• 作成日 : 2022年10月14日

マネーフォワードクラウドPresents「& money」 株式会社ジオコード専務取締役CFO吉田知史さんに聞く!(前編)

マネーフォワードクラウドPresents「& money」 株式会社ジオコード専務取締役CFO吉田知史さんに聞く!(前編)

さまざまな企業のリーダー、ファイナンス部門の方にフォーカスを当て、その仕事や企業の成長戦略の裏側、その仕事術に迫ります。

今回お話を伺ったのは、株式会社ジオコード専務取締役CFO吉田知史さん。Webマーケティングと営業DXで、集客から受注までの全てを一社完結で実現するジオコード。

前編ではそのジオコードの事業について、そして2020年のIPOについてお話を伺います。

プロフィール

吉田知史
1994年 等松・トウシュ・ロスコンサルティング株式会社(現在のアビームコンサルティング株式会社)入社。1999年、公認会計士2次試験合格、朝日監査法人(現在の有限責任あずさ監査法人)入所。2003年公認会計士登録。Big4系ファイナンシャル・アドバイザリー会社を経て、2012年、アイビーシー株式会社入社。2018年株式会社ジオコード専務取締役CFO。趣味は積読(つんどく)、スロージョギング。

聞き手: 瀧口友里奈
経済キャスター/東京大学工学部アドバイザリーボード
東京大学卒。セント・フォース所属。「100分de名著」(NHK)、「モーニングサテライト」(テレビ東京)、「CNNサタデーナイト」(BS朝日) 、日経CNBCの番組メインキャスターを複数担当。ForbesJAPANで取材•記事執筆も行い、多くの経営者を取材。東京大学大学院在学中。

主事業はWebマーケティングと営業DX

瀧口 まずはジオコードがどんな会社か教えていただけますでしょうか。

吉田 ジオコードは2005年の創業です。それから17年、途中決算期の変更があり、現在第19期目を迎えていますが、この間、増収を続けています。ただし、増益ではありません(笑)

瀧口 すごいことですよね。

吉田 当社は、「Webマーケティングと営業DXで、集客から受注までの全てを一社完結」で提供するというキャッチコッピーを掲げて事業を展開しています。基本的には、Webマーケティング事業を主力としつつ、クラウドサービスを提供するクラウドセールステック事業を二本目の柱としてこれから伸ばしていこうというところになります。

瀧口 Webマーケティング事業というのは具体的にどんなことをされていらっしゃるのでしょうか。

吉田 Webマーケティングというと特に都心の会社の方たちには馴染みがあるように思いますが、当社は、基本的にお客様の立場に立ってその運用をサポートしています。サービスとしては「オーガニックマーケティング」と「Web広告」という大きく分けて二つの柱があります。「オーガニック」という言葉は一般に自然食品などでも使いますが、マーケティングの世界では「自然検索」を意味します。グーグルなどで検索した結果が表示されて、そこからそれぞれのホームページに入っていく。そういう形で「自然検索」が行われますが、ただ自然検索の結果として集客して終わりとするのではなく、例えば見積もり書の作成を依頼してもらったり、資料請求をしてもらったり、最終的に売上につながるその手前まで誘導することがサイト検索における当面のゴールになるので、先ずホームページに入ってもらう。そして、ホームページの中をいろいろと見てもらって、「これはいいな」と思って資料請求等をしてもらう、というところまでのWeb施策を一社完結で提供するというのが、当社の提供するオーガニックマーケティングになります。

瀧口 一気通貫してそこを見ていらっしゃるということなんですね。

吉田 当社の場合、SEO対策を創業以来ずっとサービス提供していて、淘汰の波に晒されながら生き残ってきた“SEOの老舗”という位置づけになるんです。この創業以来提供しているSEO対策を主軸としつつ、最近だと「コンテンツマーケティング」という言葉があって、ホームページの中身ですね。いろいろ記事を書いてそれを見てもらう。それから「UI/UX」(ユーザーインターフェイス/ユーザーエクスペリエンス)という言葉も最近流行っていますが、まさに体験、「これいいな」っていう好感度を、高めてもらうような施策を当社でサービス提供しています。さらに抜本的にホームページを変えようという「Web制作」のサービスも行っています。それらをまとめて「オーガニックマーケティング」という形で提供しています。

