• 作成日 : 2025年12月24日

コストコ再販店は儲かる?利益率の仕組みから開業費用・始め方まで徹底解説

近年、街中で「コストコ再販店」を見かける機会が増えました。年会費不要でコストコの人気商品を小分けで買えるとあって、多くの消費者に支持されています。

しかし、ビジネスとして考えた場合、「コストコ再販店は本当に儲かるのか?」と疑問に思う方も多いでしょう。

この記事では、コストコ再販店のビジネスモデル、利益率の仕組み、メリット、違法性や注意点に加え、具体的な開業ロードマップと必要な費用について、指定されたキーワードに基づき徹底解説します。

コストコ再販店は儲かる?

結論から言えば「儲かる可能性はあるが、簡単ではない」というのが実情です。

コストコ再販店は、コストコのブランド力と商品力を背景にした需要の高いビジネスモデルです。しかし、成功(=儲かる)かどうかは、他の小売業と同様に、以下の要因に大きく左右されます。

  • 価格設定:仕入値にどれだけ利益を乗せられるか、そしてその価格が顧客に受け入れられるか。
  • 経費管理:店舗の家賃、人件費、光熱費、そして仕入れにかかる交通費や運搬費などのコスト管理。
  • 在庫管理:特に食品の賞味期限管理や、売れ筋商品の欠品防止、不良在庫の最小化。

コストコ再販店の利益率と仕組み

コストコ再販店のビジネスモデルと利益の源泉は、比較的シンプルです。

仕組み

コストコ再販店の基本的な仕組みは「正規の小売業」です。

  1. 事業者がコストコの「ビジネス会員(法人・個人事業主向け会員)」となり、店舗で商品を仕入れます。
  2. 仕入れた大容量の商品を、店舗で小分けにしたり、そのままの状態で販売します。
  3. 仕入れ価格に、店舗運営の経費や利益を上乗せした価格で消費者に販売します。

消費者は、コストコの年会費を払うことなく、また遠くの倉庫店まで行かなくても、近所で手軽にコストコ商品を購入できるという「付加価値」に対して対価を支払います。

利益率

コストコ再販店の利益は、販売価格から仕入価格と諸経費を差し引いたものになります。

  • 利益率:一般的に、売上に対する利益率は10%~30%程度と言われています。
  • 価格設定:仕入価格(商品代金+交通費など)に対して、3割(30%)程度の利益を上乗せして販売価格を設定するケースが多いようです。

ただし、これはあくまで目安です。立地や競合店の状況、取り扱う商品の種類(デリ、パン、日用品など)によって、最適な価格設定と利益率は変動します。

コストコ再販店を始めるメリット(強み)

コストコ再販店最大の強みは、圧倒的な知名度と商品力を背景に、開業直後から高い集客力が見込める点です。 一般的な小売店にはない独自の付加価値が消費者のニーズを捉え、以下のメリットを生み出しています。

圧倒的なブランド力

「コストコ」という強力なブランドと、そこでしか買えない人気商品が、特別な宣伝なしでも顧客を引き寄せます。

例えばテレビやSNSで話題の「ディナーロール」や「ハイローラー」などは、棚に置くだけで強力な集客ツールとなるでしょう。通常、新規開業の小売店が最も苦労する「認知度の獲得」や「商品の魅力の伝達」というハードルが、最初からクリアされた状態でスタートできるのは、経営において計り知れないアドバンテージです。

年会費不要の手軽さ

消費者は年会費(税込5,280円~ ※2025年時点)を支払う必要がなく、購入のハードルが格段に下がります。

「年に数回しか利用しない」「会員になるほどではない」と考えるライトユーザー層にとって、コストコの年会費は大きな心理的障壁です。再販店なら、商品単価が多少割高であっても「年会費0円で、好きな時に好きなだけ買える」というメリットが上回るため、幅広い客層を惹きつけることができます。

