- 更新日 : 2025年12月9日
SOC1レポートとは?必要性やメリットを詳しく解説
昨今、多くの企業がクラウドサービスを活用して業務を行っています。クラウドサービスの種類は多岐にわたるため、サービスを利用する人にとっては「どのサービスが信頼できるのか」判断しづらい部分があるでしょう。
SOCレポートでは、各サービスの管理状況やセキュリティなどの項目を確認することが可能です。SOCレポートを事前に確認することで、信頼性の高いサービス事業者を選定できるようになるでしょう。
本記事では、SOC1レポートの必要性やメリットについて詳しく解説します。
目次
SOC1レポートとは
SOC(Service Organization Control)レポートとは、受託会社(サービスを提供している企業)における管理・セキュリティの状況を監査法人や公認会計士が客観的に評価した報告書のことです。米国の公認会計士協会(AICPA)が定めたSSAE 18(Statement on Standards for Attestation Engagements 18)の基準で規定されています。
SOCレポートは、SOC1、SOC2、SOC3の3つがあり、SOC1では、委託会社(サービスを利用する企業)の財務報告に関連する受託会社の「内部統制」を評価した内容となっています。SOC1は、クラウドサービスの契約時や契約前に、提供事業者の内部統制の有効性について確認するために取得されるケースが多いです。
クラウドサービスを利用する場合、運用や管理を外部に委託していても、データ漏えいやセキュリティ侵害が発生した場合、「委託会社」が責任を負うリスクがあります。
そのため、クラウドサービスを提供する「受託会社」のシステムや、サービスにおける内部統制の有効性を評価するSOC1レポートを活用し、提供事業者を選定する必要があるのです。
SOC2、SOC3との違いについて
次に、SOC2とSOC3との違いについて解説します。
SOC2(Service Organization Control Type 2)は、企業の情報セキュリティに焦点を当てたレポートとなっており、下記の5つが評価対象となっています。
・セキュリティ
・可用性
・処理のインテグリティ(integrity=誠実・真摯という意味)
・機密保持
・プライバシー
SOC2は、受託会社のデータセキュリティとプライバシー関連を評価したものです。
なお、SOC3はSOC2と同様の評価基準となっており、SOC2よりも簡易的で報告書を利用する人が限定されていないのが特徴です。SOC3は、ホームページなどに掲載されているケースが多く見られます。
SOC1、SOC2、SOC3の内容をまとめると以下のとおりになります。
・SOC 1:財務報告に関連する受託会社の内部統制を評価したもの
・SOC 2:受託会社のデータセキュリティとプライバシー関連項目を評価したもの
・SOC 3:SOC2の情報を一般向けに公開するための報告書
※参考:デロイトトーマツ SOC2報告書
※参考:AWS SOC
SOCレポートのタイプ
SOCレポートは、ある一時点(設計時点など)の内部統制の有効性を評価する「Type1」と、一定期間の運用状況を評価する「Type2」の2種類があります。Type2は6か月以上の評価期間となっているため、運用の透明性や信頼性などをより詳細に把握できます。
受託企業が監査を受ける際、どちらのSOCレポート(Type1またはType2)を求められるかは、具体的な状況によって異なります。
そのため、クラウドサービス提供事業者に対して、どちらのタイプのSOCレポートが提供可能かを確認することが重要です。また、サービスを導入する目的によって必要なSOCレポートのタイプが異なることもあります。
SOCを取得・確認する目的
クラウドサービスの導入を検討している場合、SOCレポートを取得・確認する目的は以下のとおりです。
①サービスの信頼性を確認する
SOCレポートでは、そのクラウドサービスが自社の求める基準や要件を満たしているかどうかを確認できます。
SOCレポートを利用する際には、レポート内容からサービスの評価情報を確認し、確認した情報をもとに適切な判断を行うことが大切です。
②運営状況・リスク管理を客観的に把握する
