- 更新日 : 2025年12月19日
処遇改善手当とは?もらえる条件や職種、計算方法を解説
処遇改善手当は、主に福祉・介護・保育などの現場で働く職員の賃金改善を目的とした国の制度(加算)に基づいて支給される手当です。この制度により、事業所は国から加算として報酬を受け取り、その原資全額を用いて加算額以上の賃金改善を行うことが義務付けられています。
企業の人事労務担当者としては、自事業所が加算の対象となるのか、パート職員にはいくら支給すべきか、また複雑な申請手続きや計算方法について悩む場面も少なくないでしょう。
この記事では、処遇改善手当の基本的な仕組み、対象となる条件、2024年度からの変更点、具体的な手続きの流れ、制度のメリットデメリットについて、わかりやすく解説します。
目次
処遇改善手当とは?
処遇改善手当とは、介護職員や保育士など、福祉・介護・医療分野の専門職の賃金(給与)を引き上げるために設けられた手当です。これは、国が定める「処遇改善加算」を事業所が取得し、その加算を原資として職員に支払われるものです。
この制度の背景には、介護や保育の現場における人材不足があります。処遇(給与や待遇)を改善し、人材の安定的な確保と質の高い人材の定着を図ることを主な目的としています。
処遇改善手当の基本的な仕組み
処遇改善手当の原資は、国から事業所へ支払われる介護報酬や公定価格(保育)などに上乗せされる「加算」部分です。
- 事業所が要件を満たす:
事業所が、国が定めるキャリアパスの整備や職場環境の改善といった要件を満たします。 - 事業所が申請する:
要件を満たした事業所が、国や自治体に「処遇改善計画書」を提出し、加算の申請を行います。 - 加算が支給される:
申請が承認されると、事業所は提供するサービスに応じて、加算分の報酬を受け取ります。 - 職員へ還元する:
事業所は、受け取った加算の総額を原資として、加算額以上の賃金改善(基本給の上乗せ、手当、賞与など)に充てなければなりません。
この「加算額以上の賃金改善」が義務付けられている点が、この制度の大きな特徴です。
2024年度に実施された一本化とは?
2024年(令和6年)度から、介護分野においてそれまで分かれていた以下の3つの加算が、「介護職員等処遇改善加算」として一本化されました。
- 介護職員処遇改善加算
- 介護職員等特定処遇改善加算
- 介護職員等ベースアップ等支援加算
この一本化は、事業所の事務的な負担を減らし、より柔軟な賃金改善を可能にすることを目的としています。この新加算の枠組みは、2025年度(現在)も継続されています。
(参考)保育士等の処遇改善
保育分野においても、「処遇改善等加算I・II・III」といった形で、保育士やその他の職員の賃金改善のための加算制度が設けられています。
参考:「処遇改善加算」の制度が一本化(介護職員等処遇改善加算)され、加算率が引き上がります|厚生労働省
処遇改善手当をもらえる条件は?
