- 更新日 : 2026年1月29日
コンピテンシー面接とは?導入メリットや質問手法を解説
コンピテンシー面接とは、行動特性から活躍を見極める面接手法です。
- 過去の行動事実を評価
- STARで深掘り質問
- 主観によるブレを防止
Q&A
Q. なぜミスマッチを防げる?
A. 自社のハイパフォーマー行動と照合して判断するからです。
採用選考において候補者の本質的な能力を見極めることは、組織の持続的な成長にかかわる大きな課題といえます。近年、従来の面接手法に加えて、成果再現性の高い人材を見抜く手法として「コンピテンシー面接」が多くの企業で導入され始めました。本記事では、経営者および人事責任者の方々に向けて、コンピテンシー面接の定義から、評価のブレをなくす導入手順、実践的な質問技法までを体系的に解説いたします。組織の採用力を高めるための一助としていただければ幸いです。
目次
コンピテンシー面接の定義とはどのようなものか?
コンピテンシー面接という言葉を耳にする機会が増えましたが、その本質を正しく理解しているケースは意外に少ないかもしれません。これは単なる質問のテクニックではなく、組織が求める成果を上げ続ける人材を見極めるための構造化された評価手法です。ここでは、コンピテンシー面接の基本的な定義と、従来の手法との明確な違いについて掘り下げていきます。
行動特性から将来の成果再現性を予測する手法
コンピテンシー面接の核心は、候補者が過去にとった具体的な行動事実に焦点を当て、そこから「高い成果を生み出すための行動特性(コンピテンシー)」を有しているかを見極める点にあります。人間が将来どのような成果を上げるかを予測する際、最も信頼性が高い指標は過去の行動実績であるという考え方が根底に存在します。候補者が直面した特定の状況下で、どのような判断を下し、どう行動したかを詳細に聞き出すことで、入社後も同様の成果を再現できるかを判断します。単なる知識やスキルの有無を確認するのではなく、そのスキルを実際の業務場面でどのように発揮できるかという「発揮能力」を評価の対象とします。
過去の具体的な行動事実を深掘りする
従来型の面接が志望動機や「もし〜ならどうするか」といった仮定の質問で意欲や思考性を測るのに対し、コンピテンシー面接は「過去の具体的な行動事実」のみを深掘りする点が最大の違いです。性格診断が潜在的な資質を見るものである一方、この手法は実際に発揮された行動に焦点を当てます。そのため、候補者の脚色を排除しやすく、成果を再現できる実務能力を客観的に見極めることが可能となります。
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面接官の主観による評価のバラつきを抑制する効果
採用現場における長年の課題の一つに、面接官個人の経験や勘、好みによって評価が左右されてしまう問題があります。ある面接官が高い評価をつけても、別の面接官は低い評価を下すといった事態は珍しくありません。コンピテンシー面接では、あらかじめ設定された評価基準(コンピテンシーモデル)に基づき、候補者の行動事実を照らし合わせて評価を行います。評価軸が「印象」から「行動事実」へとシフトするため、面接官ごとの主観が入る余地が極小化され、選考基準の均質化を図ることが可能となります。これは採用の公平性を担保する上でも非常に有益な側面です。
なお、採用選考は応募者の適性・能力に基づいて行うことが基本です。職務遂行に関係のない事項(本籍・出生地、家族構成、宗教、思想・信条、支持政党、健康状態など)を応募書類に記載させたり、面接で質問したりして把握することは、就職差別につながるおそれがあります。質問は職務要件に紐づく行動事実に限定し、評価にも用いない運用を徹底しましょう。
採用ミスマッチを未然に防ぎ定着率を高める利点
入社後のミスマッチは、企業にとっても候補者にとっても不幸な結果を招きます。多くの場合、ミスマッチはスキル不足よりも、組織の風土や仕事の進め方との不適合によって生じます。コンピテンシー面接を通じて、候補者がどのような思考プロセスで仕事に取り組み、周囲とどのように関わりながら成果を出してきたかを確認することで、自社のカルチャーや働き方に合致するかを高い精度で見極めることができます。自社で活躍できる行動特性を持った人材を採用することは、結果として早期離職のリスクを低減させ、長期的な定着と活躍を促進することにつながります。
自社のハイパフォーマーと共通する行動特性の発見
コンピテンシー面接を導入するプロセスにおいて、企業は自社で高い成果を上げている社員(ハイパフォーマー)の分析を行うことになります。彼らがなぜ成果を出せるのか、その行動や思考のパターンを言語化し、モデル化していく作業自体が、組織にとって大きな資産となります。採用基準として活用するだけでなく、既存社員の育成や人事評価の指針としても活用できる発見が得られるはずです。優秀な社員に共通する「勝ちパターン」を組織全体で共有・展開できる点も、この手法が注目される大きな要因の一つといえます。
コンピテンシー面接を導入する手順はどうすればよいか?
