- 更新日 : 2023年12月5日
歯科経営の実態は?平均年収や経営状況も解説!
歯科経営は、昨今と比べて変化しているといわれています。歯科経営の現状は厳しいのでしょうか。歯科経営の実態、歯科医院経営者の年収の目安、歯科経営成功のためのポイントについて紹介していきます。
目次
歯科経営は厳しい?歯科経営の実態
歯科経営を始めるにあたって、その実態を知っておくことは重要です。歯科経営を取り巻く環境はどのように変化してきているのか、関連するデータから歯科経営の現状や実態について解説します。
歯科経営の倒産数は?
帝国データバンクの調査によると、休廃業または解散した歯科医院の数は、2019年は75件、2020年は83件、2021年は84件に上ることがわかりました。
歯科経営は小規模の事業体も多いことから、規模が大きい病院の休廃業・解散件数(毎年10~30件程度)と比べると、やや休廃業や解散数が多いことがわかります。
なお、全国の歯科医院の数は今やコンビニエンスストアの店舗数よりも多いとされており、競争の加速化が見込まれることから、将来的にさらに休廃業や解散が増えるという予想もあります。
参考:特別企画:医療機関の休廃業・解散動向調査(2021年)|株式会社 帝国データバンク
大型医院と小規模医院の二極化が進む
歯科業界では、ユニット数が多く、より多くの患者を受け入れられる大型医院が増収傾向にある一方で、ユニット数が少ない小規模医院は減収傾向にある二極化が進んでいるといわれています。
歯科医院の地域差も顕著です。『令和4年版厚生労働白書』によると、人口10万人あたりの歯科医院(診療所)の数は東京都が最も多く、最も少ない島根県とでは約2倍の開きがあり、無歯科医地区が存在する地域もあります。
う蝕治療・歯周病治療は減少傾向?
歯科2大疾患とされるのが、う蝕(むし歯)と歯周病です。歯科治療といえば、以前はう蝕や歯周病が多かったものの、近年は治療のあり方が変化してきています。
学校歯科検診制度を含め、歯科業界でのう蝕予防への取り組みもあり、若年層を中心にう蝕が減少しています。厚生労働省『令和4年歯科疾患実態調査結果の概要』の調査によると、49歳以下の年代についてはう蝕を持つ人が大幅に減少していることがわかりました。
歯周病についても同じような傾向が見られます。高齢者の罹患(りかん)割合は高いものの、同時に20歯以上を有する高齢者の割合が増えていることもあり、口腔ケアの指導を含めニーズにも変化が見られるようになってきました。
参考:令和4年歯科疾患実態調査結果の概要|厚生労働省
参考:歯周病罹患の現状と対策について|厚生労働省
歯科医師の事業承継の実態
歯科医院の経営者は60代も多く、将来的に歯科医院の承継先が未定となっているケースも多いといわれています。
歯科医院を新規開業するケースもありますが、土地や建物、医療機器など多額の投資が必要です。
その点、既存の歯科医院を承継すれば少ない投資で経営ができます。以前は親子や親族間の事業承継が多くを占めていましたが、コンサルティング会社のあっせんなどによる第三者への承継も活性化しています。
歯科経営者の平均年収は?