処遇改善手当をもらえるための前提として、事業所が国の定める要件を満たしたうえで処遇改善加算を算定していること、そして職員がその事業所の定めた配分ルールに基づく支給対象となっていることが必要です。職員個人が直接申請するものではありません。
事業所が満たすべき主な要件
事業所が処遇改善加算を算定するためには、以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。
- キャリアパス要件(I~V)を満たす
職員の職位、職責、職務内容に応じた任用要件や賃金体系を整備すること。また、それに基づいた研修の実施やキャリアアップの機会を設けること。 - 職場環境等要件を満たす
賃金改善以外の職場環境の改善(例:ICTの導入による業務負担軽減、子育て支援、健康管理の強化など)に取り組むこと。 - 月額賃金改善を実施する
加算額の全額を賃金改善に使用し、一定の割合を月額賃金の引き上げに充てること。
参照:介護職員等処遇改善加算の全体像|厚生労働省
参照:介護職員の処遇改善|東京都福祉局
1. キャリアパス要件
職員のキャリアアップや昇給の仕組みを整備することを求める要件です。加算区分(I~V)は5つに分類されています。
| 要件名 | 概要 |
|---|---|
| キャリアパス要件 I | 職位、職責、職務内容に応じた任用要件と賃金体系を定め、就業規則等の書面で整備し周知する(10人未満の事業場は内規も可)。 |
| キャリアパス要件 II | 職員と意見交換の上、資質向上の目標と具体的計画(研修、資格取得支援等)を策定し周知する。 |
| キャリアパス要件 III | 「経験」「資格」「評価」いずれかに応じた昇給の処遇改善の仕組みを設け、周知(手当・賞与も可)。全介護職員(非常勤含む)が対象となり得る仕組みであること。 |
| キャリアパス要件 IV | 経験・技能のある介護職員1名以上が、改善後年額440万円以上である。 |
| キャリアパス要件 V | 要件 Iを満たし、介護福祉士等を一定割合以上配置するなど、サービス提供体制を強化する。 |
参考:「処遇改善加算」の制度が一本化(介護職員等処遇改善加算)され、加算率が引き上がります|厚生労働省
2. 月額賃金改善要件
加算額の一部を、月々の給与(基本給または毎月決まって支払われる手当)の改善に充てる要件です。
| 要件名 | 概要 |
|---|---|
| 月額賃金改善要件 I | (加算I~IV)加算IVの加算額の1/2以上を、基本給または月々の手当の改善に充当。 |
| 月額賃金改善要件 II | (2025年度新規算定等)旧ベースアップ等加算相当額の2/3以上を、基本給等の新規引き上げに充当。 |
3. 職場環境等要件
職場環境等要件は、賃金以外で職員が働きやすい環境に改善する取り組みで、事業所の取り組み状況に応じてI~IVの4段階に分かれています。
以下に示す6つの「区分」それぞれにおいて、定められた数の取り組みを実施することが求められます。
| 区分 | 取り組みの例 |
|---|---|
| 1. 入職促進に向けた取り組み | 経営理念の明確化、他産業からの転職者等の幅広い採用 |
| 2. 資質の向上やキャリアアップ | 研修支援(実務者研修、マネジメント研修等)、キャリア面談の実施 |
| 3. 両立支援・多様な働き方 | 子育て・介護との両立支援、短時間正規職員制度の導入 |
| 4. 腰痛を含む心身の健康管理 | 健康診断・ストレスチェックの実施、腰痛対策の研修 |
| 5. 生産性向上のための業務改善 | ICT機器(介護ソフト、タブレット等)の導入、業務手順書の作成 |
| 6. やりがい・働きがいの醸成 | 職場内コミュニケーションの円滑化、ケアの好事例の共有 |
介護職員等処遇改善加算 I・II:
6つの区分ごとにそれぞれ2つ以上の取り組みを実施し、そのうち生産性向上の区分では3つ以上(必須項目を含む)取り組みが必要です。また、情報公表システム等で実施した取り組み内容を具体的に公表する義務があります。
介護職員等処遇改善加算 III・IV:
6つの区分すべてについて2つ以上の取り組みを行い、生産性向上区分では2つ以上の取り組みが必要です。公表義務はありません。
対象となる主な職種・職員の条件(介護・保育・看護)
