- 更新日 : 2025年12月24日
労働保険と社会保険の違い
社会保険とは、国民が生活するうえで直面するさまざまなリスクに備えて事前に保険に加入し、いざというときに生活を保障する制度です。
社会保険には労働者災害補償保険(労災保険)、雇用保険、公的医療保険、公的年金、介護保険があります。
広義に解釈すればこれらはすべて社会保険ですが、給与計算上では、労働保険(労災保険と雇用保険)と社会保険(労働保険以外の保険)とに分けられます。
労働保険とは
労働保険は、労働基準法のもとで業務を行う労働者をサポートし、生活を保障するためにつくられました。
保険料の計算に際しては労災保険と雇用保険とに分けられます。
労働者災害補償保険(労災保険)
労働者際顔保障保険は、労働者が業務災害や通勤災害にあった場合、労働者本人や遺族(労働者が死亡した場合)に保険給付を行う制度です。事業主は、法人か個人事業所かを問わず、労働者を雇用する場合は必ず加入しなければなりません。
労災保険料は全額を会社が負担し、毎年定期的に国に対し支払いを行うことが義務づけられています。万が一、従業員が業務中に怪我や病気をした場合、国が会社にかわって治療費等の補償を行います。
従業員はいざというときに自己負担のない形で補償を受けられ、会社は多額の補償が必要になる不意の出費を避けることができます。
雇用保険
雇用保険は、労働者の生活及び雇用の安定と就職の促進のために設けられた制度です。事業主は、原則として、以下の雇用保険の資格取得要件を満たす労働者を雇用する場合は必ず加入しなければなりません。
雇用保険の資格取得要件
1. 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
2. 31日以上の雇用見込みがあること
※季節的に雇用される労働者については別途要件あり
雇用保険には主なものとして、失業者の生活保障のための「求職者給付(いわゆる失業保険)」があります。
その他、育児や介護を行う労働者や高齢者の雇用が継続されるよう支給される給付金や、労働者自らの職業能力を高めるための教育訓練を受講した場合に支給される給付金など、雇用に関するさまざまな場面でサポートが受けられます。
保険料は、会社と労働者が一定の割合で負担をしています。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
‐入社・退職・異動編‐ 社会保険・労働保険の手続きガイド
企業において社会保険および労働保険の加入・喪失手続きは必ず発生し、手続きを誤れば保険事故が発生した際に従業員が不利益を被る可能性があります。
各保険の基本的な手続き方法を入社・退職・異動のシーン別にギュッとまとめた分かりやすいガイドです。
年度更新の手続きガイドブック
年度更新とは、年間の労働保険料(労災保険料・雇用保険料)を申告・納付するための手続きです。
本ガイドでは、年度更新の具体的な対応手順をはじめ、ミスの発生を防ぐ10のポイントをわかりやすく解説します。
社会保険・労働保険の実務完全ガイド
これ1冊でしっかり網羅!社会保険および労働保険は、従業員の生活上・労働上のリスクに備えるための公的保険制度です。
本資料では社会保険・労働保険で発生する各種手続き方法を、入社・退職時や妊娠・出産時などのシーン別にまとめました。
労災対応がよくわかるガイド
前半で労災の基礎知識と実務の流れを、後半でケーススタディとともに労災認定のポイントを解説しています。
一連の実務対応手順をステップにわけて紹介していますので、手元に置いておくと労災発生時の対応にも困りません。
社会保険とは
社会保険は、公的医療保険制度と公的年金制度及び介護保険制度があります。
公的医療保険制度
公的医療保険制度とは、加入者とその被扶養者が病気や怪我などで治療を受ける必要があるときに保障する保険制度です。公的医療保険制度の種類は、以下のとおりです。
健康保険
ここでいう健康保険とは、企業に雇用されている者(いわゆるサラリーマン)が加入する医療保険制度をいいます。
健康保険の保険者は、
①大手企業や同業種の企業グループで設立する健康保険組合
②健康保険組合を設立しない企業が加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)
に分けられます。
共済組合等
国家、地方公務員や、私立学校の教師が加入する医療保険制度です。
