• 更新日 : 2023年12月5日

トリミングサロン開業のポイント!ペット業界は儲かる?必要資格は?

トリミングサロン開業のポイント!ペット業界は儲かる?必要資格は?

社会情勢の影響から在宅時間が長くなったこともあり、癒しを求めて新たにペットを飼い始めたという人が増えました。同時にペットサロンや犬のトリミングサロンの需要増も期待できます。これから開業を検討する場合、どのような準備をしたらいいのでしょうか。保健所への申請、必要な費用、使える補助金などについて詳しく解説していきます。

トリミングサロンは安定して経営できる?将来性は?

そもそも、トリミングサロンは安定している業種なのでしょうか。これから参入しても成功できるのか、将来性も含めて見ていきましょう。

ペット需要は引き続き手堅い

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で自粛生活が続き、在宅時間が長くなった影響で犬や猫などのペット関連の需要が増加したというニュースを見聞きした方も多いのではないでしょうか。

経済産業省の調査によると、ホームセンターでのペット・ペット用品の販売額は2020年第Ⅱ四半期に前年同期比8.2%増、第Ⅳ四半期に同13.8%増を記録しました。なお、販売額自体は2020年以降8期連続で増加しています。

また、総務省の家計調査を見ても、家計のペット向け支出額は2020年まで毎年増加していました。2021年は若干減少していますがコロナ前よりは大幅に増加しています。この点から見ると、ペット関連産業の需要は今後も堅調が続くことが考えられます。

ライバルも多く差別化や経営努力が求められる

ご紹介したように、ペット・ペット用品販売額は増加中です。そのため、異業種からも含め、多くの個人や企業がペット関連産業へ参入しています。これからトリミングサロンの開業を考えるのであれば、ライバルが多いことも覚悟しなければなりません。

参入はできても、成功までには他のサロンとの差別化や相当な経営努力が必要な業種といっても過言ではないでしょう。

トリミングサロンの開業スタイルは?

トリミングサロンの開業スタイルは、主に以下の通りです。

  • 独立店舗で開業
  • 自宅で開業
  • 移動や訪問形式で開業
  • 動物病院などに併設して開業

一つずつ詳しく確認していきましょう。

独立店舗で開業する場合

店舗を借りて開業する場合、自分で内装や設備を好きなように選ぶことができます。「自分のつくりたいサロンがはっきり決まっている」という方に向いている方法です。ただし、賃料や保証金などがかかります。また、トリミングサロンを開業しても問題ないか大家さんの許可を取る必要もあります。

その他、厳密には独立店舗ではありませんが「商業施設のテナントとして開業する」という方法もあります。商業施設に来店した人が見込み客となるため、集客はしやすいといえるでしょう。

自宅で開業する場合

自宅での開業の大きなメリットは、賃料が全くかからないという点です。敷地内であれば自由に使えるため、看板を出しやすいという利点もあります。

ただし、詳細は後述しますが、保健所の許可が必要なため、自宅の構造によっては大幅な改装が必要な場合もあります。そのための費用がかかる可能性がある点は留意しておきましょう。家族と同居しているのであれば、居住空間とサロンの空間を分ける必要もあります。

「少ない元手から始めたい」「通勤に関するコストを減らしたい」「自分のペースで仕事をしたい」という方に向いている方法です。

移動や訪問方式で開業する場合

特定の店舗を持たず、ニーズがある場所に「トリミングカー」で移動して営業するという方法です。遠方や高齢などで移動が難しいペットへの対応もできるため、幅広い顧客ニーズを掘り起こすことができます。

なお、この方法の場合、店舗の賃料はかかりませんが、トリミングができるように自動車を改装するためにかなりの費用がかかる場合があります。

動物病院などに併設して開業する場合

動物病院やペットショップに併設する形で開業する方法もあります。もともとペットが集まる場所で開業するため、集客上のメリットがあるといえるでしょう。特に動物病院の場合、顧客のペットに何かあった場合の対応も万全です。

併設でトリミングサロンを開業する場合は、元からある動物病院やペットショップと契約することになります。商業施設のテナントと異なり、賃料についての規約が特にない場合もあるかもしれません。「固定賃料」「固定賃料+売上に応じて割り増し」など、どのような支払い方法をするのか事前によく確認してください。

トリミングサロン開業に必要な資格や手続き

トリミングサロンを開業するにあたり必要な資格や手続きがあるのかを確認しておきましょう。

開業に必要な動物取扱責任者の資格とは?

トリミングサロンを開業する際は「動物取扱責任者」を設置する必要があります。動物取扱責任者になるためには、以下のいずれかを満たしてください。

  • 獣医師
  • 愛玩動物看護師
  • 常勤職員として半年以上の実務経験および所定の学校を卒業
  • 常勤職員として半年以上の実務経験および所定の資格所得
  • 1年以上の飼養従事経験および所定の学校を卒業
  • 1年以上の飼養従事経験および所定の資格取得

上記の点から、所定の学校の卒業、もしくは所定の資格を取り、トリミングサロンなどで勤務している人の独立開業は可能ですが、全くの未経験者は一人ではトリミングサロンの開業ができないということがわかります。人によっては、トリミングサロン開業を考える前にかなり高いハードルがあるといえるでしょう。

ちなみに実際に動物のケアを行う「トリマー」の資格ですが、民間資格であり、トリミングサロン開業には必要とは限りません。とはいえ、他店との差別化、一定の技術力をアピールするためには資格を取得しておいた方が有利といえるでしょう。

トリミングサロン開業に必要な書類は?

