• 更新日 : 2026年2月17日

産業廃棄物収集運搬業の事業計画書の書き方は?テンプレートをもとに記入例も解説

Point産業廃棄物収集運搬業の事業計画書のポイント

産業廃棄物収集運搬業の事業計画書は、自治体の許可申請と金融機関の融資審査において、事業の適正さと継続性を公的に証明するための重要書類です。

  • 自治体ごとの最新様式で品目や運搬先を明記
  • 許可用と融資用で事業内容の整合性を保つ

取扱商品の種類や量、運搬時に環境保全のために講ずる措置(石綿など)を正確に記載し、実務と計画の矛盾をなくすことが重要です。

産業廃棄物収集運搬業の許可申請や融資審査において、事業計画書は欠かせない書類です。この記事では、産業廃棄物収集運搬業の事業計画書の書き方を、自治体への申請用と金融機関の融資用の両側面から、テンプレートの項目に沿って分かりやすく解説します。

産業廃棄物収集運搬業の事業計画書とは?

産業廃棄物収集運搬業の事業計画書は、廃棄物処理法に基づき、事業の適正な処理能力と継続性を公的に証明するための書類です。

主な役割は以下の2点に集約されます。

1. 自治体への許可申請

産業廃棄物収集運搬業を営むには、事務所所在地の都道府県知事等の許可が不可欠です。事業計画書では、「職歴・事業実績」「廃棄物の種類や量」「取引先・取引関係」を明確に示さなければなりません。

事業計画書は、原則として「事業の全体計画」「施設の概要」「保管する産業廃棄物の一覧や保管場所」「環境保全措置」などで構成されます。石綿(アスベスト)等の特殊な廃棄物を扱う場合は、追加の計画書類が求められます。

参考:産業廃棄物収集運搬業及び処分業の許可申請・届出等|産業廃棄物処理業者の方|東京都環境局

2. 金融機関の融資審査

施設の設置や車両の購入、運転資金の確保などに融資を利用する場合、金融機関へ提出する事業計画書が必要になります。許可申請には資金調達方法の記載が必要であるため、融資用と許可申請用の内容は整合性が取れていなければなりません。2つの計画書を並行して作成し、矛盾が生じないよう配慮することが重要です。

産業廃棄物収集運搬業の事業計画書のテンプレート

産業廃棄物収集運搬業の事業計画書に使用するテンプレートは、提出先によって異なります。

1. 自治体への許可申請用テンプレート

自治体ごとに指定の様式があるため、必ず「申請先の自治体名 産業廃棄物 手引」などで検索し、最新の様式を確認してください。

東京都の様式例

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出典:産業廃棄物収集運搬業許可申請の手引(新規・更新許可申請用)|東京都環境局(令和5年11月時点)

2. 金融機関の融資審査用テンプレート

金融機関の融資審査では、収益性や返済能力を可視化できるフォーマットが適しています。マネーフォワード クラウド会社設立では、産業廃棄物運搬業の融資審査に活用できる事業計画書のテンプレートを無料で提供しています。ぜひダウンロードしてご活用ください。

産業廃棄物運搬業の事業計画書の書き方とは?テンプレートを基に解説

産業廃棄物収集運搬業の事業計画書の書き方・記入例は?

運搬業許可申請時に提出する事業計画書は、管轄自治体の様式や記入例をご参考ください。ここでは融資を受ける際に必要な事業計画書の書き方について説明します。

創業の動機・目的

地域における需要や社会貢献性を具体的に示します。 廃棄物処理法では「生活環境の保全及び公衆衛生の向上」が目的とされているため、環境への配慮を盛り込むと効果的です。また、既存事業(建設業など)の利便性向上のための許可取得であれば、その経緯も記載します。

職歴・事業実績

許可申請における職歴は、1日の空白期間も残さず記載することが求められます。 産廃関連の経験はもちろん、異業種での実績も包み隠さず記載します。

取扱品目

どの産業廃棄物をどれくらいの量運ぶ予定かを、法律で定められた20種類の中から正確に選択してください。 「ゴミ」などの通称は不可です。また、石綿など特定の産業廃棄物を扱う予定の場合、それらを明記する必要があります。

  • 限定条件の明記: 「石綿含有産業廃棄物」「水銀使用製品産業廃棄物」を含むか否かを必ず記載します。
  • 性状の具体化: 汚泥であれば「建設現場から排出される無機性汚泥」など、発生源と状態を具体的に記載します。

運搬施設

例えば車両であれば登録番号、車種、積載量、所有形態(自己所有またはリース)を詳細に記載します。

チェック項目
  • 用途:車検証の用途が貨物であること(乗用タイプは不可)
  • 使用権限:車検証の使用者が申請者名義であること
  • 飛散・流出防止:ダンプならシート掛け、汚泥なら水密仕様車や専用タンクの確保
  • 容器:ドラム缶やフレコンバッグ等、中身が空で良好な状態の写真を添付

