• 更新日 : 2025年12月5日

採用支援とは?サービスの種類・導入メリット・注意点を詳しく解説

採用支援とは、企業が抱える採用課題を外部の専門サービスが補完し、応募増加や選考効率化、定着率向上を実現する仕組みです。

労働人口の減少により採用競争が激化する今、求人を出すだけでは人材が集まらず、自社だけで採用活動を完結することが難しくなっています。

そこで注目されているのが、求人作成や面接代行、人材紹介など、幅広い支援が受けられる採用支援サービスです。

本記事では、採用支援の意味や種類、注意点をわかりやすく解説し、自社に合ったサービス選びのポイントまで整理します。採用の見直しを検討している企業や、業務の負荷に悩む採用担当者の方は、参考にしてみてください。

採用支援とは

採用支援とは、企業の採用活動を外部の支援会社がサポートするサービス全般を指します。支援範囲は求人作成から広告運用、人材紹介、採用計画の立案まで多岐にわたります。

採用支援の役割は、企業が自社だけでは補いにくい下記のポイントをカバーすることです。

  • 採用ノウハウ
  • 採用に割ける時間・工数
  • 専門スキル(媒体運用・マッチング精度・データ分析など)

少子化による労働人口減少で採用競争が激化するなか、求人を出すだけでは人材を確保しにくくなっています。そのため、外部支援を活用して採用力を強化する企業が増えています。

企業が抱える採用の課題

多くの企業が、採用活動においてさまざまな課題を抱えています。

代表的な課題は、下記のとおりです。

  • 求人を出しても応募が集まらない
  • 選考辞退や内定辞退が多い
  • 採用しても定着しない
  • 面接官によって採用基準がバラバラ
  • 入社後のミスマッチが多い
  • 活躍する人材の特徴・傾向がわからない

採用市場の競争は年々激しくなっているため、企業だけでは解決が難しい課題も増えてきているのが実情です。

以下の記事では、新卒採用のトレンドについて詳しく解説しています。厳しい採用競争を勝ち抜くための具体的な戦略も紹介していますので、あわせてご覧ください。

採用支援サービスの主な種類

採用支援サービスといっても、支援内容や対象となる採用課題はサービスごとに大きく異なります。ここでは代表的なサービスを紹介します。

1. システム・ツール導入支援

システム・ツール導入支援は、採用活動に必要なツールの導入と運用をサポートするサービスです。

扱うツールの例は、次のとおりです。

  • ATS(採用管理システム)
  • 適性検査ツール
  • オンライン面接ツール

支援会社は、自社に合ったツールの選定から初期設定、操作説明まで丁寧にサポートしてくれます。そのため、「ツールを使いこなせず、効果的に運用できない」といったトラブルを防ぎやすい点がメリットです。

ツールを適切に活用できれば、選考状況の可視化や管理業務の効率化が進み、採用プロセスが安定します。内定者フォローや選考管理の質が均一化され、ミスマッチの減少や辞退防止にもつながるでしょう。

以下の記事では、適性検査について詳しく解説していますので、あわせて参考にしてみてください。

2. 人材紹介サービス

人材紹介サービスは、企業の要件に合った求職者を紹介するマッチング型の支援です。求職者との面談・ヒアリングを支援会社が代行するため、ミスマッチが発生しにくい点が特徴です。

求人媒体には掲載されない非公開人材に出会えるケースもあります。

費用は成功報酬型が一般的で、採用決定までコストが発生しません。ただし、1名あたりの採用単価は高くなりやすい点に注意が必要です。

3. 人材派遣サービス

人材派遣サービスは、派遣会社と雇用契約を結ぶスタッフを、必要な期間だけ自社に派遣してもらう仕組みです。欠員補充や繁忙期の増員など、短期的な人手確保に向いています。

自社で採用活動を行う必要がなく、即戦力となるスタッフを素早く確保できる点が大きなメリットです。教育済みの人材が多いため、受け入れ後すぐに業務を任せやすい特徴があります。

一方で、長期雇用や正社員候補の採用には不向きです。継続的な人材育成や定着を目的とする場合には、必ずしも適したサービスとはいえません。

短期のリソース補填や、事務補助・現場サポートといった比較的シンプルな業務のサポートなど、期間限定の即戦力が必要な場面で効果を発揮するでしょう。

4. 求人広告・運用代行

求人広告・運用代行は、Web求人媒体や紙媒体に求人情報を掲載し、応募数を増やすための運用を支援するサービスです。求人広告は潜在層にも情報が届きやすく、幅広い応募を集められる点が特徴です。

媒体ごとにユーザー層や強みが異なるため、支援会社がターゲットに応じて媒体選定・原稿作成・効果測定までサポートします。

「応募が少ない」「どの媒体を使えばいいかわからない」といった企業の母集団形成に有効です。アルバイト・パート採用や採用人数が多い職種でも力を発揮します。

なお、応募者対応や面接・選考判断は自社で行う必要がある点は、理解しておきましょう。

5. 採用代行

採用代行は、採用業務の一部またはすべてを外部に委託できるサービスです。「Recruitment Process Outsourcing(RPO)」とも呼ばれます。