効果的な面接を実施するためには、事前の綿密な設計と準備が不可欠です。単に質問リストを用意するだけでは、期待する効果を得ることはできません。自社の経営戦略や組織文化に根差した独自の基準を策定することが成功への鍵となります。ここでは、導入に向けた具体的なステップについて順を追って説明いたします。
① 自社で成果を上げている社員の行動特性モデル化
最初のステップとして、自社内で現実に高い業績を上げている社員へのヒアリングを実施します。彼らが困難な状況に直面した際、どのような意図を持って行動し、周囲を巻き込んでいったのかを詳細に分析します。その中から、成果に直結する思考習慣や行動パターンを抽出してください。この作業においては、単に「コミュニケーション能力が高い」といった抽象的な言葉で片付けるのではなく、「反対意見を持つ他部署のメンバーに対し、データを用いて粘り強く説得し協力を得ている」といった具体的な行動レベルまで落とし込む作業が不可欠です。これが自社独自のコンピテンシーモデルの原型となります。
参考: 職業能力評価基準|厚生労働省
② 求める人物像に基づいた評価基準と質問項目の策定
抽出した行動特性を基に、採用したい人物像に合わせた評価項目(コンピテンシー項目)を設定します。職種や階層によって求められる行動は異なるため、ポジションごとに最適なモデルを定義する必要があります。次に、それらの行動特性を確認するための質問項目を作成します。例えば「主体性」を評価したい場合、「自ら手を挙げてプロジェクトを推進した経験について教えてください」といった質問を用意し、そこからさらに深掘りするための追加質問もあらかじめ設計しておきます。評価レベルを5段階などで定義し、どの程度の行動がどの評価に値するかを明確にしておくことも忘れてはなりません。
③ 面接官へのトレーニング実施によるスキル標準化
どれほど優れた評価基準を作成しても、面接官がそれを使いこなせなければ意味がありません。コンピテンシー面接は、候補者の回答に対して「それはなぜですか?」「その時どう考えましたか?」と繰り返し深掘りを行う高度なスキルを要します。導入にあたっては、模擬面接(ロールプレイング)を含むトレーニングを実施し、質問の仕方や行動事実の抽出方法、評価基準のすり合わせを行う時間を設けるべきです。面接官全員が同じ基準と手法で選考を行えるよう、継続的な教育とフィードバックの機会を持つことが運用の質を高めます。
面接での具体的な質問手法(STARモデル)はどう使うべきか?
