- 更新日 : 2026年2月16日
エンジェル投資とは?やり方やマッチング方法、成功例、節税措置などを徹底解説
個人が創業初期の企業に私財を投じて株式を取得し、将来の売却益(キャピタルゲイン)を狙う投資活動です。
- 株式投資型CFの普及で一般個人も数万円から参画可能
- IPOやM&Aを通じ、出資額の数十〜数百倍の利益を目指す
- エンジェル税制の活用により、投資額を所得から直接控除できる
初心者が倒産リスクを抑えるためには、1社に集中せず10〜20社程度へ分散投資を行うことが不可欠です。
エンジェル投資は、創業間もないスタートアップ企業を個人で支援し、将来的な大きなリターンを目指す仕組みです。かつては富裕層限定の投資手法でしたが、近年は株式投資型クラウドファンディング(ECF)の普及により、一般の個人投資家でも数万円から十数万円という少額で未上場株式へ出資できるようになりました。
本記事では、エンジェル投資の基礎知識から具体的な始め方、成功例、エンジェル税制までわかりやすく解説します。
目次
エンジェル投資とは?
エンジェル投資とは、主にシード期やアーリー期と呼ばれる創業初期のベンチャー企業に対し、個人が直接資金(シードマネー)を提供し、その対価として株式や新株予約権を取得する投資形態です。
エンジェル投資の語源は?
もともとはブロードウェイの演劇界において、資金難の公演を救った個人スポンサーを「エンジェル」と呼んだことが由来です。倒産リスクが高い創業期の企業に対し、リスクを承知で資金提供を行う姿勢が、まさに「救世主」のように見えることから、現在のスタートアップ投資でもこの名称が使われています。
エンジェル投資の対象・目的は?
エンジェル投資の主な対象は、実績が少なく信用力等から銀行融資を受けることが困難な「シード期」「アーリー期」のスタートアップ企業です。
投資家は単なる資金提供だけでなく、元経営者としての知見や人脈を提供し、伴走者として企業価値を高める役割も担います。最終的には、将来的な新規上場(IPO)や企業買収(M&A)による株式売却益(キャピタルゲイン)の獲得を目指します。
ベンチャーキャピタル(VC)との違いは?
エンジェル投資は個人の資産を投じるのに対し、ベンチャーキャピタル(VC)は外部の投資家から集めたファンド資金を運用するという点が大きな違いです。
個人による出資は、VCよりも意思決定が迅速で、投資家自身の経験を活かしたハンズオン(経営参画)支援が行われる傾向にあります。また、出資額の規模もVCよりは小規模になるのが一般的です。
| 項目 | エンジェル投資 | ベンチャーキャピタル(VC) |
|---|---|---|
| 出資元 | 個人の自己資産 | 外部投資家から集めたファンド資金 |
| 意思決定 | 投資家本人が迅速に行う | 組織内の審査プロセスが必要 |
| 出資規模 | 小規模〜中規模が一般的 | 大規模な出資が中心 |
| 支援内容 | 投資家の個性を活かしたハンズオン支援 | 組織的な経営支援・ネットワーク提供 |
エンジェル投資の成功事例は?
