• 更新日 : 2025年6月2日

転職したらマイナ保険証はどうする?必要な手続きや注意点を解説!

転職する際に健康保険の手続きを正しく行わないと、思わぬ不利益を被る可能性があります。例えば、前の会社の健康保険を抜けたあと新しい保険に加入しないまま放置すると「無保険」の空白期間が生じ、その間の医療費は全額自己負担となってしまいます。

本記事では、転職した方向けに、転職時のマイナ保険証に関する手続きをわかりやすく解説します。

マイナ保険証とは

まずマイナ保険証とは何かを押さえておきましょう。マイナ保険証とは、文字通りマイナンバーカードを健康保険証として利用できる仕組みのことです。

マイナ保険証では紙やプラスチックの健康保険証の代わりに、手持ちのマイナンバーカードを医療機関の受付に提示(カードリーダーにかざす)して保険証の役割を果たします。事前に一度マイナンバーカードを保険証利用の登録さえしておけば、以後はオンラインで資格確認が行われるため、常に最新の加入状況がカードに紐付いて確認できるようになります。

転職する方にとっては、2024年12月2日以降に入社する場合は基本的に物理的な健康保険証は発行されないという点を押さえておきましょう。マイナンバーカードを取得済みで保険証利用登録をしていればスムーズですが、未取得の場合でも資格確認書が交付されますので医療機関を受診できなくなる心配はありません。

資格確認書とは、氏名や加入保険者など必要な情報を記載した証明書で、健康保険証の代替となるものです。保険者ごとに書式は異なりますが無料で交付され、当面は有効期限が設けられつつも健康保険証同様に利用できます。

従来の健康保険証との違い

マイナ保険証は従来の健康保険証と比べてどのような違いがあるのでしょうか。

最大の特徴は、転職や引っ越しで加入する医療保険が変わってもマイナンバーカードを引き続き保険証として使える点です。従来は転職のたびに新しい健康保険証の発行を待つ必要がありましたが、マイナ保険証であれば新しい保険証の到着を待たずにそのまま医療機関・薬局で利用できます。オンライン資格確認システムによって加入情報がリアルタイムに管理されるため、健康保険の資格取得手続きさえ済めばすぐにマイナンバーカードを保険証として利用開始できるのです。

また、マイナ保険証の導入によって事務手続きの効率化も期待されています。企業の人事担当者から見ると、入社時に従業員の健康保険資格取得届を提出する点は従来と変わりませんが、マイナ保険証では健康保険証を郵送で受け取る過程が省略されるため、保険証が利用可能になるまでの待ち時間が短縮できます。

さらに退職時には健康保険証の回収や紛失対応、高額療養費制度の限度額適用認定証の発行手続きといった従来必要だった対応の一部が不要になるため、実務負担の軽減につながります。

マイナ保険証は、利用者にとっても企業にとっても従来の健康保険証にはないメリットがあると言えるでしょう。

転職したらマイナ保険証について必要な手続きは?

転職に際して、マイナ保険証に関連してどのような手続きが必要になるのかを整理しましょう。ポイントは「退職時」と「入社時」の2段階です。

退職前後と新しい勤務先で、それぞれ適切な対応を行うことで、スムーズにマイナ保険証を利用し続けることができます。

退職時に行う手続き

まず前の職場を退職する際には、それまで加入していた健康保険から脱退する手続きが行われます。会社員の場合、退職日の翌日をもって会社の健康保険の資格を失いますので、通常は会社を通じて脱退手続き(資格喪失届)が進められ、健康保険証(物理カード)が交付されていた場合は会社へ返却します。

健康保険は原則として全国民いずれかに必ず加入しなければならないため、退職後は次のいずれかの対応が必要です。

転職先が決まっている場合

新しい勤務先の健康保険に加入します。基本的には転職先の会社が健康保険の加入手続きを行ってくれますが、入社日から実際に資格取得が処理されるまでに時間差がないか確認しておきましょう(多くの場合入社日付けで加入となります)。

