を応用した技術的な仕事、医療・法律・経営・教育・著述・芸術等の専門的な仕事に従事するものをいう。

例)研究者、開発・製造技術者、情報処理・通信技術者、建築・土木技術者、教員、記者、フォトグラファー、デザイナー、通訳

3事務的職業総務・人事・企画・会計などの事務、生産・営業・販売・運輸・郵便に関する事務及びパソコン等を操作する業務に従事するものをいい、集金などの外勤事務の仕事も含む。

例)総務事務員、企画・調査事務員、受付・案内事務員、経理事務員、医療事務員、コールセンターオペレーター、テレフォンアポインター、出荷・受荷係事務員

4販売の職業商品・不動産・保険・有価証券などの売買、売買の仲介・取り次ぎ・代理、売買に関する取引上の勧誘・交渉・契約締結などの業務に従事するものをいう。

例)販売店員、販売外交員、販売店員、レジ係、コンビニ店員、不動産仲介・売買人、営業員

5サービスの職業個人家庭における家事支援、介護、保健医療の補助、理容・美容、クリーニング、調理、接客・給仕、住居施設・ビルの管理などのサービスの業務に従事するものをいう。

例)介護員、看護助手、理容師、美容師、クリーニング工、調理人、飲食物給仕係、旅館・ホテル・娯楽場等接客員、マンション・ビル管理人

6保安の職業個人の生命・財産の保護、公共の安全・秩序の維持などに従事するものをいう。

例)警備員、道路パトロール員、道路交通誘導員

7農林漁業の職業農業、林業及び漁業に従事するものをいう。

例)稲作・畑作作業員、園芸・工芸作物栽培作業員、養畜作業員、植木職、造園師、伐木・造材・集材作業員、漁師、水産養殖作業員

8生産工程の職業生産設備のオペレーター、原材料の加工・製品の製造、機械の組立・修理、製品の検査及び生産工程で行われる作業に関連する技術的な作業などに従事するものをいい、技術補助工など短期間に習得でき、かつほとんど判断を要しない簡単な作業に従事するものも含む。

例)生産設備オペレーター、製造工、板金工、各種食品製造・加工工、印刷工、機械組立工、修理・整備工、検査工、塗装工、製図工

9輸送・機械運転の職業自動車・電車・船舶・飛行機の運転・操縦、車掌その他の運輸の作業、定置・建設機械運転に従事するものをいう。

例)バス運転手、タクシー運転手、トラック運転手、電車運転手、車掌、フォークリフト運転作業員、クレーン運転工、建設機械運転工、ビル設備管理員

10建設・採掘の職業建設・電気工事作業、土木工事作業などに従事するものをいう。

例)建築とび工、取りこわし作業員、大工、配管工、内装工、電気工事作業員、土木作業員、舗装作業員

11運搬・清掃・包装等の職業荷物等の運搬・集荷・配達、建物等の清掃、品物の包装などの業務に従事するものをいう。

例)荷役作業員、倉庫作業員、荷物配達員、ビル・建物清掃員、ピッキング作業員

出典:雇用保険事務手続きの手引き 【第1編】 適用事業所編 【令和7年8月版】「付録 1 職業分類の説明」|厚生労働省

迷いやすい職種の分類は?

日常的な職種名が、上記の分類表のどれにあたるか迷うケースもあるでしょう。

営業職の分類は?

営業職は、区分「4 販売の職業」に該当します。

この分類には、「商品・不動産・保険・有価証券などの売買、売買の仲介・取り次ぎ・代理、売買に関する取引上の勧誘・交渉・契約締結などの業務に従事するもの」が含まれます。

具体例として「販売外交員」や「保険外交員」が挙げられており、一般的な営業担当者(フィールドセールス、インサイドセールス、ルート営業など)もここに分類されるのが妥当でしょう。

システムエンジニア(SE)の分類は?

