• 作成日 : 2025年5月30日

佐賀県で受けられる創業支援は?補助金や融資、相談窓口などを解説

佐賀県で起業をする場合、特定創業支援等事業や補助金・助成金など様々な支援制度を利用することができます。この記事 では、佐賀県で起業を考えている方が利用できる様々な支援制度について、その内容や活用方法を詳しく解説します。

佐賀県の特定創業支援等事業

佐賀県内では、創業を志す個人に対して、事業を円滑に進めるために不可欠な「経営」「財務」「人材育成」「販路拡大」に関する知識を習得するための支援事業が展開されています。

これらは「特定創業支援等事業」と位置づけられ、多くの場合、県内の各市町村が地域の商工会議所などの支援機関と連携して実施しています。これらの事業は、地域における創業の促進を目的として、国の産業競争力強化法に基づいて策定された「創業支援等事業計画」に基づいて行われています。

各市町村における具体的なプログラム

佐賀県内では、複数の市町村が独自の特定創業支援等事業を展開しており、それぞれの地域特性やニーズに合わせたプログラムが提供されています。

佐賀市

佐賀市では、5つの異なるプログラムが用意されています。佐賀市産業支援相談室による個別支援を受け、事業計画の策定を目指す「起業家育成個別支援事業」(約20時間程度)、創業に関する基礎知識と実践的なノウハウを学ぶ「創業支援セミナー」(基礎コース8時間、実践コース12時間)、佐賀商工会議所が主催する「創業塾」(セミナー10時間+個別相談による事業計画策定10時間程度)、そして佐賀県よろず支援拠点が実施する「佐賀よろず起業塾」と「佐賀よろず女性起業塾」(いずれも約40時間程度)があります。

参考:特定創業支援等事業|佐賀市

唐津市

唐津市では、毎年「創業塾」という名称のセミナーが開催されています。この創業塾は全5回で構成されており、「経営」「財務」「人材育成」「販路拡大」といった創業に必要な知識を体系的に学ぶことができます。

セミナーへの出席回数が5回中4回以上であることなど、一定の要件を満たすことで、唐津市が発行する証明書を取得することが可能です。

有田町

有田町では、有田商工会議所と連携し「ありた創業スクール」が実施されています。このスクールは、町内での創業を目指す人々を支援することを目的としており、金融機関からの借入を前提としない場合や、創業に関心がある準備段階の人にもおすすめです。

事前の申し込みが必要であり、定員に限りがあるため、早めの申し込みが推奨されています。

特定創業支援等事業を利用するメリット

特定創業支援等事業を受講し、自治体の発行する証明書を取得することで、創業者には様々なメリットがもたらされます。

登録免許税の軽減措置

まず、会社設立時の登録免許税の軽減措置が挙げられます。例えば、株式会社を設立する際には、通常、資本金の0.7%の登録免許税が必要となりますが、特定創業支援等事業の修了者は、これが0.35%に軽減されます。

また、最低税額も株式会社は通常15万円のところ7.5万円に減額される場合があります。合同会社の場合も同様に、登録免許税が軽減され、最低税額が6万円から3万円になることがあります。ただし、この軽減措置は、原則として支援を受けた市町村内で会社を設立する場合にのみ適用される点に注意が必要です。

参考:産業競争力強化法に基づく創業支援制度の認定について|たけおポータル

創業関連保証の特例措置

次に、信用保証協会による創業関連保証の特例措置があります。通常、事業開始の2ヶ月前から利用可能となる無担保・第三者保証人なしの創業関連保証について、特定創業支援等事業の修了者は、事業開始の6ヶ月前から利用できるようになる場合があります。この特例は、支援を受けた市町村以外で創業する場合でも活用できることがあります。

日本政策金融公庫の融資制度

さらに、日本政策金融公庫の融資制度においても有利な取り扱いを受けることができます。例えば、新創業融資制度においては、通常必要となる自己資金要件が免除される場合があります。また、新規開業資金においては、貸付利率の引き下げが適用されることもあります。

加えて、自治体によっては、独自の融資制度において金利の優遇や融資枠の拡大などの特典を提供している場合もあります。さらに、小規模事業者持続化補助金の創業枠への申請が可能になるなど、他の補助金や助成金の申請においても有利に働くことがあります。

佐賀県での起業で利用できる補助金・助成金

佐賀県では、様々な補助金や助成金制度が用意されています。

佐賀起業支援金

佐賀県が実施する「佐賀起業支援金」は、デジタル技術を活用した事業を支援することを目的とした補助金です。これは、デジタル技術を活用し、社会的事業分野における個人事業の開業または法人の設立を行う方、そしてデジタル技術を活用し、Society5.0関連業種などの付加価値の高い産業分野での事業承継・第二創業を行う方が対象となります。

支援金額は最大200万円で、補助率は1/2となっています。この補助金は、単に資金を提供するだけでなく、採択された事業者に対して、販路開拓、広報、資金管理などに関する伴走支援も行われる点が大きな特徴です。