収集運搬の具体的な計画

申請時点で搬入予定の処分業者(中間処理施設や最終処分場)を記載します。

具体的には以下の情報を記載します。

  • 運搬先の名称と所在地:正式名称と正確な住所
  • 処分業の許可番号:運搬先が持っている処分業の許可番号
  • 取扱品目の合致:自分が運ぶ品目を、その処分業者が扱える許可を持っているか

取引先・取引関係

申請時点で見込みのある売上先を提示し、事業の安定性をアピールします。 既存のコネクションや取引予定先があることは、融資判断における大きなプラス材料となります。特定の1社に依存しすぎず、複数の取引先を確保する見通しを立てることが理想的です。

従業員

事業の規模に即した従業員数を記載します。

借り入れの状況

他の金融機関などからの借入金があればすべて記載します。創業者の個人的な借入も記載してください。借入があっても、毎月返済が滞りなく行われていれば、必ずしもマイナス材料とはなりません。滞納している返済があれば事前にすべて返済しておきましょう。

必要な資金と調達方法

一から運搬業を立ち上げるのであれば、事務所や運搬車両の準備、人員の確保、運転資金など、相当な資金が必要になります。すべてを融資で賄うことは難しい場合があるため、自己資金で賄える額、親族など金融機関以外で調達可能な額がある程度あることが望まれます。

事業の見通し

数値的な根拠をしっかり示して記載しましょう。設立1年目と、その結果を見据えての2年目以降では見通しの内容も変わりますが、現実的で着実に予測しうる収支となるようにします。

参考:事業計画書の作成例|起業マニュアル|J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]

産業廃棄物収集運搬業の事業計画書のポイントは?

融資は、継続性と将来性がある事業に対し行われます。事業計画書は、特に次の項目に注意して作成しましょう。

顧客企業との取引関係

これまでの職歴や既存事業などで培った取引先があることが、事業の安定を導きます。顧客は多いに越したことはないですが、大企業であれば数件でも十分かもしれませんし、いくら多くてもいずれもつい最近取引を開始したばかりの相手ばかりでは、必ずしも安定しているとは言えません。

新規取引先の開拓

いくら顧客が大企業であっても、1社のみの関係に安心していては、万一取引が打ち切られた場合に倒産リスクが一気に高まりますし、そもそも事業としての発展性は見込めません。取引先の開拓はもちろん、技術や知識、設備などのアップデートを怠らない姿勢が大切です。

運搬の仕組み化やコスト削減への取り組み

運搬業をして利益を上げるには、売り上げの増加だけでなく作業の効率化を図り、コストを削減することが欠かせません。ガソリン節約など個人単位で費用を抑えることばかりを考えると従業員の負担が増えてしまうため、結果としてコスト削減につながるような仕組みを構築することが経営者としての腕の見せ所になります。専門家の意見を求めてもよいでしょう。

また、環境保護のために独自性のある取り組みがあれば、併せて記載します。さまざまな方向からのアピールが大切です。

客観的な売上予測・価格設定

売り上げの予測、事業の見通しは希望的観測でなく地に足をつけた数値で行います。価格も地域の相場を確認し、妥当となるように設定します。新規の顧客を取り込むため極端に安価に設定することは、利益が出なくなりビジネスを危険にさらす可能性がありますし、その地域の価格バランスを崩して同業者と共倒れになる危険がありますから避けましょう。

産業廃棄物収集運搬業の事業計画書作成の壁とは?

株式会社マネーフォワードは、事業計画書の作成経験者を対象に実態調査を実施しました。

調査の結果、作成時に最も困難だと感じた項目は「財務・資金調達計画」が35.5%で最も多く、次いで「販売戦略・マーケティング計画」が30.3%となりました。多くの事業者が、数値計画や販路の言語化に苦労していることがわかります。

また、提出後の結果については、「再提出の指示があった(16.6%)」および「内容へのフィードバックがあった(28.3%)」を合わせると、44.9%が何らかの指摘を受けています。修正なしで通過した割合は31.7%にとどまりました。 産業廃棄物収集運搬業の許可申請では、事業を継続できるだけの「経理的基礎」を有しているかが厳しく審査されます。調査データが示す通り財務計画は多くの事業者にとって難所であるため、テンプレートを活用して論理的な数値を準備することが重要です。

出典:マネーフォワード クラウド、作成が最も困難だと感じたセクション、提出時の不備・再提出の指示【事業計画書に関する調査データ】(回答者:809名、集計期間:2026年1月実施)

産業廃棄物収集運搬業の事業計画書を正しく作成しよう

産業廃棄物運搬業の事業計画書は、許可を得るためだけでなく、健全な経営を行うための道しるべです。内容に矛盾がないか、数値に妥当性があるかを何度も確認しましょう。特に財務面や品目選定で不安がある場合は、専門家に相談することも、早期の事業開始には有効な手段です。


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