• 作成日 : 2026年2月19日

相談支援事業所は儲かる?開業前に知っておくべき収入・制度・成功のポイントを解説

Point相談支援事業所の経営は儲かる?

相談支援事業所は高収益事業ではなく、工夫しなければ黒字化が難しい事業です。

  • 利益率は低水準
  • 人件費比率が高い
  • 月40件前後が損益分岐点

黒字経営は可能です。「相談支援専門員2名体制+月40件前後の安定稼働」を確保できた事業所は、実質的に収支が安定しやすい傾向があります。

相談支援事業所は、障害のある方が適切な福祉サービスを受けられるよう支援計画を立て、生活を継続的にサポートする重要な役割を担っています。地域福祉に貢献できるやりがいのある仕事でありながら、開業や経営に興味を持つ方にとって気になるのが「本当に儲かるのか」という点です。

本記事では、相談支援事業所の制度概要や収益構造、開業に必要な資格・許認可、経営を安定させるポイントなどを解説します。

相談支援事業所とは?

相談支援事業所は、障害のある方の生活とサービス利用を支える制度上の中核的な役割を担う事業です。ここでは、事業の本質を整理します。

障害のある方の支援計画を作成し継続的に伴走する事業

相談支援事業所は、障害者総合支援法に基づき、市町村の指定を受けて運営される公的サービス事業所です。相談支援専門員が利用者や家族と面談し、生活上の困りごとや希望を整理したうえで「サービス等利用計画」を作成します。その後も定期的なモニタリングを行い、状況の変化に応じて計画を見直します。単発の手続き支援ではなく、生活全体に寄り添い続ける点が大きな特徴です。

参考:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律|e-GOV

収入は国が定めた給付費に限定されている

相談支援事業所の主な収入源は、障害福祉サービスの報酬として支払われる給付費です。支援計画の作成や継続的な支援を行った対価として、国が定めた報酬単価に基づき国保連合会へ請求します。計画相談支援では、利用者一人あたり月1,500~1,600単位前後が基本となり、条件を満たせば加算が適用されます。ただし、事業所が自由に価格設定することはできず、利用者数が増えなければ売上も増えない仕組みです。

人件費の比重が高く利益を出しにくい

相談支援事業所は、人件費が経営を大きく左右する事業です。相談支援専門員は専門資格が必要で、専任配置が求められるため、人件費が固定費として重くのしかかります。一人が対応できる利用者数にも限界があり、対応件数を増やしても急激に利益が伸びる構造ではありません。家賃や設備費は比較的抑えやすいものの、人件費の割合が高いため、小規模運営では黒字化の難易度が高い事業といえます。

広告

この記事をお読みの方におすすめのガイド4選

続いてこちらのセクションでは、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気のガイドを簡単に紹介します。無料登録だけでもらえますので、ぜひお気軽にご活用ください。

※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。

起業アイデアを磨く!自己分析3点セット

起業アイデアを磨く!自己分析3点セット

「やりたいことはあるけれど、ビジネスとして成立するか不安」という方へ。

自分の強み・価値観・市場ニーズを掛け合わせ、唯一無二のアイデアに昇華させる自己分析メソッドを3つのシートにまとめました。

無料でダウンロード

経営スキル習得の12か月ロードマップ

「経営を学びたいが、何から手をつければいいか分からない」と悩んでいませんか?

本資料では、財務・マーケティング・組織作りなど多岐にわたる経営スキルを、12か月のステップに凝縮して体系化しました。

無料でダウンロード

副業アイデア辞典100選

副業アイデア辞典100選

「副業を始めたいけれど、自分に何ができるか分からない」そんなあなたにぴったりの厳選100アイデアを公開!

スキルを活かす仕事から未経験OKなものまで、市場の需要や収益性を網羅しました。パラパラと眺めるだけで、あなたのライフスタイルに最適な働き方が見つかるはずです。

無料でダウンロード

1から簡単に分かる!起業ロードマップ

1から簡単に分かる!起業ロードマップ

起業に興味はあるけれど、複雑な手続きや準備を前に足踏みしていませんか?

準備から設立までの流れを分かりやすく図解しました。全体像をひと目で把握できるため、次に何をすべきかが明確になります。

無料でダウンロード

相談支援事業所は儲かる?収益性は?

