- 更新日 : 2026年3月25日
就業規則における休職規定とは?必須項目から記載例、ポイントまで解説【テンプレ付き】
就業規則の休職規定とは、病気等で働けない従業員の雇用を維持し、不当解雇などの労務トラブルを防ぐための重要なルールです。
- 休職事由、期間、待遇、復職・退職条件を明記
- 休職中の給与は「無給」と定めるのが一般的
- トラブル防止のため期間満了時の自然退職を規定
Q. 休職制度の導入は法律上の義務ですか?
A. 義務ではありません。しかし導入して運用する場合は、就業規則への記載と労働基準監督署への届出が必須となります。
就業規則の休職規定とは、病気やケガで長期間働けない従業員の雇用を維持しつつ、不当解雇などの労務トラブルを未然に防ぐための重要なルールです。規定が曖昧だと、特に近年増加するメンタルヘルス不調への対応で会社が後手に回るリスクがあります。
本記事では、休業や欠勤との違いといった基本から、休職命令、復職・自然退職の判断基準までを網羅。そのまま実務で使える条文の雛形(コピペ用)も交えて分かりやすく解説します。
目次
就業規則における休職規定とは?
就業規則における休職規定とは、病気やケガなどのやむを得ない事情で長期間働けなくなった従業員に対し、労働義務を免除しつつ雇用を維持するためのルールです。制度の導入自体は企業の法的な義務ではありませんが、実務上は多くの企業で規定されています。
なお、就業規則については以下の記事でも詳しく解説しています。
休職規定の概要と法的義務の有無
休職制度は労働基準法で定められた義務ではありませんが、制度を設ける場合は就業規則への記載が必須となります。
法律上、企業に休職制度を設ける義務はないため、導入するかどうかや、その期間・条件は各企業が自由に決定できます。ただし、制度として運用する場合は、就業規則の「相対的必要記載事項」に該当するため、要件を明文化して労働基準監督署へ届け出る必要があります。
規定がない場合に生じる解雇リスクと不公平感
規定がない状態で長期欠勤が発生すると、その都度個別の話し合いが必要になり、不当解雇のリスクや従業員間の不公平感が生じやすくなります。
就業規則に休職規定がないからといって、長期欠勤を理由に企業がただちに解雇できるわけではありません。日本の労働法制では「解雇権濫用法理」が適用され、解雇には客観的・合理的な理由と社会的相当性が厳しく求められます。休職者が発生するたびに個別に期間や待遇を決定していると、人事担当者の手間がかかるだけでなく、「あの人は長く休ませてもらえた」といった社内の不満につながるため、統一ルールとしての整備(必要性)が不可欠です。
出典:雇用・労働労働契約(契約の締結、労働条件の変更、解雇等)に関する法令・ルール|厚生労働省
休職と欠勤・休業の違い
休職、欠勤、休業は、いずれも「労働者が業務に就かない状態」を指しますが、法的な位置づけや発生要件が明確に異なります。
欠勤は単に労務が提供されていない事実を指し、休業は法令で定められた労働者の権利(産前産後休業など)や会社都合の待機を指します。一方、休職は会社独自のルールに基づき、会社が承認・命令するものです。それぞれの違いを正しく理解し、就業規則上で明確に使い分ける必要があります。
| 項目 | 定義・性質(具体例) | 給与の扱い |
|---|---|---|
| 休職 | 就業規則に基づき、会社が労働義務を免除・禁止する措置。任意制度。 (例:私傷病休職、出向休職) | 無給が一般的 |
| 欠勤 | 労働義務がある日に従業員自身の都合で労務を提供しない状態。債務不履行。 (例:体調不良による突発的な休み) | 無給(ノーワーク・ノーペイ) |
| 休業 | 労働義務がある日に、法律上の権利に基づき、または会社都合により就業を停止すること。 (例:産前産後休業、育児休業、会社都合の休業) | 法律や事由により異なる |
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就業規則に休職規定を設ける目的とは?
