- 更新日 : 2024年4月4日
セールスイネーブルメントとは?意味や導入するメリット、企業事例を解説
セールスイネーブルメントとは、営業組織の強化を意味します。ITツールや研修を通じて人材育成を仕組み化することで、組織全体の営業力を強化することが目的です。営業部門を強化して、収益を上げたいと考えている企業に有効な手法でしょう。
本記事では、セールスイネーブルメントのメリットや導入方法、実際に成功した企業の事例を紹介するので、参考にしてください。
目次
セールスイネーブルメントの意味とは?
セールスイネーブルメント(Sales Enablement)とは、営業組織と営業環境を強化して、収益を最大化するための仕組みや取り組みを意味します。
営業部門に任せるわけでも、営業担当者1人に頼るわけでもなく、会社全体でセールスの改善に取り組むこともセールスイネーブルメントの特徴です。簡単に説明すると、ITツールを有効に使い、体系的な営業育成プログラムを作ります。
セールスイネーブルメントの具体的な仕組みや対策は、以下のとおりです。
- 組織の営業能力をデータ化し改善する
- 成果を出している営業担当者の行動やノウハウを共有する
- 営業データから育成プログラムや営業ツールを作成する
- 顧客情報・満足度を測定して提案につなげる
- 営業のトレーニングやコーチングを実施する
- 外部研修を取り入れる
セールスイネーブルメントは、従来の営業人材・営業組織の育成とは異なり、ITツールやデータを活用して適切な育成方針を作り、企業の収益を最大化する目的があります。
そもそもイネーブルメントの意味とは?
「セールス」は、販売や営業を意味します。「イネーブルメント」という言葉はなじみがなく、意味を知らない方もいるのではないでしょうか。
イネーブルメント(Enablement)には「有効化」「強化」といった意味があります。つまり、セールスイネーブルメントを直訳すると「営業力の強化」です。
セールスイネーブルメントは、ITツールを用いたデータ分析を行ったり、研修を通じてスキルを磨いたりします。しかし、セールスイネーブルメントの導入が目的ではなく、営業力の強化が本質であることを忘れないようにしましょう。
セールスイネーブルメントがビジネスで注目されている背景
セールスイネーブルメントがビジネスで注目されている背景には、営業担当者のスキルレベルのばらつきがあります。
従来、営業組織の強化や営業人材の育成は、営業部門に任せられていたり、営業担当者個人のスキルや経験を活かした勘に頼ったりしていました。そのため、営業スキルは、属人性が高く共有しにくい特徴もあります。
しかし、セールスイネーブルメントを導入することで、営業担当者のスキルを均一化して、営業効率を高められます。
セールスイネーブルメントの具体例としては次のようなものがあります。
| 具体例 | 効果 |
|---|---|
| 効果的な営業トレーニングと教育プログラム | ・同一の教育プログラムを受ける ・営業担当者のスキルを一定基準まで引き上げられる |
| 営業プロセスの分業制 | ・最適な営業業務に集中できる ・各営業担当が得意分野に特化できる ・営業効率が上がる |
| ITツールの導入 | ・営業過程のデータを取集できる ・スムーズに情報共有できる ・タスクを自動化できる |
上記のような効果が期待されるため、あらゆる業界でセールスイネーブルメントが注目を集めているのです。
セールスイネーブルメントの効果やメリット
セールスイネーブルメントを導入すると、企業は主に次のような効果やメリットを得られます。
- 組織全体の営業力の向上
- 人材育成の仕組み化
- 労働生産力の向上
それぞれ詳しく解説しますので、参考にしてください。
組織全体の営業力の向上
セールスイネーブルメントを導入すると、組織全体の営業力の向上につながります。営業力が向上する理由は、以下のとおりです。
- 営業業務のデータ分析で業務の改善点が分かる
- ITツールの導入で作業効率が上がる
- 教育プログラムが統一化される
- 営業情報を社内で共有しやすくなる
また、情報をデータ化して共有できるため引継ぎも簡単です。
営業担当者個人の力に頼っている企業ほど、セールスイネーブルメントを導入すると社内全体の営業力が向上します。
人材育成の仕組み化
セールスイネーブルメントを導入すると、人材育成を仕組み化できるため、営業スキルを体系的に身に付けられます。
営業スキルは個人の工夫に頼るケースも多いものでしたが、人材育成を仕組み化することで、身に付けるべきスキルが明確になるため、社内でもノウハウが共有可能です。
たとえば、営業が身に付けるべきスキルには以下があります。
- コミュニケーション能力
- ヒアリング能力
- 分析力
- 顧客目線で思考する能力
これらを営業担当者個人の経験で身に付けるのではなく、社内や外部研修を利用して仕組み化することで営業担当者のスキルを底上げできます。
労働生産力の向上
