• 更新日 : 2026年1月26日

社会福祉法人を設立するメリットは?事業内容・他法人との違い・設立手順を解説

Point社会福祉法人には、どのような強みがある?

社会福祉法人は、公的支援と税制優遇を受けながら福祉事業を安定運営できる法人です。

  • 補助金で施設整備可
  • 税負担が大幅に軽減
  • 社会的信用が高い

施設整備では国1/2・自治体1/4補助があり、自己負担を大きく抑えられます。

社会福祉法人は、地域の福祉サービスを支えるために設立される非営利法人です。高齢者施設や障がい者支援、保育事業などを安定的に運営できる一方で、設立には厳しい要件や行政の認可が必要とされます。

この記事では、社会福祉法人とはどのような法人かをはじめ、他の法人形態との違い、事業内容、設立のメリットとデメリットや設立までの流れまでを解説します。

社会福祉法人とは?

社会福祉法人は、福祉サービスの提供を通じて公益を追求する非営利法人であり、社会福祉法に基づき行政からの認可を受けて設立されます。特別養護老人ホームや保育所などを運営し、公益事業や収益事業も一部認められています。他の法人格とは目的や制度上の要件が大きく異なる点が特徴です。

法律に基づき設立される非営利の公益法人

社会福祉法人は、社会福祉法に基づいて認可を受けて設立される非営利法人であり、主に高齢者、障がい者、児童などへの福祉サービスを提供することを目的としています。全国には約2万の社会福祉法人があり、多くは地域に根ざした施設の運営を行っています。

福祉事業のほか、地域の子育て支援や介護予防といった公益事業、また駐車場や不動産貸付などの収益事業も一部認められています。ただし、得た利益はすべて社会福祉事業に再投資され、関係者に配当することは許されていません。法人の公益性と継続性が重視される仕組みです。

参考:社会福祉法人の概要|厚生労働省

【株式会社との違い】営利目的の有無と設立要件

株式会社との大きな違いは、目的が「営利」か「非営利」かにあります。株式会社は出資者(株主)への利益還元を主目的とする営利法人で、利益は配当として分配できます。一方、社会福祉法人は非営利であり、剰余金が出ても事業に再投資され、関係者への分配はできません。

また、設立要件にも大きな差があります。株式会社は登記のみで設立可能であり、取締役1名から始めることができますが、社会福祉法人は所轄庁の認可が必要です。理事6名以上、監事2名以上、評議員7名以上といった厳格な役員構成が求められ、財政基盤の証明も必要です。社会福祉施設を経営しない法人は、原則1億円以上の財産保有が求められます。

【NPO法人】行政関与の強さと資産要件

NPO法人も非営利法人である点では共通していますが、設立手続きや行政の関与の程度に違いがあります。NPO法人は所轄庁への届出と認証によって設立でき、比較的簡易です。理事3名、監事1名程度の役員で運営でき、資産要件も明確に定められていません。

これに対して社会福祉法人は、地域の福祉インフラを支える重要な役割を担うため、行政からの監督が強く、設立にも厳格な審査が行われます。また、税制優遇や公的補助金の対象となる反面、事業の自由度や柔軟性はNPO法人よりも制限される面があります。したがって、社会福祉法人は公共性をより強く求められる法人形態であるといえます。

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社会福祉法人の事業内容は?

社会福祉法人の主な役割は、法に基づき人々の生活を支える福祉サービスを提供することにあります。高齢者、障がい者、児童など多様な対象に対し、入所・通所・在宅の支援を行うほか、地域社会のニーズに応じた公益事業や一部の収益事業も認められています。

社会福祉法人の中心は第一種・第二種社会福祉事業

社会福祉法人が行う中核的な業務は「社会福祉事業」と呼ばれ、社会福祉法第2条で定められた第一種社会福祉事業と第二種社会福祉事業に分類されます。

第一種は保護の必要性が高い利用者を対象にした入所施設系の事業であり、たとえば特別養護老人ホーム、障害者支援施設、児童養護施設、救護施設などが該当します。

第二種は在宅や通所サービスを中心とした比較的柔軟な支援で、保育所、訪問介護(ホームヘルプ)、デイサービス、ショートステイなどが挙げられます。これらの事業を通じて、社会福祉法人は日常生活に支援が必要な方々へ、持続的かつ公共性の高いサービスを提供しています。

子育て支援や介護予防などの公益事業も行える

社会福祉法人は、社会福祉事業に加えて「公益事業」を行うことが可能です。公益事業とは、福祉の目的を補完する形で地域住民に提供される支援活動のことを指します。子育て支援、介護予防、生活支援、入浴や食事の支援、有料老人ホームの経営、人材育成、行政との連絡調整などが含まれます。