企業が就業規則に休職ルールを明記する最大の目的は、不測の事態における従業員の雇用を守りつつ、会社側の労務トラブルや実務上の手間を未然に防ぐことです。ルールを明確にしておくことで、労使双方が今後の見通しを立てやすくなり、安定した雇用関係の維持につながります。
企業側の目的(労務管理の明確化とトラブル防止)
企業にとっては、労務管理の基準が客観的に明確になり、優秀な人材の流出や将来的な労使トラブルを防止できる点が最大の目的です。
すぐに解雇という選択を取らずに従業員の職場復帰を待つ仕組みが構築されることで、採用や育成にかかったコストを無駄にせず、長期的な視点で組織力を維持できます。また、休職開始から復職・退職までの運用フローが定まっていることで、人事労務担当者が都度個別に対応する手間を大幅に削減できます。
従業員側のメリット(雇用継続の安心感)
従業員にとっては、療養などのやむを得ない事情で一定期間仕事から離れても、雇用が継続されるという安心感が得られることが最大のメリットです。
不測の事態に陥った際、すぐに身分を失うリスクがないため、治療や回復に専念することができます。この心理的安全性の担保は、従業員の会社に対する信頼度を高め、復職後のモチベーション維持にも大きく寄与します。
就業規則における休職の種類にはどのようなものがある?
就業規則で定める休職には、その原因や目的に応じていくつかの種類があります。それぞれの休職が持つ性質や適用条件が異なるため、代表的な種類と運用上のポイントを就業規則で明確に定義しておく必要があります。
私傷病休職(業務外の病気やケガ)
私傷病休職は、業務外の病気やケガによって長期の療養が必要となった場合に利用される、最も代表的な休職制度です。
申請の際には、主治医の診断書の提出が求められるのが一般的です。期間は会社ごとにさまざまですが、数ヶ月〜1年半程度が多く、復職の際はこれまで通りの業務をこなせる状態まで回復しているかどうかが判断基準となります。とくにメンタルヘルス不調の場合は、プライバシーへの配慮、段階的な復職支援プログラム(試し出勤等)、再発防止策(休職期間の通算や業務負荷の調整)が重要です。厚生労働省の手引きも参考にしながら、一人ひとりの状況に応じたきめ細やかな対応と慎重な判断が求められます。
参考:心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き~メンタルヘルス対策における職場復帰支援~|厚生労働省
自己都合休職(留学やボランティア活動など)
自己都合休職は、留学やボランティア活動など従業員の個人的な希望によって適用されるもので、制度の有無や承認条件は企業の裁量が大きい制度です。
私傷病休職と異なり、必ずしもすべての企業に設けられているわけではありません。企業によっては、休職事由を限定したり、可能な期間や回数に制限を設けたりしています。通常、休職期間中は無給となり、社会保険料の本人負担分は従業員が支払う形が一般的です。
事故欠勤による休職
事故欠勤による休職は、業務災害や通勤災害以外の事故(私生活での交通事故など)が原因で長期間欠勤する場合に適用されます。
実務上は、私傷病休職の一類型として扱われることも多く、就業規則の定めによってその具体的な取り扱い(期間や復職条件など)が決まります。
起訴休職(刑事休職)
起訴休職は、従業員が刑事事件で起訴された場合に、企業の秩序維持や社会的信用保護(レピュテーションリスク対策)を目的として命じられる休職です。
日本の司法制度では判決確定までは「無罪と推定」されるため、懲戒解雇などの厳しい処分をすぐに行うのではなく、一時的な対応として休職期間を設けることがあります。適用には就業規則への明確な根拠規定が必要不可欠であり、休職期間中は無給とされるのが一般的です。企業としては、風評被害や社会的信用の低下を防ぐための防衛策として活用されます。
その他の休職(組合専従・公職就任など)
上記以外にも、企業によっては特定の目的に応じた特別な休職制度を設けている場合があります。
代表的なものとして、労働組合の業務に専念するために認める「組合専従休職」や、従業員が国会議員や地方議員などの公職に就任し、職務に専念するために認める「公職就任休職」などが挙げられます。これらも適用条件や期間を就業規則に明記して運用します。
休職規定に必ず盛り込むべき必須項目とは?