出典:会員登録 | Costco Japan

小分け販売の需要

「コストコの商品は魅力的だが、量が多すぎる」と感じていた単身世帯や少人数家族、あるいは「まずはお試しで買ってみたい」という層のニーズを確実に取り込めます。

例えば、36個入りのパンやキロ単位の肉は、日本の住宅事情では「冷蔵庫に入りきらない」「食べきれない」という悩みがありました。これを数個単位で小分け販売することで、保管場所の悩みを解決し、日常の買い物として利用してもらえるようになります。また、「少しずついろいろな味を楽しみたい」というセット買いの需要も喚起できます。

アクセスの利便性

コストコの倉庫店は郊外にあることが多いですが、再販店は駅前や住宅街など、消費者の生活圏に出店できます。コストコがない地域(空白地帯)では、特に強い需要が見込めるでしょう。

本家に行くための「往復の移動時間」や「ガソリン代・高速代」を考えると、「近所の再販店で数百円高く買う方が、トータルでは安くて楽」と判断する消費者は非常に多いです。特に車を持たない層や、忙しい共働き世帯にとって、仕事帰りや散歩ついでに立ち寄れる利便性は、強力な付加価値となります。

コストコ再販店を始めるデメリット・注意点

メリットが多い一方で、運営には特有の難しさや注意すべき点が存在します。

価格設定の難しさ

本家コストコより割高になるのは必然です。仕入値に利益と経費を乗せるため、本家の価格を知っている顧客からは「高い」という印象を持たれがちです。利便性という付加価値を顧客に納得してもらえる、絶妙な価格設定が求められます。

品質・衛生管理の徹底

特にデリ(惣菜)、パン、生鮮食品など、日持ちしない商品を扱う場合は、徹底した品質・衛生管理が不可欠です。

  • 食中毒のリスク:商品を小分けにする場合、衛生的な環境と設備が必要です。万が一、食中毒が発生すれば、営業停止はもちろん、ビジネスの存続自体が危うくなります。
  • 温度管理:冷蔵・冷凍商品には、コストコからの運搬時も含め、専用の設備と厳格な温度管理が求められます。

在庫・賞味期限の管理

コストコの商品は一つ一つが大容量なため、仕入れは必然的に大量になります。

  • 不良在庫リスク: 売れ筋を見誤ると、大量の在庫を抱えることになります。
  • 廃棄ロス: 特に食品は賞味期限が短いため、仕入れすぎれば廃棄ロスとなり、利益を圧迫します。

必要な許認可の取得

コストコ再販店を始めるためには、法的な許可が必要です。特に注意すべきは「食品衛生法」です。コストコから仕入れた食品(パン、ピザ、デリなど)を、店舗で小分けにして販売する場合は、保健所の「食品衛生法に基づく営業許可」が必須です。

必要な許可の例
  • 菓子製造業:パンやケーキなどを小分けにする場合
  • そうざい製造業:ピザやデリなどを小分け・カットする場合

これらの許可なく営業すると違法となります。

コストコ本家との違いの明示

再販店はコストコの公式店舗ではありません。そのため、コストコ本家が提供するサービスは適用されません。

  • 返品・保証:コストコ本家の寛大な返品ポリシーは利用できません。再販店独自の返品ルール(例:不良品のみ交換・返金)を設定し、顧客に明確に周知する必要があります。

コストコ再販店の運営で違法になるケースとは?

