• 更新日 : 2025年12月5日

新入社員が辞める兆候とは?よくあるサインと企業ができる対策を解説

新入社員の早期離職には、いくつか共通するサインがあります。

本記事では、新入社員が仕事を辞める兆候をどのように見抜くかを解説します。加えて、離職が増えやすい時期や、背景となる理由も取り上げました。

さらに、新入社員が仕事を辞める兆候が見えたときに、企業が取れる対策についてもご紹介します。

採用段階で、早期離職リスクを見極める考え方など、実践的なポイントをまとめているので、ぜひ最後までご覧ください。

新入社員の辞める兆候・よくあるサイン

新入社員が退職を意識しはじめると、行動や発言に小さな変化が表れます。突然の離職を防ぐためには、周囲がそのサインを早めに察知することが重要です。

ここでは、新入社員に見られやすい離職の兆候や代表的なサインについて、具体的に解説していきます。

コミュニケーション量が減る

新入社員が周囲との会話や報連相を控えるようになると、離職を考えている可能性があります。

背景として、人間関係への不満や職場での孤立感から、無意識に距離を取ろうとする心情があるといえます。

たとえば、休憩や昼食を一人で過ごすようになったり、メール・チャットの返信が極端に遅くなるといった行動には注意しましょう。

コミュニケーション量が明らかに減ってきたと感じた場合は、心の距離が広がりつつあるサインと捉えるべきです。

新入社員の離職を防ぐためのコミュニケーションのポイントについて知りたい方は、下記の記事もご覧ください。

業務への関心が薄れる

新入社員が業務に対して関心を示さなくなるのも、早期離職の兆候です。

主に、仕事へのやりがいや達成感がないことが原因で起こります。

具体的には、会議中にメモを取らなくなったり、質問が減ったり、資料を読み飛ばしたりするなどの行動が見られます。

業務への意欲が明らかに低下している場合は、関心の薄れによる離職リスクを意識して対応することが大切です。

欠勤や遅刻・早退が増える

突然の欠勤や遅刻、早退が目立つようになる場合、新入社員が仕事を辞める兆候と捉える必要があります。

欠勤や遅刻、早退は、精神的な負担やモチベーションの低下により、規則正しい勤務が難しくなることが背景にあります。

たとえば、当日の体調不良を理由にした欠勤や、始業時間に数分遅れることが週に何度も起こる場合などは注意が必要です。

こうした状態が続く場合、職場への信頼感や仕事への意欲が低下している可能性が高いと考えられます。

仕事への不満が増える

新入社員が、社内の制度や人間関係について不満を口にする場合、仕事を辞める兆候かもしれません

社内の不満が蓄積すると、同僚に共感を求めることで自分の立場を正当化し、職場の不満を広めようとするかもしれません。

たとえば、「評価が曖昧」や「上司の対応が理不尽」といった発言が挙げられます。

こうした言動は、すでに退職を考えているサインとして受け止める必要があります。

上司の指導を素直に聞かない

新入社員が上司の指導に対して素直に応じない場合、退職を考えている可能性があります。

これは、新入社員が、自分の意見や努力が認められていないと感じることで反発心が生まれ、フィードバックを受け入れにくくなるためです。

具体的には、「わかりました」と返事はするものの表情が曇る、指摘を無視して同じミスを繰り返すといった行動が見られます。

このような態度が続く場合、信頼関係や自己評価の問題が背景にあるかもしれません。

身だしなみが変化する

心境の変化は、身だしなみにも表れることがあります。

普段カジュアルな服装の社員が、急にきちんとした格好をするようになる場合、転職活動を意識している可能性があります。

一方で、服装がだらしなくなったり身なりへの関心が薄れる場合は、精神的な疲労や仕事への意欲低下が影響していることも考えられるでしょう。

服装の変化は、内面のサインとして、注意深く観察することが重要です。

質問が減り、受け身になる

会議中の発言や質問が減り、受け身の姿勢が目立つ場合、業務への関心や職場へのエンゲージメントが低下している可能性があります。

具体的には、「別に何でもいい」「自分には無理」といった消極的な発言が増えるなどです。また、将来のキャリアやスキルアップに関する話題にも、積極的に関わらなくなる傾向が見られます。

新入社員の行動が受け身になっている場合は、離職意向やモチベーション低下のサインとして注意が必要です。

新入社員が多く辞める時期はいつ?

