• 更新日 : 2025年6月24日

社員の資格管理をエクセルで効率化するには?テンプレートの活用方法も解説

社員が保有する資格の管理は、人材育成やコンプライアンスの観点から重要ですが、多くの企業では複雑で煩雑な作業となっています。そこで便利なのが、多くの企業で普及しているエクセルです。エクセルを上手に活用することで、社員資格の取得状況や更新期限を簡単に把握でき、運用コストも抑えられます。この記事では、エクセルで資格管理を行う際の具体的な方法や注意点、より効率化するためのポイントなどを初心者向けに詳しく解説します。

目次

社員の資格管理にエクセルを使用するメリット

社員の資格管理を行う方法はさまざまありますが、多くの企業ではエクセルを使って資格管理を行っています。なぜ資格管理にはエクセルが適しているのか、初心者にもわかりやすく説明します。

誰でも簡単に使える

エクセルの最大の魅力は、専門知識がなくても簡単に使えることです。表計算ソフトとして広く普及しているため、社員同士での引継ぎや新しい担当者への説明もスムーズに行えます。初めて資格管理を任された担当者でも、簡単な操作で管理表を作成し、更新することが可能です。

コストがほとんどかからない

新しく資格管理専用のシステムを導入すると、導入コストやランニングコストがかかります。しかし、エクセルは多くの企業がすでに利用しているソフトウェアのため、追加費用をかけずにすぐに使い始められます。

自由にカスタマイズできる

エクセルでは企業ごとの管理項目や管理方法に合わせて、自由にカスタマイズができます。社員の資格情報だけでなく、資格取得日、更新期限、部署、担当業務など、自社が管理したい情報を自由に追加・削除することが可能です。自分たちが使いやすい管理表に柔軟に変更できます。

資格の更新漏れを防ぎやすい

エクセルには、更新期限が近づいた資格を色分け表示したり、関数を使って自動で更新日を計算したりする機能があります。これにより、更新漏れや見落としを防ぐ仕組みが作りやすくなります。特に資格の有効期限が短いものや、更新手続きが煩雑なものほど、エクセルの便利な機能が役に立ちます。

データの集計や分析が簡単

資格管理を行う際、部署別や資格の種類別に人数を数えたり、資格保有率を計算したりといった作業が頻繁に必要になります。

エクセルのピボットテーブルやグラフ機能を利用すれば、こうしたデータの集計や分析が簡単に行えます。資格保有状況を可視化することで、人材育成や戦略的な人員配置にも役立ちます。

リアルタイムで情報共有できる

エクセルはファイルを共有することで、複数の社員が資格情報を閲覧・編集できます。ただし、完全なリアルタイム同時編集は苦手であり、ファイル競合が発生する可能性があるため、クラウド上(Microsoft 365やGoogleスプレッドシート)での運用を検討するとよいでしょう。

社員の資格管理でエクセルに入れるべき項目一覧

資格管理を効果的に行うためには、以下のような項目を設定するのが一般的です。

項目名内容説明記入例
社員番号社員を一意に特定するための番号0001
氏名資格を保有している社員の名前佐藤 太郎
所属部署資格保有者が所属する部署名総務部
職種・役職資格を活用する職種や役職課長、営業担当
資格名保有している資格の正式名称日商簿記検定2級
資格取得日資格を取得した日付2025/06/20
資格有効期限資格の有効期限(更新が必要な場合)2028/06/19
更新予定日資格更新手続きの目安日2028/05/15
資格番号資格証明書や免許番号A-123456
取得費用会社が資格取得に支払った費用20,000円
備考欄特記事項(次回更新までの研修受講義務など)2028年4月に研修参加予定

資格管理表に項目を設定するときには、以下のポイントを押さえておくと効率的です。

  • 必須項目を明確にする
    社員番号、氏名、資格名、資格取得日、更新期限などは必須項目です。これらは資格の保有状況を把握するうえで重要なため、必ず記入しましょう。
  • 更新時期を明確に把握できるようにする
    資格更新漏れを防ぐため、更新期限の他に更新予定日も設定すると便利です。資格によっては手続きに時間がかかる場合があるため、少し早めのタイミングを設定しましょう。
  • 追加項目は業務の必要性に応じて設定する
    資格の取得費用や資格番号などは会社の方針に応じて設定します。特に、経理や人事評価で使う場合は取得費用を記録すると良いでしょう。
  • 備考欄を活用する
    備考欄は自由入力項目として設定しておくと、資格ごとの特記事項(研修やセミナー参加義務など)を柔軟に管理できます。

