- 作成日 : 2025年12月11日
一般社団法人は儲かってもいいの?ビジネスモデルや給与・役員報酬の相場などを解説
「一般社団法人は儲かってもいいの?」という疑問は、法人の設立や運営を検討する際に多くの方が抱くものです。名前から非営利のイメージが強く、利益追求とは無縁に思われがちですが、一般社団法人も収益事業を行い、売上を立てて利益を出すことは可能です。ただし、その利益の扱い方や非営利性の解釈には、株式会社などの営利企業とは明確な違いが存在します。
この記事では、一般社団法人が利益を上げることの可否、認められる収益事業の範囲、そして儲かった場合の利益の使い道や、役職員への給料・役員報酬のルールについて詳しく解説します。
目次
一般社団法人は儲かってもいいの?
一般社団法人が収益を目的とする事業(収益事業)を行い、売上を上げて利益を出すこと自体は、法律上認められています。
一般社団法人の設立や運営を定めた法律(一般社団法人法)において、法人が行う事業内容に特に制限はなく、公益性も必須とはされていません。法律上の「非営利」は「利益を上げてはいけない」という意味ではないのです。
法人の目的を達成するための活動資金を得るために、株式会社などと同様に収益事業を自由に行うことができます。
参考:一般社団法人及び一般財団法人に関する法律|e-Gov 法令検索
一般社団法人の「非営利性」とは?
一般社団法人の「非営利性」とは、事業活動によって得た利益(法律上は剰余金と呼ばれます)を、法人の構成員(社員や会員、設立者)や役員(理事・監事)などに分配しないことを指します。
- 株式会社の場合:事業で儲けた利益は、配当金として株主に分配されます。これが営利企業の最大の特徴です。
- 一般社団法人の場合:たとえ事業で大きな利益が出たとしても、それを構成員に分配することは固く禁じられています。一般社団法人法第11条第2項にも、剰余金の分配を受ける権利を与える旨の定款の定めは無効であると明記されています。
一般社団法人の利益の使い道は?
事業によって生じた利益(剰余金)は、法人の財産として内部留保され、法人が定めた本来の事業目的を達成するために、次年度以降の活動の原資として繰り越すか、事業そのものに再投資されます。これが剰余金の処分の基本的な考え方です。
利益は法人の活動を継続・発展させるために使われるべきものであり、特定の個人に還元されるものではありません。
具体的な使い道(処分)は、法人の定款や事業計画に基づいて決定されますが、主に以下の形で活用されます。
- 既存事業(セミナー、資格試験など)の品質向上や規模拡大
- 新たな事業(調査研究、新規サービス開発など)の立ち上げ費用
- 事務所の家賃や光熱費、通信費などの運営経費
- Webサイトの改修やシステムの導入などの設備投資
- 職員(従業員)の雇用や人材育成
- 将来の事業展開や、不測の事態に備えるための蓄え
なお、法人が解散する際に残った財産(残余財産)についても社員(会員)に分配することはできず、定款の定めに従って国や地方公共団体、あるいは他の公益的な法人に寄付されるか、最終的には国庫に帰属することになります。
一般社団法人の種類と税制は?
一般社団法人の儲けに対する課税は、「非営利型法人」か「普通型法人」かによって大きく異なります。
- 非営利型法人:法人税法上の収益事業から生じた所得のみが課税対象となります。会費や寄付金など、収益事業以外の所得には原則として課税されません。「非営利性が徹底された法人」または「共益的活動を目的とする法人」の要件を満たす必要があります。
- 普通型法人(上記以外):株式会社と同様に、すべての所得が課税対象となります。
収益事業でしっかり儲けつつ、税制優遇も受けたい場合は、非営利型の要件を確実に満たし、収益事業と非収益事業の経理を厳密に区分することが必須です。
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一般社団法人が儲けるためのビジネスモデルは?
