• 更新日 : 2026年1月29日

外国人労働者を雇用するには?費用や手順、注意点など解説

少子高齢化による人手不足が深刻化する日本において、外国人労働者の雇用は企業の存続を左右する重要な経営課題となりました。本記事では、初めて外国人を採用する人事担当者に向けて、最新の雇用手続き、採用にかかる費用相場、メリット・デメリットなどを体系的に解説します。法改正に対応した正しい知識を身につけ、リスクのない受け入れ体制を構築しましょう。

目次

外国人労働者とは?

外国人労働者とは、日本国籍を持たずに日本国内で報酬を得て働く人々のことを指します。2025年現在は、従来の「技能実習」から、長期的な就労と育成を目的とした新制度「育成就労」への移行期にあり、彼らの働き方や受け入れ条件が大きく変わろうとしています。

外国人労働者の5つの区分(厚生労働省の分類)

在留資格の性質によって、外国人労働者は大きく5種類に分類されます。

出入国管理及び難民認定法(入管法)では29種類の在留資格が定められていますが、就労が認められるのは「活動範囲が定められている資格」と「活動に制限がない資格」の2パターンのみです。これらを整理すると以下の5つになります。

区分概要と主な在留資格就労制限
1. 身分に基づき在留する者永住者、定住者、日本人の配偶者等。

日系人や永住者などが該当します。

なし

(あらゆる職種・時間で就労可)

2. 専門的・技術的分野の在留資格技術・人文知識・国際業務、高度専門職、特定技能など。

いわゆるホワイトカラーや高度な技能を持つ人材です。

あり

(許可された業務範囲のみ可)

3. 技能実習(育成就労へ移行中)技能実習(※2027年までに新制度「育成就労」へ完全移行予定)。

技能移転・人材育成を目的とした制度です。

あり

(実習計画に基づく業務のみ)

4. 特定活動ワーキングホリデー、EPA(看護・介護)、外交官の家事使用人など。

他の分類に当てはまらない活動を指定された者です。

あり

(指定書に記載された活動のみ)

5. 資格外活動留学、家族滞在。

本来は就労目的ではありませんが、許可を得てアルバイトを行う学生などが該当します。

あり

(原則週28時間以内)

このように、一口に「外国人労働者」と言っても、その背景や働ける条件は大きく異なります。自社が採用したい人材がどの区分に当てはまるのか、事前に把握しておくことが採用ミスの防止につながります。

出典:我が国で就労する外国人のカテゴリー|厚生労働省

技能実習から育成就労制度へ

「育成就労」とは、従来の技能実習制度に代わり、外国人の人材育成と人材確保を両立させるために創設された新しい在留資格制度です。

2024年の法改正により、従来の技能実習制度が抱えていた「転籍制限の厳しさ」や「国際貢献という建前と実態の乖離」といった課題が解消される方向へ進んでいます。これからの外国人労働者の受け入れにおいては、この新制度の理解が必須です。

旧制度(技能実習)と新制度(育成就労)の主な違い

項目技能実習(旧制度)育成就労(新制度)
目的国際貢献・技能移転人材育成・人材確保
転籍(転職)原則不可(やむを得ない場合のみ)一定の要件下で可能(同一業務区分など)
日本語能力入国時要件なし(一部職種除く)入国時・在留中の試験合格が要件
キャリアパス特定技能への移行が一部困難特定技能1号への円滑な移行を前提

企業は、単なる安価な労働力としてではなく、「将来的に特定技能などの資格で長く活躍してくれる人材」として育てる視点が求められます。

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日本における外国人労働者の現状は?