新入社員の離職がもっとも多いのは、ゴールデンウィーク明けの5月といわれています。

入社から約1か月が経ち、職場のペースや雰囲気に疲れを感じたり、仕事内容や環境とのギャップに気づいたりすることが背景にあります。いわゆる「五月病」と呼ばれる状態です。

連休で一度リフレッシュすることで、自身の働き方や今後のキャリアを見直す機会にもなります。

この時期に企業が支援体制を強化することは、新入社員の早期離職を防ぐうえで重要です。

新入社員が辞める理由7選

新入社員が退職を考える背景には、さまざまな理由があります。

ここでは、具体的な要因や状況をわかりやすく解説します。

早期離職率が高い理由や企業への影響などを知りたい方は、下記の記事もご参照ください。

人間関係の問題がある

新入社員が退職を考える理由のひとつに、職場での人間関係のストレスがあります。

とくに、入社直後は頼れる相手が少なく孤独を感じやすいです。上司だけでなく同僚との関係でも悩むこともあります。

特定の人物との関係が苦痛になると、精神的な負担が増すでしょう。最悪の場合は、うつなどの問題に発展することもあるため、注意が必要です。

人間関係のケアは、新入社員の定着において非常に重要です。

業務内容が合っていない

新入社員が退職を考える理由のひとつに、配属された仕事内容が自身に合わないことがあります。

学んできたことが活かせなかったり、性格に合わない業務に就いていたりすると、モチベーションが低下しやすくなるおそれがあります。

とくに、入社前に想定していた業務内容と実際の仕事に差がある場合、期待と現実のギャップが生まれやすいでしょう。結果的に、早期離職につながることもあります。

企業側は、入社前に業務内容を丁寧に説明することが重要です。

労働環境がよくない

労働環境が悪化すると、新入社員の意欲は大きく低下します。

たとえば、パワハラやセクハラが蔓延している職場では、働きにくさを強く感じるでしょう。

企業自体が退職の原因を作り出している状況では、新入社員だけでなく、ほかの社員にとっても快適な職場とはいえません。

ハラスメントは、企業全体の生産性や定着率に悪影響を及ぼします。

健全な環境づくりが、新入社員の定着には不可欠です。

昨今ではハラスメントも多様化しており、育休ハラスメントなども新たな課題として注目されています。

育休ハラスメントをなくすための企業側の対応を知りたい方は、下記の記事もご覧ください。

給与や待遇が悪い

評価や給与など待遇面での不満がある場合、新入社員の退職理由になることがあります。

給与は生活に直結し、評価は仕事への意欲に大きく影響する部分です。しかし、入社して間もない時期には大きな業務に関わる機会が少なく、評価や給与が上がりにくいのが一般的です。

