- 更新日 : 2026年1月20日
国民年金加入期間は何年必要?受給資格や満額に足りない時の対処法
自身の年金記録について詳細を確認する機会は意外と少ないかもしれません。ふとした瞬間に、過去の未納期間や免除期間が将来の受給にどう影響するのか、あるいは今の納付ペースで受給資格を十分に満たせているのかといった不安を感じることもあるでしょう。
国民年金(老齢基礎年金)を受け取るためには最低10年(120ヶ月)の加入期間が必要とされており、満額を受給するには40年(480ヶ月)の納付が必要になります。この期間が不足していると将来受け取る年金額が減ってしまうため、今のうちに自身の状況を把握し、必要であれば対策を講じておくことが大切です。
この記事では、国民年金加入期間の基本的なルールから、期間が足りない場合の計算方法や対処法、60歳以降でも加入できる制度についてわかりやすく解説します。
目次
国民年金加入期間の最低条件とは?
最低10年(120ヶ月)の「受給資格期間」があれば、老齢基礎年金を受け取ることができます。
以前は25年の加入期間が必要でしたが、制度改正により期間が短縮され、現在は10年で受給権が発生するようになっています。ただし、この「10年」という期間には、実際に保険料を納めた期間だけでなく、保険料免除を受けた期間なども含まれます。
内訳について詳しく見ていきましょう。
「受給資格期間」に含まれる3つの期間
受給資格期間としてカウントできるのは、主に以下の3つを合算した期間です。
- 保険料納付済期間
国民年金保険料を期限内に納付した期間や、会社員・公務員として厚生年金や共済組合に加入していた期間が含まれます。 - 保険料免除期間・納付猶予期間
経済的な事情などで保険料の免除や納付猶予の申請を行い、それが承認された期間です。実際に保険料を払っていなくても、手続きを済ませていれば受給資格期間(10年)のカウントに含まれます。 - 合算対象期間(カラ期間)
年金額の計算には反映されませんが、受給資格期間の「10年」を判定する際には期間としてカウントできる期間のことです。
これらを合計して120ヶ月(10年)以上あれば、将来年金を受け取る権利が得られます。
- 1986年(昭和61年)3月以前に、国民年金に任意加入できるのに加入しなかった期間(専業主婦など会社員の配偶者だった期間)
- 1991年(平成3年)3月以前に、学生だった期間(国民年金に任意加入していなかった場合)
- 1961年(昭和36年)4月以降1986年(昭和61年)3月以前までに、日本人で海外に在住していた期間
学生時代に年金を払っていなかった期間や、海外に住んでいた期間がある方は、このカラ期間が適用されることで受給資格を満たせるケースがあります。
そのほかにも合算対象期間に該当するケースは数多くありますので、受給資格期間に不足がある場合は、年金事務所などで相談することをおすすめします。ご自身の年金記録を確認する際は、こうした期間もあわせてチェックしてみるとよいでしょう。
参照:老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額|日本年金機構
合算対象期間|日本年金機構
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国民年金を満額もらうための加入期間は何年必要?
20歳から60歳になるまでの40年間(480ヶ月)、すべての期間で保険料を納付済みであることが条件となります。
「受給資格(10年)」と「満額受給(40年)」は区別して考える必要があります。最低10年あれば年金自体はもらえますが、満額を受け取るには40年間の欠けることがない納付実績が必要です。
令和7年度(2025年度)の満額受給額
年金額は物価や賃金の変動に合わせて毎年度改定されます。令和7年度(2025年度)の老齢基礎年金の満額(新規裁定者)は以下のとおりです。
- 満額の年金額(年額):831,700円
- 1ヶ月あたりの受給額:約69,308円
※昭和31年4月1日以前生まれの方は金額が異なります。
40年間のうちに未納期間や免除期間が含まれていると、この満額から減額されて計算されます。たとえば学生時代に納付特例を使っていたり、転職活動中に未納期間があったりすると、その分だけ将来の受給額が下がることになります。
未納と免除の違いによる受給額への影響
単に国民年金保険料を払わなかった「未納」と、正規の手続きをした「免除」では、将来の受給額への反映のされ方が異なります。
- 未納期間:受給額には一切反映されません。
- 全額免除期間:保険料を払っていなくても、国庫負担分として、満額の2分の1(平成21年3月以前の期間は3分の1)が年金額に反映されます。
支払いが厳しい時期があったとしても、そのまま放置せず免除申請をしておくことが、将来の受給額を少しでも確保するためには有効な手段といえるでしょう。
国民年金の加入期間が480ヶ月に足りない場合の受給額への影響は?
