- 更新日 : 2026年1月29日
商標とは?登録のメリットや出願方法を解説
商標とは、商品やサービスの出所を示す目印で、登録により独占的な使用権が得られる知的財産です。
- ロゴや名称が保護対象
- 類似使用を法的に排除できる
- ブランド価値と信頼性を守る
商標登録すると他人の無断使用を防ぎ、信頼性の証明や差別化の手段として活用できます。ビジネスの安全性向上にもつながります。
商標とは、自社の商品やサービスを他社のものから区別するために事業者が使用する文字・図形・記号・立体的形状・色彩・音などを指します。45種類の指定商品・指定役務から区分を選んで出願し、特許庁の審査で認められると商標権を取得できます。
この記事では商標の意味や機能、商標権取得のメリットや出願手続き、登録商標の検索方法などを解説します。
目次
商標とは?
商標は、企業や個人が提供する商品やサービスを、他者のものと区別するために用いる“目印”です。法律によって保護される知的財産の一種であり、使用権や独占権と深く関係します。
商標は「商品・サービスの出所」を示す識別標識
商標とは、商品やサービスが「どこから来たものか(誰が提供しているのか)」を消費者に示すための識別標識です。商品名、ロゴ、マーク、スローガン、パッケージデザインなど、視覚的・聴覚的要素を含むものが対象になります。これにより、消費者は商品やサービスを選択しやすくなり、提供者は自社のブランド価値を保護できます。
商標は法律により独占的に使用できる権利の対象
商標は単なる名称ではなく、所定の手続きを経て登録することで、法律上の「商標権」が発生します。これにより、同一または類似の名称やマークを他者が勝手に使うことを排除できる排他的権利を得られます。これはブランドの信用を守るうえで非常に重要な制度です。
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商標と意匠の違いは?
商標は自社の商品やサービスを他社のものから識別するマークなどであるのに対して、意匠は物の「デザイン」を意味します。
意匠権は、商標権と同様に知的財産権の一つです。
ただし商標権とは異なり、意匠権については工業上利用できること(=同一のものを複数製造できること)が登録要件とされているほか、保護される行為にも違いがあります(商標権は「使用」、意匠権は「実施」)。
意匠権について、詳細は下記記事で解説しています。
商標の機能は?
商標には、名称やロゴにとどまらない、多様な機能があります。以下では、商標が果たす主な機能を紹介します。
出所表示機能
商標の最も基本的な機能は、その商品やサービスが「どこから来たものか」を示すことです。たとえば、同じ種類の商品が複数の企業から販売されている場合でも、商標によって「これはA社の製品だ」と識別できます。この機能があることで、消費者は安心して商品を選ぶことができ、企業側も自社の商品と他社商品を明確に区別できます。
品質保証機能
商標が付されていることで、消費者は「このブランドなら安心だ」「過去に使って良かった」といった信頼感を持ちます。つまり、商標は品質に対する保証のシグナルとして機能し、購入の意思決定を助ける要素になります。企業にとっても、品質を維持することでブランド価値が積み上がります。
広告宣伝機能
商標は、企業の広告活動やマーケティング戦略の中核としても活用されます。ロゴやスローガンなどは、消費者の記憶に残るブランドイメージを形成し、市場における認知度や好感度を高める効果を持ちます。商標が強固であれば、広告の効果も高まりやすくなります。
投資誘引機能
商標は、企業の無形資産の一つとして評価され、投資家や取引先にとっての信頼指標となります。有名ブランドや信頼のある商標を持つ企業は、資金調達や提携において有利に働くことが多く、経済的な価値を生み出す重要な要素となっています。
商標の種類は?
商標には、企業名や商品名などの「文字」だけでなく、図形や音、色彩など、さまざまな形態があります。特許庁に登録可能な商標の範囲は広がっており、近年では「見えない商標」も認められるようになっています。以下に代表的な種類を紹介します。
文字商標(言葉・社名・商品名などからなる商標)
最も一般的なのが文字商標です。アルファベット、漢字、ひらがな、カタカナ、数字などの組み合わせで構成され、商品名・ブランド名・企業名などが該当します。「コカ・コーラ」「ソニー」など、言語情報によって識別される商標です。
図形商標(ロゴマークなど視覚的なデザイン)
図形商標は、文字を含まないロゴマークや、抽象的なデザインなどが対象です。企業や商品の視覚的なイメージを形成する要素として重要であり、文字商標と組み合わせて使用されることも多くあります。
記号・立体・組み合わせ商標(複合的・立体的な要素を含む商標)
記号(記号的図形や記号文字)、立体(商品の形状やパッケージなど3次元の形)、文字や図形の組み合わせで構成された商標も存在します。ユニークなボトル形状や、文字+図形のロゴマークが該当します。
色彩のみからなる商標(特定の色の組み合わせ)
色彩商標は、文字や図形を含まず、特定の色や配色のみで構成される商標です。例としては、「赤と白のストライプ」や「特定の青色」など、色の組み合わせ自体がブランドとして認識される場合があります。登録には識別力の証明が必要です。
音・動きなどの新しいタイプの商標(非視覚的商標)
近年は、音商標(メロディやジングル)や、動き商標(アニメーションのような動き)、さらにはホログラムや位置商標(特定の位置に表示されるマーク)なども商標登録が可能になりました。テレビCMで使われる効果音や、スマートフォンの起動音などが該当します。
登録できない商標は?