トリミングサロン開業に必要なのは「第1種動物取扱業の『保管』」資格です。保健所に書類を提出します。

その他、税務署に開業届も提出してください。開業届は開業の事実のあった日から1カ月以内に提出します。開業届と青色申告承認申請書を提出して青色申告事業者となることで節税できるため、提出をおすすめします。

トリミングサロン開業までの流れ

トリミングサロン開業までは以下の流れとなっています。

  1. 必要な資格を取得する
  2. 事業計画を立てる
  3. 開業する場所を決めて設備や機器類を準備する
  4. 開業届を提出する

必要な資格を取得する

ご紹介したように、トリミングサロンを開業するためには「動物取扱責任者」の設置が必要です。動物取扱責任者になれる要件を満たした従業員を雇わない場合、自分が要件に当てはまっているかを確認してください。ペットショップやトリミングサロンでの勤務経験が全くない場合は、勤務経験を積んでから開業しましょう。

事業計画を立てる

開業に必要な資格を取得できることを確認できたら事業計画を立ててください。事業計画は金融機関などで融資を受ける際も必要となります。悲観的になる必要はありませんが、実現可能な計画を立てるよう心掛けましょう。

例えば、以下のような点はしっかり決めておきたい部分です。

  • 営業形態(店舗、訪問方式、動物病院で経営など)
  • 得意分野・コンセプト(カットが早くペットに負担をかけない、個性的なデザインが得意など)
  • 顧客獲得について(現在の顧客を何割ほど連れて来られるか、集客方法についてなど)
  • 従業員について(雇う人数、どのような人材を雇うかなど)
  • 必要な開業資金

開業する場所を決めて設備や機器類を準備する

事業計画を立てたら、開業する場所の準備です。予算やコンセプトに合わせて店舗を借りる場所を決めましょう。併せて内装についても検討してください。できれば掃除しやすい内装や防臭・抗菌効果のある壁紙床材を選びましょう。場所によっては二重窓などで防音効果を高める努力も必要です。訪問方式で開業する場合は、自動車の手配をします。改装にどの程度の費用が必要かを確認しましょう。

また、設備や機器などの準備もしてください。必要な設備は以下のようなものがあります。

  • トリミングテーブル
  • ドッグバス
  • 照明
  • はさみ
  • ドライヤー
  • 道具を置くトレイやワゴン

など

その他、消耗品として以下のようなものも必要です。

  • シャンプー
  • タオル類
  • ペットシーツ など

飼い主が待機する待合室をつくる場合は、椅子やテーブルなども準備してください。

開業届を提出する

開業する場所が決定したら税務署に開業届を提出します。開業届は開業の事実のあった日から1カ月以内に提出してください。

トリミングサロン開業に必要な資金の目安

トリミングサロンを開業するにあたり必要な資金について確認しておきましょう。また、自己資金だけでは足りない場合の融資についてもご紹介します。

店舗を借りて開業する場合

店舗で開業する場合、以下のような費用がかかります。

  • 物件に関する費用
  • 内装費用
  • 設備購入費用
  • 広告宣伝費
  • 消耗品に関する費用
  • 人件費

場所や広さにもよりますが、多くて1,000万円程度かかると考えておきましょう。少しでも節約したい場合は自宅での開業も検討してみてください。

また、初めのうちは利益が出ない可能性もあります。上記の費用以外にも半年分程度の運転資金を準備しておいてください。

自宅や訪問形式で開業する場合

自宅で開業する場合は、物件に関する費用がかかりません。保証料や敷金・礼金もありませんので、店舗を借りる場合の10分の1程度の費用で済む場合もあります。

また、トリミングカーで訪問するタイプのトリミングサロンを開業する場合は、自動車の改装費用が必要です。200万~300万円程度で考えておきましょう。

融資を受ける際の注意点は?

トリミングサロン開業の際、受けられる融資には以下のようなものがあります。特徴とともに確認しておきましょう。

銀行など金融機関の融資:

  • 実績のない個人事業主は受けられない可能性が高い
  • 厳しい審査がある
  • 事業計画書の提出が必要

日本政策金融公庫の融資:

  • 新たに事業を始める人、事業開始後おおむね7年以内の人向けに「新規開業資金」がある
  • 事業計画書の提出が必要

これから事業を始める方であれば、日本政策金融公庫の「新規開業資金」融資が向いているといえます。融資限度額は7,200万円(うち運転資金は4,800万円)で借入期間は20年以内と、まとまった資金調達に最適です。

また、どこから融資を受ける場合でも、事業計画書は必要です。実現可能な計画書を準備しておきましょう。

トリミングサロン開業向けの事業計画書テンプレート(無料)

事業計画書のテンプレート・フォーマット

こちらから自由にお使いいただけるので、ぜひご活用ください。

トリミングサロンの事業計画書・創業計画書テンプレート・作成例

トリミングサロンなら人気のペット産業で開業できる!

ペット産業はこれからも堅調に推移していく業種と予想されているため、トリミングサロンも今後ますます増えると思われます。他店と差をつけるためには、コンセプトや営業形態をしっかり決めておく必要があるといえるでしょう。

また、トリミングサロンは誰でも開業できるわけではありません。トリマーの資格は不要でも、動物取扱責任者になれる資格は必要です。動物取扱責任者は獣医師や一定期間以上の実務経験を積み、所定の資格を得た人しかなれません。

これからトリミングサロン開業を検討するならば、まずは自分が動物取扱責任者設置の要件を満たしているか確認するところから始めましょう。

よくある質問

トリマーの経験は必要ですか?

トリマーの資格や経験は必ずしも必要ではありません。しかし、自身で施術するのであれば、資格があった方が技術力をアピールできます。詳しくはこちらをご覧ください。

専門学校に通った方がいいですか?

所定の資格があれば、必ずしも専門学校に通う必要はありません。ただし、一定期間以上の経験は必要となります。詳しくはこちらをご覧ください。


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