不足している月数分だけ、比例して年金額が減額されることになります。
480ヶ月(40年)に満たない場合、具体的にどのくらい年金が減るのか、その仕組みを把握しておくと安心です。
年金額の計算式(簡易版)
※免除期間がある場合は計算式が複雑になりますが、ここではわかりやすく「納付済」か「未納」かで考えます。
具体的な計算例(加入期間30年の場合)
たとえば、大学卒業後の22歳から60歳までの38年間だけ加入し、学生時代の2年間(24ヶ月)が未納だったとします。さらに途中で8年間の未納期間があったとし、合計の納付済月数が360ヶ月(30年)だった場合の計算です。(令和7年度額ベース)
満額の831,700円と比較すると、年間で約20万円以上も少なくなる計算です。月額に換算すると約1万7千円の差が生じます。年金は本人が亡くなるまで受給できるため、これが受給期間全体にわたって続くと考えると、総額では大きな金額差になってしまうでしょう。
「480ヶ月に数ヶ月だけ足りない」というケースでも、その数ヶ月分はきっちりと計算に含まれ、受給額が減額されます。少しでも満額に近づけたいと考えるならば、後述する任意加入などの対策を検討するのがよいでしょう。
60歳以降も国民年金加入期間を増やせる任意加入制度とは?
国民年金の任意加入制度とは、60歳から65歳までの間、申し出によって国民年金に加入し、不足期間を埋めたり、受給額を増やしたりできる制度です。
国民年金の加入義務は60歳で終了しますが、その時点で「480ヶ月に達していない」、あるいは「受給資格期間の10年がない」という場合、60歳以降も継続して保険料を納めることができます。これを「任意加入制度」といいます。
任意加入ができる人の条件
以下の条件を満たす方が対象となります。
- 日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の方
- 老齢基礎年金の繰上げ支給を受けていない方
- 20歳以上60歳未満までの保険料納付月数が480ヶ月(40年)未満の方
- 厚生年金保険や共済組合などに加入していない方
任意加入のメリット
最大のメリットは、65歳から受け取る老齢基礎年金を増額できることでしょう。 たとえば、60歳から65歳までの5年間(60ヶ月)任意加入して保険料を納めれば、国民年金の受給額を満額に近づけられます。納付した保険料は、一般的に10年程度受給すれば元が取れる設計になっているため、長生きリスクへの備えとして検討の価値が十分にあります。
手続き方法と必要書類
お住まいの市区町村役場の国民年金担当窓口、または年金事務所で手続きを行います。
- 必要書類
- 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
- 基礎年金番号通知書または年金手帳(マイナンバーにより手続する場合は不要)
- 預金通帳および届出印(原則、口座振替となります)
特例任意加入制度(65歳〜70歳)
もし、65歳になってもまだ「受給資格期間の10年」を満たしていない場合は、70歳まで任意加入期間を延長できる「特例任意加入制度」があります。これはあくまで「受給権を得るため」の特例ですので、すでに受給資格を持っている人が年金額を増やすために70歳まで加入することはできません。
国民年金の納付期限を過ぎた場合、加入期間にカウントできるか?
納付期限から2年以内なら納付可能ですが、それを過ぎると時効により納付できなくなります。ただし、免除等の承認を受けていれば、10年まで遡って納付できます。
国民年金の過去の未払いで、納付書の期限を過ぎた場合の扱いは、「未納」か「免除・猶予の承認済み」かで異なります。
1. 国民年金の未納の場合(時効は2年)
国民年金の保険料を納めず、免除申請もしていなかった場合、納付期限から2年が経過すると時効となり、後から納めたくても納めることができなくなります。この期間は「未納期間」として確定し、将来の年金額にも反映されませんし、受給資格期間(10年)にもカウントされません。
2. 免除・納付猶予を受けていた場合(追納は10年)
過去に「学生納付特例」や「全額免除・一部免除」の承認を受けていた期間については、10年以内であれば後から国民年金保険料を納めること(追納)ができます。
追納のメリットは、免除期間等は年金額が低く計算されますが、追納することで「全額納付済」として扱われ、年金額を満額に戻せることです。
注意点として、追納する場合、免除を受けた期間の翌年度から数えて3年度目以降は、当時の保険料に一定の加算額が上乗せされることがあげられます。
もし、過去10年以内に免除期間があるなら、資金に余裕がある時期に追納しておくことをおすすめします。追納した保険料は、その年の社会保険料控除の対象となり、所得税・住民税の節税効果も期待できます。
厚生年金の加入期間は国民年金の受給要件に含まれるか?