瀧口 インターネット上で企業がどう顧客の方と接していくかを、全て見てらっしゃるということに近いですかね。

吉田 そうですね、Webマーケティング領域については全般的に運用サポートしているということになります。そういった意味でオーガニックマーケティングとともに「Web広告」もWebマーケティング事業の主力サービスであるのですが、こちらはWeb広告の代理店と運用サポートをしています。Google広告に「Premier Partner Awards」という表彰制度があるのですが、つい先日、そのファイナリストに4期連続でノミネートされました。これはグーグルのいろいろな施策を積極的に使い、お客様にどれだけ有効な手立てを打てたかということで、その貢献に対して表彰されるというもので、最終的な発表は12月の末にあるようです。また、国内のGoogle 広告代理店の上位3%に付与される最上位のステータスである「2022 Premier Partner」にも認定されています。その他ヤフーからも認定を受けています。

瀧口 もう一方のクラウドセールステックはどんな事業でしょうか。

吉田 クラウドセールステック事業の中では、営業支援ツールともう一つ、勤怠管理、経費精算 、交通費精算などを支援するツールの二つのサービスを提供しています。営業支援ツールの「ネクストSFA」は、UI/UXの観点から使い勝手を徹底的に追求しているので、とにかく使いやすくお客様にとって必要最小限のことはしっかりとできるようにする機能に特化したうえで “とにかくお安く”提供しています。外資系の大きな会社さんが、日本でも積極的にビジネス展開をされていますが、ちょっとお高い、ちょっとうちには手が届かない、難しくて使いきれないという会社様もあると思います。そういった会社様のために、「ネクストSFA」という営業支援ツールを提供しています。

瀧口 SFAはSales Force Automationということで、そのネクスト、次世代型のSFAというのをつくってらっしゃるっていうことですかね。

吉田 次世代型の、そして「まさにこれでしょ」という意味を込めています。

瀧口 勤怠管理、経費精算 、交通費精算という部分に関しては如何ですか。

吉田 これは「ネクストICカード」というツールになりますが、ICカードといえば例えばJRさんの交通系ICカードがありますよね。改札でピッとするやつです。そのICカードを使って勤怠、つまり「会社に来ました」「帰ります」もできるし、その間の交通費、「どこどこに行ってきました」というのも、それでピッとすると全部データ入力できます。個人利用のところは自分の管理画面ではじいてから提出するという仕組みになっています。同様のサービスをいろいろな会社さんが提供していて競争が激しいのですが、当社では結構古くからサービスを提供して、現在は他の提供サービスのフックツール的な位置づけになっています。

優しさと厳しさ 人のよさとプロ意識

瀧口 会社はどのような雰囲気なのでしょう

吉田 私は2018年に入社して今5年目を迎えているのですが、会社を選ぶ際の基準として「居心地の良い会社」ということを考えました。私の勝手な感想ですけれども、社長の原口をはじめ、当社はとにかくみんな人がいいんです。たいがいの会社のどんな組織でも、「ちょっとこの人、きついなー」っていう方がいると思うんですけれど。あくまで私、個人の感想ですが、当社は、みんな穏やかでいい人ばかりなので、非常に居心地がいい会社です。

瀧口 吉田さんもすごい笑顔が印象的です。

吉田 いえいえ(笑)ちょっと疲れているんですけどね(笑)

瀧口 吉田さんが束ねていらっしゃる財務部門、管理部門の雰囲気は如何でしょう

吉田 同じくいい人たちばかりですが、やはり上場をしている会社で、全体の要の部署です。全体でいま16人ぐらい在籍していて、管理部の中に経理財務課、総務人事課、そして情報システム課という3つの課を置いています。みんなプロフェッショナルなので、それぞれが専門分野を持ってしっかりと意識高く仕事をしてもらっています。まあ優しさの中にも厳しさありですかね。現場の人たちをしっかりとサポートしていくというか、現場の人たちがいろいろ困ったこととか、それから営業で当然契約書とかも出てきますよね、そういった部分を積極的にどんどんサポートしてあげて、スムーズにビジネスが展開できるようにということを心がけてやっています。みんな本当に、プロフェッショナルな人たちです。