SOCレポートでは、受託会社の内部統制や運用プロセスに関する詳細な情報を提供しています。そのため、サービスの運営状況・リスク管理を客観的に把握することが可能です。
具体的には、受託会社の内部統制のプロセスが効果的に機能しているか、セキュリティリスクが適切に管理されているかどうかなどを確認できます。これらの情報を把握することで、データ漏えいやセキュリティ侵害のリスクを低減できるでしょう。
SOC1レポートのメリット
SOCレポートは、受託会社にとっても委託会社にとってもメリットがあります。
ここでは委託企業にとってのメリットについて、詳しく解説していきます。
監査対応の負荷軽減につながる
SOCレポートを取得すれば、会計監査への対応を効率的に行えます。
複数のクラウドサービスを利用している企業の場合、それぞれの受託会社から監査情報をそれぞれ取得する必要があり、監査対応の負担が大きくなります。
しかしSOCレポートを取得していれば、SOCレポートを1度提出するだけで済むため、監査対応の負荷を大きく軽減できるのです。
SOCレポートを事前に取得することにより、監査対応にかかる手間と時間を大幅に削減できるでしょう。
信頼性の高いサービス事業者を選定できる
SOCレポートを確認することで、受託会社の客観的な信頼性を事前に把握できます。
信頼度の高い受託会社を選ぶことは、データやプライバシーの保護、事業継続性の維持につながるでしょう。
要件や条件の明確化
SOCレポートでは、セキュリティと内部統制に関する情報が提供されています。
契約条件にこれらの要件を含めることで、セキュリティ要件やデータの取り扱いに関する条件を詳細に設定することが可能です。契約の要件を明確にしておくことで、受託会社・委託会社の間の認識の違いや誤解を防ぐことができるでしょう。
サービス導入におけるリスクを把握できる
SOCレポートでは、受託会社がどのようにリスクを管理しているかを把握できるため、導入リスクを適切に評価することも可能です。
リスク評価の基準としてSOCレポートを使用することで、より合理的な意思決定が可能になるでしょう。
SOCレポートを利用する際の注意点
SOCレポートを利用する際には、以下の点に注意する必要があります。
レポートのタイプ・評価期間を確認する
SOCレポートを利用する際には、どのタイプが自社の要件・セキュリティリスクの把握に適しているかを判断するため、評価期間を確認した上でタイプを選択する必要があります。
また、例外や留意事項の内容もよく読み、SOCレポートについて正確に理解しておくことが大切です。
レポートの更新頻度を確認する
SOCレポートに記載されているサービスの状況やセキュリティリスクは時間とともに変わる可能性があります。そのため、レポートの更新頻度を確認しておくことも重要です。
他の情報と組み合わせて理解を深めておく
SOCレポートを読むだけでなく、クラウドサービスのビジネスモデルや実際の運用体制など、他の情報と組み合わせて検討を進めることが重要です。
例えば、セキュリティ関連でインシデントが発生した場合、受託会社がどのように対応してくれるかなどを確認する必要があります。
自社のニーズや要件にマッチするクラウドサービスを選択するためには、SOCレポートから総合的に情報を収集し、活用することが大切です。
まとめ
今回は、SOC1レポートの必要性やメリットについて解説しました。SOC1は、委託会社の財務報告に関連する受託会社の「内部統制」を評価した内容となっており、サービスの契約時やサービスを契約する前に確認するケースが多く見られます。
SOC1・SOC2・SOC3のそれぞれの内容をまとめると以下のとおりになります。
・SOC 1:委託会社の財務報告に関連する受託会社の内部統制を評価したもの
・SOC 2:受託会社のデータセキュリティとプライバシー関連項目を評価したもの
・SOC 3:SOC2の情報を一般向けに公開するための報告書
SOCレポートは、受託会社の内部統制やセキュリティに関する評価を確認することが可能です。自社に適したクラウドサービスを選定するために、ぜひ活用してみてください。
当社が提供する「マネーフォワード クラウドERP」は、複数のモジュールでSOC1レポートを取得しており、取引データから証憑書類まですべての情報をクラウド上で一元管理できるため、監査時の資料要請にもスピーディーに対応可能です。