歴史的な成功例を知ることで、エンジェル投資のポテンシャルをイメージしやすくなります。ただし、これらは極めて例外的な成功事例であり、多くのエンジェル投資では投資回収に至らないケースが大半である点に留意が必要です。
- 世界的な事例:AmazonやGoogleの初期段階に数千ドルの投資をした個人投資家が、後に数千億円規模の資産を築いた例が有名です。
- 国内の事例:メルカリやラクスルといった著名スタートアップを初期から支えたエンジェル投資家たちが、日本の起業エコシステムの発展に大きく寄与しています。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
続いてこちらのセクションでは、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気のガイドを簡単に紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
補助金をまるっと理解!会社設立時の補助金ガイド
補助金の概要や各制度の内容に加え、会社設立直後の企業でも使いやすい補助金や実際の活用事例などについてまとめました。
「使えたのに知らなかった!申請が漏れてた!」といったことを防ぐためにも、会社設立時の資金調達方法の一つとしてお役立てください。
事業計画書完全ガイド
事業計画書を作成するメリットや記載すべき項目、数値計画、具体的な作成ポイントなど、実用的な計画書作成のコツをまとめました。
資金調達を検討されている方・事業を始めようとしている方に多くダウンロードいただいておりますので、ぜひお気軽にご利用ください。
起業家1,040人への調査でひも解く!先輩起業家が一番困ったことガイド
マネーフォワード クラウド会社設立では、会社設立の経験がある方1,040名に対して、会社設立に関する調査を実施しました。
先輩起業家が悩んだ部分や、どのように会社設立を行ったかを、定量的に分析していますので、ぜひご活用ください。
会社設立時に決めることチェックリスト
「会社設立時に決めることチェックリスト」では、会社設立の基本事項や、株式会社・合同会社別の決めることチェックリストなどを、1冊にまとめています。
図解でカンタンにまとめており、完全無料でダウンロードいただけます。
エンジェル投資のメリット・デメリットは?
エンジェル投資はハイリスク・ハイリターンの投資であり、金銭的な利益に加えて社会貢献や知的好奇心の充足といった側面も持ち合わせています。投資を検討する際は、以下のメリットとリスクを正しく理解しておく必要があります。
| 項目 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 収益性 | EXIT(IPO/M&A)時に数十倍〜数百倍の利益 | 企業の倒産により投資額がゼロになる可能性が高い |
| 流動性 | 早期から有望な企業の株主になれる | 未上場株式のため、好きな時に売却できない |
| 税制 | エンジェル税制による所得税の優遇措置 | 損益通算の範囲が限られている |
| 経験 | 経営への参画や人脈構築、最新ビジネスへの接触 | 経営トラブルに巻き込まれるリスク |
投資した企業が倒産した場合、全額を失うリスクを覚悟しなければなりません。また、リターンを得られる出口(EXIT)にたどり着くまでは、通常5年から10年以上という長い年月がかかるため、余剰資金かつ長期的な視点での運用が必須です。
エンジェル投資家になるための具体的なステップは?
エンジェル投資を成功させるには、適切なポートフォリオ計画から出口(EXIT)までの流れを理解し、自分に合ったマッチング手法を選択することが不可欠です。
1. 投資方針と予算の決定
まずは余剰資金をベースに、どの業種へ年間いくら投資するかを計画します。エンジェル投資は1社に集中させるのではなく、10〜20社程度に分散投資することがリスクヘッジの鉄則です。企業の倒産リスクを考慮し、必ず生活に影響のない範囲の資金で運用しましょう。
2. 投資先企業の開拓
自分に合った投資案件を見つけるには、オンラインプラットフォームや専門コミュニティを有効活用するのが最短ルートです。主な手法として以下の3つが挙げられます。
- 株式投資型クラウドファンディング:1社あたり数十万円という少額から始めたい初心者におすすめです。プロの審査を通過した案件が掲載されており、手続きもオンラインで完結します。近年は発行体の上限額引き上げ(1億円から5億円へ)や、個人投資家の投資上限の緩和も進んでいます。
- ピッチイベント・投資家ネットワーク:起業家の登壇イベントに参加し、直接コミュニケーションを取る方法です。
- 大手証券会社の提携サービス:現状、証券口座から直接未上場株を購入することはできませんが、SBIグループなどはECF運営企業と提携しており、間接的なアクセスが可能です。
3. デューデリジェンス(投資判断)
気になった企業に対し、事業計画の実現性、市場の成長性、経営者の資質などを詳しく調査・検討します。
個人で行う場合は、財務諸表のチェックだけでなく、起業家との面談を通じて信頼できる人物かを判断する定性的な評価が非常に重要になります。
4. 投資実行と契約
投資条件を交渉し、投資契約書を締結して資金を振り込みます。
この際、株式数や一株あたりの価格(バリュエーション)、将来の優先株式の取り扱いなどを明確にします。クラウドファンディング経由の場合は、プラットフォーム側が定型化した契約手続きを代行してくれます。
5. 継続的な支援とEXIT
出資後は、必要に応じてアドバイスや人脈紹介を行い、企業価値の向上を支援します。
数年から十数年後、企業が上場(IPO)したり他社に買収(M&A)されたりすることで、初めて利益が確定し、投資回収が可能となります。
節税効果が高いエンジェル税制の仕組みは?