商標は、申請すれば必ず登録されるわけではありません。商標法では、識別力がないものや公益に反するもの、他人の権利を侵害するおそれのあるものなどについて、登録が認められない「拒絶事由」が定められています。以下に代表例を紹介します。
識別力がない商標
他人の商品・サービスと区別する力がない商標は、原則として登録できません(商標法3条)。
- 商品・役務の一般名称のみ(例:「パン」「自動車販売」)
- 業界で慣用されている表現(例:「No.1」「お買い得」)
- 産地や品質、用途などの説明的表現(例:「東京産」「高品質」)
- 一般的な姓のみ(例:「佐藤」など)
- 極めて簡単でありふれた記号(例:「○」「A」)
ただし、長年の使用実績により「特定の業者の商品・サービスである」と需要者に認識されていれば、例外的に登録可能となる場合があります(商標法3条2項)。
公益性を損なう商標
国や公共機関などに関連する標章に似た商標、または社会秩序を乱すおそれのあるものは、登録できません(商標法4条1項1号~18号)。
- 国旗、菊花紋章、勲章、赤十字マークなどと同一・類似のもの
- 国際機関や地方公共団体の公的標章と類似するもの
- 公序良俗に反する表現や、不当な賞を連想させる表示
- 商品の機能に不可欠な形状のみからなる立体商標
他人の権利と紛らわしい商標
他社の商標・名前・著名な表示などと類似し、混同のおそれがあるものも登録できません(商標法4条1項8号、10号~19号)。
- 他人の氏名や企業名、有名人の芸名を含む商標
- 他社の周知・著名商標と同一または類似の商標
- 他社の登録商標と同一・類似で、同じ商品やサービスに使用するもの
- 混同を招くおそれのある商標、他人の商標を不正目的で利用する商標
- 登録された品種名や、誤った産地表示(例:本来は国産でないのに「フランス産ワイン」と記載)
参考:商標法|e-GOV
商標権を取得するメリットは?
商標は、使用するだけでは法的に十分保護されません。商標登録によって「商標権」を取得することで、企業や個人にさまざまな実益がもたらされます。
商標を独占的に使用でき、他者の無断使用を防げる
商標権を取得すると、その商標を指定した商品やサービスについて独占的に使用できる権利が与えられます。他社が同じまたは類似の商標を使用した場合、差止請求や損害賠償請求といった法的手段をとることが可能になります。これにより、模倣やフリーライド(ただ乗り)から自社のブランドを守ることができます。
ブランド価値を高め、信用の証明になる
商標権を取得していることは、消費者や取引先に対する信頼性の裏付けにもなります。特許庁に登録された正規の権利であることは、事業の安定性や継続性を示す材料となり、企業イメージの向上や投資判断にも良い影響を与えることがあります。
商標出願を進める手順は?
商標出願は、申請書を提出すれば完了するものではなく、事前調査から登録後の管理まで段階的な手続きが必要です。各ステップを正しく理解することで、拒絶リスクを抑え、スムーズな権利取得につながります。
① 商標として使用する名称・ロゴを決定する
まず、出願する商標を決めます。文字、ロゴ、図形、組み合わせなど形態を明確にし、実際に事業で使用するものと一致させることが重要です。将来の事業展開も考慮し、長期的に使える商標かを検討します。
② 先行商標調査を行う
同一または類似の商標がすでに登録されていないかを調査します。特許庁のデータベースなどを用いて確認し、先行商標がある場合は出願内容の見直しが必要です。この工程を省くと、拒絶される可能性が高まります。
③ 指定商品・指定役務を決定する
商標権は、使用する商品・サービスの範囲ごとに認められます。そのため、どの商品・役務に商標を使うのかを具体的に定め、国際分類(区分)に沿って指定します。将来の事業拡大を見据えた設定も重要です。
④ 出願書類を作成し、特許庁へ出願する
商標、指定商品・役務、出願人情報などを記載した出願書類を作成し、特許庁に提出します。出願はオンラインで行うのが一般的です。この出願日が「権利の基準日」となります。
⑤ 審査を受け、拒絶理由に対応する
出願後、特許庁による審査が行われます。拒絶理由通知が出た場合は、意見書や補正書を提出して対応します。適切に対応できれば、登録へ進むことが可能です。
⑥ 登録料を納付し、商標権を取得する
審査に合格すると登録査定が出されます。所定の登録料を納付することで、商標権が発生します。登録後は、更新手続きなどを行いながら権利を維持します。
商標登録の出願は、紙の書類のほかオンラインでも行うことができます。オンライン出願を行う際には、電子出願ソフトサポートサイトをご利用ください。
商標権の取得にかかる費用は?
商標の出願時には出願料、商標権の登録時と更新時には商標登録料がかかります。
| 出願料 | 3,400円+区分数×8,600円 |
|---|---|
| 商標登録料 | ①登録時 区分数×3万2,900円 ②更新時 区分数×4万3,600円 |
これらの他にも、書面提出時の電子化手数料(電子出願なら不要)、弁理士へ依頼する場合は代理人費用が発生します。電子化手数料は1件あたり基本額2,400円に書面1枚あたり800円を加算した金額、弁理士への依頼費用は数万円程度発生する点を押さえておきましょう。
商標を検索する方法は?
日本における登録商標は、「J-PlatPat」を通じて検索できます。商標出願の際には、事前調査を綿密に行いましょう。また、海外の商標を調査する必要がある場合は、現地法の専門家に相談しましょう。
参考:特許情報プラットフォーム|独立行政法人工業所有権情報・研修館J-PlatPat
商標登録によって自社商品・サービスの差別化を
商品名やロゴなどについて商標登録を受けると、自社の商品・サービスを他社から差別化できます。他社による模倣の防止やブランドイメージの向上に役立つので、必要に応じて商標登録の出願を検討すると良いでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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