相談支援事業所を開業する上で、収益性は避けて通れない検討事項です。制度に基づく安定した報酬体系がある一方で、利益が出にくい構造となっており、「儲かる事業」とは言いがたいのが現状です。

平均的には利益がほとんど出ていない

相談支援事業所の年間売上は平均500〜600万円程度ですが、経費も同程度かそれ以上にかかるため、営業利益率は-8〜+1%と赤字〜トントンが一般的です。純利益率も1〜5%にとどまり、令和4年度の調査では平均利益額は約29.5万円でした。さらにこの黒字は一時的な特別収入によるもので、継続的な収益とは言えません。つまり、多くの事業所が「ほぼ利益が出ていない」状態で運営されているのが現実です。

赤字の事業所も半数近く存在する

全体の約半数の事業所が赤字経営であり、黒字であってもわずかな金額にとどまっています。中には高い利益率を示す事業所もありますが、そうしたケースは利用者が少ないことで一時的に利益率が高く見えるなどの特殊例が多く、持続的な高収益事業として確立しているわけではありません。収益性の分布は、ほとんどが利益ゼロに近い水準から赤字方向に広がっているのが実態です。

構造的に収益を伸ばしにくい仕組みになっている

相談支援事業所の売上は「利用者数×報酬単価」で構成されますが、1人の相談支援専門員が対応できる件数には上限があります。月15〜20件が適正とされ、制度上は39件を超えると報酬単価が減額されるため、それ以上件数を増やしても売上効率は落ちていきます。一方で人員を増やせば人件費も増えるため、単純な規模拡大が利益につながらない構造です。このように、制度と経費の両面から収益拡大に限界があることが、「儲かりにくい」と言われる最大の理由です。

相談支援事業所の経営を安定させるポイントは?

相談支援事業所は収益性が高くない一方で、運営次第では安定した黒字を目指すことも可能です。ここでは、収益を安定させるために意識すべき点について解説します。

利用者件数の確保と体制づくり

相談支援事業所を安定運営するには、一定の利用者件数の確保が不可欠です。一般的に、月40件前後の支援がなければ収支が合わず、黒字化は難しいとされています。一人の相談支援専門員では対応しきれない件数のため、開業当初から常勤・非常勤の2名体制を基本に考えるべきです。このような体制であれば、30~40件以上の案件を無理なく担当できる可能性が広がります。

加算の取得と減算回避

収入を最大化するには、加算要件を的確に把握し、取りこぼしを防ぐことが重要です。初回加算、入院時支援特例加算、上限管理加算などは算定可能であれば確実に取得すべきです。一方で、人員基準の不備や運営ミスによる減算は収益を直撃するため、適切な人員配置と運営管理が不可欠です。

固定費の圧縮と人材配置の工夫

利益を確保するためには支出の管理も重要です。過度に高額なオフィスを避ける、事務作業を補助するスタッフを短時間で雇用して専門員の業務を集中させるなどの工夫が有効です。こうした工夫は人件費の適正化だけでなく、スタッフの離職防止にもつながり、長期的な安定運営に寄与します。

他事業との連携で全体の利益を底上げする

相談支援事業所単体では収益が出にくいため、就労支援やグループホームなど他の障害福祉サービスと連携することで相乗効果を狙う方法があります。自社運営のサービスと連携すれば、利用契約までの流れをスムーズにし、全体の稼働率向上にもつながります。また、事務所や車両などを共有すれば、固定費を分散できる点も大きなメリットです。

このように、相談支援事業所の経営は決して容易ではありませんが、体制の工夫や制度理解の深さ、そして地域に根差した連携の強化によって、持続可能な事業運営を目指すことが可能です。

儲からなくても相談支援事業所を開設するメリットは?

