- 作成日 : 2024年12月5日
事業承継の読み方は?意味や継承との違い、具体例を解説
事業承継の読み方は「じぎょうしょうけい」です。この記事では、事業承継の正しい読み方や意味、事業承継と似ている事業継承との違い、事業承継がされないことによるリスクなどについて解説していきます。
目次
事業承継の読み方は?
事業承継の読み方は、「じぎょうしょうけい」です。事業承継とは、事業の資産、権利義務、経営理念などを引き継ぐことです。英語では、「Business Succession」といいます。
事業承継の例文
事業承継という言葉は、例えば以下のように使われています。
「事業承継をきっかけに社員の団結力が高まりました」
「事業承継をしたことでシナジー効果がありました」
「事業承継に悩んでいるので、公的な相談窓口を紹介いただきたいです」
また、事業承継を関係者に通知する場合は、事業承継という言葉を使わずに説明することが一般的です。
「A社より事業を引き継ぐこととなりましたので、お知らせ申し上げます」
「弊社の部門BについてC社に譲渡する運びとなりました」
事業承継と事業継承との違い
事業承継と似た言葉である「事業継承」は、事業承継とはニュアンスが少し異なります。
先述したように、事業承継が事業の資産、権利義務、経営理念などを引き継ぐことに対して、事業継承は、権利や義務、身分などの形のあるものを引き継ぐことです。継承は「伝統芸能を継承していく」などと使います。
事業承継で引き継がれる3つの要素
事業承継で引き継がれる要素は、以下の3つです。
- 人の承継
- 資産の承継
- 知的資産の承継
人の承継とは、経営権の承継のことです。資産の承継とは、株式のほか、不動産や設備などの形として存在する資産の承継を指します。そして、知的資産の承継とは、許認可やブランド力、ノウハウ、顧客情報、経営理念などの形として存在しない資産の承継のことです。
事業承継の3つの方法
事業承継には、親族内承継、社内承継、M&A(第三者への承継)があります。自社の状況に合わせて、適切な方法を選択することが重要です。
仕組み | メリット | デメリット | |
---|---|---|---|
親族内承継 | 現経営者の親族を後継者とする方法 |
|
|
社内承継 | 社内の役員や従業員(現経営者の親族を除く)を後継者とする方法 |
|
|
M&A | 社外の第三者を後継者とする方法 |
|
|
事業承継ができない場合はどうなるか
中小企業や小規模事業者を取り巻く問題として、2025年問題が挙げられます。2025年問題とは、団塊の世代といわれる人口の多い世代が75歳以上になることで発生する、あらゆる問題のことです。
2025年問題は、会社の存続そのものにも影響を与えます。団塊の世代が後期高齢者になることで、経営者である団塊の世代の廃業や倒産がますます加速すると考えられるためです。
2024年2月に発表された民間調査会社による全国社長を対象にした年齢調査によると、社長の平均年齢は63.76歳で、2009年の調査開始以来、過去最高齢となりました。70歳以上の社長は35.49%で、年代別で最も割合が高くなっています(※2024年11月時点)。
2025年問題や社長の高齢化の現状から、事業承継をしないことで下記のようなリスクが生じる可能性があります。
- 廃業による従業員の解雇
- ノウハウや技術の喪失
- 廃業コストの発生
- 取引先への影響
- 地域社会への影響
想定されるのは、多くの中小企業や小規模事業者の廃業です。廃業により従業員が解雇されるリスク、会社が有するノウハウや技術が喪失するリスクがあります。また、会社は取引先や地域社会とも関係しているため、廃業により取引先の経営状況が悪化する、地域社会を支えていた事業がなくなるなどの影響が生じる可能性もあります。
事業承継で発生する税金
事業承継で発生する可能性がある主な税金について、簡単に解説します。
相続税
相続税とは、亡くなった親や配偶者などから財産を引き継いだ場合、受け取った財産が課税対象になる税金です。現経営者が亡くなった際に、経営者の子や兄弟姉妹、またはその他の相続人にその会社の株式などが相続される場合に関係します。
贈与税