厚生労働省の『第23回(令和3年実施)医療経済実態調査(医療機関等調査))によると、個人開業している歯科医院(歯科診療所)の収益から医業・介護費用を差し引いた損益差額は、約1,420万円になることがわかりました。個人の場合、損益差額が歯科経営者の所得となりますので、平均年収は1,400万円程度になることがわかります。
医療法人の場合、経営者個人の平均年収は同調査では明らかになりませんでしたが、一般的に規模が大きいほど稼ぐ能力も高くなる傾向のため、さらに高い年収になる可能性もあります。
参考:第23回(令和3年実施)医療経済実態調査(医療機関等調査)|厚生労働省
歯科診療所(歯科医院)の経営状況
近年における歯科医院の経営状況は、新型コロナウイルス感染症が拡大した時期と比べて改善傾向にあります。新型コロナの警戒が解け、患者数が戻ってきたことが理由です。2022年においては増収・増益できた歯科医院が多く見られました。
しかし、コロナ禍からの回復で増収・増益があったとはいえ、今後、このような影響は少なくなってきます。2022年の傾向だけで歯科医院の経営状況は明るいとはいえないでしょう。
今後は歯科医院を受診する人の減少、通院が困難な患者の増加、歯科医師の需給バランス、などの複数の課題が顕著になってくると見込まれます。このような問題に対処して歯科経営できるかどうかも重要なポイントです。
参考:歯科経営情報レポート2023.6|税理士法人森田会計事務所
参考:2040年を見据えた歯科ビジョン|日本歯科医師会
歯科経営を成功させるポイント
歯科業界を取り巻く環境が変化する中、歯科経営を成功させるにはどういった点を重視するとよいのでしょうか。歯科経営を成功させるための6つのポイントを取り上げます。
方向性を固め戦略的に展開する
競合が多い中で歯科経営を成功させるには、方向性をしっかり固め、戦略的に展開していくことも重要です。
まず、予防歯科を充実させたいのか、審美歯科に重点を置きたいのか、新しい治療法を売りにしたいのかなど、競合の分析も踏まえつつ、基本的な方向性を固めていきましょう。また、ターゲット層の絞り込みも有効です。
診療圏調査を怠らない
診療圏調査とは、歯科医院を開業した場合、どの範囲が診療圏となって、診療圏内にどのくらいの歯科医院が存在し、どのくらいの来院が見込めるのかを調べることです。
競合が乱立するような立地を避けて開業場所を決める場合などに行う調査ですが、開業後も定期的に診療圏調査を実施することは環境の変化を把握するためにも有効です。
地域の実情に合わせて、半径500~1,000メートルほどの診療圏マップを作成し、診療圏内の人口動向はどうか、診療圏内に競合はどのくらい存在するかなど、定期的に調査を実施して患者層の変化に対応できるようにしておきましょう。
歯科衛生士の確保
歯科衛生士は、歯科指導や歯科診療補助など、歯科医師を補助する医療行為が行える有資格者です。似た職種として歯科助手がありますが、歯科助手は法的な資格を有していないことから、医療行為は行えません。
歯科経営を成功させるには、医療行為に携われる歯科衛生士を確保する必要があります。歯科衛生士は年々増えているとされていますが、歯科医院も増加傾向にあるため、場所によっては歯科衛生士獲得競争が起こることもあります。
歯科衛生士の定期昇給の改善や教育研修の実施、福利厚生の充実などの待遇改善などにより人材を確保するための環境を整えていくことも重要です。
広報活動を工夫する
コンビニエンスストアの数よりも多いといわれる歯科医院において、より多くの人に利用してもらえるようにするには、広報活動が成功のカギを握ります。
広報の手段としては、新聞や電話帳広告のほか、地域開催のイベントへの参加、ホームページの作成、ブログの発信、メディア出演、SNSの利用などが考えられるでしょう。診療圏に多い患者層を踏まえ、どの広報戦略が有効か検討する必要があります。
なお、広告を打ち出す場合は、医療広告ガイドラインに沿った内容であることが求められます。虚偽の広告や公序良俗に反する広告の禁止をはじめ、説明のない術前・術後の写真掲載、歯科医院や歯科医が特定できないような広告は規制されますので、医療広告ガイドラインについても事前に確認しておきましょう。
リピートを強化する
新規患者の開拓も重要ですが、メンテナンス(定期検診・クリーニングなど)のために何度も利用してもらう仕組みであれば歯科経営は安定します。リピートしてもらえるような仕組みづくりを考えていきましょう。
例えば、メンテナンスの重要性をしっかり伝える、検査特典や次回のメンテナンスのお知らせを行うなどのリピート対策があります。新規開拓には、紹介カードの発行なども有効でしょう。
システム導入による効率化・自動化
診療の効率化を図るシステムを導入することにより、ミスの減少や情報管理の強化、患者の待ち時間の軽減にもつながります。予約システムであれば、予約忘れの防止や予約状況の確認も容易になるでしょう。
歯科医院で効率よく売り上げを上げていくには、システム導入で自動化や業務の効率化を図ることも必要です。
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こちらから自由にお使いいただけるので、ぜひご活用ください。
歯科経営の現状を知って開業しよう
歯科経営を取り巻く環境は変化してきています。予防歯科の充実、高齢化などの影響もあり、今後も変化が見込まれる業界です。歯科経営を始める前に現状をよく理解して、将来的な変化にも対応できるような環境づくりを目指しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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