前提として、コストコ再販店ビジネスそのものは、違法ではありません。正規に仕入れた商品(新品)を、利益を乗せて販売する行為は、法的には小売業に分類されます。

これは一般的なスーパーマーケットや八百屋と何ら変わりません。いわゆる転売を直接禁止する法律(※チケット不正転売禁止法などを除く)はなく、合法的なビジネスです。

違法となるケース

前述の注意点で挙げたように、必要な許認可を得ていない場合は違法となります。

  • 「食品衛生法に基づく営業許可」を取らずに、食品を小分け販売する。
  • (事業として利益が出ているにもかかわらず)確定申告を行わず、納税を怠る。

コストコの規約について

コストコ側も、再販(転売)行為そのものを禁止していません。むしろ「ビジネス会員」の特典として、事業用仕入(再販売)が公式に認められています。

ただし、コストコのロゴや商標を無断で使用するなど、商標権を侵害する行為は問題となるため注意が必要です。

コストコ再販店で必要な初期費用と運営資金の目安

コストコ再販店ビジネスで「儲かるか」を判断する上で、どれだけの投資が必要かを知ることは不可欠です。以下の金額は、店舗の規模、立地、居抜きかスケルトンかによって大きく変動するため、あくまで一例として参考にしてください。

初期費用(イニシャルコスト)

開業時に一度だけかかる費用です。

項目目安金額備考
物件取得費50万~150万円保証金(家賃6~10ヶ月分)、礼金、仲介手数料など。
内装・設備費100万~300万円冷蔵・冷凍ストッカー、陳列棚、レジ、空調、保健所の基準を満たす工事費など。居抜きなら大幅削減も可。
初期仕入れ費用30万~100万円店舗の規模や品揃えによります。
その他10万~30万円備品代、広告宣伝費、当面の運転資金など。
合計目安190万~580万円小規模な店舗であれば、総額200万~300万円程度で開業するケースも見られます。

運営資金(ランニングコスト)

毎月継続的にかかる費用です。

項目目安金額(月額)備考
家賃10万~30万円立地によって大きく変動します。
仕入費用売上の60%~80%販売価格と利益率の設定によります。
水道光熱費5万~10万円冷蔵・冷凍庫を24時間稼働させるため、電気代は高額になりがちです。
人件費0円~1人(オーナー)で運営する場合。アルバイトを雇う場合は別途発生。
コストコ年会費約440円会員の年会費(税込5,280円~※2025年時点)を12ヶ月で割った額。
その他3万~10万円梱包資材費、通信費、交通費(仕入れ)、雑費など。

収支シミュレーションが鍵

これらの運営資金を確実に上回る「売上」と「粗利(売上-仕入費用)」を確保できるかが、「儲かる」ための分岐点となります。事業計画の段階で、現実的な売上予測を立てることが非常に重要です。

コストコ再販店の始め方(開業ロードマップ)

コストコ再販店を始めるための具体的なステップは、以下の通りです。

ステップ1. 事業計画の策定

成功の土台となるビジネスの設計図を作成し、「なぜ儲かるのか」の根拠を明確にします。 コンセプトやターゲット、収支計画を具体化することで、迷いのない店舗運営が可能になります。

  • コンセプト:どのような層(ファミリー、単身者、高齢者など)に、どの商品(デリ、パン、日用品)をメインに届けるか。
  • ターゲット:メインターゲットの生活スタイルは?
  • 収支計画:どのくらいの売上で、どれだけ利益が出るか。後述する初期費用や運営資金を試算します。
  • 販売形態:一般的な有人店舗だけでなく、システムを導入して人件費を極限まで削る無人販売店舗や、店舗を持たずにフリマアプリやECサイトで販売するネット販売など、予算に合わせた運営スタイルを決定します。

ステップ2. 必要な許認可の取得(保健所への事前相談)

食品を扱う再販店において、適切な許認可の取得はビジネスを始めるための絶対条件です。 特に小分け販売を行う場合は、必ず物件契約前に保健所へ相談し、営業許可の要件を確認してください。

食品を扱う場合、法的な許可が必須です。注意点でも触れた通り、特に食品を小分け販売する場合は「食品衛生法に基づく営業許可」(菓子製造業、そうざい製造業など)が必要です。

必ず物件の契約前に、管轄の保健所に図面などを持参し「この場所とこの設備で、コストコ商品の小分け販売の許可が取れるか」を相談してください。

ステップ3. 物件探しと立地選定

店舗の売上を決定づける立地選定は、事業の成功を大きく左右する最重要ポイントです。 ターゲット層の生活圏であることはもちろん、コストコ倉庫店からの運搬ルートも考慮して場所を選びましょう。