事業所が加算を取得している場合、どの職員に配分するかは事業所の裁量に委ねられていますが、一定のルールがあります。
介護職員
訪問介護員、介護福祉士、ケアワーカーなど、直接介護に携わる職員が主な対象です。2024年度の一本化により、事務職や調理員などにも事業所の判断で柔軟に配分できる仕組みが整備されましたが、介護職員への重点的な賃金改善が前提となります。
保育士
保育園や認定こども園などで働く保育士が主な対象です。また、園長や主任保育士、栄養士、調理員なども処遇改善等加算の対象となる場合があります。
看護師
過去には看護師を対象とした処遇改善補助がありましたが、2025年現在は新規の実施はありません。ただし、一部の病院では診療報酬による対応(ベア)に移行していたり、介護施設などで看護師として働いている場合は、介護職員等処遇改善加算の配分対象に含まれたりする場合があります。
職員の対象範囲
| 対象 | 含まれるか | 詳細 |
|---|---|---|
| 介護職員 | ◎ 対象 | 介護職員への配分が基本。 |
| 経験・技能のある職員 | ◎ 対象 | 経験・技能のある介護職員へ重点的に配分。 |
| 介護職員以外の職種 (看護師、事務職、調理員など) | ○ 対象 | 2024年度一本化により、事業所の判断で柔軟に配分可能。 |
| 年収440万円以上の職員 | ○ 対象 | 旧制度の年収制限撤廃。賃金改善前の年収440万円以上でも対象可。 |
| 派遣労働者 | ○ 対象 | 対象可能。派遣元と協議し、派遣料上乗せ分を派遣職員の給与に反映。 |
| 出向者・業務委託職員 | ○ 対象 | 派遣労働者と同様の考え方で対象可。 |
| EPA・技能実習生など | ○ 対象 | EPA介護福祉士候補者、技能実習生、特定技能外国人も対象。 |
| 法人本部の職員 | △ 条件による | 加算対象事業所の業務兼務など、実態により対象可。 |
| 加算を取得していない事業所の職員 | ✕ 対象外 | 加算未取得の事業所や、介護保険外サービスのみに従事する職員は対象外。 |
参照:介護職員等処遇改善加算に関するQ&A(第2版)|厚生労働省
事業所によって対象範囲が異なる場合
処遇改善加算をどの職員に、いくら配分するかの最終的なルールは、各事業所に委ねられています。
そのため、同じ職種であっても「A事業所では手当がもらえるが、B事業所ではもらえない」といったケースや、事業所内で「介護職員は対象だが、事務職員は対象外」といったルールの違いが生じることがあります。
処遇改善手当はいくらもらえる?
処遇改善手当の支給額は、勤務先の事業所が取得している加算の段階(新加算ではI~IVの区分)や、職員個人の勤続年数、保有資格、役職などによって異なります。
支給額の決まり方
支給額は、主に以下の要素をふまえて事業所が決定します。
- 事業所が取得している加算区分:
加算の区分が高いほど、事業所が受け取る加算総額が大きくなるため、職員への配分額も多くなる傾向があります。 - 事業所内の配分ルール:
事業所は、「勤続年数」「資格(介護福祉士など)」「役職」「業務内容」などを評価し、職員ごとに傾斜をつけて配分するルールを定めているのが一般的です。 - 個人の勤務状況:
パート職員などの場合は、勤務時間数(常勤換算)に応じて支給額が変動することが多いです。
支給方法(基本給への上乗せ・手当・賞与)
処遇改善手当の支給方法は事業所によって異なり、主に以下の3つのパターンがあります。
- 月々の手当として支給:
「処遇改善手当」や「賃金改善手当」といった名目で、毎月の給与に上乗せされます。 - 賞与(ボーナス)や一時金として支給:
年2回や年3回、あるいは年度末にまとめて支給されるケースです。 - 基本給(ベースアップ)への上乗せ:
基本給そのものを引き上げる形で還元されるケースもあります。
どの方法で支給するかは、事業所が作成する「処遇改善計画書」において定められています。
処遇改善手当の支給日はいつ?
処遇改善手当の支給日も事業所の規定によります。
- 月々の手当として支給される場合:
通常の給与支給日(例:毎月25日)に、給与と合算して支払われます。 - 賞与や一時金として支給される場合:
事業所が定める賞与支給日(例:7月と12月)や、年度末(例:3月)などに支払われることが一般的です。
パートや非常勤でも処遇改善手当はもらえる?