2024年10月末時点の日本における外国人労働者数は230万2,587人であり、前年から 25万3,912人増加しています。届出が義務化された2007年以降では、過去最高です。

出典:「外国人雇用状況」の届出状況 【概要版】 (令和6年 10月末時点) – 1 外国人労働者の状況|厚生労働省

国別の外国人労働者の推移

外国人労働者数を国籍別に見ると、最多はベトナムの57万708人(外国人労働者数全体の24.8%)で、次いで中国 40万8,805人(同17.8%)、フィリピン24万5,565 人(同10.7%)となっています。

前年からの増加率が高い国は、ミャンマー(前年比61.0%増)、インドネシア(前年比39.5%増)、スリランカ(前年比33.7%増)です。

在留資格者数が減少している国としては、ブラジル(13万6,173人、0.7%減)、G7のアメリカ(3万4,459人、 1.2%減)などがあります。

出典:別添3「外国人雇用状況」の届出状況表一覧(令和6年10月末時点)|厚生労働省

都道府県別の傾向

外国人労働者数の都道府県別の割合を見ると、上位3都府県は次のようになっています。

  • 東京 58万5,791 人 (全体の 25.4%) 〔前年 54万2,992人〕
  • 愛知 22万9,627 人 (同 10.0%) 〔同 21万159人〕
  • 大阪 17万4,699 人 (同 7.6%) 〔同 14万6,384人〕

また、外国人を雇用する事業所数の都道府県別の割合を見ると、東京が 24.1%、愛知が 7.9%、大阪が 8.2%となっています。

産業別の傾向

外国人労働者数の産業別の割合を見ると、「製造業」が 26.0%と最も多く、次いで「サービス業(他に分類されないもの)」 15.4%、「卸売業、小売業」 13.0%となっています。

出典:別添3「外国人雇用状況」の届出状況表一覧(令和6年10月末時点)|厚生労働省

外国人労働者を受け入れるメリットとは?

最大のメリットは「若年層の労働力確保」です。加えて、組織のグローバル化や社員の意識改革が進むことで、企業の競争力そのものが高まります。

深刻な人手不足の解消と若年層の確保

日本の生産年齢人口が急減する中、意欲的で体力のある20代〜30代の若手人材を確保できることが最大の利点です。

  • 採用母集団の拡大: 日本人に限定せず、世界中をターゲットにすることで、優秀な人材に出会える確率が格段に上がります。
  • 定着と意欲: 特に「特定技能」や「技人国」で来日する層は、勤労意欲が非常に高い傾向にあります。彼らの熱量は、マンネリ化した職場に良い刺激を与えます。

インバウンド対応と海外展開の足がかり

外国人社員の語学力や文化的背景は、拡大するインバウンド需要や海外市場への架け橋となります。

  • 売上アップ: 英語や中国語などが話せるスタッフがいることで、訪日観光客への接客レベルが向上し、機会損失を防ぎます。
  • 現地商習慣の理解: 海外進出において、現地の文化やニーズを肌感覚で理解している社員は、マーケティングや現地交渉の強力な戦力となります。

社内の活性化とイノベーションの創出

異なる視点を持つ人材が加わることで「同調圧力」が打破され、業務改善や新しいアイデアが生まれやすくなります。

  • 業務フローの見直し: 「なぜこの作業が必要なのか?」という素朴な疑問が、形骸化していた無駄な業務を削減するきっかけになります。
  • ダイバーシティ推進: 多様な価値観を受け入れる土壌ができることで、女性やシニアなど、外国人以外の多様な人材にとっても働きやすい環境が整います。

外国人労働者を受け入れるデメリットと課題は?

主な課題は、コミュニケーションの齟齬や生活サポート工数の増大です。これらに加え、ビザ管理などの法的リスクもコストとして見込む必要があります。

コミュニケーションの壁と文化摩擦

言語能力の問題に加え、「察する文化」と「言葉にする文化」の違いがストレスの原因になります。

  • 指示の具体化が必要: 「あうんの呼吸」は通じません。具体的かつ論理的な指示出しが必要なため、マネジメント側の負担が一時的に増えます。
  • 生活習慣の違い: 宗教上の習慣や、ゴミ出し・騒音などの生活ルールの違いが、社内外でトラブルを生む可能性があります。

採用・雇用管理にかかるコストと工数

日本人を雇用する場合に比べ、手続きの時間(リードタイム)と金銭的コストが増加します。

  • 採用期間が長い: ビザ申請などで入社まで数ヶ月かかることが多く、急な欠員補充には向きません。
  • コストと事務負担: 渡航費や支援委託費などの費用に加え、在留期限管理や入管への届出といったミスが許されない事務作業が発生します。

早期離職とキャリア観の違い

答え: 多くの外国人材にとって会社は「スキルアップの場」であり、条件次第で転職することへのハードルが低い傾向にあります。

  • ジョブホッピング:「終身雇用」の意識は薄く、僅かな給与差でも転職の動機になり得ます。
  • 帰国リスク: 円安の影響や母国の家族の事情により、本人の意思に関わらず帰国せざるを得ないケースも想定が必要です。

雇用可能な主な在留資格の種類と違いは?