厚生年金の加入期間は、自動的に国民年金の「受給資格期間」および「老齢基礎年金の給付対象期間」としてカウントされます。
日本の公的年金制度は「2階建て構造」といわれます。
- 1階部分:国民年金(老齢基礎年金)
- 2階部分:厚生年金(老齢厚生年金)
会社役員や会社員として厚生年金に加入している期間は、国民年金(基礎年金)の保険料も同時に支払っているものとみなされます。したがって、厚生年金に加入していた期間は、そのまま国民年金の加入期間として計算されます。
よくある疑問
「厚生年金に20年入っていたから、国民年金は別で払わないといけないのか」と心配される方がいらっしゃいますが、その必要はありません。厚生年金加入期間が20年あれば、国民年金の加入期間も20年あることになります。
ただし、20歳から60歳までの40年間のうち、厚生年金にも国民年金にも入っていない未納期間があれば、その分は国民年金部分(基礎年金)の受給額が減ることになります。
「ずっと会社員だった」という方は、基本的に未納の心配は少ないですが、転職の合間や独立直後の手続き漏れがないか、一度「ねんきん定期便」などで確認しておくとより確実でしょう。
国民年金の受給額を最大化するには?
年金の受取開始を遅らせる「繰り下げ受給」や、月額400円を上乗せする「付加年金」を活用することで、加入期間の不足を補い、受給額を増やせます。
加入期間がどうしても480ヶ月に届かない場合でも、受給額そのものを増やす方法はいくつかあります。
1. 繰り下げ受給で最大84%増額
老齢基礎年金は原則65歳から受け取りますが、受給開始を66歳以降に遅らせることで、1ヶ月につき0.7%受給額が増額されます。
- 70歳まで繰り下げ:42%増額
- 75歳まで繰り下げ:84%増額
仮に加入期間が足りず受給額が少なめであっても、70歳まで受給を待てば、本来の受給額の1.42倍を一生涯受け取れます。長く現役で働く意欲のある経営者の方には、特に有効な選択肢といえるでしょう。
2. 付加年金で効率良く上乗せ
国民年金の第1号被保険者(個人事業主やフリーランスなど)や、60歳以降の任意加入被保険者は、通常の保険料にプラスして月額400円の「付加保険料」を納めることができます。
- メリット:「200円 × 納付月数」が毎年の年金額に上乗せされます。
- 回収期間:わずか2年で元が取れます。(納めた総額を受給額の累計が2年で上回る)
例)任意加入中の5年間(60ヶ月)付加保険料を支払った場合
年額12,000円が一生涯上乗せされるため、2年受け取れば24,000円となり、納付額と同額になります。非常に効率の良い投資といえます。
参照:年金の繰上げ・繰下げ受給|日本年金機構
参照:付加保険料の納付|日本年金機構
国民年金の加入期間を正しく理解し老後の安心に
国民年金は、老後の生活を支える大切な基盤です。加入期間のルールを正しく理解し、ご自身の状況に合わせて適切な対策をとることで、将来の不安を大きく減らすことにつながります。
この記事の要点は以下のとおりです。
- 受給資格は10年:最低10年(120ヶ月)の期間がないと年金は受け取れません。
- 満額には40年:満額(令和7年度:約83万円)を受け取るには480ヶ月の納付が必要です。
- 不足時の対処:60歳〜65歳の「任意加入制度」を利用することで期間を増やせます。
- 過去分の納付:追納は10年前まで可能ですが、単なる未納は2年で時効となり、納付できなくなります。
- 増額テクニック:「繰り下げ受給」や「付加年金」をうまく活用することも検討しましょう。
まずは、日本年金機構の「ねんきんネット」にアクセスし、ご自身の現在の加入期間と納付状況を確認することから始めてみてはいかがでしょうか。現状を正確に把握し、安心できる老後設計をしましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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