セールスイネーブルメントを導入すると、労働生産力が向上することもメリットです。
労働生産力とは「従業員1人当たりの労働時間に対して、生み出される商品やサービスの量と価値を測定する指標」を指します。
生産力が向上する理由は、セールスイネーブルメントは営業業務を個人の力ではなく組織の力で効率化するためです。セールスイネーブルメントを導入する場合、営業はやるべき業務が明確になるため営業効率があがります。
たとえば、労働生産力が向上する理由は次のとおりです。
- 営業業務が役割分担されるため集中できる
- 他の部署との連携が取りやすい
- ITツールの導入で業務負担が減少する
- 営業資料の統一化で負担が減少する
営業活動を個人に任せてしまうと、業務が多岐にわたり一から考えるケースも多いため負担が大きいです。
セールスイネーブルメントを導入すると、営業が考える時間を削減し、業務に集中できる環境をつくれるため、生産効率が向上します。
セールスイネーブルメントの導入方法
セールスイネーブルメントの導入をスムーズにするために、導入方法を確認しておきましょう。ここでは、セールスイネーブルメントの導入方法について以下5つを解説します。
- 営業データの蓄積と管理
- セールスイネーブルメント専任の人材を確保
- トレーニングプログラムの企画と実施
- 効果測定と結果共有
- PDCAサイクルの構築
営業データの蓄積と管理
セールスイネーブルメントを導入する場合、まずは営業データの蓄積と管理を行いましょう。データがないと分析ができず、セールスイネーブルメントを導入する企業の収益率が上がらないためです。
以下のツールを導入すると、営業データを効率よく収集・管理できます。
- CRM(顧客情報管理ツール)
- SFA(営業支援システム)
ツールの具体的な説明は「セールスイネーブルメントツール」で説明しているので参考にしてください。まずは、自社の営業業務について分析できるだけのデータを収集しましょう。
セールスイネーブルメント専任の人材を確保
セールスイネーブルメントを導入するときは、専任の人材・部署を設置しましょう。
理由としてセールスイネーブルメントを行うときは、営業だけでなくマーケティングやツール開発者など、さまざまな部署の協力が必要となるからです。専任部署を設置すると、セールスイネーブルメントの情報を一括管理できるため、スムーズに取り組みを進められます。
自社において重視する項目は何かを明確にしたうえで、人材を確保しましょう。
トレーニングプログラムの企画と実施
営業データを集めて分析したあとは、トレーニングプログラムの企画をして実施します。
自社の状況と目標を整理して、成果を出せるトレーニングプログラムの作成をしましょう。たとえば、効果的なトレーニングプログラムは、以下のとおりです。
- 営業スキルを明確化する
- マネージャー層が現場営業のコーチングをする
- 企業研修を導入する
自社で営業のトレーニングプログラムを開発するだけでなく、外部の研修を受けることもおすすめです。セールスイネーブルメントについて詳しい専門家から研修を受けることで、社内の価値観を新しくできるとともに、統一化することができ、営業改善に取り組みやすくなります。
効果測定と結果共有
トレーニングプログラムを実施したあとは、成果が出ているか効果を測定して、結果を共有しましょう。
トレーニングプログラムは営業成果を出すことが目的です。トレーニングプログラムを導入した直後は、実施して満足してしまうケースもあるため、注意しましょう。
たとえば、以下のように効果測定と結果共有を行います。
| 測定結果 | 対策 |
|---|---|
| 成果が出ている | トレーニングプログラムを継続 |
| 成果が出ていない | 改善して次のトレーニングプログラムを実施 |
| 成功体験 | 結果を共有して営業業務に活かす |
結果が出る出ないに関わらず、継続的にトレーニングプログラムを実施することが重要です。継続すると、社内の営業に対する価値観が根付き、人材育成の仕組み化や組織全体の営業力の向上につながります。
PDCAサイクルの構築
セールスイネーブルメントを導入する際は、PDCAサイクルの構築も意識しましょう。
PDCAとは、業務管理手法の1つで、以下4つの項目から成り立っています。PDCAを継続的に行うことを、PDCAサイクルと呼びます。
- Plan(計画)
- Do(実行)
- Check(評価)
- Action(改善)
簡単に説明すると、計画を立てるだけでなく、実行して評価を行い、次に活かすという流れを組む手法です。
PDCAサイクルを回すことで、セールスイネーブルメントの導入による成果が出ているのか確認しながら、業務を進められます。
セールルイネーブルメントの企業事例
実際に、セールスイネーブルメントを導入して成果を出した次の3社の事例を紹介します。
- Sansan株式会社
- 凸版印刷株式会社
- NTTコミュニケーションズ株式会社h
