- 更新日 : 2024年7月12日
クラウドとSaaSの違いとは? クラウドのメリット、利用率を詳しく解説
近年、さまざまなタイプのクラウドサービスが普及し、「クラウド」や「SaaS」という言葉が聞かれるようになりました。それぞれの言葉はよく聞くものの、意味や違いについて正確に理解していないという方も多いのではないでしょうか。
本記事では、クラウドとSaaSの違いについて解説します。また、クラウドサービスを利用するメリットや、実際の利用率などについても解説しますので、クラウドサービスの利用を検討している企業はぜひチェックしてみてください。
目次
クラウドとSaaSの違いとは
はじめに、クラウドとSaaS、それぞれの意味について解説していきます。
クラウドとは
クラウドとは、クラウドコンピューティングの略称であり、インターネットを介してソフトウェアやデータを利用する形態のことを指します。
クラウドコンピューティングを用いて提供されるサービスのことを「クラウドサービス」と呼びます。
SaaSとは
クラウドサービスの利用形態の一つが、SaaSです。
SaaSとは「Software as a Service」の略称であり、ソフトウェアをPCなどにインストールする代わりに、インターネット上でサービスを利用できる仕組みを指します。
従来は、ソフトウェアを利用するためのサーバーやミドルウェア、ソフトウェア、ネットワーク等を自社で構築し、運用・管理を行っていました。SaaSではこれら構築作業の手間が不要となり、インターネットを介してさまざまなクラウドサービスをすぐに利用することができます。
PaaSやIaaSとの違い
クラウドサービスには、SaaS以外にも「PaaS」と「IaaS」と呼ばれるサービスもあります。それぞれの特徴について解説します。
・PaaS(Platform as a Service)
PaaSとは、クラウド上のプラットフォームを利用できるサービスのことです。
プラットフォームとは、システムやサービスを動かすための基盤や土台のことを指します。PaaSを活用することで、サーバー管理やインフラに気を取られずに、社外からクラウド上で稼働するアプリケーションにアクセスしやすくなります。
・IaaS(Infrastructure as a Service)
IaaSとは、クラウド上のインフラ全般を利用できるサービスのことです。
例えば、クラウド上に構築したインフラ間のネットワークやサーバー、ストレージ、仮想マシン、データセンターなどの基盤リソースを活用できます。ユーザーはクラウド上のリソースを必要に応じて追加・削除することが可能です。
クラウドとSaaSの違い
ここでは、クラウドとSaaSの違いについて解説します。
クラウドとは、インターネットを介してアプリケーションやデータ、リソースを利用するサービスです。
一方で、SaaSはソフトウェアやサービスをクラウド上で提供するサービスのことを指します。つまり、SaaSはクラウドよりも狭義であり、クラウドサービスの中の一形態であるといえます。
SaaSのメリット
現在、世界中のさまざまな企業がSaaSを利用して業務を行っています。この章では、SaaSを利用するメリットについて解説します。
初期費用や運用・保守コストを抑えられる
SaaSは、事業者が提供しているサービスを利用するため、自社でソフトウェアを開発、インフラ構築をする手間・コストが発生しません。そのため、初期コストを抑えられるメリットがあります。
また、SaaSは基本的に毎月一定額の利用料金を支払うだけで利用できるため、ランニングコストを把握しやすいのが特徴です。
他にも、サービスを提供している事業者が運用・保守を行うため、ユーザー側で運用・保守を担当する人材の確保や、ツール・設備を整える必要がありません。そのため、運用・保守コストの削減にもつながります。
場所を問わず利用できる
SaaSはインターネット経由で社内外問わず、どこからでも利用できるのが特徴です。
そのため、自宅や外出先からでも利用でき、テレワークやハイブリッドワークなど、さまざまな形の働き方に対応できます。さらに、PCやタブレット、スマートフォンなど、端末を問わず利用できる点もSaaSのメリットです。
自動アップデートにより、最新状態のサービスを利用できる
SaaSは、事業者側でアップデート作業などを実施する仕組みです。そのため、常に最新状態のサービス・機能を利用でき、サービスのメンテナンス作業などのコストが発生しないというメリットがあります。
セキュリティ対策の負担が小さい
SaaSは、セキュリティ対策やバグ修正などの作業も事業者側で実施します。そのため、セキュリティ対策の負担軽減にもつながります。
業務に必要な機能のみを選べる
SaaSは、自社の業務に合わせて必要な機能のみを利用するといった「スモールスタート」が可能です。
例えばマネーフォワードでは、人事や給与計算、契約などを業務単位で提供しています。ユーザーは自社で必要な機能のみを選んで利用でき、初期費用を抑えた上でサービスを利用開始できるのです。
クラウドサービスの利用状況とクラウドファーストとは?
近年、多くの企業がさまざまなメリットを持つクラウドサービスの導入を検討しています。
この章では、近年のクラウドサービスの利用状況と、クラウドファーストの潮流について解説していきます。
クラウドサービスの利用状況
「令和4年 通信利用動向調査報告書(企業編)」のクラウドサービスの利用状況の調査によると、クラウドコンピューティングを「全社的に利用している」企業の割合は 44.8%、「一部の事業所または部門で利用している」企業の割合は27.3%となっています。
下記の表の通り、7割以上の企業がクラウドサービスを利用しており、毎年利用している企業が増加していることが分かります。
出典:総務省「令和4年 通信利用動向調査報告書(企業編)」P7
クラウドファースト
近年、「クラウドファースト」という考え方が主流となっています。
クラウドファーストとは、新規システムの開発や既存システムを更新する際に、クラウドサービスを優先して検討する考え方のことです。
2018年6月に政府が発表した「政府情報システムにおけるクラウドサービスの利用に係る基本方針」には、クラウドサービスの活用を推進する方針や、クラウドサービスを利用するメリットについて記載されています。
クラウドサービスを導入することで、運用負荷を軽減し企業の競争力を強化したり、災害時でも事業を継続できる環境を構築したりといったことが可能になります。
このようにクラウドサービスの導入は企業にとって多くのメリットがあるため、クラウドファーストの考え方が注目されています。
参考:デジタル社会推進会議幹事会「政府情報システムにおけるクラウドサービスの利用に係る基本方針」P3
まとめ
今回は、クラウドとSaaSの違いやSaaSのメリットについて解説しました。クラウドとは、インターネットを介してアプリケーションやデータ、リソースを利用するサービスのことを指します。SaaSはソフトウェアやサービスをクラウド上で提供するサービスのことであり、クラウドサービスの中の一形態となっています。
近年は、クラウドサービスを導入することで、運用負荷を軽減したり企業の競争力を強化したりすることが可能なことから、「クラウドファースト」という考え方が主流となっています。企業にとってさまざまなメリットがあるクラウドサービスの導入をぜひご検討ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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