コンピテンシー面接において、候補者の過去の行動を漏れなく、かつ構造的に引き出すためのフレームワークとして「STARモデル」が広く活用されています。このモデルに沿って質問を展開することで、話の全体像を整理し、成果に至るプロセスを論理的に把握することが可能になります。各要素について詳細を解説します。
Situation(状況)で置かれていた環境や背景を聞く
まずは、候補者が経験したエピソードの前提となる「状況(Situation)」を確認します。いつ、どこで、どのようなプロジェクトや業務において発生した出来事なのか、当時のチーム構成や自身の役割はどうだったのかを聞き出します。背景情報が曖昧なままでは、その後の行動の難易度や適切さを正しく判断できません。「当時の市場環境はどうでしたか」「チームは何名体制でしたか」といった質問を投げかけ、候補者が置かれていた舞台設定を面接官と候補者の間で共有することが第一歩となります。
Task(課題)で直面した困難や役割を明確にする
次に、その状況下で候補者がどのような「課題(Task)」や目標に直面していたのかを明らかにします。単に与えられた仕事をこなしただけなのか、それとも予期せぬトラブルが発生したのか、高い目標を自ら設定したのかによって、行動の価値は大きく変わります。「その時、解決すべき最大の問題は何でしたか」「あなた自身にはどのようなミッションが課されていましたか」と問いかけ、候補者が認識していた課題の難易度や複雑性を把握します。ここでの課題認識の深さが、その後の行動の質を左右する要素となります。
Action(行動)で候補者がとった自発的行動を掘り下げる
STARモデルの中で最も核心に迫る部分が「行動(Action)」の確認です。課題に対して、候補者自身が「具体的に何をしたのか」を徹底的に掘り下げます。「チームで頑張りました」といった総称的な回答ではなく、「あなた個人は何を考え、どう動きましたか」と個人の行動に焦点を当てることが肝要です。誰の指示で動いたのか、どのような工夫を凝らしたのか、壁にぶつかった時にどう対処したのか。思考のプロセスと実際の行動の事実を詳細に聞き出すことで、その人のコンピテンシーレベルを判定します。
深掘りの際は、前職・取引先の機密情報(顧客名・具体的な数値・未公開情報など)や第三者の個人情報を話させない配慮が必要です。候補者には「固有名詞や機密は伏せて差し支えない」ことを先に伝え、職務要件に関係する行動・判断に焦点を当てて確認しましょう。
Result(結果)で行動によって得られた成果を確認する
最後に、その行動の結果としてどのような「成果(Result)」が得られたのかを確認します。売上達成率などの定量的な成果はもちろん、チームの雰囲気が改善された、業務フローが効率化されたといった定性的な成果も含まれます。また、成功した結果だけでなく、失敗した経験から何を学んだかを聞くことも有効です。「その結果、組織にどのような影響を与えましたか」「その経験から得た教訓を現在どう活かしていますか」といった質問を通じ、行動と結果の因果関係を候補者自身がどう捉えているかを見極めます。
コンピテンシー面接を運用する際の注意点は?
高い精度を誇るコンピテンシー面接ですが、導入と運用にはいくつかの留意すべきハードルが存在します。これらを事前に理解し対策を講じておくことで、スムーズな運用が可能となります。ここでは運用上の主な課題と注意点について触れておきます。
モデル策定やヒアリング準備に要する工数の認識
コンピテンシー面接の導入には、既存のハイパフォーマーへのインタビュー、モデルの構築、評価シートの作成、面接官トレーニングなど、多大な時間と労力がかかります。これらを疎かにして形式だけ導入しても、期待する成果は得られません。経営陣や人事部門は、この手法が定着するまでには一定の初期投資(工数)が必要であることを理解し、十分なリソースを確保する覚悟を持つべきです。短期間で成果を焦らず、PDCAを回しながら自社に合ったモデルへとブラッシュアップしていく姿勢が欠かせません。
実績のない若手層に対するポテンシャル評価の難しさ
新卒採用や経験の浅い若手層の場合、ビジネスにおける顕著な行動実績(エピソード)を持っていないケースが多々あります。学生時代の経験やアルバイトでの経験からコンピテンシーを見極めることは可能ですが、ビジネスシーンの複雑な状況とは異なるため、評価の難易度は上がります。若手層に対しては、コンピテンシー評価に加え、学習意欲や素直さ、価値観の合致度といったポテンシャル要素を併せて評価するなど、対象者に合わせて柔軟に評価手法を組み合わせる工夫も検討すべき点です。
組織強化に向けたコンピテンシー面接の活用
コンピテンシー面接は、候補者の過去の行動事実に基づき、入社後の活躍を高精度に予測するための強力なツールです。感覚に頼らない客観的な評価基準を設けることで、採用ミスマッチを防ぎ、組織のパフォーマンスを最大化することに寄与します。導入には一定の準備と工数を要しますが、自社の「勝てる人材像」を明確にし、それを組織全体で共有することは、採用活動を超えて人材育成や組織開発にも大きなプラス効果をもたらします。貴社のさらなる発展に向け、この科学的な選考手法の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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