  • ターゲット層が多く住む、または往来する場所を選びます(例:住宅街、駅からの帰り道、商店街など)。
  • コストコ倉庫店からのアクセス(運搬ルート)も考慮する必要があります。
  • 「居抜き物件」(前のテナントの設備が残っている物件)を選べば、初期費用を抑えられる可能性があります。

ステップ4. 資金調達(自己資金・融資)

作成した事業計画に基づき、開業と当面の運営に必要な資金を確実に準備します。 自己資金だけで不足する場合は、「日本政策金融公庫」などの創業融資を積極的に検討しましょう。

  • 自己資金で不足する場合は、融資を検討します。
  • 創業者向けの代表的な融資先として「日本政策金融公庫」などがあります。融資の申請には、ステップ1で作成した事業計画書が必須です。

以下の記事では事業計画書の書き方を紹介しています。テンプレートもご用意しているので、ぜひ参考にしてください。

ステップ5. 仕入れルートの確保

利益率と運営の手間を天秤にかけ、自分に最適な商品の調達方法を決定します。 現在は自ら倉庫店へ買い出しに行く方法と、専門業者から配送してもらう方法の主に2つがあります。

  • 直接仕入れ(自社配送):自らがビジネス会員となり、倉庫店へ買い出しに行く方法です。手間とガソリン代はかかりますが、最も安く仕入れられます。
  • 専門業者からの仕入れ:コストコ商品を扱う「再販専門の卸業者」から仕入れる方法です。仕入値は若干高くなりますが、会員登録や重い荷物の運搬が不要になるため、運営の手間を大幅に削減できます。

ステップ6. 店舗の内装・設備準備

保健所の指導基準をクリアするように、店舗の内装工事や必要な設備の導入を進めます。 商品の鮮度を守る冷蔵・冷凍設備や、衛生的な小分け作業スペースの確保は特に重要です。

  • 必須設備:業務用の大型冷蔵庫・冷凍庫、商品陳列棚、手洗いシンク(規定あり)、レジ、梱包作業台など。
  • 運搬用具:仕入れた商品を運ぶための車(必要に応じて保冷車)や、台車、クーラーボックスなど。

ステップ7. 仕入れ・価格設定・販売開始

設備が整ったら、いよいよ商品を陳列してオープンに向けた最終準備を行います。 売れ筋商品の確保と適切な利益を乗せた価格設定を行い、SNSなどで集客をしながら販売を開始しましょう。

  • 初期仕入れ:まずは売れ筋定番商品(ディナーロール、ハイローラー、プルコギビーフなど)を中心に仕入れ、顧客の反応を見ます。
  • 価格設定:仕入値に経費と利益を乗せて価格を決定します。
  • 販売開始:商品を陳列し、オペレーションを確認して販売を開始します。開業当初はSNSなどで積極的に宣伝し、認知度を高めましょう。

コストコ再販店で儲かるには徹底した管理と戦略的な開業を

コストコ再販店は、コストコの圧倒的な商品力を武器にできる、魅力的なビジネスモデルです。「年会費不要」「小分け購入」という消費者ニーズは底堅く、エリア選定や運営方法次第で、しっかりと利益を出すことが可能です。

しかし、単に「買ってきて売る」だけでは成功しません。衛生管理(許認可)や在庫管理(廃棄ロス削減)を徹底できるかが、ビジネスとして儲かるかどうかの分かれ道となります。

いきなり大きな店舗を構えるのが不安な方は、まずは小さく始める選択肢も検討してみましょう。 実店舗を持たず、ネット販売・フリマアプリのみでスタートする場合や、自宅の一部を在庫置き場にする場合は、初期費用を数万円~数十万円程度に抑えることも可能です。小さく始めて、売上規模に合わせて実店舗化や無人店舗化を検討するのも賢い戦略です。

まずは事業計画をしっかりと練り、自身に合ったスタイルで最初の一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。


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