共済組合等とは、正式には法律により組織されている共済組合である、国家公務員共済組合連合会、地方公務員共済組合連合会または日本私立学校振興・共済事業団をいい、保険者は共済組合です。
船員保険
船員やその被扶養者をサポートするための公的な医療保険制度で、保険者は協会けんぽです。
国民健康保険
健康保険制度に加入していない農家、自営業者、退職者などを対象とした、病気や怪我、出産や死亡時に備えるための公的な医療保険制度をいい、保険者は市町村や国民健康保険組合です。
後期高齢者医療制度
後期高齢者医療保険は、75歳以上の高齢者が病気やけが、あるいは死亡した場合に給付を受けられる医療保険制度で、保険者は後期高齢者医療広域連合です。
なお、年齢が65歳以上であれば、後期高齢者医療広域連合の認定を受けた障害者もこの制度を利用できます。
公的年金制度
公的年金制度とは、高齢や障害、家計を担う家族の死亡等による収入の減少を保障するために存在します。
公的年金制度の種類は、以下のとおりです。
国民年金
国民年金は、自営業者、会社員、専業主婦など、すべての国民に共通する年金制度です。
老後を迎えたとき(老齢基礎年金)や怪我や病気で障害が発生したとき(障害基礎年金)、加入者自身や加入者であった者が亡くなったとき(遺族基礎年金)に必要な年金が支給されます。
厚生年金保険
国民年金がすべての国民を対象とするのに対し、厚生年金保険はその名のとおり「保険」的な意味をもちます。主に会社員が保険の加入者(被保険者)となり、万が一の場合は被保険者やその家族を対象に年金が支給されます。
国民年金に上乗せして支給されます。
介護保険
要介護認定を受けた65歳以上の人や、40歳以上64歳以下で特定疾病による要介護認定を受けた人が日常生活を送るために受けることができる保険医療サービスや福祉サービスに係る給付制度です。
まとめ
労働保険・社会保険は、適用事業所で勤務する労働者が、年齢や勤務形態から加入資格があると判断された場合には強制加入となり、保険料は給与などの報酬から天引きされます。
ただし、労働保険のなかでも労災保険だけは全額事業主負担です。
これは、労働者を雇い使用する際の安全衛生管理の遂行が事業主の義務であり、いざという時に高額になる可能性がある労働者に対しての補償を国がかわって補償するという制度であるからです。
社会保険制度は時代によってさまざまな変遷を重ねてきました。時代のニーズに応じて、人々が暮らしやすく、また働きやすいようにサポートする、それが社会保険制度です。
関連記事:
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
- # 社会保険業務
雇用保険の計算方法は?交通費の扱いやパートや役員も解説
雇用保険とは、失業した従業員への給付や、転職者の雇い入れ、従業員のスキルアップを行う事業所(会社)の支援を行うための保険です。雇用保険料は「賃金総額 × 雇用保険料率」の計算式で算…
詳しくみる - # 社会保険業務
産休と失業保険はどっちが得?計算シミュレーションで比較
出産にともなう給付金を受け取る方法として、産休を取得して出産手当金をもらうか、退職して失業保険を受け取るかで迷う人は少なくありません。どちらも条件を満たせば受給できますが、支給額や…
詳しくみる - # 社会保険業務
会社が労災を嫌がるのはなぜ?デメリットや対処方法、認められない事例なども解説
業務中に予期せぬ怪我に見舞われた際、従業員が当然のように考える労災保険の申請。しかし、実際には会社側が労災申請を嫌がるケース多く見られます。この記事では、会社が労災申請を嫌がる背景…
詳しくみる - # 社会保険業務
アルバイトをする学生は社会保険に加入するべき?条件を解説
事業者に雇用されて働いている人は社会保険に加入していますが、同じように雇用されていても学生のアルバイトはあまり加入していません。アルバイトとして働く学生は基本的に社会保険への加入義…
詳しくみる - # 社会保険業務
社会保険の証明書発行手続きについて解説!健康保険被保険者資格証明書など
日本では国民皆保険・国民皆年金が実現しており、すべての国民は何らかの公的医療保険と公的年金に加入しています。 適切に加入手続きがなされていれば、各種の社会保険の被保険者資格が与えら…
詳しくみる - # 社会保険業務
労働保険への加入方法
労働保険(労災保険と雇用保険)への加入方法を知っていますか?ここでは、労働保険に加入するため手続き、労働保険の加入に必要な各種届出、申告書の主な内容について解説します。 労働保険へ…
詳しくみる