このように、必要最低限の項目から始めて、自社の運用状況に応じて徐々に項目を追加していくと、効率よく資格管理が行えます。

社員の資格管理をエクセルで効率化する具体的な手順

社員の資格管理をエクセルで効率的に行うには、具体的にどのような手順で作業を進めればよいのかを解説します。初心者の方でも迷わずスムーズに導入できるよう、わかりやすく手順をまとめました。

Step1. 管理する資格情報を整理する

まずはエクセルで管理したい資格情報を整理します。以下の項目を参考に、自社で必要な情報を書き出してみましょう。

  • 社員番号や氏名などの社員情報
  • 資格の正式名称
  • 資格の取得日や有効期限
  • 更新予定日や必要な研修の有無
  • 部署や役職情報
  • その他、会社で必要と思われる特記事項(取得費用など)

整理した内容は、箇条書きでメモに残しておくと、エクセル作成時に役立ちます。

Step2. エクセルで基本の管理表を作成する

整理した項目をエクセルに入力していきます。この段階では特別な書式設定は不要で、シンプルな表を作成しましょう。例えば、次のような項目を横方向に並べると見やすくなります。

社員番号氏名部署資格名資格取得日資格有効期限更新予定日備考
0001山田太郎営業部宅地建物取引士2025/04/102030/04/092030/03/10更新研修あり

はじめから複雑な機能を導入する必要はありません。まずは情報が一覧で見える状態を目指します。

Step3. 見やすくなるように書式を設定する

エクセルに入力したデータが多くなってくると、資格の更新期限や取得状況が見づらくなるため、書式設定を行います。以下のような設定をすると効果的です。

  • 罫線や色付けで項目を見やすくする
    見出しの背景に色を付けたり、データの部分に薄い色を設定したりすると、視認性が上がります。
  • 日付を自動的に色分け表示する
    条件付き書式を設定して、更新期限が迫った資格を黄色や赤で表示すると更新漏れを防ぐことができます。

Step4. フィルター機能で必要な情報を絞り込めるようにする

エクセルにはフィルター機能があるため、資格名や部署名、期限などの情報でデータを絞り込めるよう設定しましょう。

  • 表の見出し部分を選択します。
  • 「データ」タブの「フィルター」をクリックします。
  • これにより、資格ごとや部署ごとなど、必要なデータだけを簡単に抽出できます。

Step5. ピボットテーブルで集計・分析できるようにする

資格管理表が整ったら、エクセルのピボットテーブル機能を使い、資格取得状況を集計したり分析したりできます。例えば次のような分析が可能です。

  • 部署ごとの資格取得率
  • 資格ごとの取得人数
  • 更新期限が近づいている資格の一覧

ピボットテーブルはエクセル初心者でも比較的簡単に使えるため、積極的に活用しましょう。

Step6. 管理ルールを作り、定期的に更新する

最後に重要なのは、作成した資格管理表を定期的に更新することです。次のような管理ルールを設定して運用すると効果的です。

  • 月1回程度、情報の更新状況を確認する
  • 担当者を明確にして責任を持って管理する
  • 定期的にバックアップを取り、データ紛失に備える

社員の資格管理をエクセルで行う際によくある失敗例

エクセルは多機能で自由度の高いツールですが、使い方を誤ると運用ミスや情報漏洩のリスクが発生します。ここでは、エクセルで資格管理を行う際によくある失敗例と、それを防ぐための具体的な注意点について解説します。

管理ファイルが分散してしまう

資格情報を複数のファイルに分けて管理すると、全体像の把握が難しくなり、集計や確認の際に非効率になります。特に、部署ごとや担当者ごとに管理ファイルを持っていると、最新情報がどこにあるのかわからなくなることがあります。

このような事態を防ぐには、基本的には一つのマスターファイルに情報を集約し、フィルターやシート分けを使って部署や資格ごとに整理する方法が効果的です。ファイル名や保存場所を統一し、バージョン管理を徹底することも重要です。

資格の更新漏れが発生する

エクセルには自動通知の機能がないため、更新期限が近づいていても気付きにくく、期限切れのまま放置されるリスクがあります。特に更新が必要な資格については、定期的な確認を怠ると重大なトラブルにつながる可能性があります。

更新漏れを防ぐには、条件付き書式を活用して更新が近い項目を色で目立たせる工夫が有効です。また、更新確認を行う時期をあらかじめ決めておき、定期的にチェックを行う体制を整えることで、運用の安定性が向上します。

入力ミスや表記の揺れが発生する

エクセルでの手入力は、どうしてもミスが発生しやすくなります。同じ資格であっても表記が「危険物取扱者乙種第4類」と「危険物乙4」のようにバラバラになってしまうと、集計や検索の際に正確な情報が得られません。