すぐに就職しない場合

前職の健康保険を任意継続するか、お住まいの市区町村で国民健康保険に加入する手続きを自分で行います。任意継続被保険者制度を利用すれば最長2年間、退職前の健康保険に個人で加入し直すことができます。

利用する場合は退職後20日以内など期限がありますので早めに申請しましょう。国民健康保険に加入する場合も、退職後14日以内の届け出が原則です。

これらの手続きを怠ると、退職日翌日から新たに加入手続きをするまでの間は無保険となってしまいます。無保険の期間中に病気やケガで受診すると、本来保険適用で3割負担で済む医療費も全額自己負担となるため非常にリスクが高くなります。

さらに国民健康保険に未加入のままだと遡って最大2年分の保険料を請求される仕組みになっています。そうした事態を避けるためにも、転職先がない状態で退職する場合は必ず任意継続か国民健康保険の加入手続きを行い、無保険期間を作らないようにしましょう。

転職先で行う手続き

次に、新しい勤務先での手続きです。転職先が決まっている場合、入社時に会社が社会保険の加入手続きを行います。健康保険についても、会社の担当者が健康保険の資格取得届を提出し、あなたを新たな健康保険被保険者として登録してくれます。

この手続きを経て新しい健康保険に加入すると、その情報がオンライン資格確認システム上に登録されます。ここでポイントとなるのがマイナ保険証の紐付け変更です。マイナンバーカードと健康保険の紐付け登録は一度済ませておけば、転職や引っ越しによる保険者の異動があっても自動的に新しい保険情報に切り替わります。転職したからといってマイナンバーカード自体で新たな登録手続きをする必要は基本的にありません。

注意点

保険者の切り替え手続き自体は従来どおり必要であることを忘れないでください。

あくまでマイナ保険証側の紐付け変更手続きが不要になるだけで、新しい健康保険への加入手続きをしなければ保険は使えません。転職先の会社が手続きを進めてくれるとはいえ、自分自身でも加入日や保険証利用開始時期を確認しておくと安心です。

国民健康保険に加入していた人が転職し、新しい会社の健康保険に加入する場合の手続き

転職先の企業が、入社日に健康保険の資格取得届を提出し、手続きが完了すると、社会保険の被保険者として登録されます。上述したように、国のオンライン資格確認システムにより、マイナンバーカードに紐付けされた健康保険情報が自動的に更新されるため、マイナ保険証の再登録をする必要はありません。

ただ、転職先の健康保険に加入したら、14日以内に市区町村の役所で国民健康保険の脱退手続きを行う必要があります。手続きを怠ると、国民健康保険の保険料が発生し続けてしまう可能性があります。

転職したらマイナ保険証について気をつけたいポイント

転職後にマイナ保険証を利用する際、押さえておきたい注意点やスムーズに手続きを進めるためのポイントをまとめます。

無保険期間を発生させない

前述のとおり、転職時には無保険期間を作らないことが重要なポイントです。マイナ保険証は便利な仕組みですが、どんなにマイナンバーカードを持っていても、肝心の健康保険に加入していなければ保険証として機能しません。転職に伴い一時的に会社の健康保険を抜ける場合は、速やかに次の保険に加入するようにしましょう。

次の就職先が決まっていない場合は、退職前の健康保険の任意継続や国民健康保険への加入を検討します。加入手続きさえ完了すれば、マイナ保険証としても新たな保険情報に自動更新されます。

仮に手続きを忘れて無保険の状態が生じてしまった場合でも、できるだけ早く市区町村で国民健康保険の届け出を行いましょう。後からでも加入すれば、その期間の医療費について払戻し(療養費の支給申請)を受けられる可能性があります。