監査対応の効率化をお考えの企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
最後に、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
財務会計と管理会計の基本
予実管理の煩雑さは大きな課題です。手作業に依存した業務プロセスやデータの連携不足、エクセルによる予実管理に悩む企業も多いのではないでしょうか。
財務会計と管理会計の基本を押さえつつ、予実管理の正確性とスピードを両立させるためのポイントと具体的な解決策を詳しく解説しています。
2025年の崖までに中堅企業がやるべきこととは
2025年の崖は、大企業だけではなく、中堅企業においても対応が求められる重要な課題です。
2025年の崖の現状や解決に向けて中堅企業がやるべきこと、バックオフィスシステムの見直し方を解説した人気のガイドです。
“失敗しない”ためのERP導入比較ガイド
ERP(Enterprise Resource Planning)は、企業の業務効率化と経営管理を支える重要なシステムです。
ERPの基本的な概念から、オンプレ型ERPとクラウド型ERPの費用対効果の比較まで、比較検討する際に見るべきポイントを詳しく解説したガイドです。
マネーフォワード クラウドERP サービス資料
マネーフォワード クラウドERPは段階的に導入できるコンポーネント型クラウドERPです。
会計から人事労務まで、バックオフィス全体をシームレスに連携できるため、面倒な手作業を自動化します。SFA/CRM、販売管理、在庫・購買管理などの他社システムとも連携できるため、現在ご利用のシステムを活かしたままシステム全体の最適化が可能です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
ペーパーレス化とは?導入方法のポイントやメリットを解説
最近は業種・業界を問わず、ペーパーレス化の動きが加速しています。その要因として、業務のデジタル化、コロナ禍によるテレワーク推進、電子帳簿保存法の施行による経理の電子化などが挙げられるでしょう。 しかし、まだ紙での業務がメインの企業もたくさん…
詳しくみる工場のBCP対策とは?想定リスクと備えるべき対策・進め方を解説
工場は生産拠点であると同時に、物流・情報・人材など企業機能が集約された「中核」といえる存在です。そのため、一度でも操業が止まってしまうと取引の停止や売上損失に直結し、企業全体に大きな影響がおよぶ可能性があります。こうした事態を回避するために…
詳しくみるERPとBIツールの関係とは?これらツール連携のもたらすメリットなどを徹底解説
近年では、企業内部のデジタル化とともに、ERPの導入が進みました。そして、ERPに蓄積されるさまざまなデータを活用し、企業の成長につなげるためには、BIツールとの連携が有効です。 本記事では、ERPにおけるBIツールの重要性、ERPとBIツ…
詳しくみる管理部門とは?企業における役割や必要性、部門の種類を解説
管理部門とは、主に経理、人事、総務などの職種で構成される、企業運営をサポートする部門を指します。 経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)の管理を通じて、営業や製造などのフロント部門をサポートしたり、経営陣へ意思決定のための情報を提供したりするこ…
詳しくみる経理のペーパーレス化を実現するには?メリット・デメリット・進め方を解説
経理業務ではまだ紙の伝票が使われている場面もありますが、電子帳簿保存法が施行されたことにより、ペーパーレス化が推進されています。経理業務のペーパーレス化は、経理部門の業務を大きく効率化できるなど、さまざまなメリットもあります。 ここでは、経…
詳しくみるテレワークのセキュリティリスクと対策とは?よくあるリスクと運用のポイントを解説
コロナ禍による変化で、従来の会社に出社する働き方からテレワークへの移行が増えています。情報セキュリティ10大脅威2023にも掲載があるように、昨今はテレワークに関連するセキュリティ事故が多く発生しており、企業は既存の仕組みを再確認する必要が…
詳しくみる