入力ルールをあらかじめ決めておくことが重要です。資格名や部署名など、表記の揺れが起きやすい項目にはプルダウンリスト(データの入力規則)を設定することで、入力ミスを減らすことができます。日付の形式も統一しておくと、後のフィルターや条件付き書式の適用がスムーズになります。

個人情報保護が不十分になる可能性がある

資格管理には、氏名や社員番号、資格番号などの個人情報が含まれるため、情報の取り扱いには慎重さが求められます。誤って外部に送信してしまったり、不特定多数がアクセスできる場所に保存されたりしていると、情報漏洩のリスクが高まります。

適切なアクセス管理を行うことが不可欠です。パスワード付きのファイル保護や、閲覧権限を設定できるクラウドサービスを活用することで、必要な人だけが情報にアクセスできるようにしましょう。あわせて、社内の情報セキュリティポリシーを確認し、ルールを守って運用することも大切です。

バックアップが取られていない

資格管理の情報を一つのファイルに集約している場合、そのファイルが破損・削除されると、復旧が困難になる可能性があります。特にバックアップを定期的に取っていない状態では、大量のデータが一度に失われるリスクがあります。

データの安全性を保つためには、定期的なバックアップが欠かせません。日付ごとにバージョンを分けて保存する、週に一度コピーを作成する、クラウドサービスの自動保存機能を活用するなど、複数の手段を組み合わせて対策を講じましょう。

社員の資格管理をエクセルで行うときのポイント

エクセルを使った資格管理は、シンプルかつ低コストで始められる反面、管理方法が場当たり的になると運用の効率が落ちてしまいます。ここでは、エクセルでの資格管理を長期的に安定して運用するために押さえておきたい、5つの実践的なポイントを解説します。

常に最新の資格情報を維持する

資格管理において最も重要なのは、情報が常に最新の状態であることです。取得済みの資格が反映されていなかったり、すでに有効期限が切れている資格が更新されていなかったりすると、管理表の信頼性が損なわれます。

情報の更新は定期的に行う体制を作りましょう。例えば、月末や四半期ごとに見直す日を決めておくと、習慣化しやすくなります。新入社員や異動者が出た場合も、速やかに管理表に反映させることが大切です。

リマインダーで更新忘れを防ぐ

エクセル自体には通知機能がないため、資格の有効期限や更新日を自動で知らせてくれる仕組みがありません。そのため、別のツールと連携してリマインダーを設定することで、更新漏れを防ぐことができます。

例えば、OutlookやGoogleカレンダーを活用し、資格の更新予定日にアラートを設定すると、担当者がタイムリーに対応できるようになります。エクセルの管理表にリマインダー用の日付欄を追加しておくと、外部ツールとの連携がしやすくなります。

条件付き書式で視覚的に管理する

エクセルには「条件付き書式」という便利な機能があります。これを活用すると、期限が近い資格やすでに期限切れのものを自動的に色分け表示することができ、更新が必要な資格を一目で把握できるようになります。

例えば、有効期限まで30日を切った場合は黄色、すでに期限が過ぎている場合は赤といった色分けを設定すると、管理表の可視性が大きく向上します。こうした視覚的な工夫によって、担当者の確認漏れを減らすことができます。

クラウドで管理してチームで共有する

複数の担当者や部署が関わる場合、ファイルを個人のパソコンだけで管理していると、更新漏れや情報の重複が起きやすくなります。そこで、資格管理表はクラウド上に保存し、関係者全員で情報を共有することが望ましいです。

OneDriveやGoogle Drive、社内の共有サーバーなどを活用すれば、常に最新のファイルを複数人で確認・編集できる環境が整います。アクセス権限を適切に設定すれば、情報漏洩のリスクも最小限に抑えられます。

定期的なバックアップで情報を保護する

エクセルファイルは破損や誤削除、上書き保存などによって、突然データが消えてしまうリスクがあります。万が一に備えて、定期的なバックアップを取ることは、資格管理を継続的に行ううえで欠かせません。

例えば、週1回のペースでコピーを別フォルダに保存したり、日付入りのファイル名で複数のバージョンを残したりすると、安全性が高まります。クラウドを利用していれば、自動で履歴が保存される機能を活用するのも効果的です。

社員の資格管理に便利なエクセルテンプレートの活用方法

資格管理をスムーズに始めるためには、テンプレートの利用が効果的です。テンプレートを使えば、あらかじめ必要な項目や書式が設定されているため、初めて資格管理を担当する方でも手軽に導入できます。

具体的には、以下のようなメリットがあります。

  • 必要な管理項目があらかじめ設定されているため、項目漏れを防げる
  • 自社用にアレンジが簡単で、手間をかけずに運用をスタートできる
  • 条件付き書式や集計機能が設定済みなら、更新期限や資格保有状況をすぐに把握できる

