• 更新日 : 2025年12月11日

合同会社の口座名義の形式は?正しい書き方、略称ルール、振込時の注意点まで解説

合同会社を設立後、口座名義がどのような形式になるか疑問に思う方も多いでしょう。

本記事では、銀行口座の名義の基本的なルールから、略称の使用可否、振込時の正しい書き方、さらには屋号口座との違いまで詳しく解説します。スムーズな取引と社会的な信用確保のために、正確な知識を身につけましょう。

合同会社の口座名義の形式は?

原則として、登記簿謄本(履歴事項全部証明書)に記載されている「商号(会社名)」がそのまま口座名義となります。法人口座は会社名義で開設されるため、個人の名前が口座名義になることはありません。

金融機関は、登記された正式な商号を正として口座を作成します。

基本的な口座名義の構成要素は?

法人口座の名義は、大きく分けて「会社の種類を示す部分」と「固有の会社名(商号)」の2つの要素で構成されます。

  • 会社の種類:「合同会社」(またはその略称)
  • 固有の商号:「〇〇商事」「ABCコンサルティング」など

これらが組み合わさり、「ゴウドウガイシャ 〇〇ショウジ」や「ABCコンサルティング(ド」といったカタカナ表記の口座名が設定されます。

個人事業主の屋号口座との違いは?

合同会社の法人口座と個人事業主の屋号口座は、名義が「会社名(商号)のみ」か「屋号+個人名」かという点で異なります。法人口座は「法人格」自体が所有する口座ですが、屋号口座はあくまで個人事業主「個人」の口座に屋号を付記した扱いです。

比較項目合同会社の法人口座個人事業主の屋号口座
口座名義会社名(商号)のみ
(例:ゴウドウガイシャ 〇〇)
屋号 + 個人名
(例:〇〇商店 ヤマダ タロウ)
法的立場法人(会社)の財産個人事業主(個人)の財産
開設審査登記簿謄本などが必要で、審査が厳しい傾向開業届の控えなどで開設可能。比較的緩やかな傾向
社会的信用高い(法人格としての取引)低い(個人としての取引)

このように、合同会社の口座名義は会社そのものの信用に直結します。個人事業主時代に屋号口座を使っていた方も、法人成りした際は必ず法人口座を開設し、名義を明確に分ける必要があります。

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合同会社の口座名義に使える文字や記号のルールは?

金融機関のシステム上、登記上の商号に使われている漢字、ひらがな、アルファベット、記号などは、所定のルールに基づきカタカナに変換されて登録されます。

金融機関共通の基本的なルール

法人口座の名義は、振込システムで扱えるように統一されたフォーマット(主に全角カタカナ)で登録されます。

  • 全角カタカナが基本:商号が「ABC合同会社」であっても、口座名義は「ABCゴウドウガイシャ」または「エイビイシイゴウドウガイシャ」のようにカタカナ登録されます。
  • 記号の変換:「・(中点)」や「&(アンド)」などの記号は、省略されたり、特定のカタカナ(例:「アンド」)に変換されたり、金融機関所定のルールで扱われます。
  • スペース:会社名と会社種類の間などにスペース(空白)が入ることが一般的です。

登記上の商号と、実際に通帳やオンラインバンキングで表示されるカタカナ名義が異なる場合があるため、口座開設時に必ず正確なカタカナ表記を確認することが重要です。

合同会社の略称ルール

「合同会社」という正式名称は文字数が多いため、金融機関のシステムや規定により「(同)」や「ド)」といった略称が使用されるのが一般的です。これは、振込システムや通帳印字の桁数制限に対応するためです。

パターン略称表記補足
前株/前社(同)〇〇(例:ゴウドウガイシャ〇〇) 名義表記:(ド)〇〇 または ド)〇〇
後株/後社〇〇(同)(例:〇〇ゴウドウガイシャ) 名義表記:〇〇(ド または 〇〇(ド)
  • (ド):最も一般的に使われる略称です。
  • ユ):以前は「有限会社」の略称として使われていましたが、現在は合同会社(LLC)の「L」の形から「ユ」を当てている金融機関も一部存在します。
  • :「合同会社」の頭文字。

この略称は金融機関がシステム上決定するものであり、口座開設者(合同会社側)が自由に選べるわけではありません。金融機関ごとにルールが異なるため、開設時に「当行での御社のカタカナ名義と略称は何になりますか?」と確認するのが確実です。

合同会社の法人口座開設の手続きと名義決定の流れは?

法人口座は、金融機関を選定し、必要書類を提出して審査を受け、審査通過後に開設されます。その時点で、金融機関のルールに基づいた正式なカタカナ口座名義が確定します。

個人口座のように即日で完了することは稀であり、一定の審査期間(通常1〜3週間程度)が必要です。

1. 金融機関の選定と必要書類の準備

まず、手数料や利便性、融資の強みなどを比較して口座を開設する金融機関を選び、必要書類を準備します。

主な必要書類の例
  • 履歴事項全部証明書(登記簿謄本)
  • 定款のコピー
  • 代表社員(法人の実質的支配者)の本人確認書類
  • 法人の印鑑証明書
  • 法人番号が確認できる書類(法人番号指定通知書など)
  • (場合によって)事業内容が確認できる資料(事業計画書、許認可証のコピー、事務所の賃貸契約書など)

※必要書類は金融機関によって異なるため、事前に必ずWebサイトや窓口で確認してください。

2. 申込と審査

書類が準備できたら窓口またはオンラインで申込みを行い、金融機関による審査を受けます。

  • 審査内容:金融機関は、提出された書類に基づき、事業内容の適法性、事業の実態、反社会的勢力との関わりがないかなどを審査します。合同会社の場合、代表社員との面談が求められることもあります。
  • 名義決定のタイミング:この審査プロセスにおいて、金融機関は登記された商号に基づき、行内のシステムに登録する「口座名義(カタカナ表記と略称)」を決定します。

