• 更新日 : 2026年1月14日

失業保険をもらいながら起業準備はできる?受給条件や金額、再就職手当についても解説

退職後、失業保険(雇用保険の基本手当)を受給できるのは、企業に再就職する場合だけだと思われがちです。 しかし、起業する場合でも、条件を満たして適切な手続きを踏めば、失業保険や「再就職手当」を受給できます。

この記事では、失業保険を受給しながら起業準備を進める場合の基本的な考え方、具体的な注意点、そして開業のタイミングについて詳しく解説します。 開業や個人事業主を目指して退職する方は、手当を受け取れる可能性がありますので、ぜひ参考にしてください。

失業保険をもらいながら起業準備はできる?

結論から言うと、起業準備の段階でも求職活動を行っている限り、失業保険の受給は可能です。

失業保険は、就職への積極的な意志がある失業状態の人を支える制度です。起業も広義の就職(自営業)に含まれますが、失業認定を受けるためには、ハローワークに対して再就職(会社員等)への意思も見せつつ、並行して準備を行うバランスが重要になります。

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そもそも失業保険とは?

そもそも失業保険(基本手当)とは、失業中の生活を心配することなく、1日も早く再就職するための活動に専念できるよう支給される給付金のことです。

失業保険の受給資格は?

失業保険の基本手当を受給するには、主に以下の2つの条件を満たす必要があります。

  1. 就職への積極的な意志がある「失業状態」であること
  2. 原則として、離職前の2年間に雇用保険の被保険者期間が通算12ヶ月以上あること
    ※倒産・解雇などの「特定受給資格者」や「特定理由離職者」の場合は、離職前の1年間に通算6ヶ月以上あれば対象となります。

失業保険の支給対象外となるケースは?

失業保険の受給資格があっても、以下のように働けない状態や求職活動をしていない状態と判断されると支給対象外となります。

  • 病気やけが、妊娠・出産・育児などですぐに就職できない場合
  • 定年退職後、しばらく休養する場合
  • 自営を開始した、または起業準備に専念している(=求職活動をしていない)場合

失業保険の受給期間(所定給付日数)は?

失業保険が支給される日数(所定給付日数)は、年齢、雇用保険の被保険者期間、離職理由によって90日〜330日の間で異なります。

一般受給資格者(自己都合退職など)の給付日数

被保険者期間/年齢1年未満1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
全年齢なし90日90日120日120日

特定受給資格者(会社都合退職など)の給付日数

被保険者期間/年齢1年未満1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
30歳未満90日90日120日180日
30歳以上
35歳未満
90日120日180日210日240日
35歳以上
45歳未満
90日150日180日240日270日
45歳以上
60歳未満
90日180日240日270日330日
60歳以上
65歳未満
90日150日180日210日240日

失業保険の受給金額(基本手当日額)は?

失業保険(基本手当)は、1日あたりの支給額(基本手当日額)が、認定された日数分支払われます。

基本手当日額は、離職直前6ヶ月間の賃金合計を180で割った「賃金日額」に、50%〜80%の給付率を乗じて算出されます。給付率は賃金日額が低い方ほど高くなるよう設定されています。

  1. 賃金日額:賃金日額 = 離職前6ヶ月間の賃金総額 ÷ 180
  2. 基本手当日額:基本手当日額 = 賃金日額 × 給付率(50%〜80%)

参考:基本手当について|ハローワークインターネットサービス

失業保険をもらいながら起業準備をするポイントは?

失業保険を受け取りつつ、スムーズに起業準備を進めるためには、ハローワークとの向き合い方がポイントとなります。

1. 起業準備と求職活動を区別する

ハローワークに「求職活動をしていない」と判断されないよう、以下の活動を並行して行う必要があります。

  • 認められる起業準備:市場調査、事業計画書の作成、資金調達の検討など、まだ事業を開始していない段階の準備活動。
  • 必須の求職活動:企業への応募、面接、ハローワークの職業相談など。これらは失業認定を受けるために、原則として月2回以上の実績報告が必要です。

2. ハローワークへ正直に申告する

起業の意向や準備状況は、隠さずにハローワークに申告・相談することが重要です。「バレないだろう」と申告を怠ると、不正受給としてペナルティを受ける可能性があります。

どのような活動が準備で、どこからが事業開始にあたるかは、ハローワークの担当者によって判断が分かれるケースもあるため、不安な点は必ず事前に相談しましょう。

失業保険の支給停止になるタイミングは?

失業保険の受給中に以下の行動をとると、「就職(事業開始)」したとみなされ、その時点で失業手当の支給は停止されます。

支給停止になる具体的なタイミング
  1. 個人事業主になる場合:実際に事業を開始した日
  2. 法人を設立する場合:法務局で会社設立の登記を行った日又は法人の代表取締役に就任した日

失業手当を満額受給したい場合は、受給終了後にこれらの手続きを行う必要があります。

失業保険受給中の活動に関する注意点は?

