- 作成日 : 2026年1月30日
予算管理プロセスを構築するためのポイントを解説
ナレッジラボ(現:マネーフォワードコンサルティング株式会社)は事業再生支援から始まりました。そこで200社以上の再生企業様とご縁があり、再生のご支援をしてきました。その経験から、会計をベースにした経営管理手法は事業の成長に直結する重要な経営手法である、という共通点を見つけました。以来、これまで100社以上の予算管理を支援させていただいた経験も踏まえ、スタートアップ企業が事業成長に直結する予算管理、予算管理プロセスを構築するためのポイントを解説します。
目次
予算管理はなぜ必要?
私たちの考える予算管理とは、売上・利益をどこまで伸ばしたいかという目標と、それに対する実績を管理するための経営管理手法です。数字を管理するだけではなく目標を達成するためのマネジメントの仕組みが「予算管理」であると考えています。
私たちは事業再生支援から事業をスタートし、200社以上の再生企業様とご縁があり、再生の支援をしてきました。事業再生支援でやってきたことは会計をベースにした経営管理手法の導入です。予算管理・業績管理・目標管理を導入したことで、数年後には業績が回復した企業をたくさんみてきました。その経験から、会計をベースにした経営管理手法は事業の成長に直結する重要な経営手法であると考えております。
2005年に米国Antonio Davila氏が行った研究によると、早期に予算管理を始めたスタートアップは予算管理の開始が遅れたり予算管理をしなかった会社に比べて売上の成長率が大幅に高くなっています。2年以内に予算管理を導入した企業が圧倒的に事業成長をとげていることからも、予算管理が企業にとって必要であるといえるでしょう。
事業再生支援から学んだ、予算管理プロセスとは?
予算管理は、「予算策定」「アクションプラン」「実行」「分析」このプロセスを回す一連の計画管理だと定義しています。各プロセスの概要は以下の通りです。
- 予算策定
経営目標もしくはそれを数値化した事業計画から短期の利益計画として予算を策定 - アクションプラン
予算を達成するためのアクションプランを策定 - 実行
アクションプランを組織に落とし込みマネジメントしながら戦略を実行 - 分析
結果として測定された実績を定期的に予算と比較・分析
事業成長の基盤となる予算策定の作り方とは
予算策定をうまく進めるためには、事前準備とプロジェクトマネジメントが非常に重要です。事前準備では、「予算策定ガイドライン」「予算フォーマット」「アクションプランシート」の作成をおすすめします。この事前準備とプロジェクトマネジメントが実行可能性の高い予算を策定するための重要なポイントとなります。
下記では具体的な作成方法を解説します。
1.予算策定ガイドライン
予算策定ガイドラインでは、まずトップダウンで予算策定に関する方針や目線感を記載したガイドラインを展開しましょう。ガイドラインは下記項目に沿って作成することをおすすめします。
- 計画作成の目的
- 計画の目線
- 作成する計画
- 作成する予算フォーマット
- スケジュール
- 問い合わせ先
各項目の詳細はこちらです。
- 計画作成の目的
目的を明記しましょう。初めて予算策定をする方もいらっしゃるかと思います。何のために予算策定を行うのか目的や計画に対する考え方を明記し、計画策定において意識してもらいたいポイントを記載しましょう。 - 計画の目線
目標売上や目標利益、大きな指標などにフォーカスしましょう。あまり詳細に書くとトップダウン型の色合いが強くなります。 - 作成する計画
入力してもらう計画フォーマットは事前に用意し、展開することが重要です。各部門にどこまでの範囲の計画を策定してもらうかについては明確に定めておかないと、その後のコミュニケーションコストが非常に大きくなります。 - 作成する予算フォーマット
ボトムアップで部門別計画を積み上げる場合は各部門に入力してもらう計画フォーマットは事前に用意し、展開することが重要です。各部門長に展開する計画とそのフォーマットを指定しましょう。 - スケジュール
予算確定までのスケジュールを記載しましょう。予算策定に関与する人が多ければ多いほどスケジュールのコントロールが重要です。 - 問い合わせ先
予算策定に関する問い合わせ先を記載しましょう。
予算策定は参加型プロセスで経営層と各部門がやり取りを繰り返しながら数ヶ月かけて作り上げていきます。