さが『きらめく』ものづくり産業創生応援事業

また、佐賀県では、「さが『きらめく』ものづくり産業創生応援事業」として、県内ものづくり中小企業者の生産性向上に繋がる取り組みを支援する補助金が提供されています。

これは、展示会・商談会への出展や、DX(デジタルトランスフォーメーション)、GX(グリーントランスフォーメーション)の実現に向けた新技術・新製品の開発などを支援するものです。

参考:佐賀県産業イノベーションセンター

【唐津市】唐津市地方創生移住支援事業補助金

唐津市では、「唐津市地方創生移住支援事業補助金」が提供されており、東京圏から唐津市に移住し、就業または起業を行った方を対象に補助金が交付されます。

補助金の額は、単身者で60万円、2人以上世帯で100万円、子育て加算として18歳未満1人につき100万円となります。

【佐賀市】街なか出店伴走支援事業

佐賀市では、「街なか出店伴走支援事業」として、中心市街地の新規出店者に対し、経営アドバイスや店舗改装費・家賃補助などの資金支援が行われています。

なお、具体的な資金支援は、店舗改装費補助として上限50万円、家賃補助として上限50万円になります。

【有田町】未来へつなぐ有田焼支援事業補助金

有田町では、伝統産業である有田焼に関する「未来へつなぐ有田焼支援事業補助金」が提供されており、新商品開発、事業環境整備、販路開拓、産業観光など、多岐にわたる分野での取り組みを支援しています。補助上限額は、1事業につき最大50万円になります。

さらに、国レベルでは、日本政策金融公庫を通じて、過去に事業に失敗した経験を持つ起業家を支援する「再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)」なども提供されています。

このように、佐賀県では、地域や産業の特性に合わせた多様な補助金・助成金制度が用意されています。起業を検討している方は、自身の事業内容や計画に合わせて、これらの制度を積極的に活用することを検討しましょう。

佐賀県での起業で融資を受けるには?

起業にあたって、自己資金だけでは十分な資金を確保できない場合、融資は重要な資金調達手段となります。佐賀県では、県独自の融資制度に加え、国の機関である日本政策金融公庫の融資制度、そして信用保証協会の保証制度などを活用することができます。

佐賀創生貸付(創業資金)を利用する

佐賀県が提供する「さが創生貸付(創業資金)」は、県内で新たに独立・創業する方、または事業開始後5年以内の個人や会社を対象とした融資制度です。

融資対象となるのは、1ヶ月以内に新たに事業を開始する具体的な計画を持つ個人、2ヶ月以内に新たに会社を設立し事業を開始する具体的な計画を持つ個人、自らの事業を継続しつつ新たに会社設立を計画する会社、そして事業開始または設立から5年以内の個人または会社(事業を営んでいない個人により設立された会社に限る)です。

融資限度額は設備資金・運転資金ともに3,500万円、融資期間は原則として10年以内(据置期間2年以内)となっています。金利は年1.3%であり、運転資金には年0.3%以内、設備資金には0%の保証料率が適用されます。融資を受けるためには、融資機関や信用保証協会が定める申込書、事業計画書、設備の見積書、自己資金や経験を証明する書類などを提出する必要があります。

参考:さが創生貸付(創業資金)|佐賀県庁

日本政策金融公庫の融資制度を利用する

日本政策金融公庫は、創業者にとって重要な資金調達の選択肢の一つです。

新規開業・スタートアップ支援資金

新規開業資金は、新たに事業を始める方や開業後7年以内の方を対象に、最大7,200万円(うち運転資金4,800万円)まで融資を受けることができます。返済期間は設備資金が20年以内、運転資金が10年以内となっています。女性、若者(35歳未満)、シニア(55歳以上)の起業家に対しては、より有利な条件が設定されている場合があります。

普通貸付

普通貸付は、事業を営むほとんどの方が利用できる一般的な融資制度で、融資限度は4,800万円(特定設備資金の場合は7,200万円)、返済期間は資金使途によって異なります。

信用保証協会の保証制度を利用する

佐賀県信用保証協会は、中小企業や小規模事業者の資金調達を支援するため、様々な保証制度を提供しています。

創業関連保証

創業関連保証は、創業または分社化を予定している方(創業後5年以内を含む)を対象に、運転資金や設備資金として最大3,500万円まで保証を受けることができます。特定創業支援等事業を修了した方は、通常よりも早い段階(事業開始6ヶ月前から)でこの保証を利用できる場合があります。

スタートアップ創出促進保証

スタートアップ創出促進保証は、会社設立による創業を考えている方を対象とした保証制度で、一定の要件を満たすことで経営者個人の連帯保証が不要となる場合があります。保証限度額は創業関連保証と合わせて3,500万円です。

参考:スタートアップ創出促進保証制度について|佐賀県信用保証協会

佐賀県の起業について相談できる窓口

佐賀県では、起業を検討している方や創業間もない事業者が気軽に相談できる様々な窓口が設けられています。専門家によるアドバイスを受けることで、事業計画の策定、資金調達、販路開拓など、様々な課題の解決に繋げることができます。