企業側が新入社員に対して、キャリアアップをイメージしやすくしたり、経験に関わらず公平に評価したりすることで、早期離職を防ぐことが可能となります。

希望する働き方ができない

新入社員のなかには、リモート勤務や副業など希望する働き方が実現できないと、退職を考える人もいます。

企業側は、社員が働きやすい環境を整え、多様な勤務形態を認めることが大切です。

また、自宅から職場までの通勤が負担となり、離職につながるケースもあるでしょう。

新入社員一人ひとりに合わせた柔軟な対応が、定着率の向上につながります。

ワークライフバランスが崩れている

長時間残業など、ワークライフバランスの悪化は新入社員の離職につながる大きな要因です。

近年はライフワークバランスが重視される傾向にあり、同業他社と比べて環境が劣ると退職リスクが高まります。

たとえば、毎日の残業や複数の期限付きタスクを抱え、経験に見合わない業務を強いられる場合は、とくに注意が必要です。

新入社員も働きやすい環境を整えることで、退職を防げます。

将来性・キャリアの展望が不透明である

現代の若手社員にとって、自身の成長イメージが描けないことは離職の要因になり得ます。

そのため、企業はビジョンやキャリアパスを明確に示すことが重要です。

入社初期から一人ひとりに寄り添い、対話や研修、職場環境を整備するなど、新入社員が安心して働き続けられる基盤を築く努力が必要です。

こうした取り組みが、早期離職の防止につながります。

新入社員の辞める兆候をキャッチした後、企業ができる対策

新入社員の離職サインを見逃さず把握したうえで、企業ができる具体的な対応策について、詳しく解説します。

採用段階で自社の情報を正確に伝える

新入社員が早期に辞める背景には、入社前の期待と実際の職場環境とのギャップがあります。

そのため、採用時には福利厚生や休日、給与など労働条件を正確かつ詳細に伝えることが重要です。

年間休日数や有給取得率、休暇制度の利用状況を明示することで、ワークライフバランスを重視する求職者に安心感を与えられます。

また、基本給や昇給制度、賞与の有無を具体的に示すことで、金銭面の不安も軽減できます。

こまめにコミュニケーションを取る

日頃から積極的にコミュニケーションを取り、新入社員の職場への帰属意識を高めることが重要です。

困りごとがあれば上司が速やかにフォローし、孤立感を抱かせないよう注意する必要があります。

しかし、過度な関わりは逆に人間関係の負担となることもあるでしょう。

過度なコミュニケーションが原因で離職につながる可能性もあるため、新入社員の様子を見ながら、適切な距離感で接することが大切です。

業務フローを最適化する

部署内の業務配分はできるだけ最適化し、効率的な仕事の進め方を意識することが重要です。

新入社員に対し、入社直後から過剰な業務を任せると疲弊してしまい、心身の健康に影響を及ぼす可能性があります。

一定の負荷も必要ですが、新入社員の希望やスキルを聞きながら、個々の適性に合った業務を割り当てます。

無理なく、新入社員の成長を促すことが大切です。

新入社員との懇親会を開催する

入社前に新入社員との懇親会を開くことで、社内の雰囲気を感じてもらえるため、入社後のギャップを減らす効果が期待できます。

懇親会で、本人の興味や希望を聞ければ、配属先の判断材料としても活用可能です。

新入社員の負担にならないように、短時間での開催が望ましいでしょう。たとえば、会議室で軽食を交えながら交流するだけでも、十分効果があります。

事前の取り組みが、新入社員の安心感と定着率向上につながります。

メンタル面のサポート体制を整える

新入社員に対して、悩みやストレスがないか定期的に確認するなど、メンタルケアは欠かせません。

会社がすべてをサポートできるわけではありませんが、職場に関する問題は、積極的に対応する必要があります。

たとえば、上司との関係で疲弊している場合は、チーム編成の見直しなどの対応が有効です。

新入社員のメンタルケアを軽視すると、早期退職や休職のリスクが高まるおそれがあります。全社的な取り組みとして、新入社員の支援体制を整えることが重要です。

すぐ辞める新入社員を減らす採用・入社前の取り組み

ここからは、採用段階で早期離職のリスクがある新入社員を見極める方法について、具体的に解説します。

適性検査を導入する

応募者の適性を判断する手段として、適性検査の活用が有効です。

性格や能力、価値観などを客観的に評価でき、職務適合性の判断材料となります。

面接と組み合わせることで、企業文化や業務内容に合った人材をより正確に選べるため、新入社員の早期離職を防ぐ効果が期待できます。

入社前にオンボーディングを実施する

新入社員が入社後にギャップを感じないよう、入社前のオンボーディングで、期待値を調整することが重要です。

リアルな情報を提供するリアリスティック・ジョブ・プレビュー(RJP)を活用し、業務のよい点も悪い点も含めて伝えます。これにより、新入社員の企業に対するイメージと、実際の職場環境を近づけられます。

業務のデメリットは隠さずに、入社意思が固まった段階で共有しましょう。

デメリットの裏にあるメリットも伝えると、新入社員の理解と納得につながります。

会社の雰囲気が伝わるエピソードを話す

新入社員が早期に退職する原因には、社風が合わないことや人間関係のトラブルなどがあります。

ミスマッチを防ぐためには、写真や具体的なエピソードを用いて、職場の雰囲気をわかりやすく伝えることが大切です。

業務以外の社内活動も紹介すると、新入社員の企業に対する理解が深まります。

たとえば、暑気払いや忘年会、お花見など全社的なイベントに多くの社員が参加していることを示すことで、職場の雰囲気を具体的に伝えられます。


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