- 更新日 : 2024年1月9日
本店移転登記申請書とは?書き方・雛形を紹介
本店を移転した場合、法務局に本店移転登記の申請を行う必要があります。本店移転登記に必要な書類は、法務局の管轄内での移転か、管轄外への移転かにより異なるため注意が必要です。この記事では、本店移転登記の申請書の書き方や、申請書を書く際の注意点について詳しく解説するため、ぜひ参考にしてください。
目次
本店移転登記申請書とは?
本店移転登記申請書とは、本社オフィスや本店などの住所変更をする際の登記申請に必要な書類です。移転先が、現在の本店所在地を管轄する法務局の管轄区域内か管轄区域外かによって、必要書類が異なります。
管轄内移転時の必要書類
現在の本店所在地と移転先の所在地の市町村が変わっても、法務局の管轄区域は変わらないケースもあります。同一法務局の管轄内で移転する場合に必要な書類は、以下の通りです。
- 本店移転登記申請書
- 株主総会議事録
- 株主リスト
- 取締役会議事録または取締役決定書
- 委任状
商業登記法に基づいて作成した本店移転登記申請書のほか、定款に変更がある場合は、株主総会議事録や株主リストが求められます。株主総会議事録には決議の内容に加え、株主総数や発行済みの株式総数、会議に出席した株主数などの記載が必要です。
また、取締役会を設置している会社が本店移転登記を行う場合、定款変更の有無に関係なく取締役会議事録を提出する必要があります。取締役会を設置していない会社の場合は、定款変更の有無に関係なく、取締役の決定書を提出します。本店移転登記申請を司法書士などの代理人に依頼する際には、委任状も忘れずに用意しましょう。
管轄外移転時の必要書類
現在の本店所在地とは違う法務局の管轄区域へ移転する際に必要な書類は、次の通りです。
- 本店移転登記申請書(2通)
- 株主総会議事録
- 株主リスト
- 取締役会議事録または取締役決定書
- 印鑑届書
- 委任状(2通)
本店移転登記申請書は、管轄内移転時と異なり、旧法務局分と新法務局分の合計2通を用意する必要があります。申請を代理人に依頼する場合の委任状も、申請書と同様に新旧法務局分の合計2通が必要なため、注意しましょう。
さらに、管轄法務局が変更になる際は、新しい法務局へ会社実印を登録するための印鑑届書も求められます。
本店移転登記申請までの流れ
本店移転登記を申請するには、事前準備が必要です。以下の手順に沿って、申請準備を行います。
- 定款変更についての確認
- 議事録の作成(定款に変更がある場合)
- 移転先が法務局管轄内か外かを確認した上での必要書類の用意
本店移転登記にあたり、まずは定款に変更が生じるかを確認しましょう。本店所在地は、定款の記載事項であり、市町村・東京23区などの最小行政区画までを記載する必要があります。
本店移転により定款記載の所在地が変更となる場合は、株主総会における定款変更の決議を経て、取締役会の決議で移転先や移転日を決定します。それぞれについて、必要事項を記載した議事録の作成も必要です。
移転先が現在の法務局管轄内かどうかによって、必要書類が異なります。どちらに該当するかをチェックして、提出書類を漏れなく準備しましょう。
本店移転登記申請の費用
本店移転登記申請する際の費用として、登録免許税がかかります。登録免許税の具体的な金額は、移転先が法務局の管轄内か外かで次のように異なるため、注意が必要です。次の金額分の収入印紙を申請書に貼付することで、登録免許税を納付します。
- 法務局管轄内移転の場合は3万円
- 法務局管轄外移転の場合は3万円×2=6万円
現在の法務局の管轄外へ移転する場合は、管轄内で移転する場合の2倍の費用が発生します。移転元と移転先の両方で、登録免許税の支払いが必要なためです。
また、本店移転登記は、専門家などの代理人を通じた申請方法も認められています。手続きを司法書士などの代理人に依頼する場合には、さらに5万円前後の報酬の支払いが必要です。報酬設定額は、司法書士事務所ごとに異なるため、事前に確認しておきましょう。
本店移転登記申請書の書き方
次の本店移転登記申請書の記載例をもとに、書類に記入するべき項目などを紹介します。
株式会社本店移転登記申請書
1. 商 号 :(会社名を記載)
1. 本 店 :(旧本店住所を記載)
1. 登記の事由 :本店移転
1. 登記すべき事項:(移転先の本店住所、移転日を記載)
1. 登録免許税 :金〇〇〇〇〇円(管轄内外の移転で異なる)
1. 添付書類 :(管轄内外の移転で異なる)
令和◯年◯月◯日(申請日を記載)
新本店住所と申請人(会社の名称)を記載
代表取締役の住所と氏名を記載 認印押印(法務局へ登録済のもの)
代理人の住所と氏名を記載 認印押印(代理人に依頼する場合のみ)
〇〇法務局 御中
本店移転登記申請書に記載する内容のうち、登記の事由や登記すべき事項が特に間違えやすいため、注意が必要です。登記すべき事項には、必ず移転先の本店住所を記載します。
本店移転登記申請書を書く際の注意点
必要書類や費用の部分で解説したように、登録免許税の金額や添付書類の内容は、移転先が法務局管轄内か管轄外かで異なります。自社がどちらのケースに当てはまるのかを確認して、申請書の記載内容にミスや漏れが出ないように注意しましょう。
申請書などに不備があった場合には、修正や再申請などで、何度も法務局の窓口へ行かなければならない可能性があります。
本店移転登記申請書のテンプレート
本店移転登記申請書は、法務局が公表している「株式会社本店移転登記申請書」のテンプレートを使って作成できます。
また、マネーフォワード クラウド会社設立でも本店移転登記申請書のテンプレートを用意しているので、ぜひご活用ください。(無料でダウンロード可能です)
本店を移転する場合は登記申請を忘れずに行おう
現在とは異なる場所に本店を移転する場合は、本店移転登記の申請が必要です。本店の移転は、株主総会での特別決議や取締役会(取締役)の決議を経て、登記申請を進めます。本店移転に関する手続きは、法律で細かく決まっています。テンプレートなどを使用して、正しく本店移転の手続きを進めましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
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