佐賀市産業支援相談室(Saga-Biz)

佐賀市産業支援相談室(Saga-Biz)は、新しく起業する方や事業を成長させたい方を対象に、無料で相談を行っています。

中小企業診断士をはじめとする専門家が、事業計画・ビジネスモデルの構築支援、日本政策金融公庫と連携した資金計画策定支援、創業支援セミナーの開催、公的支援制度の紹介など、幅広いサポートを提供しています。

特に、日本政策金融公庫の出張窓口が設置されており、事業資金や創業資金に関する相談もワンストップで対応できる点が大きな魅力です。相談は事前予約制で、佐賀市駅前中央のiスクエアビル5Fにあります。

参考:創業支援ワンストップ窓口のご案内|佐賀市

佐賀県産業イノベーションセンター

佐賀県産業イノベーションセンターでは、スタートアップに関する相談、制度金融に関する相談、経営戦略に関する相談、下請取引の紹介・斡旋、展示会出展支援、AI・IoT導入、生産性改善に関する相談、新技術・新商品の研究開発に対する支援、知的財産に関する相談など、多岐にわたる相談に対応しています。

相談方法は面談、電話、Web会議、HPのメールフォームなど多様で、月曜日から金曜日(祝日及び年末年始を除く)の8時30分から17時15分まで相談を受け付けています。場所は佐賀市鍋島町にあります。

佐賀県産業スマート化センター

佐賀県産業スマート化センターは、デジタル技術の導入・利活用に関する相談、ITコミュニティに関する相談、その他産業DXに関する相談に特化した窓口です。

相談方法は面談(対面、オンライン)、電話、メールで、相談日時は月曜日から金曜日(祝日及び年末年始休暇を除く)の9時から17時までとなっています。場所は佐賀市鍋島町です。

参考:佐賀県産業スマート化センター

佐賀商工会議所

佐賀商工会議所でも、創業に関する相談を受け付けています。ビジネスプラン策定の支援、創業資金調達に関する情報提供、各種融資制度の斡旋・紹介などを行っています。

また、佐賀市が指定する特定創業支援事業として「創業塾」を開催しており、創業を検討している方や創業間もない方を対象に、実践的な知識を習得する機会を提供しています。さらに、佐賀市、日本政策金融公庫との共催で、創業を志す人や創業2年以内の方を対象とした「創業ゆる座談会」も開催しており、起業家同士の交流や情報交換の場を提供しています。

佐賀県よろず支援拠点

佐賀県よろず支援拠点は、中小企業・小規模事業者が抱える経営課題に対して、ワンストップで相談対応を行っています。売上拡大や経営改善など、幅広い相談に対応しており、無料で長期的な相談が可能です。特定創業支援等事業として、「佐賀よろず起業塾」と「佐賀よろず女性起業塾」も実施しています。

佐賀県のその他の支援制度

佐賀県では、上記で紹介した以外にも、起業家を支援するための様々な制度や取り組みが行われています。

佐賀県が取り組んでいる支援制度

佐賀県では、スタートアップに関するイベント情報や個別指導プログラムの実施予定などが、県のウェブサイトで公開されています。また、ビジネスパートナーを探している起業家のために、「ビジネスパートナーマッチング」サービスも提供されており、協業やオープンイノベーションを促進しています。

さらに、ビジネスアイデアの具体化を支援する「Startup Gateway SAGA」や、新たな市場創出を支援する「Startup Launch事業化補助金」、ベンチャーキャピタルからの資金調達を支援する「Startup Boost SAGA」、クラウドファンディングを活用したい起業家向けの支援なども展開されています。

参考:Startup Gateway SAGA

日本政策金融公庫が取り組んでいる支援制度

日本政策金融公庫では、女性、若者、シニアの起業家を支援する融資制度や、事業に失敗した方の再挑戦を支援する融資制度など、様々なニーズに対応した融資制度を用意しています。

また、スタートアップへの投資を行った個人投資家に対して税制上の優遇措置を行うエンジェル税制も、起業家の資金調達を後押しする制度の一つです。

その他の支援制度

佐賀県信用保証協会では、創業保証を利用した事業者に対して、創業後に生じた経営課題の早期解決を支援するためのフォローアップを実施しています。

佐賀市産業支援相談室には、佐賀県プロフェッショナル人財戦略拠点のサブマネージャーが関わっており、起業家と専門的な人材とのマッチング支援が行われています。

佐賀県の創業支援制度を積極的に活用しよう

本稿では、佐賀県における創業支援について、特定創業支援等事業、補助金・助成金、融資制度、相談窓口、そしてその他の支援制度という5つの側面から詳細に解説しました。

これらの支援制度を積極的に活用することで、佐賀県での起業はより現実的で成功の可能性の高いものとなるでしょう。創業を検討されている方は、まずご自身の事業計画や状況に合わせて、利用可能な支援制度を詳しく調べ、それぞれの窓口に相談してみることをお勧めします。


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