これらの活動により、法人は社会全体への貢献を広げながら、地域のニーズに柔軟に対応できます。ただし、公益事業はあくまで社会福祉事業を妨げない範囲で行われるべきとされており、単独での実施や本業化は認められていません。

収益事業も可能だが利益の使途には制限がある

収益事業とは、法人の運営資金を補うことを目的とした営利活動で、たとえば駐車場経営、貸ビル、売店の運営などが代表的です。これにより、社会福祉法人は自主財源の確保が可能となり、事業の安定性を高める手段として活用できます。

ただし、収益事業で得た利益は自由に使えるわけではなく、法律によりすべて社会福祉事業または公益事業へ充てなければなりません。また、営利性が高すぎる活動や、本来の事業に支障を与えるような場合には、行政指導や改善命令の対象となる可能性もあります。営利活動であっても、あくまで社会的使命を果たすための補助手段という位置づけが基本です。

社会福祉法人を設立するメリットは?

社会福祉法人を設立することで、公的な支援を受けやすいことや税制上の優遇など、さまざまなメリットが期待できます。ここでは主なメリットを紹介します。

公的助成や補助金を活用できる

社会福祉法人向けの助成金・補助金制度が充実しており、大規模な施設整備時には国や自治体から多額の補助を受けることが可能です。厚生労働省の社会福祉施設整備費の補助制度では、社会福祉法人が生活保護が必要な人のための施設(保護施設・児童福祉施設・障害者施設等)を整備する際、国が整備費の1/2、都道府県が1/4を補助する仕組みになっています。この制度を利用すれば、本来の建設費用の1/4程度の自己負担で施設を整備できる計算になります。

さらに、厚生労働省以外にも民間の団体による福祉施設の助成金募集が多く存在し、児童福祉施設や障害者施設の開設資金に充てることができます。社会福祉法人はこうした公的・民間の支援を活用しやすく、資金面で手厚いバックアップを受けられる点が大きなメリットです。

税制上の優遇が受けられる

社会福祉法人には税制面での優遇措置が数多く認められています。社会福祉法人は公益性の高い法人であることから、社会福祉事業や公益事業から生じた所得には原則として法人税が課税されません。その結果、社会福祉法人が納める法人税は収益事業から生じた所得に対するものだけで済み、全体として非常に軽減されています。

また、社会福祉法人が無償で提供している施設や土地などの固定資産については固定資産税が非課税となります。加えて、個人が社会福祉法人に寄付を行った場合には寄附金控除税額控除)の対象となり、寄付者の税負担が軽減されます。このように、税制上の優遇措置によって社会福祉法人は運営コストを抑えることができ、寄付金も集めやすい環境が整っています。

社会的信用が高い

社会福祉法人は厳しい基準を満たして設立され、行政の監督下で運営されるため、社会からの信頼性が高い法人格です。社会福祉法人を設立・運営するには、所轄庁による認可審査や定期的な監査をクリアし続ける必要があります。これらのハードルを越えていること自体が、その法人の適正な運営能力を示すものとなり、結果として世間からの信用を得やすいと言われます。

また、社会福祉法人の多くは地域の高齢者施設や保育施設など、人々の生活に身近な福祉施設を運営しており、公共性の高さから地域社会での認知度・安心感も高まる傾向があります。この信用力の高さは、寄付募集や行政との協働事業において有利に働く場合があり、社会福祉法人の強みとなっています。

社会福祉法人を設立するデメリット・課題は?

社会福祉法人には多くのメリットがありますが、その設立と運営には相応の負担や制約も伴います。ここでは3つの側面から課題を解説します。

設立に複雑な手続きと厳しい要件が伴う

社会福祉法人の設立には、一般的な法人とは異なる厳格な要件を満たす必要があります。まず、設立にあたっては所轄庁(都道府県知事や国など)の認可が必須であり、株式会社のように登記だけで設立することはできません。申請には、事業計画書や収支予算書など詳細な書類を整備する必要があり、事業の内容や規模によっては審査機関も異なります。

また、資産要件も高く設定されています。社会福祉事業を安定して運営できる経営基盤が必要であり、社会福祉施設を経営しない法人では、原則として1億円以上の財産を保有していることを証明する必要があります。このような条件から、社会福祉法人の設立はハードルが高く、綿密な事前準備が不可欠です。

資金調達や事業展開の自由度が制限される

社会福祉法人は、活動資金を主に補助金・助成金・寄付金などの外部支援に依存しており、株式会社のように株式を発行して広範な資金調達を行うことはできません。収益事業に関しても、公益性を損なわない範囲で限定的にしか認められておらず、自由な事業拡大や迅速な資金獲得が難しい点が課題です。