就労目的の「特定技能」や身分系の「永住者」などが主な種類です。それぞれ従事できる業務範囲が厳格に定められています。

特定技能(1号・2号)

人手不足が顕著な特定の産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人が就労できる資格です。

  • 概要: 「現場作業」を含む業務が可能。「育成就労」からの移行先としても位置づけられています。
  • 対象分野(全16分野): 介護、ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、林業、木材産業、自動車運送業、鉄道。
  • 特徴: 1号は通算5年まで。2号試験に合格すれば、家族帯同や在留期限の更新制限がなくなります。

技術・人文知識・国際業務(通称:技人国)

大学等で学んだ知識を活かす「ホワイトカラー」向けの在留資格です。

  • 概要: エンジニア、プログラマー、通訳、貿易事務、デザイナー、マーケティングなどが該当します。
  • 注意点: 単純労働(工場のライン作業やホールの配膳のみなど)は認められません。学歴や職歴と、従事する業務内容に関連性が必要です。

身分系・その他の在留資格

活動内容に制限がない「身分に基づく在留資格」と、制限付きの「資格外活動」があります。

  1. 身分に基づく在留資格(永住者、定住者、日本人の配偶者等)
    • 日本人と同様に、あらゆる職種(単純労働含む)で就労可能です。就労時間の制限もありません。
  2. 資格外活動(留学生・家族滞在)
    • 本来の活動を阻害しない範囲で、週28時間以内のアルバイトが許可されます。

外国人雇用の採用コスト・費用相場はいくらかかる?

人材紹介なら年収の30〜35%、特定技能の支援費は月額2〜3万円が相場です。一般的に、日本人採用よりコストは高くなります。

採用時にかかる初期費用

求人から入社までにかかる一時的な費用です。海外から受け入れる場合は渡航費も必要です。

費目相場・目安内容
人材紹介手数料年収の30〜35%成果報酬型が一般的。
求人媒体掲載費数万〜数十万円外国人特化媒体を利用する場合。
在留資格申請費用10万〜20万円行政書士に申請代行を依頼する場合。
渡航費実費(5〜10万円)海外現地採用の場合、航空券代等を企業負担するのが通例。

雇用後に継続してかかるランニングコスト

特に「特定技能」や「育成就労」の場合、日本人の雇用管理費に加え、特有の支援コストが発生します。

費目相場・目安内容
支援委託費2万〜3万円/月・人特定技能外国人の生活支援を「登録支援機関」に委託する費用。
住居費補助2万〜4万円/月社宅や借り上げアパートの家賃補助(全額または一部)。
帰国費用積立数千円/月契約終了時の帰国旅費を確保しておくことが望ましい。
教育・翻訳費変動日本語教育やマニュアル翻訳にかかる費用。

ポイント:「特定技能」を採用する場合、自社で支援を行えば委託費は削減できますが、専門的な対応が必要なため、多くの企業は外部委託(月額2〜3万円)を選択しています。

外国人労働者を採用する具体的な手順は?

採用計画の策定から始まり、内定、在留資格の申請・変更、入社後の届出という順序で進めます。ビザ申請には1〜3ヶ月かかることもあり、余裕を持ったスケジュールが必要です。

ステップ1:募集・選考と在留カードの確認

求人を行い面接を実施します。面接時には必ず「在留カード」を確認し、現在の在留資格と期限をチェックしてください。

  • 募集方法: 外国人専門の人材紹介会社、ダイレクトリクルーティングサイト、ハローワーク、知人紹介(リファラル)など。
  • 在留カード確認:
    • 表面: 顔写真、氏名、在留資格の種類、在留期限。
    • 裏面:「資格外活動許可欄」の有無(留学生の場合)。
    • 偽造チェック: 出入国在留管理庁の「在留カード等番号失効情報照会」サイトで番号が有効か必ず確認します。