勤務先の事業所が処遇改善加算を取得していれば、パートやアルバイト、非常勤職員も処遇改善手当の支給対象となることが一般的です。
この制度は雇用形態(正社員、パート、非常勤など)によって対象を限定するものではありません。
パート・非常勤職員への支給ルール
正社員と同様に、パートや非常勤職員も賃金改善の対象となります。ただし、その配分方法は事業所の裁量に任されています。
一般的には、勤務時間や勤続年数、保有資格、役職などに応じて、正社員とは異なる計算基準で支給額が決定されることが多いでしょう。たとえば、「常勤換算の勤務時間に応じて配分する」「資格の有無で単価を変える」といったルールが考えられます。
「処遇改善手当がもらえない」主なケース
「処遇改善手当がもらえない」という場合、以下のような理由が考えられます。
- 事業所が加算を取得していない:
事業所が要件を満たせない、あるいは申請手続きを行っていない場合、手当の原資がありません。 - 加算の対象職種ではない:
介護事業所であっても、たとえば送迎のみで介護業務に従事しない場合などは、事業所のルールで対象外とされているケースもあります。 - 事業所の配分ルールで対象外となっている:
法律上は配分可能であっても、事業所が独自のルールを設け、「経験年数が一定未満の者には配分しない」などと定めている場合もあります。(ただし、公平性の観点から望ましいとはいえません)
ご自身の事業所が加算を取得しているか不明な場合や、支給に疑問がある場合は、雇用契約書や就業規則(賃金規程)を確認するか、事業所の人事・労務担当者に確認してみましょう。
処遇改善手当の支給で事業所が注意すべき点は?
処遇改善加算を運用する事業所が注意すべきことは、特に加算として受け取った総額を、全額、職員の賃金改善に充てなければならない点です。
加算の趣旨を正しく理解し、手続きを行いましょう。
賃金改善への全額充当の義務
受け取った加算の総額を、賃金改善以外の目的(例:事業所の設備投資、備品購入、経営者の役員報酬など)に使うことは一切認められていません。
添付資料にもあるとおり、これは事業所に課された義務です。加算の財源を賃金改善に充てなかった場合、不正受給とみなされ、加算金の返還や指定の取り消しといった厳しい処分を受ける可能性があります。
また、処遇改善手当の支給を理由に、既存の基本給や他の手当(夜勤手当など)を引き下げることは、原則として認められません。あくまで「新たな賃金改善」である必要があります。
計画書の作成・提出と実績報告の義務
事業所は、加算を取得するために、事前に「処遇改善計画書」を作成し、管轄の自治体(都道府県や市区町村)に提出する必要があります。
この計画書では、
- 誰に(対象職種)
- どのような方法(手当、賞与、ベースアップ)で
- いくら配分するか
といった賃金改善の方針を明確にします。
さらに、年度が終了した後には、計画どおりに賃金改善を実施したことを証明する「実績報告書」を提出しなくてはなりません。これらの書類作成と管理は、担当者にとって負担の大きな業務となるため、早めの準備が重要です。
職員への周知義務
事業所は、処遇改善加算の取得状況や、自事業所における配分ルール(賃金改善の方法)について、就業規則や賃金規程に明記し、職員に対して周知する義務があります。
職員から手当の内容について質問があった場合に、きちんと説明できるように準備しておくことが求められます。
処遇改善手当(加算)の手続き方法は?