実効性のある休職ルールを運用するためには、「休職事由」「休職期間」「休職中の待遇」「復職および退職の条件」の4つの項目を網羅的に記載する必要があります。
就業規則の一部として機能させるには、誰が読んでも解釈がブレないよう、適用条件や期間を明確な数値や基準で定義することが不可欠です。曖昧な記載や口頭での運用は、後日の労使間トラブルの大きな火種となります。
休職事由と一般的な種類
休職を適用するケースを具体的に列挙し、それぞれの種類を明確に定義します。
日本の企業で最も一般的なのは、業務外の病気やケガを理由とする「私傷病休職(ししょうびょうきゅうしょく)」です。これに加えて、企業の方針に応じて以下のような複数の休職事由を設けるのが一般的です。
- 私傷病休職(傷病休職): 業務外のケガや病気(メンタルヘルス不調を含む)により、長期間の療養が必要な場合。
- 自己都合休職: ボランティア活動や私費留学など、従業員個人の事情による場合。
- 公職就任休職: 議員などの公職に就任し、業務との両立が困難な場合。
- 組合専従休職: 労働組合の業務に専念する場合。
- 出向休職: 会社の業務命令により、関連会社などへ出向する場合。
- 起訴休職: 従業員が刑事事件で起訴され、業務の継続が不適切と判断された場合。
休職期間と通算規定(クーリング期間)の設定
勤続年数に応じて休職できる上限期間を段階的に設定し、同じ病気で再休職した場合の「通算ルール」を定めます。
一律の期間設定よりも、会社への貢献度(勤続年数)に応じた期間を設ける方が合理的とされています。また、復職後すぐに再発して休職を繰り返すケースを防ぐため、「一定期間内(例:6ヶ月以内)の再休職は、前回の休職期間と合算する」という通算規定(クーリング期間)が必須です。
なお、下表は勤続年数に対応した休職期間の規定例です。
| 勤続年数 | 休職期間の目安 |
|---|---|
| 1年未満 | 休職を適用しない、または1ヶ月 |
| 1年以上3年未満 | 3ヶ月〜6ヶ月 |
| 3年以上10年未満 | 6ヶ月〜1年 |
| 10年以上 | 1年〜2年 |
休職中の給与・社会保険料の扱い
休職期間中は「無給」と定めるのが原則であり、社会保険料の本人負担分は毎月徴収する方法を規定します。
労働に対する対価が発生しないため、ノーワーク・ノーペイの原則に基づき無給とする企業が大多数です。給与が支給されなくても社会保険料(健康保険・厚生年金)の支払義務は継続するため、従業員から会社へ毎月指定口座へ振り込んでもらうなどの徴収ルールを取り決めておく必要があります。無給期間中の生活保障としては、協会けんぽや健康保険組合から支給される「傷病手当金」を活用するよう案内します。
トラブルを防ぐ休職命令と復職・退職のルール
メンタルヘルス不調時の労使トラブルや不当解雇リスクを防ぐため、会社主導の休職命令や復職・退職の基準を厳格に規定します。
本人が不調を認めないケースに備え、「会社指定医の受診義務」や「会社主導での休職命令」を明記することが企業の安全配慮義務を果たす鍵です。また、休職の出口として、復職基準を「従前の業務を通常程度に行える状態」と定義し、期間満了時までに回復しない場合は「自然退職とする」旨を必ず定めておきましょう。規定がないまま雇用を終了させると、不当解雇として訴えられるリスクが生じます。
休職規定を就業規則に追加・変更する手順とは?