ステップ2:雇用契約の締結と労働条件通知書

内定が決まったら雇用契約を結びます。労働条件通知書は、本人が理解できる言語(母国語または英語など)で作成・交付する義務があります。

  • 重要事項: 賃金、労働時間、休日などの条件は、日本人労働者と同等以上である必要があります(差別的取扱いの禁止)。

ステップ3:在留資格認定証明書・変更許可申請

就労可能なビザを取得するための手続きです。状況により手続きが異なります。

  1. 海外から呼び寄せる場合:
    • 「在留資格認定証明書交付申請」を入管に行います。証明書が発行されたら本人に送付し、現地の日本大使館でビザ発給を受けます。
  2. 国内在住者を採用する場合(留学生からの変更など):
    • 「在留資格変更許可申請」を行います。

※申請取次行政書士に依頼することで、複雑な書類作成や入管への出頭を代行してもらえます。

ステップ4:入社後の届出(ハローワーク・年金事務所)

採用時には「外国人雇用状況届出書」をハローワークへ提出することが法律で義務付けられています。

  • 届出期限: 雇い入れの翌月末日まで。
  • 記載事項: 氏名、在留資格、在留期間、生年月日、性別、国籍など。
  • 雇用保険社会保険 日本人同様、要件を満たす場合は健康保険・厚生年金・雇用保険への加入が必須です。

外国人雇用で注意すべき法律とトラブル防止策(コンプライアンス)

答え: トラブルの多くは、労働環境や賃金の不備、在留資格の不一致が原因です。特に労働基準法違反は7割以上の事業所で指摘されているというデータがあり、極めて注意が必要です。

労働環境の整備と長時間労働の防止

日本人同様、労働基準法(36協定など)の遵守が必須です。「外国人だから厳格にしなくてよい」という認識は、行政指導や送検のリスクに直結します。

厚生労働省の「技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況(令和6年)」によると、監督指導を行った11,355事業場のうち、8,310事業場(73.2%)で労働基準関係法令違反が認められています。

主な違反内容
  • 使用する機械等の安全基準(25.0%)
  • 割増賃金の支払(15.6%)
  • 健康師団結果についての医師等からの意見聴取(14.9%)

これらは発覚すれば企業の存続に関わる重大なリスクです。日本人社員と同様、適切な勤怠管理を行ってください。

出典:労働基準監督署等が外国人技能実習生の実習実施者に対して行った令和6年の監督指導、送検等の状況を公表します|厚生労働省

安価な労働力という誤解と最低賃金

最低賃金法の適用はもちろん、同一業務を行う日本人との「同一労働同一賃金」が法律で義務付けられています。

相場観がないことに乗じて低賃金で働かせるケースは、明白な違法行為です。特定技能や育成就労においては、日本人と同等以上の報酬額でないと、そもそもビザの許可が下りません。

不法就労助長罪のリスクと回避法

知らなかったでは済まされないのが「不法就労」です。不法就労者を雇用した場合、事業主にも重い罰則が科せられます。

  • 罰則: 3年以下の懲役または300万円以下の罰金(入管法第73条の2)。
  • よくある違反ケース:
    • 留学生を週28時間を超えて働かせた(オーバーワーク)。
    • 「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で、工場の単純作業に従事させた(資格外活動)。
    • 在留期限切れに気付かず雇用を継続した(オーバーステイ)。

入社時の在留カード原本確認(裏面の資格外活動許可含む)と、在留期限管理のアラート設定を徹底してください。

外国人労働者の雇用を企業の成長につなげよう

外国人労働者の雇用は、単なる人手不足の解消手段にとどまらず、組織の多様性と競争力を高める重要な経営戦略です。成功の鍵は、2025年の最新トレンドである技能実習から育成就労への移行を正しく理解し、長期的な視点で人材育成に取り組むことにあります。

また、採用費や支援委託費を含めたコスト計画の策定や、在留資格の確認・ハローワークへの届出といった雇用手続きの徹底も欠かせません。法令遵守を前提とした受け入れ体制を整えることで、意欲ある外国人労働者は貴社の強力なパートナーとなります。まずは自社の業務内容にマッチする在留資格がどれなのか、整理することから始めてみましょう。


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