事業所が処遇改善加算を新たに取得、または継続して受けるには、キャリアパス要件や職場環境等要件を満たした上で、自治体へ「処遇改善計画書」を提出し、承認を受ける必要があります。提出期限までに必要書類を整え、自治体の確認を経て加算が適用される流れです。
処遇改善手当(加算)の手続きの流れ
STEP1:要件の確認(キャリアパス・職場環境)
まず、自事業所が加算の取得要件を満たしているかを確認します。
- 職員のキャリアパス(昇進・昇給の仕組み)が整備され、就業規則等に明記されているか。
- 職員向けの研修計画が立てられ、実施されているか。
- 職場環境の改善(ICT導入、有給休暇取得促進など)に取り組んでいるか。
STEP2:処遇改善計画書の作成
要件を満たしている(または満たす見込みである)ことを確認したら、賃金改善の計画書を作成します。
- 加算見込額(どの加算区分を申請するか)を試算します。
- 加算額を「誰に(対象職種)」「いつ(支給時期)」「どのように(手当・賞与等)」配分するかの具体的なルールを策定します。
- これらの内容を、自治体が指定する「処遇改善計画書」の様式に記入します。
STEP3:自治体への申請・提出
作成した計画書を、指定された期限(例:加算を取得したい月の前々月末まで)に、管轄の自治体(都道府県や市区町村の介護保険課、保育課など)に提出します。
提出方法は、電子申請システムや郵送など、自治体によって異なります。
STEP4:職員への支給と実績報告
自治体から承認が下り、加算の算定が開始されたら、計画書に基づいて職員への賃金改善(手当の支給など)を実行します。
そして、計画期間(通常は年度末)が終了した後、指定された期限まで(例:翌年度の7月末まで)に、「処遇改善実績報告書」を作成し、自治体に提出します。この報告書で、計画どおりに加算総額以上の賃金改善を行ったことを証明します。
必要な主な申請書類(計画書・報告書)
処遇改善の手続きには主に以下の2つの書類が必要です。
- (介護職員等)処遇改善計画書:
「この年度、どの加算区分を取得し、いくらの加算を見込み、それをどのようなルールで職員に配分するか」という計画を示す書類です。 - (介護職員等)処遇改善実績報告書:
「計画どおり、実際いくらの加算収入があり、それを上回る賃金改善を職員に実施しました」という実績を報告する書類です。
書類の様式はどこで入手する?
これらの申請書類(計画書・報告書)の様式は、厚生労働省のウェブサイトや自治体で公開されています。自治体によっては、独自の記入例や説明会資料を公開している場合も多いため、必ず最新の情報を確認しましょう。
ダウンロード先:令和7年度の申請方法・申請様式|厚生労働省
処遇改善手当のメリット・デメリットは?
処遇改善加算制度は、介護や保育の現場で働く人々と、それらの事業所を運営する法人にとって、それぞれメリットとデメリット(負担)があります。
職員側のメリットとデメリット
処遇改善手当の職員側のメリットは、制度の目的にあるとおり、基本給、手当、賞与などの形で賃金(給与)が上乗せされることです。一方でデメリットとしては、この手当は事業所が国の要件を満たし、加算を申請・取得して初めて支給されるため、勤務先が制度を利用しなければ職員は一切もらえません。また、加算額を「誰に・いくら」配分するかの最終的なルールは事業所に委ねられているため、必ずしも期待どおりの金額が支給されるとは限らない点も挙げられます。
事業所側のメリットとデメリット
処遇改善手当の事業所側のメリットは、賃金水準の向上によって採用活動でのアピールポイントとなり、既存職員の離職防止にもつながるなど、人材の確保・定着が期待できる点です。また、職員の意欲や満足度が向上し、サービスの質の向上に寄与する可能性もあります。
一方でデメリットとして、事務負担が非常に大きいことが挙げられます。加算を取得するためには、毎年「処遇改善計画書」を作成・提出し、年度末には「実績報告書」を提出する必要があります。また、受け取った加算総額は、設備投資などには一切使えず、全額を賃金改善に充てる義務があります。もし実績報告で賃金改善額が加算額を下回った場合は、不正受給とみなされ加算金を返還するリスクも伴います。さらに、この手当の支給を理由に既存の基本給や他の手当を引き下げることは原則認められず、加算の取得状況や配分ルールを全職員に周知する義務も負います。
処遇改善手当の仕組みを理解し、適切な運用を
処遇改善手当は、介護や保育といった社会を支える重要な現場で働く方々の賃金を改善し、人材を確保・定着させるための重要な制度です。事業所が国から加算を受け、それを原資として職員に還元する仕組みとなっています。
2024年度からは介護分野で複数の加算が一本化され、事務負担の軽減や、より柔軟な配分が可能になることが期待されています。
支給対象は事業所の方針にもよりますが、雇用形態にかかわらずパートや非常勤職員も含まれることが一般的です。経営者や人事・労務の担当者としては、自事業所が「もらえる条件」を満たすために必要な要件(キャリアパスの整備など)を確認し、加算の申請・報告、そして職員への公正で適切な配分を正しく行うことが求められます。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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