相談支援事業所は、収益性が低く「儲かる事業」ではないとされる一方で、それでも開設する意義や利点が確かに存在します。ここでは、金銭的なリターン以外の観点から、開業を前向きに検討できる理由を整理します。

社会的な貢献とやりがいを得られる仕事である

相談支援事業所の最大の魅力は、障害のある方やご家族の支えとなり、地域社会に貢献できることです。支援計画を通じて利用者の生活の質を高める役割を担うため、収益を超えた達成感ややりがいを実感できます。相談支援の担い手が不足している地域では、事業所の新設そのものが歓迎され、地域からのニーズを直接受け取れる環境にあります。このような背景から、使命感をもって取り組める点が大きなメリットです。

初期投資が少なく、低リスクで始めやすい

相談支援事業所は、他の福祉サービスと比べて設備投資がほとんど不要であるため、開業コストが非常に低く抑えられます。机と応接スペースがある小規模な事務所さえあれば、スタートが可能です。施設型サービスのように大型設備や人員を必要とせず、初期投資や固定資産リスクが小さいことから、資金面でのハードルが低く、個人や小規模法人による開業に適しています。

他の障害福祉事業と組み合わせて経営全体を強化できる

相談支援事業所単体では大きな利益を見込みにくくても、他の障害福祉サービス(例:就労支援、グループホームなど)と組み合わせることで、事業全体の連携強化と利用者支援の一貫性が図れます。自社で複数の福祉サービスを運営している場合、相談支援を集客・連携の拠点とすることで、他事業の利用促進につながる場合もあります。また、設備や人員を共有すればコストの圧縮にも寄与し、法人全体としては健全な収支バランスを保てる可能性が高まります。

このように、相談支援事業所は「儲からないからやらない」と切り捨てるには惜しい要素を多く持つ事業です。事業戦略や地域課題との親和性を踏まえて、総合的な視点で開設を検討する価値があります。

相談支援事業所の開設に必要な資格・許認可は?

相談支援事業所を開業するには、一定の資格要件と行政への申請手続きが必要です。特別な設備投資は不要ですが、人員要件や運営基準を満たさなければ指定を受けることはできません。

相談支援専門員としての資格と実務経験が求められる

相談支援事業所を開設するには、相談支援専門員を配置しなければなりません。相談支援専門員は、以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。

  1. 社会福祉士、精神保健福祉士、保健師など、厚生労働省の定める資格を有する者、または指定の相談業務に従事した経験がある者
  2. 指定相談支援従事者初任者研修を修了していること
  3. 開設後、専ら相談業務に従事する専任体制であること

特に注意すべき点は、実務経験です。介護・障害・児童福祉分野での相談援助業務の経験が5年以上必要となるケースが多く、単に資格を持っているだけでは足りません。管理者が相談支援専門員を兼ねることも可能ですが、その場合でも上記要件は同様に求められます。要件の詳細については、厚生労働省HPもあわせて確認しましょう。

都道府県または指定都市への指定申請が必要

相談支援事業所を開設するには、所在地を管轄する都道府県または政令指定都市に「指定申請」を行い、指定相談支援事業者としての認可を受ける必要があります。申請には以下のような書類が必要です。ただし、都道府県により異なる場合があるため、確認が必要です。

  • 事業所の平面図
  • 役員・従業者の資格証明書や経歴書
  • 事業運営の体制図
  • 就業規則・運営規程
  • 損害賠償責任保険への加入証明

審査には1〜2か月程度かかることが一般的で、指定を受けた後に初めて事業を開始できます。なお、開業にあたり法人格(株式会社・合同会社・NPO法人など)を有している必要があります。個人事業主では申請できません。

設備基準や最低限の体制も求められる

相談支援事業所は大掛かりな施設整備を要しませんが、一定の設備基準は設けられています。面談スペースの確保や利用者のプライバシーが守られる環境、事務作業用のスペースなどが必要です。また、常勤換算で原則1名以上の相談支援専門員が必要とされており、実質的には専従職員の雇用を前提とした体制整備が不可欠です。

開業前に相談支援事業所の現実を押さえておこう

相談支援事業所は、収益性だけを目的に開業するには向いていない事業です。報酬は制度により厳格に制限され、利益を出すには工夫と綿密な運営が求められます。一方で、初期投資の低さや社会的意義の高さ、他事業との連携による相乗効果など、金銭面以外の魅力も多く存在します。開業を検討する際は、数字だけで判断せず、事業の目的や自社の戦略と照らし合わせながら慎重に進めていきましょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事