3. 口座開設完了と名義の確定

審査(通常1〜3週間程度)に通過すると口座開設が完了し、正式な「合同会社 口座名義」が確定します。

口座が開設されると、通帳、キャッシュカード、または「口座開設のご案内」といった書類が届きます。この書類に記載されているカタカナ表記が、その金融機関における貴社の正式な口座名義となります。

この名義は、今後のすべての取引(振込の受取、支払い)で使用する基準となるため、大切に保管し、関係者(経理担当者や取引先)と正確に共有してください。

合同会社の口座名義の正しい書き方と振込時の注意点は?

振込や入金案内においては、金融機関から通知された「正確なカタカナ名義(略称含む)」を使用することが最も重要です。登記上の商号(漢字やアルファベット)と、振込時に使用するカタカナ名義が少しでも異なると、振込エラー(組戻し)となり、手数料が発生したり、取引先に迷惑をかけたりする原因となります。

振込依頼時(自社から支払う場合)の名義入力

自社が振込人(依頼人)となる場合、金融機関に登録した正式なカタカナ名義を使用します。

  • 正式なカタカナ名義
    「ゴウドウガイシャ 〇〇」や「〇〇(ド」など、金融機関指定の表記を使います。
  • 桁数制限
    ATMやネットバンキングで名義の桁数に制限がある場合は、金融機関指定のルールに従い、略称(例:(ド))を使用したり、一部を省略したりする必要があります。
  • 相手への通知
    相手(振込先)には、この入力したカタカナ名義が通知されます。

振込受取時(取引先に案内する場合)の伝え方

取引先や顧客から入金してもらう場合は、口座開設時に金融機関から発行された「口座開設のご案内」や「通帳」に記載されている「カタカナの口座名義」をそのまま正確に伝える必要があります。

取引先に案内する項目リスト
  • 金融機関名:〇〇銀行
  • 支店名:〇〇支店
  • 預金種別:普通 / 当座
  • 口座番号:1234567
  • 口座名義:ゴウドウガイシャ 〇〇
  • (フリガナ):ゴウドウガイシャ 〇〇

特に、略称「(ド)」などを含む場合は、「(ド)マルマル」なのか「マルマル(ド」なのか、カッコ「()」や「)」の位置まで正確に伝えることが、入金ミスを防ぐ鍵となります。

略称が原因で振込エラーになるケース

「(同)」と「(ド)」の混同や、会社種別(略称)を付け忘れるケースで振込エラーが頻発します。法人口座への振込は、口座番号だけでなく「口座名義の一致」も厳格にチェックされることが多いため、名義のわずかな違い(例:カタカナか漢字か、略称が正しいか)がエラーに繋がります。

よくある振込エラーの例(受取口座が「マルマル(ド」の場合)

振込時の入力名義結果理由
マルマルゴウドウガイシャエラー正式名称と略称の違い
マルマル(ドウ)エラー略称の誤り
マルマル(同)エラーカタカナと漢字の違い
マルマルエラー会社種別((ド)の欠落

取引先には、合同会社の銀行口座名義として、必ず「金融機関指定のカタカナ略称」を案内するよう徹底してください。

合同会社の口座名義に関してよくある質問

合同会社の口座名義に関して、特に疑問が多い点について解説します。

複数の銀行で口座開設する場合、名義は異なりますか?

登記上の商号(会社名)が基準となるため「商号」部分は同じになりますが、会社種別の「略称」は金融機関によって異なる場合があります。

法人は一つであり、その名称(商号)も一つであるため、どの銀行でも登記された商号に基づいて口座が作成されます。しかし、略称は金融機関のシステムルールによって異なる可能性があります。

  • A銀行:マルマル(ド
  • B銀行:(ド)マルマル
  • C銀行:マルマル ゴウドウガイシャ (※ネット銀行などで略称を使わないケース)

支店名や事業部名を口座名義に付記できますか?

通常の普通預金や当座預金では、原則としてできません。

口座名義は登記された「商号のみ」となります。ただし、一部の金融機関では「バーチャル口座(振込専用口座)」などの有料サービスを利用することで、名義に識別番号や部門名を付加できる場合があります。もし事業部ごとの入金管理などで口座名の使い分けが必要になった場合は、メインバンクにそうしたサービスがないか相談してみるとよいでしょう。

合同会社の代表社員の名前を口座名義に併記できますか?

原則として、代表社員の名前は口座名義に併記できません。

法人口座の名義は、あくまで登記された「商号(会社名)」のみです。法人口座は会社(法人格)のものであり、代表者個人のものではないため、代表社員の氏名を含めることはできません。これは、株式会社における「代表取締役」の氏名が併記できないのと同様です。

このルールは、会社の財産と個人の財産を明確に分離し、取引の透明性を確保するために設けられています。

合同会社の口座名義を適切に管理しましょう

本記事では、合同会社の口座名義に関するルールと注意点を解説しました。

合同会社の法人口座名義は、原則として登記された「商号(会社名)」となり、金融機関のシステムによって「(ド)」などのカタカナ略称が用いられるのが一般的です。

個人の屋号口座とは異なり、法人口座の名義の正しい理解と適切な管理は、事業運営の基礎となる重要なステップです。口座開設時に金融機関から通知される「正確なカタカナ名義(略称含む)」を把握し、取引先に正確に伝えることが、スムーズな取引と社会的な信用確保に繋がります。


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