また、国民健康保険料は未加入期間に遡って請求されますので、早めの加入が経済的な負担を軽減します。

転職後に情報が反映されない場合の対応

転職したら、マイナ保険証の情報が正しく切り替わっているか確認することが大切です。通常はオンラインで自動更新されますが、まれに新しい健康保険の資格情報がマイナンバーに紐付けされていないケースや、前職の保険資格が残ったままになっているケースが報告されています。

こうした場合は、前の保険者(退職前の会社の健康保険組合等)または現在加入中の保険者(新しい勤務先の健康保険組合、協会けんぽ、国民健康保険など)に問い合わせ、資格喪失・取得の処理が完了しているか確認しましょう。

前職分は退職した会社の担当部署へ、現職分は現勤務先の担当部署か市区町村の国民健康保険窓口へ問い合わせるとスムーズです。自分の保険情報が正常に引き継がれていることを確認できれば、転職後も安心してマイナ保険証を利用できます。

マイナンバーカードの紛失

万一マイナンバーカードを紛失した場合は速やかにマイナンバー総合フリーダイヤル等に連絡し利用停止の手続きを行う必要がありますが、その際健康保険証としても使えなくなります。

再発行まで時間がかかる場合でも、各保険者から資格確認書を発行してもらえば医療機関で保険診療を受けることは可能です。再発行後は新しいカードで引き続き保険証利用ができますので、落ち着いて対処しましょう。

マイナンバーカードを健康保険証として使うための登録方法

マイナンバーカードを健康保険証として利用するには、事前に一度「保険証利用の登録」を行う必要があります。登録方法は複数あるため、それぞれについて解説します。

マイナポータルでオンライン申請する

パソコンやスマートフォンからマイナポータルにログインし、「保険証利用の申込」を行います。トップ画面に現在の登録状況が表示され、未登録であればそのまま登録手続きを進めることができます。

対応する医療機関・薬局の受付端末で登録する

マイナンバーカード対応のカードリーダーがある医療機関受付で、カードをかざして登録する方法です。顔認証付きカードリーダーにカードをかざすと、未登録の場合は画面が自動的に登録案内に切り替わるので、その場で手続きを完了できます。受診のついでに登録できるため手軽です。

セブン銀行のATMで登録する

セブンイレブン等に設置されているセブン銀行ATMからもマイナンバーカードの保険証利用登録が可能です。ATMの画面案内に従ってカードを読み取り、暗証番号を入力すれば登録できます。

いずれの方法でも手数料は無料で、登録は一度行えば今後転職しても継続して有効です。登録状況はマイナポータルで確認できますので、「自分が登録済みか分からない」という方は一度チェックしてみましょう。すでに登録済みであれば、転職後も特に追加の手続きなしにマイナ保険証を利用できます。

マイナンバーカードが有効期限切れになっても健康保険証として利用できる?

マイナンバーカードや電子証明書が有効期限切れになると、カードを健康保険証として利用することができません。有効期限が近い場合は早めに更新手続きを行いましょう。更新手続きは有効期限の3ヶ月前から可能で、市区町村窓口のほか郵送案内に沿って手続きできます。

仮に有効期限が切れてしまった場合でも、速やかに更新手続きを行えば新しいカード(または電子証明書)が発行され、その後は再びマイナ保険証として利用可能です。その間に受診する必要がある場合は、保険者から自動交付される資格確認書で対応できます。

資格確認書は一時的な措置と考え、なるべく早くマイナンバーカード自体の更新を完了させるようにしましょう。

まとめ

ここまで、転職時のマイナ保険証に関するポイントを解説しました。

転職に伴う保険証切り替えの手間は、マイナ保険証の普及によって確実に軽減されつつあります。最新の制度変更に注意しながら、自身の加入状況を適切に管理していけば、転職後も安心して医療サービスを受けることができます。

今後転職を控えている方や、最近転職した方はぜひ参考にしてみてください。元の保険証の返却から新しい保険への加入、マイナ保険証の活用まで、一連の手続きをしっかり押さえてスムーズに切り替えを行いましょう。


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