2.予算フォーマット
経営管理部門で事前の予算フォーマットの作り込みが、予算策定プロセスを効率的に管理するために非常に重要となります。予算管理の主管部門である経営管理部が計画策定ガイドラインに沿った計画フォーマットを事前に作り込んでおくと、最終の確認作業がスムーズに行えます。
3.アクションプランシート
予算の根拠を示す為に、戦略やアクションプランを各部門で検討するためのアクションプランシートを用意しましょう。
予算を立てても、根拠があいまいだとロジカルな計画は作れません。数字を裏付けるアクションプランを作ることが大切です。予算数値と並行して作成することで予算の解像度を高めることができます。部門ごとの目標やビジョン戦略や市場環境を言語化しましょう。
アクションプランシートは、定性面・定量面が明確になり経営層とディスカッションがスムーズに行えるほか、メンバーにも落と込みしやすくなるメリットがあります。シートは自由様式でかまいません。
例えば下記項目を設けてアクションプランシートを作成してみましょう。
- 事業部の経営目標
- 市場環境
- 戦略
- 組織
- アクションプラン
- 計画達成上のリスク
予実管理とは
予実管理には2つの意味があると考えております。
1つ目は、予算予測分析(フィードフォワードコントロール)で、将来を予測しながら目標達成のための最善の行動となるように行動や戦略の修正をするためのコントロールです。2つ目は、予算実績分析(フィードバックコントロール)で、事後的に目標と実績との差異を把握・分析し、改善に向けた行動修正をするためのコントロールです。
先月の予算に対して先月の実績を分析しても、先月未達だったものが達成にはならないように、予算実績分析だけでは予実管理はうまくいきません。予算実績分析と、今月の予算に対して今月の実績がどうなっているのか予測する予算予測分析がとても重要です。
予算予測分析とは
予算に対する予測を比較しながら、今月の予算を達成するために組織として必要な先回り対応(フィードフォワード)を行います。予算予測分析は月次よりも頻度をあげて組織全体で取り組む仕組みを構築することが重要です。管理部門だけで完結できませんので、各部門を巻き込こみながら予算予測分析の仕組みを作りましょう。
予算予測分析の仕組みを構築するためには予測レポートを確立することです。ポイントは4つあります。
- 頻度は週次
- 部門単位で実施
- 数字ベースで記載する
- アクションプランを記載する
まとめ | 予算管理を仕組み化し、目標達成につなげるポイント
予算管理は事業成長に欠かせない経営管理手法です。各部門が常に予算を意識できる仕組みを構築し、運用のサイクルをまわすことが最大のポイントとなります。一部の経営管理層だけではなく、各部門や事業部に展開し、分析・予測を行ってもらうことで、各部門の数字意識や当事者意識を高め、目標を達成できるチームを目指していきましょう。
一方で、部門ごとに正しい実績を集め、必要な情報を表計算ソフトで展開・管理するのは非常に手間がかかり、管理の煩雑さや属人化のような課題を抱える企業も少なくありません。
そこでおすすめなのが、予算や実績をリアルタイムに把握・分析・管理できる予実管理システムの導入です。実績集計やレポート作成にかかる工数を大幅に削減し、分析に注力できる体制を構築できます。
弊社の提供する予実管理システム「Manageboard(マネージボード)」は、会計ソフトとのAPI連携により、正確な数字をリアルタイムで把握できる環境を提供しています。必要なレポートもワンクリックで作成することができるため、全社単位はもちろん、部門単位の予実まで、より詳細な分析を短時間で行うことが可能です。また、閲覧権限はユーザーごとにカスタマイズできるため、必要な情報を適切に共有することができます。
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この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
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※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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