主幹事の証券会社を変えて短期間でのIPO

瀧口 2020年の11月に、当時の東証JASDAQに上場されて今年2022年4月にスタンダード市場に移行されました。吉田さんがジオコードにジョインされたのが2018年。これは、このIPOを前提にジョインされたという経緯だったんですか。

吉田 おっしゃる通りです。

瀧口 ジョインされてからIPOまでを振り返っていただきたいのですが。

吉田 私は、2018年の1月に当社に入社しましたが、その年の夏から秋にかけて営業担当者が10人ほどまとまって会社を辞めてしまうということがありました。それも影響して翌年2月末の年度決算では、会計的な減損処理も併せて行ったのもありますが、最終的な利益が“90万円”になってしまったんです。それでもIPOに向けて体制を立て直していったということがありました。結果として2019年度中に予定していた証券会社のIPO審査に入る直前になって、当時の主幹事証券会社から「しばらく待ちましょう」ということを突然、前触れもなく言われてしまいました。しかも「いつ」というのを全く言ってくれないんですね。これは審査の順番が相当後退してしまったな、と察しがついたので、社長の原口にも相談して主幹事証券会社を変えるという決断をしました。私はIPOが初めてではなかったのでその経験が生きたのですが、証券会社でIPOの担当をしている知り合いの方に相談したり、上場経験のあるCFOの知人経由で証券会社の役員の方にアプローチしたり、とにかく当社の応援団をいっぱい作りました。

幸いにして2019年の10月から、いちよし証券さんにお願いできることになり、その後1年1か月と10日で上場することができました。ただ、証券会社を変更したので、手続き的にはまたゼロからのスタートとなって、この1年ちょっとの期間でIPOの全プロセスを一気に消化しなければならなくなりました。

例えば証券審査に入る前段階で普通は証券会社のIPOコンサル部が、1年ぐらいかけて毎月テーマを決めていろいろと確認していくところを、1週間ごとに通常の1か月分を消化していったりと、最初から最後までかなりのハイスピードで対応していくことになりました
IPO準備期間を通して、いちよし証券さんにはとてもよくしていただきました。また、その間いろいろな方とのご縁があって、また助けても頂いて、なんとか上場までたどり着くことができたと思っています。

瀧口 本来、1か月でやるべきところを1週間ですか・・・吉田さんの前々からのご経験やいろんな方とのつながりの中でそういったことが可能になったんですか。

吉田 まず、いちよし証券さんと契約できたのは繋がりの部分というのもあったと思います。あと当社としてもいろいろと準備をしていたので。また準備のレベル感というのも、私も一回IPOを経験していたので「どのぐらいであれば」というのがあるのでクオリティをしっかり保ってそこまで来たというのがありました。

緩急をつけてIPOに向かう

マネーフォワードクラウドPresents「& money」 株式会社ジオコード専務取締役CFO吉田知史さんに聞く!(前編)

瀧口 このIPOに向けて、吉田さんだけじゃなくて、周りの社員の方も一丸となってやっていかなければというところで、どのようにこのモチベーションを保たれたのでしょう。

吉田 社長の原口を含め、特に上位職のメンバーにはIPOを成し遂げるんだという強い思いがあったので、そこは違わずといったところですかね。あと、管理部のメンバーはしっかりその方向性を認識してくれていたので、体力面含め、最後まで一丸となってやっていけたのだと思います。ちなみに総務人事課は結構人が入れ替わっていて。ほぼ全員、2名を除いてですかね。そうやって体制を整えていきました。

瀧口 前の会社でもIPOを経験されたというお話がありましたけれども、そこの経験というのは、人とのつながり以外の部分で、どう活かされたのでしょう。

吉田 そうですね、緩急というのですかね、当然資料の作り方とかそういうものもありますが、ここはグッと押すとか、スピード感とか、そういうものは体感してみないとわからないところがあると思うのですが、そういうものを一通りは経験しているので、体に染みついたものっていうのはあったのかなと思っています。だから例えば、この資料を先に作っておかなければいけないとか、それ主幹事証券会社さんに見せておかないと後が進まないとか、そういった感覚というのは持ち合わせていたと思います。

お話は後編に続きます。
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