規定の改定作業は、自社の現状分析から始まり、条文化、従業員代表の意見聴取、労働基準監督署(労基署)への届出、そして周知という5つのステップで進めます。休職ルールの変更は従業員にとって不利益変更にあたる場合があるため、実務的な準備から労働基準法に則った手続きまで、慎重に進める必要があります。
ステップ1 現状の課題洗い出しと骨子作成
まずは過去の休職トラブル事例や、現行の就業規則でカバーできていない課題をリストアップし、改定の方向性を定めます。
Microsoft Excel(エクセル)やGoogleスプレッドシート(スプレッドシート)などの表計算ソフトを用いて、他社事例や厚労省のモデル就業規則と比較しながら、自社に必要なルールの骨格を整理します。「復職の基準が甘い」「期間が長すぎる」といった現場の課題を洗い出すことが重要です。
ステップ2 規定の条文化と雛形の活用
決定した方針に基づき、専門家が監修した雛形などを活用しながら、正確な法的表現で条文を作成します。
ゼロから書き起こすのは難易度が高いため、企業法務サイトや労務管理システムが提供しているテンプレートをベースにカスタマイズするのが効率的です。Microsoft Word(ワード)などの文書作成ソフトを用い、変更履歴を残しながら作業を進めると、後から修正の意図を確認しやすくなります。
ステップ3 労働者代表の意見聴取(労働基準法第90条)
就業規則を作成または変更する際には、労働者の過半数で組織する労働組合(ない場合は労働者の過半数代表者)の意見を聴く法的な義務があります。
法律上、会社側は意見を聴取することが求められており、必ずしも労働者側の「同意」までは求められていません。しかし、実務においては形式的に意見を聞くだけでなく、労働者に改定の内容や背景を丁寧に説明し、誠実に対応することが労使トラブルを防ぐために大切です。
ステップ4 労働基準監督署への届出(労働基準法第89条)
常時10人以上の労働者を使用している事業場では、作成または変更した就業規則を所轄の労働基準監督署長に届け出なければなりません。
この届出は労働基準法に基づく企業の義務です。提出の際には、ステップ2で作成した「就業規則の本体(または変更届)」だけでなく、ステップ3で実施した「労働者代表の意見書」を必ず添付して届け出る必要があります。
ステップ5 従業員への周知徹底(労働基準法第106条)
作成または変更した就業規則は、労働基準監督署へ届け出るだけでなく、従業員に周知して初めて効力が発生します。
従業員がいつでも規定を確認できる状態にしておくことが法律で義務付けられています。具体的な周知方法としては、作業場などの見やすい場所への掲示・備え付け、印刷物としての書面交付のほか、最新の規則をPDF化し、社内ポータルやGoogle Drive(グーグルドライブ)などのクラウドストレージへ掲載するといった方法で行います。
就業規則に使える休職規定の例文
読者がそのまま自社のフォーマットにコピー&ペーストして活用できるよう、標準的な私傷病休職の例文(雛形)をまとめました。法律上の必須要件とトラブル防止策を網羅しているため、自社の実態に合わせて期間や条件を調整するだけで実用的な規定が完成します。
休職事由と期間に関する例文
休職の適用条件(会社主導の命令を含む)と、勤続年数に応じた上限期間、および再発時の通算ルール(クーリング期間)を定めた基本的な条文です。曖昧な表現を避け、客観的な数値や条件で規定することがポイントです。
第〇条(休職) 従業員が次の各号のいずれかに該当するときは、休職を命じる。
- 業務外の傷病により、1ヶ月以上連続して欠勤し、なお療養を必要とするとき。
- 前号の要件を満たさない場合であっても、会社が就業を不適当と認めたとき。
- その他、特別な事情があり会社が休職を認めたとき。
第〇条(休職期間および通算)
- 前条第1号および第2号に基づく休職期間は、休職開始日における勤続年数に応じて次のとおりとする。
① 勤続1年未満:1ヶ月
② 勤続1年以上3年未満:3ヶ月
③ 勤続3年以上:6ヶ月 - 休職事由が消滅して復職した者が、復職の日から6ヶ月以内に同一または類似の事由により再度欠勤を要する場合は、前後の休職期間を通算する。
休職中の待遇と復職・退職の例文
休職中の無給原則や社会保険料の徴収方法、会社指定医の受診義務、および期間満了時の自然退職ルールを定めた条文です。とくにメンタルヘルス不調による労使トラブルを防ぐため、受診命令と自然退職の規定はそのまま盛り込むことを強く推奨します。
第〇条(休職中の給与および社会保険料)
- 休職期間中は、原則として無給とする。
- 休職期間中であっても、従業員は社会保険料の自己負担分を、毎月会社が指定する期日までに指定口座へ振り込まなければならない。
第〇条(受診命令等) 会社は、休職の決定、休職期間の延長、または復職の判断にあたり必要があると認めるときは、会社が指定する医師または産業医の受診を命ずることができる。正当な理由なくこれを受診しない場合は、休職の適用または復職を認めない。
第〇条(復職および自然退職)
- 休職期間が満了する日までに休職事由が消滅し、従前の業務を通常程度に行える健康状態に回復したと会社が認めたときは、復職を命じる。
- 休職期間が満了しても前項の回復に至らないときは、休職期間満了の日をもって自然退職とする。
就業規則の休職規定に使えるモデル就業規則・ひな形・記載例
厚生労働省が提供している「モデル就業規則」は、休職規定を含む就業規則全体を作成する際の参考になります。しかし、これはあくまで一般的なサンプル(ひな形)であり、すべての企業の実情に適合するわけではありません。
また、マネーフォワード クラウドでも休職規定を含む就業規則の無料テンプレートをご用意しております。これらも参考にしながら、専門家のアドバイスも得つつ、自社に合った規定を作成していくことが望ましいでしょう。
就業規則の休職規定についてよくある質問
休職期間の平均はどのくらいですか?