下記のように任せられる業務は幅広く、工数のかかる実務をまとめて依頼可能です。

  • 書類選考
  • 面接日程の調整
  • スカウト
  • 候補者へのフォロー(連絡・ステータス管理など)

採用担当者の業務負荷を大幅に削減できるため、人手不足の企業や複数職種を同時に採用するケースに適しています。

負担の大きい領域だけを任せる「部分委託」も可能です。必要な範囲だけ外部リソースを補えます。

一方で、業務を外部に任せすぎると、社内にノウハウが残りにくいという課題もあります。情報共有や役割分担を明確にし、外部と共同で運用する体制づくりが重要になるでしょう。

以下の記事では、RPOについて詳しく解説していますので、理解を深めたい方は参考にしてみてください。

6. 採用コンサルティング

採用コンサルティングは、企業が抱える採用課題を分析し、採用戦略から改善策までを専門家が提案するサービスです。

採用の上流工程に強みがあり、次のような領域を中心に支援します。

  • 採用フローの設計
  • 求める人物像(ペルソナ)の要件定義
  • KPI設計(応募数・通過率などの指標設計)
  • 面接基準づくり・面接官トレーニング

「応募はあるのに採用数が伸びない」「採用のどこに問題があるかわからない」といった課題を抱えている企業に適しています。

実務を代行する採用代行(RPO)とは異なり、ノウハウを社内に蓄積できる点が大きなメリットです。コンサルタントの知見を吸収することで、採用担当者のスキル向上にもつながるでしょう。

目的に応じて、RPOと使い分けることがポイントです。

採用支援サービスを利用するメリット

採用支援サービスを活用すると、採用担当者の負荷軽減や応募数の増加など、多方面で改善効果が得られます。

ここでは、企業が実感しやすい3つのメリットを紹介します。

1. 採用担当の業務負担を軽減できる

採用支援サービスを導入すると、採用担当者が抱えやすい工数の大きい業務を外部に任せられます。

具体的には、下記のような業務です。

  • 書類選考
  • 候補者との連絡
  • 面接日程の調整
  • スカウト文の作成

こうした煩雑な業務を手放すことで、自社のコア業務に集中できる点は大きなメリットです。さらに、応募者フォローに十分な時間を割けるようになるため、選考途中の辞退防止にもつながります。

繁忙期だけの一時的なリソース補填としての活用も可能です。自社だけでは抱えきれない業務を支援会社が補完してくれるため、採用活動そのものが滞りにくくなります。

2. 応募数・選考通過率を改善できる

採用支援サービスを利用すると、求人広告・人材紹介・ダイレクトスカウトなど、母集団形成に強い手法を組み合わせながら、求める人材により的確にリーチできます。

支援会社は、次のような改善を同時に進められる点が強みです。

  • 求人内容の改善
  • 媒体選定の最適化
  • スカウトの精度向上

これらを一括で整えることで、質の高い応募が集まりやすくなり、ターゲット人材にもピンポイントでアプローチできるようになります。

さらに、求人が閲覧される機会が増えるため、応募につながるチャンスも自然と広がるでしょう。スクリーニング基準が整うことで選考通過率も向上し、より効率的な採用プロセスを実現可能です。

エンジニアや管理部門など、採用が難しい職種でも応募確保につながりやすい点は、大きなメリットです。

3. 採用のミスマッチを防ぎ、定着率が上がる

採用支援サービスでは、候補者のスキルや価値観、キャリア志向を踏まえたマッチングが行われます。その際、次のような点で強みを発揮します。

  • 求職者との情報ギャップ調整
  • 仕事内容・期待値の整理
  • 働き方のヒアリング支援

企業が伝えるべき情報が整理され、求職者との認識のズレが減るため、入社後のミスマッチが起こりにくくなります。

結果として、早期離職の防止につながり、定着率の改善を実感しやすくなるでしょう。「採用してもすぐ辞めてしまう」と悩む企業にとって、効果の大きいメリットです。

採用支援サービスを利用する際の注意点

採用支援サービスは、応募増加や効率化に役立ちますが、導入すれば必ず成果が出るわけではありません。事前準備や役割分担が曖昧なまま進めてしまうと、期待した効果を得られないケースもあります。

ここでは、導入前に必ず押さえておくべき注意点を解説します。

採用課題と導入目的を明確にする

採用支援を導入する際は、まず「自社がどのような採用課題を抱えているのか」を整理することが欠かせません。課題が曖昧なままだと、サービスの選択を誤り、期待した効果が得られないためです。

採用課題の例は、次のとおりです。

  • 応募が集まらない
  • 求める人物像と応募者がマッチしない
  • ノウハウ・リソースが足りていない

これらの課題を踏まえ、「母集団を増やしたい」「採用担当の負担を減らしたい」「ミスマッチを減らしたい」など、導入目的を言語化しましょう。

目的が明確になれば、人材紹介・コンサルティング・RPOなど、最適な支援内容を選びやすくなります。さらに、支援会社との認識のズレを防げるため、成果が出るまでのスピードも上がります。