失業保険受給中の活動に関する注意点は、以下の通りです。

アルバイト・業務委託は「週20時間未満」に抑える

自己都合退職の場合、失業保険が支給されない「給付制限期間」(通常2ヶ月)が発生します。この期間の生活費を補うため、一定の条件下でアルバイトが認められています。

失業保険の受給資格を失わずにアルバイトするには、「1週間の所定労働時間が20時間以上」および「31日以上の雇用が見込まれる」契約をしないことがポイントです。これらに該当すると「就職」と判断され、受給できなくなります。

収入は1円でもすべて申告する

アルバイトやパートだけでなく、開業準備の一環として得た業務委託収入やクラウドソーシングの報酬なども、すべて収入として失業認定日に申告しなければなりません。

収入額や労働時間によっては手当が減額・先送りされる場合がありますが、申告を怠ると不正受給として重いペナルティを受ける可能性があるため、必ず申告してください。

事業開始とみなされる経費に注意する

事業用のWebサイト開設、商品の仕入れ、広告宣伝費の使用などは、「すでに事業を開始している」とみなされる可能性があります。

どこまでが準備でどこからが事業開始かは、ハローワークの担当者によって判断が分かれるケースもあるため、不安な点は事前に相談しましょう。

早期に起業する場合にもらえる再就職手当とは?

早期に起業(または就職)する場合、「再就職手当」を受け取れる可能性があります。

再就職手当の受給資格

再就職手当を受給するためには、次のすべての条件を満たす必要があります。

  • 待機期間の満了後に、就職もしくは事業を開始したこと
  • 就職もしくは事業を開始する日の前日までで、基本手当が受け取れる残日数が所定給付日数の3分の1以上であること
  • 1年を超えて働くことが確実であると認められること
  • 離職理由により給付制限を受けている場合、求職申込みをしてから、待機期間満了後1か月の期間内は、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介によって就職したものであること
  • 離職前の事業主に再び雇用されていないこと(資本や人事などの状況からみて、離職前の事業主と密接な関係にある場合も含む)
  • 前3年以内に、再就職手当などの支給を受けていないこと
  • 受給資格が決定される前から就職することが決まっていないこと
  • 原則、雇用保険に加入する雇用であること

上記の条件に「事業を開始した」という記述があるため、会社設立や個人事業主(フリーランス)になる場合でも、条件を満たせば再就職手当が受け取れます。

再就職手当の受給金額

再就職手当の金額は、「支給残日数」と「給付率(60%または70%)」によって決まります。

再就職手当の金額 = 基本手当日額 × 支給残日数 × 給付率(60% または 70%)
  • 基本手当日額:雇用保険受給資格者証に記載された1日あたりの金額(上限額あり)
  • 支給残日数:就職(開業)日の前日時点で、失業手当が残っている日数

給付率は、この支給残日数がどれだけ残っているかによって変わります。

  • 給付率70%:支給残日数が、所定給付日数の 3分の2以上ある場合
  • 給付率60%:支給残日数が、所定給付日数の 3分の1以上ある場合

開業届を提出するタイミング

個人事業主が再就職手当を受け取るには、開業届を提出する時期が最も重要です。原則として、7日間の待機期間が満了した後に開業する必要があります。

再就職手当を受け取る際の注意点

  • 会社都合退職の場合:待機期間の7日目より後に開業届を提出する必要があります。
  • 自己都合退職の場合:待機期間満了後の「給付制限期間(通常2ヶ月)」の最初の1ヶ月間は、ハローワーク等の紹介でなければ手当の対象になりません。そのため、起業(個人事業主)の場合は、待機期間7日+給付制限1ヶ月が経過した後に開業届を提出する必要があります。

起業後に廃業した場合の特例措置とは(2022年7月~)

2022年7月から、起業した人向けの特例が設けられています。

これは、失業保険の受給資格者が起業したものの、事業がうまくいかず廃業した場合、一定の条件を満たせば、失業保険の受給期間を最大3年間延長できるという制度です。

特例を受けるための条件は?

この特例を受けるには、主に以下の条件を満たす必要があります。

  • 再就職手当・就業手当を受給していないこと
  • 事業の実施期間が30日以上であること
  • 2022年7月1日以降に事業を開始した、または事業に専念し始めたこと

特例の申請タイミングは?

この特例は、廃業してから申請するものではありません。 万が一のセーフティーネットとして、事業を開始した直後に、あらかじめ「延長申請」をしておく必要があります。

  • 申請時期:事業を開始した日(または事業に専念し始めた日)の翌日から2ヶ月以内
  • 申請場所:管轄のハローワーク
  • 申請書類:「受給期間延長等申請書」に、開業届の写しなどを添付して提出

この事前の申請を忘れると、たとえ廃業しても失業保険の受給期間は延長されないため、注意が必要です。

参考:雇用保険受給期間の特例を申請できます|厚生労働省

適切な手続きのために必ずハローワークへ相談を

失業保険は、起業を目指す人にとって重要なセーフティーネットです。開業準備中も条件を満たせば受給できますし、早期に開業すれば再就職手当の対象にもなります。

ただし、開業のタイミングや収入申告など、厳格なルールがあります。「バレないだろう」と申告を怠ると、不正受給として重いペナルティを受けるリスクがあります。

個人事業主になるなど起業の意向がある場合は、必ず最初の段階で管轄のハローワークに正直に相談し、適切なアドバイスを受けながら手続きを進めてください。


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