休職期間の上限に関する法律の規定や公的な平均データはなく、企業ごとに勤続年数に応じて数ヶ月から1年半(長くても2年)程度に設定するのが一般的です。
「平均的な休職期間は〇ヶ月」といった法的な基準は存在しません。企業が自社の体力や人員配置の状況を踏まえて就業規則で独自に定めているため、まずは自社の規定を確認することが最も重要です。
うつ病などのメンタルヘルス不調でも休職できますか?
はい、うつ病や適応障害などの精神的な不調であっても、医師が「療養のため就業が困難」と診断すれば、多くの場合「私傷病休職」の対象として休職できます。
企業側は、メンタルヘルス不調を理由とする不利益な取り扱い(即時解雇や不当な降格など)をしないよう配慮する義務があります。また、段階的な職場復帰プログラム(試し出勤制度など)の実施や業務内容の調整など、円滑な復職に向けた支援を行うことが求められます。
休職規定による自然退職時の労務トラブルを防ぐために
マネーフォワードでは、入退社手続きの実務や管理に携わった経験がある担当者を対象に、手続きにおけるトラブルの実態について調査を実施しました。
退職手続きにおいて特にトラブルが発生しやすい項目を尋ねたところ、最も多いのは「離職票の発行手続き」で31.7%、次いで「健康保険証の回収」で29.1%でした。また、これらの手続きでトラブルが発生する主な原因として最も多いのは「本人の対応の遅れ・不備」で35.3%、次いで「人事担当者の知識不足・確認ミス」で30.8%でした。
休職期間が満了し、就業規則の規定により自然退職となる場合でも、一般の退職と同様に離職票の発行や保険証の回収といった各種手続きが発生します。特に休職中の従業員とは円滑に連絡が取りづらくなるケースもあるため、従業員本人の対応の遅れや、人事担当者の確認ミスによるトラブルが起こるリスクが高まります。
休職規定や自然退職の条件を就業規則に明確に定めることと併せて、退職に伴う書類の回収や手続きのフロー、従業員との連絡方法についても事前にルール化し、担当者の知識をアップデートしておくことが労務トラブルを防ぐ上で大切です。
出典:マネーフォワード クラウド、退職手続きにおいてトラブルが発生しやすい項目・トラブルが発生する主な原因【入退社に関する調査データ】(回答者:881名(有効回答:入退社手続きの実務・管理に関与する597名)、集計期間:2026年2月実施)
適切な休職制度を設計し、就業規則に定めましょう
休職規定の見直しは、従業員が安心して働ける環境を整えると同時に、企業の法的リスクを軽減するための重要な防衛策です。
就業規則上の休職制度の定義をはじめ、私傷病や自己都合などの休職事由、メンタルヘルス不調への対応プロセス、そして自然退職の明確な基準を設定することで、予期せぬ労務トラブルを未然に防ぐことが可能になります。自社の現状の規定に不安がある場合は、早めに制度のアップデートに着手してみてはいかがでしょうか。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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