システムエンジニア(SE)やプログラマーは、区分「2 専門的・技術的職業」に該当すると考えられます。

この分類は、「高度な科学的知識を応用した技術的な仕事」や「医療・法律・経営・教育・著述・芸術等の専門的な仕事」が該当します。

具体例に「情報処理・通信技術者」が挙げられており、ITに関する専門的な知識・技術を要するSEも、この「技術者」に含まれます。

保育士や介護職の分類

保育士や介護職は、区分「5 サービスの職業」に分類されるのが一般的です。

保育士は添付資料の具体例には明記されていませんが、厚生労働省の職業分類(ハローワークなどで使用される分類)では、保育や介護は「サービスの職業」の一部として扱われることが通例です。

添付資料の「5 サービスの職業」には個人の身のまわり用務が含まれており、これらの職種もここに該当すると判断できます。

職種番号の書き方で注意すべき点は?

職種を記入する際には、いくつか注意したいポイントがあります。

複数の業務を兼務している場合

一人の従業員が複数の業務(例:事務と清掃)を兼務している場合、どちらの職種で届け出ればよいか迷うかもしれません。

このような場合は、その従業員の「主たる業務(最も多くの時間を費やす業務)」の職種を選択するのが一般的です。判断に迷う場合は、管轄のハローワークに確認するとよいでしょう。

雇用形態(パート・アルバイト)で変わるか?

雇用保険被保険者資格取得届の「13 職種」は、仕事の内容(=職種)を分類するものであり、雇用形態(正社員、パート、アルバイトなど)によって書き方が変わることはありません。

「12 雇用形態」の欄で別途申告するため、職種欄はあくまでも実際の業務内容に沿って分類してください。

職種の番号や分類を間違えたらどうなる?

もし雇用保険被保険者資格取得届の職種欄の番号や分類を間違って提出してしまった場合、どうなるのでしょうか。

このデータは国の労働統計に利用されます。そのため、提出した情報が間違っていると、正確な統計が作成できなくなる影響があります。

ただし、職種分類の間違いが、従業員が受け取る雇用保険の給付内容(失業手当など)に直接影響を与えることは通常ありません。

提出後に間違いに気づいた場合は、管轄のハローワークに連絡し、訂正の手続きを行います。

一般的には「雇用保険被保険者資格取得・喪失等届訂正・取消願」などの書類を提出して、内容を正しいものに訂正します。手続き方法はハローワークによって異なる場合があるため、まずは電話などで確認しましょう。

参照:雇用保険の具体的な手続き|ハローワークインターネットサービス 

雇用保険被保険者資格取得届の産業分類との違いは?

「雇用保険被保険者資格取得届」の記入で、担当者が「職種」と同じくらい迷いやすいのが「産業」の欄です。職種は、従業員一人ひとりの担当している仕事の内容を示します。一方、産業は、会社(事業所)全体としてどのような事業を営んでいるかを示す区分です。

たとえば、製造業の会社であっても、経理担当者は「3 事務的職業」、営業担当者は「4 販売の職業」となります。

なお、「産業分類表」には、「D 建設業」「E 製造業」「G 情報通信業」など、事業の種類ごとの分類が示されています。

出典:雇用保険事務手続きの手引き 【第1編】 適用事業所編 【令和7年8月版】「付録 2 産業分類表」|厚生労働省

雇用保険資格取得届の職種は11分類から正しく選ぶ

「雇用保険被保険者資格取得届」の「13 職種」欄は、従業員の仕事内容を11の分類から選択して記入する項目です。この分類は、国の労働統計の基礎となるため、厚生労働省の定める分類表に沿って正しく選択する必要があります。

営業なら「4 販売の職業」、システムエンジニアなら「2 専門的・技術的職業」、介護保育士なら「5 サービスの職業」 といったように、具体的な仕事内容に最も近い分類を選びましょう。万が一間違えた場合は、ハローワークで訂正の手続きが可能です。

職種の分類に迷った場合は、管轄のハローワークへ問い合わせて確認するのが確実でしょう。


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