Sansan株式会社
Sansan株式会社は、2007年に創業した法人向け名刺管理サービスを提供する企業です。国内でもいち早くセールスイネーブルメントを導入しました。
セールスイネーブルメントは、テクノロジーの導入や研修制度を整備して営業組織を強化するのが一般的です。しかし、同社の場合は人材採用から見直して成果を出しています。具体的には採用や案件マネジメント、教育、評価制度といった取り組みを実施しました。
導入以前は、月に2~3人ほどを採用していましたが、導入後は3ヵ月で25人の採用に成功しています。採用力を改善することにより、根本的な営業改革を行った事例です。
出典:「最強の営業組織」を創る!Sansan「セールス・イネーブルメント」による改革の全貌 | SELECK [セレック]
凸版印刷株式会社
凸版印刷株式会社は、創業120年の歴史がある印刷会社です。
同社がセールスイネーブルメントを導入した理由は、商材が紙からDX・BPOに変化していくなかで、従来の営業スタイルが通用しなくなってきたためです。
セールスイネーブルメントツールを導入した結果、顧客の潜在課題を聞き出して提案できるようになり、成果を出せるようになりました。
さらに営業スキルの成長度合いが可視化され、メンバーのモチベーションの維持にもつながっています。
出典:凸版印刷株式会社(現:TOPPANエッジ株式会社) | Sales Enablement(セールスイネーブルメント)
NTTコミュニケーションズ株式会社
電気通信関連の事業を行っているNTTコミュニケーションズ株式会社も、セールスイネーブルメントを導入して成果を出しています。
同社がセールスイネーブルメントを導入した理由は、時代とともに営業スタイルの変化が求められたためです。これまでもSFAツールの導入はしていたものの、受注管理システムとしてしか機能しておらず、活用できていませんでした。
そこで、まずSFAツールを適切に活用して営業活動を見える化しました。さらに、改善策を打ち出す専門チームを設置し、セールスイネーブルメントを本格的に取り入れました。
セールスイネーブルメントを導入した結果として営業組織が再構築され、営業力の強化に成功しています。
出典:NTTコミュニケーションズ株式会社 | Sales Enablement(セールスイネーブルメント)
セールスイネーブルメントツール
セールスイネーブルメントは、ツールを活用すると、より営業効率を高められます。ここでは、セールスイネーブルメントに活用できるツールについて以下2つを解説します。
- CRMツール
- SFAツール
CRMツール
CRMツールは、顧客管理を行うシステムのことで「Customer Relationship Management(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)」の略語です。
CRMツールを導入する目的としては、顧客に関するデータを一元管理して顧客の課題を分析することや、個々の顧客に対して最適なアプローチを実行することが挙げられます。
管理できる顧客データは以下のとおりです。
| 分析できるデータ | 詳細 |
|---|---|
| 属性に関するデータ | ・顧客の個人情報 ・企業情報 ・年齢 ・性別 ・居住地域 ・家族構成など |
| 動向に関するデータ | ・顧客の導入商材 ・購入履歴 ・問い合わせ履歴 ・クレーム履歴など |
CRMツールを導入すると、データをもとにして最適な提案ができるため、営業と顧客との関係性を向上させられます。
SFAツール
SFAツールは営業支援を行うシステムのことで「Sales Force Automation(セールス・フォース・オートメーション)」の略語です。
SFAを導入する目的は、営業担当者個人が管理している次のような情報をデータ化して共有し、営業効率を上げることです。
- 営業活動に関する顧客情報
- 案件の進捗状況
- 商談事例
全員が同じツールを使って情報を管理するため、社内での共有がスムーズに進み、営業効率が高くなります。
セールスイネーブルメントの導入で営業力を強化しよう
セールスイネーブルメントとは、営業組織の強化を意味します。従来、営業スキルやノウハウは、属人性が高く営業担当者個人の裁量で成果に差が出ていました。
しかし、セールスイネーブルメントは、営業担当者個人や部署に任せるのではなく、会社全体で営業改善に取り組みます。ITツールを活用してデータ分析を行い、営業プログラムの作成に活用することも特徴です。
そのため、営業スキルが定義化され、スキルや成果を上げやすくなります。継続的にセールスイネーブルメントに取り組むことで、組織全体の営業力強化が期待できるため、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。
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