贈与税は、個人がほかの個人から財産を譲り受けた場合(相続による場合を除く)に、贈与を受けた財産について課される税金です。相続が発生する前に、現経営者が贈与により株式を後継者に譲渡した場合などに関係してきます。
登録免許税
登録免許税とは、不動産や会社の登記、特許や許認可などについて課される税金です。事業承継に伴い、土地や建物などの事業用資産の所有権移転があった場合や会社の取締役の構成に変更があった場合などに関係してきます。
不動産取得税
不動産取得税は、土地や家屋などの不動産を取得した場合に課される税金です。事業承継により不動産を取得するようなケースで関係してきます。
事業承継を検討する際の相談先
事業承継を検討する際の相談先には、以下が挙げられます。
- 事業承継・引継ぎ支援センター
- 商工会議所
- 商工会
- 弁護士
- 司法書士
- 行政書士
- 税理士
- 公認会計士
- 金融機関
- M&Aの仲介業者 など
上記の相談先は、それぞれ得意とする分野などが異なります。例えば、商工会議所や商工会では一般的な事業承継の相談には回答してもらえる可能性がありますが、個別の専門的な内容については別途専門家につなげてもらわなければ相談できない可能性もあるでしょう。
また、行政書士は許認可手続きなど行政の手続きについてサポートしてもらえますが、そのほかの事業承継に関する相談については専門外でアドバイスを受けられない可能性があります。相談内容に応じて、適切な機関に相談するようにしましょう。
事業承継は多くの中小企業が直面している問題
2025年問題で団塊の世代が後期高齢者に突入することで、中小企業の廃業や倒産が増えるのではないかと懸念されています。事業承継は、今や多くの中小企業や小規模事業者が抱える問題です。突然の廃業や倒産にならないよう、将来の事業承継に備えてさまざまな情報を集めておきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
事業承継を税理士に依頼するメリットは?サポート内容や費用を解説
事業承継を検討するなら、税理士が役立ちます。。税理士は、税務の専門家であることから、自社株の評価や相続税の対策などをメインに相談しやすいでしょう。 この記事では、税理士に相談できる業務や税理士に事業承継を相談するメリットなどを紹介します。 …
詳しくみる事業承継マッチングとは?支援内容や支援サイトを紹介
事業承継マッチングとは、事業の譲渡希望者と承継希望者を引き合わせ、成約を目指すことです。公的機関や民間企業による支援が多く展開されており、利用しやすいものにマッチングサービスとマッチングサイトがあります。それぞれ種類や特徴があるため、使いや…
詳しくみる事業承継におけるお家騒動とは?事例や回避する方法を解説
お家騒動とは、企業の跡取りに関わる家族間のトラブルのことです。お家騒動は大企業でも発生する問題であり、関係者を巻き込み、会社の経営を揺るがす大きなリスクに発展することもあります。本記事では、お家騒動が起きる原因や回避方法、発生した場合の解決…
詳しくみる事業承継計画書とは?作成方法や記入例をテンプレートつきで解説
事業承継計画書とは、事業承継の時期や後継者などを示した事業承継に関する書類です。事業承継計画書には、後継者を明確にするなどの作成目的があります。今回は、事業承継計画書の作成の流れやテンプレート、作成例について紹介します。 事業承継計画書とは…
詳しくみる親子間でも事業承継・引継ぎ補助金を利用できる?要件や申請方法を解説
事業承継・引継ぎ補助金は、親子間の事業承継にも利用可能です。事業承継・引継ぎ補助金の中の「経営革新枠」が対象となり、設備投資やマーケティング費用などが補助されます。 本記事では、親子間での事業承継・引継ぎ補助金の利用要件や申請方法、対象経費…
詳しくみる事業承継の相談先ガイド!無料支援や法律相談など相手や選び方を解説
事業承継の相談先には、事業承継・引継ぎ支援センターや商工会・商工会議所などの公的な機関のほか、専門家なども考えられます。事業承継は誰に相談するのがベストなのでしょうか。事業承継の相談ができる機関別の特徴や選び方などを紹介します。 事業承継の…
詳しくみる