エンジェル税制とは、一定の要件を満たした中小ベンチャー企業への投資を促進するために、投資時点や売却時点で所得税の優遇が受けられる日本の税制上の制度です。
投資した年に受けられる優遇措置
エンジェル税制には、投資した金額をその年の総所得金額から控除できる優遇措置Aと、株式譲渡益から控除できる優遇措置Bがあります。
- 優遇措置A: 設立5年未満の経済産業大臣の確認を受けた企業への投資が対象。寄付金控除と同様の仕組みで、所得税額を直接的に圧縮できます。
- 優遇措置B: 設立10年未満の企業への投資が対象。その年の他の株式譲渡益から投資額を差し引くことができます。ただし、制度の適用には、企業・投資家双方に要件があるため、事前確認が不可欠です。
損失が出た場合の繰越控除
もし投資した企業が倒産し、株式の価値がゼロになってしまった場合、その損失を翌年以降3年間にわたって他の株式譲渡益と相殺(損益通算)できます。これにより、エンジェル投資の高い失敗リスクを税制面でカバーすることが可能となっています。
未上場企業への出資を成功させるために
エンジェル投資は、単なる資産運用を超え、起業家と共に夢を追うエキサイティングな活動です。一方で、スタートアップ投資には高い専門性とリスク管理が求められるため、最初は少額から始められるクラウドファンディングなどを活用し、少しずつ経験を積むのが賢明です。
エンジェル税制などの優遇制度を正しく理解し、分散投資を徹底することで、リスクを抑えながら次世代のユニコーン企業を支援する醍醐味を味わってみてください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会社設立の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
債券発行による資金調達の方法は?メリットや流れなどをわかりやすく解説
債券発行は、企業が銀行融資に依存せず、投資家から直接資金を調達できる手段の一つです。本記事では、債券発行の仕組みや、公募債と私募債の違い、発行の流れ、メリット・デメリットを解説しま…
詳しくみる飲食業の資金調達方法は?自己資金の目安や融資を成功させるコツを解説
飲食業で資金調達をする方法には、融資やクラウドファンディング、個人的な借入や助成金・補助金の活用などがあります。本記事では、飲食業が資金調達をする方法を紹介し、融資を受ける際のポイ…
詳しくみる開業の創業融資にプロパー融資は難しい?メリット・デメリット、審査基準を解説
プロパー融資は、銀行が独自に審査し保証なしで貸し出す融資です。信用力が重視されるため創業期の活用は難しいものの、事業が安定すれば有力な選択肢となります。本記事では、プロパー融資の特…
詳しくみる女性の起業で創業融資を受けるには?有利な支援制度や自己資金の条件を解説
女性の起業で創業融資を成功させるには、有利な支援制度の活用と、自己資金や事業計画の準備が大切です。とくに女性向けの制度は金利などの条件が有利な場合もあり、知っているかどうかで資金計…
詳しくみる子会社の資金調達方法は?親会社からの出資や融資、利益供与を解説
子会社の資金調達は、親会社からの出資や融資、外部金融機関からの借入、株式上場(IPO)など、企業の状況に応じて多様な選択肢があります。それぞれの方法にはメリット・デメリットがあり、…
詳しくみる日本政策金融公庫の面談は厳しい?質問内容や対策・準備を解説
日本政策金融公庫から融資を受けるためには、提出書類だけでなく「面談」が審査のポイントとなります。決算書などの実績がない創業者にとって、面談は自身の人物像や事業の信頼性を直接アピール…
詳しくみる