加えて、補助金や助成金を得るには煩雑な申請と審査が必要で、条件を満たさなければ交付されません。そのため、安定した経営を実現するには、資金繰りに関する綿密な計画と、多様な財源確保に向けた努力が求められます。事業の柔軟性という観点では、社会福祉法人は一般社団法人や営利法人と比較して制限が多いといえます。

行政の監督下で厳しいガバナンスが求められる

社会福祉法人は、設立後も行政による継続的な監督を受けることになります。所轄庁は毎年の報告書や計算書類の提出を義務付けており、一般監査や必要に応じた特別監査を通じて法人の運営状況をチェックします。監査で不適切な点が見つかれば、改善指導だけでなく、業務停止や解散命令といった厳しい措置が取られる可能性もあります。

さらに、近年は法改正により、役員の親族率制限や開示義務の強化など、ガバナンス体制の透明性がより一層求められています。こうした監督体制は法人の信頼性を高める一方で、日常的な法令遵守や文書整備、報告義務への対応といった管理業務の負担が大きくなります。運営者には、法的枠組みへの深い理解と、継続的な体制整備の姿勢が必要です。

社会福祉法人を設立する要件は?

社会福祉法人の設立には、法的な要件を満たしたうえで、所轄庁の認可を受ける必要があります。以下は、社会福祉法人を設立するために必要な主な要件です。

  • 所轄庁の認可
    所轄庁である都道府県知事、または市長の認可が必要となります。なお、法人が行う事業が2以上の地方厚生局の管轄区域にまたがり、かつ一定の要件を満たす場合には、厚生労働大臣の認可が必要です。
  • 実施事業の要件
    第一種または第二種社会福祉事業を主たる目的として行うこと。
  • 財産要件
    • 基本財産(土地・建物など)を保有すること。
    • 社会福祉施設を経営しない法人は、原則1億円以上の財産保有が必要。
  • 役員要件
    • 理事:6名以上
    • 監事:2名以上
    • 評議員:7名以上
  • 定款の整備
    法人の目的や組織、事業内容を定めた定款を作成する。
  • ガバナンスの確保
    役員構成は親族偏在を避け、健全な組織運営体制を構築する。

これらの要件をすべて満たしたうえで、申請書類を整えて認可を受けることで、初めて社会福祉法人として登記が可能になります。

社会福祉法人設立の手続きの流れは?

社会福祉法人を設立するには、法的要件を満たすだけでなく、行政との協議や認可取得など複数の段階を経る必要があります。以下に、設立までの基本的な流れを解説します。

① 所轄庁への事前相談を行う

法人の主たる事務所所在地を管轄する都道府県や市町村の福祉担当部署へ相談を行います。ここでは、計画する社会福祉事業の内容が地域ニーズに適しているか、設立の意義や必要な書類、手続きの流れなどについて確認します。予約制で面談を行う自治体が多く、事業計画の素案などを提示するのが一般的です。

② 定款と申請書類を作成する

法人の設立に必要な書類を整備します。主なものは、定款、設立趣意書、役員名簿、事業計画書、収支予算書などです。定款には、法人の目的、行う事業、役員の構成や任期、報酬の有無などを明記します。また、事業計画と予算には、継続的な運営が可能であることを示す具体性と信頼性が求められます。

③ 所轄庁と事前協議を実施する

書類が一通り整ったら、正式な申請前に所轄庁と再度協議を行います。この段階では、提出予定の定款や計画書の内容を確認してもらい、不備や修正点があれば指摘を受け、必要に応じて内容を調整します。スムーズな認可を得るために、ここでの対応が非常に重要です。

④ 設立認可を正式に申請する

事前協議で承認の見通しが立てば、正式に設立認可を申請します。申請先は原則として都道府県知事ですが、広域事業の場合は厚生労働大臣が所轄します。審査では、法人の設立目的、財政状況、役員体制、公益性など多角的にチェックされ、審査期間は数ヶ月に及ぶこともあります。

⑤ 法人登記を行い、必要な届出を済ませる

所轄庁の認可が下りたら、法務局で法人登記を行います。登記が完了すると、社会福祉法人としての法人格が正式に付与されます。あわせて、税務署や年金事務所への届出、必要な事業の指定申請(介護保険事業など)なども行い、開業に向けた手続きを進めます。

社会福祉法人を設立するなら要件と制度を正しく理解しよう

社会福祉法人は、地域福祉に継続的に貢献できる有力な法人形態ですが、設立には厳格な認可手続きや財産要件、組織体制の構築が求められます。また、運営においても行政の監督や資金調達の制約があるため、制度の仕組みを正確に理解し、事前に準備を整えることが欠かせません。メリットとデメリットの両面を把握し、自法人の目的や地域ニーズと照らし合わせながら、確実にステップを踏んで設立を目指しましょう。


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