外部に委託する範囲を決めておく

採用支援を利用する際は、「どの業務を外部に任せ、どこを自社で行うか」をあらかじめ整理しておくことが重要です。すべてを丸投げすると、社内にノウハウが蓄積されず、将来的な採用力向上につながりません。

担当範囲の例は、次のとおりです。

  • 自社が担うべき業務:意思決定・書類確認・面接実施など
  • 委託できる業務:日程の調整・候補者への連絡・スカウト運用媒体など

役割分担が曖昧なまま進めると、候補者対応の遅れや情報の行き違いが起こりやすくなります。

ミーティング頻度や共有方法など、「情報共有のルール」を事前に決めておきましょう。外部と共同で進める姿勢をもつことで、自社にナレッジが残るため、担当者のスキル向上にもつながります。

採用支援サービスの導入がおすすめな企業の特徴

採用支援サービスの導入が適している企業の特徴は、次のとおりです。

  • 社内だけで採用戦略を立てるのが難しい企業
  • 求人を出しても応募が集まらない企業
  • 採用に割けるリソースが足りない企業
  • 採用と定着の両立に課題があり、長期的な改善をしたい企業

採用支援サービスは、単に「応募が少ない」といった課題だけでなく、組織として採用体制を強化したい企業にも効果を発揮します。

自社だけでは仕組みづくりや改善サイクルの構築が難しい場合、外部パートナーを活用することで採用力を大きく底上げできます。

「個別の課題」ではなく、体制全体の強化が必要な企業こそ、採用支援サービスの恩恵を受けやすいといえるでしょう。

採用支援サービスを選ぶ4つのポイント

採用支援サービスは種類が多く、支援範囲・費用・得意領域も会社ごとに大きく異なります。なんとなくで契約してしまうと「費用はかかったのに成果が出ない」という状況にもなりかねません。

ここでは、採用支援サービスを選ぶポイントをそれぞれ解説します。

1. 自社の採用課題に合っているか

採用支援はサービス内容が幅広く、課題によって最適な支援が異なります。まずは「自社の課題とサービスが正しく結びついているか」を確認しましょう。

課題ごとに適しているサービスは、次のとおりです。

  • 工数不足:採用代行(RPO)
  • 専門職の採用:人材紹介
  • 採用戦略の改善:コンサルティング
  • 選考の精度向上・ミスマッチ防止:適性検査の導入支援

新卒・中途・専門職などターゲットに応じて、支援会社ごとに得意分野が違う点も確認が必要です。

さらに、自社と近い業界・規模の支援実績があるか、似た課題の解決事例があるかをヒアリングすることで再現性を判断できるでしょう。

2. 高い費用対効果を期待できるか

採用支援は料金体系によって費用が大きく変わるため、「費用に見合う成果が期待できるか」を必ず確認する必要があります。

料金形式には、成功報酬型・固定費型・従量課金型などがあります。

費用を比較する際は、1名あたりの採用単価や広告費が相場と比べて妥当かを見ることもポイントです。たとえば、RPOは工数削減で効率化しやすい一方、コンサルティングは専門性が高いため費用が上がりやすい傾向があります。

また、以下の点も費用対効果を左右します。

  • 成果が出るまでに必要な期間
  • 支援会社の得意領域が自社の採用ターゲットと一致しているか
  • 同業界における支援実績の有無

「採用人数」だけでなく、定着率や採用スピードの改善も含めて総合的に判断しましょう。

3. 担当者・運用体制と連携しやすいか

採用支援サービスは、担当者との連携がスムーズであるほど成果が出やすくなります。

そのため、情報共有の質やコミュニケーション体制を事前に確認しておくことが欠かせません。

確認すべき主なポイントは、次のとおりです。

  • コミュニケーション頻度(週次・月次の報告)が適切か
  • 共有内容を十分に受け取れるか
  • 連絡手段がスムーズか
  • 担当者変更時に引き継ぎ品質が保たれるか
  • 自社側にもノウハウが蓄積される運用体制か

これらの環境が整っていれば、改善点を可視化しやすくなり、将来的には自社で採用を進められる体制づくりにもつながります。

単なる業務代行ではなく、自社と一緒に成果を出すチームとして伴走してくれるかを基準に選ぶとよいでしょう。

4. 定着支援や採用後のフォローまで対応しているか

採用活動は、内定を出した瞬間に終わるわけではありません。入社後に活躍し、組織に定着してもらうことが本来のゴールです。

そのため、採用支援サービスの中には、定着支援まで含めて対応する会社もあります。

次のような支援があると効果が出やすくなるでしょう。

  • 内定承諾前の辞退を防ぐフォロー
  • 入社後のオンボーディングのサポート
  • 配属後のフォロー面談
  • 採用と定着をセットで見られる支援体制
  • 長期的に採用効果を高める仕組み

採用と定着を一体で支援できるサービスを選ぶことで、短期的な採用成功だけでなく、長期的な組織づくりにもつながります。

中途採用・新卒採用のどちらでも、「ミスマッチを減らし、長く活躍してもらえる仕組みがあるか」を必ずチェックしておきましょう。


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