無料テンプレートはインターネット上で多数配布されており、自社の状況に近いものを選んで活用するとよいでしょう。また、ダウンロードしたテンプレートを参考に、自分で作成・カスタマイズする方法もおすすめです。

社員の資格管理をより効率化するなら人事管理システム

エクセルは資格管理を始めるうえで非常に手軽で柔軟なツールですが、社員数の増加や管理項目の複雑化にともない、エクセルだけでは対応しきれなくなるケースもあります。特に、資格の種類が多岐にわたる企業や、複数拠点・部署をまたいで管理する必要がある場合は、専用の人事管理システムの導入を検討するのも一つの方法です。

資格管理に対応した人事管理システムを導入することで、エクセルでは対応が難しい次のような機能やメリットが得られます。

自動アラート・通知機能

資格の有効期限が近づいたタイミングで、自動でメールや社内チャット(SlackやTeams)に通知が送られるため、更新忘れを防ぐことができます。

一元管理とリアルタイム共有

クラウド型の人事管理システムを使えば、拠点や部署を超えて資格情報を一元管理できます。閲覧・編集権限を細かく設定できるため、情報セキュリティの面でも安心です。

レポートや集計機能

資格の取得状況をグラフやレポートとして自動で出力することができ、管理者や経営層への報告資料の作成も短時間で済みます。資格保有率や更新スケジュールの可視化にも役立ちます。

人事評価や教育管理との連携

資格情報を人事評価や研修管理と連携させることで、スキルアップ支援やキャリアパスの設計にも活用できます。これにより、資格管理が単なる記録ではなく、戦略的な人材活用につながります。

社員の資格管理に関してよくある質問

ここでは、エクセルでの社員資格管理を行う際によくある質問と、その回答をまとめています。初めて資格管理を担当する方はぜひ参考にしてください。

資格の種類が多く、管理が煩雑な場合はどのように整理すればいい?

資格の数が多い場合は、エクセル内で資格のカテゴリーごとにシートや列を分けると整理しやすくなります。例えば、国家資格・民間資格・社内資格のように分類したり、部署ごとに分けて整理したりする方法もあります。管理項目はできるだけシンプルに保ち、定期的に不要な情報を削除して整理すると運用がスムーズになります。

資格の更新期限をエクセルだけで管理できる?

エクセルのみで期限を管理することも可能ですが、エクセル自体には通知機能がないため、更新漏れが発生しやすくなります。

条件付き書式を活用して期限が近づいた資格を色分け表示するなど、視覚的な工夫をすることが必要です。さらに、OutlookやGoogleカレンダーなどと連携して、外部でリマインダーを設定するとより効果的です。

エクセルの関数やマクロの知識は必要?

必ずしも関数やマクロが必要なわけではありません。単純な資格管理表であれば、基本的なエクセル操作だけでも運用できます。ただし、資格管理を効率化したい場合は、条件付き書式や簡単な関数(IF関数、VLOOKUP関数など)を活用すると非常に便利です。マクロはさらに高度な自動化が可能ですが、運用が複雑になるため、慣れてから導入することをおすすめします。

個人情報が漏洩しないための対策は?

エクセルで資格情報を管理する際は、ファイルにパスワードを設定し、特定の担当者だけが閲覧・編集できるようにアクセス制限をかけることが重要です。また、クラウドサービスを使用する場合も、アクセス権限を細かく設定して管理するようにしましょう。社内での個人情報保護に関するルールを明確化し、担当者への教育や研修を定期的に行うことも効果的です。

エクセルから人事管理システムに切り替えるタイミングは?

エクセルでの管理が難しくなるタイミングは、社員数が増えたり、資格の種類が多岐にわたり複雑化したりしたときが一般的です。特に、資格の更新漏れやデータ入力ミスが頻繁に発生し始めたら、システム導入を検討する良いタイミングです。人事管理システムはコストがかかりますが、業務効率化や安全性の面でのメリットも多いため、費用対効果を見極めて導入を検討するとよいでしょう。

自社に合った社員の資格管理方法を検討しましょう

エクセルを活用すれば、低コストかつ効率的に社員の資格管理が実現できます。ただし、正しく運用しないと管理が煩雑になったり、情報漏洩のリスクが高まったりします。記事内で紹介した項目設定のコツや更新漏れを防ぐ工夫、クラウド活用方法などのポイントを押さえておけば、安全で確実な運用が可能です。社員が増え、管理が複雑化した場合は人事管理システム導入も検討しながら、資格管理を充実させてください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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