一般社団法人は、法律や公序良俗に反しない限り、営利企業と同様にどのような事業でも自由に行うことができ、収益事業も制限なく実施できます。事業の公益性も要件とされていません。
ただし、税務上、「収益事業(34業種)」に該当するかどうかによって、課税範囲が異なってくるため、事業内容の判断は重要な要素になります。
法人の収入源となるビジネスモデルは多様ですが、活動資金を稼ぐための「収益事業」も、法人の主たる目的を達成するための「本来の事業」も、どちらも自由に行えます。
具体的なビジネスモデルの例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 会員ビジネス・協会ビジネス
会員から徴収する会費を主な収入源とし、会員向けのサービス(情報提供、交流会、研修など)を提供します。 - 資格認定・講座ビジネス
独自の資格制度を設け、認定試験の受験料や、資格維持のための更新料、関連する講座の受講料などで売上を上げます。 - イベント・セミナー事業
一般向けや専門家向けのセミナー、シンポジウムなどを開催し、参加費で収益を得ます。 - 物品販売・出版事業
活動に関連する書籍、教材、グッズなどを製作・販売します。 - コンサルティング・受託事業
法人の持つ専門知識を活かし、企業や行政からの調査研究やコンサルティング業務を受託します。
これらの収益事業以外にも、法人の理念に賛同する個人や企業からの寄付金や、法人の財産的基礎となる基金制度なども、活動を支える重要な資金源となります。
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一般社団法人の給与・役員報酬はいくらまで?
一般社団法人も、役員(理事・監事)や職員(従業員)に対し、その労働や業務執行の対価として、適切な給与(給料・賃金)や役員報酬を支払うことができます。
「利益を分配してはいけない」と聞くと、役員や職員は無報酬でなければならないのかと不安になるかもしれませんが、そんなことはありません。
利益の分配と給与・報酬の違いは?
- 利益の分配:法人の儲けそのものを、構成員であるという理由だけで配分すること
- 給与・報酬:法人のために働いたこと(労働・業務執行)への対価として支払われるお金
法人が収益事業で儲けた利益を原資として、職員の給料(賃金)や理事の役員報酬を支払うことは、正当な経費として認められるため、何ら問題ありません。
給与・役員報酬の相場と適切な決め方は?
法律上、役員報酬や給料の金額に明確な上限はありません。しかし、社会通念上不相当に高額な報酬は、実質的な利益の分配とみなされ、税務上や法人のガバナンス上、問題となる可能性があります。
報酬額は、法人の定款や社員総会(または理事会)の決議によって定められますが 、その妥当性は以下のような点を考慮して総合的に判断されます。
- その役員の職務内容、責任の重さ、勤務実態
- 法人の収益状況や財政状態
- 同業他種、類似規模の法人の役員報酬の相場水準
- 他の役員や職員の給与とのバランス
職員(従業員)の給料(賃金)についても同様に、職務内容や能力、勤続年数などに見合ったものである必要があります。公平性・透明性を担保するため、職階や等級に応じた給料表(給与規程)を整備することが望ましいです。
一般社団法人が収益事業を行う上での注意点は?
一般社団法人が収益を上げること自体は問題ありませんが、「税務上のリスク」と「ガバナンス上のリスク」には十分な注意が必要です。これらを怠ると、税制優遇を失ったり、法人の信頼性が損なわれたりする可能性があります。
税務上のリスク
特に、非営利型法人として税制優遇を受ける場合、以下の点に注意が必要です。
- 収益事業の厳密な区分:非営利型の優遇を受けるには、法人税法上の収益事業(34事業)に該当するかどうかの判定と、非収益事業との厳密な経理区分が必須です。
- 過大な報酬のリスク:不相当に高額な役員報酬や給料を支払うと、それが実質的な剰余金の分配とみなされ、非営利型の要件から外れ、税制優遇を失う可能性があります。
ガバナンス上のリスク(利益相反取引)
利益相反取引とは、理事が自分自身や近親者の会社と、所属する一般社団法人との間で取引を行うことなどを指します。
例えば、理事が経営する会社に、法人の業務を相場よりも不当に高い金額で発注するようなケースがこれにあたります。
このような取引は、法人の財産を不当に特定の個人に移転させる(=実質的な利益分配)ことにつながりかねません。そのため、原則として理事会(または社員総会)の承認がなければ行うことができず、適切な手続きを経ずに行えば、法人のガバナンスが問われ、社会的信用を失う原因となります。
一般社団法人は儲ける目的と利益の使途の理解が重要
一般社団法人が収益事業のビジネスモデルを構築し、売上を上げて活動資金としての利益を出すことは、法人の目的達成のために推奨されています。
最も重要なのは、非営利性の本質、すなわち得た利益(剰余金)を会員(社員)や理事などに分配しないという大原則を守ることです。儲けた利益は、職員への適切な給料(賃金)の支払いや、法人のミッション達成のための事業活動に再投資されます。
一般社団法人の非営利の仕組みを正しく理解し、その特性を最大限に活かした、持続可能な法人運営を目指しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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