• 更新日 : 2026年1月14日

1on1で話すことがない原因とは?人事・上司ができる対策や注意点

1on1ミーティングを実施しているものの、「話すことがない」「沈黙が続いてしまう」と感じた経験はありませんか。

実は、1on1で会話が続かない状態は、個人のコミュニケーション力だけが原因ではありません。

進め方が整理されていなかったり、信頼関係や対話の前提が共有されていない状況が重なったりと、会話が止まりやすい原因はさまざまです。

本記事では、1on1で話すことがないと感じる主な原因を整理したうえで、人事や上司の立場から実践できる対策や、すぐに使えるテーマ例を紹介します。

1on1を人材育成や組織改善につながる対話の場にするためのヒントとして、ぜひ参考にしてください。

1on1で話すことがないと感じる原因は?

1on1で沈黙が増える背景には、話題の有無ではなく「進め方」「信頼関係」「傾聴スキル」が噛み合っていないケースが多くあります。

ここでは、とくに起きやすい3つの原因を順に解説します。

進め方がわからない

1on1の進め方が整理されていない場合、面談の目的が曖昧になり、「とりあえず話す時間」になってしまいます。

目的が共有されていない状態では、上司も部下も何を話題にすればよいのか判断できず、会話のきっかけ自体が見つかりにくくなります。

また、アジェンダや質問を用意しないまま1on1を始めると、その場で話題を探す流れになり、部下は考えを整理できないまま沈黙してしまうケースも少なくありません。

とくに多忙な状況が続くと、前回の内容を振り返らないまま次の1on1を迎えやすくなり、「毎回ゼロから話す状態」が積み重なりがちです。

さらに、上司自身が1on1の基本的な進め方を学ぶ機会を持たない場合、雑談や業務報告、指導が一つの場に混在しやすい点も留意しておきたいポイントです。

結果的に部下は、「この時間で何を話せばよいのか」「どんな発言を求められているのか」をつかめず、発言を控えるようになってしまいます。

信頼関係が弱い

上司との信頼関係が十分に築かれていない場合、部下は「本音を話しても大丈夫だろうか」と不安を感じ、発言そのものに慎重になります。

無難で波風の立たない話題を選びやすくなった結果、業務の進み具合や近況報告など事実ベースの話に終始しやすく、対話が深まりません。

また、日常的なコミュニケーションが少ないまま1on1だけを実施していると、部下は突然踏み込まれた印象を持ちやすく、発言を控える姿勢が強まります。

さらに評価や指摘が中心の進め方が続くと、否定的な反応への警戒心が高まり、発言は必要最低限に絞られてしまいます。

上司側の自己開示や共感が不足したままでは、発言しづらい空気が解消されないため、表面的なやり取りが積み重なりやすく、注意が必要です。

傾聴スキルが不足している

上司の傾聴や質問のスキルが不足していると、部下の考えや背景を十分に引き出せず、1on1の会話は広がりにくくなります。

たとえば会話の途中で遮られたり、上司の意見や経験が先に示されたりすると、部下は思考を整理しながら話す余白を失い、発言そのものを控えるようになります。

さらに、「はい」「いいえ」で答えられる質問が続くと、事実確認に終始しやすく、仕事の悩みや迷いといった内面には踏み込めません。

傾聴されないやりとりが続くと、部下は「深く話しても状況は変わらない」と感じ、伝える内容をあらかじめ選別するようになります。

短いやり取りが続くと、1on1は対話の場としての価値を失い、「話すことがない」という感覚が定着します。

1on1を運用する人事・上司ができる対策

1on1で話すことがない状態は、部下個人の姿勢や性格だけで生まれるわけではありません。

進め方やテーマ設定、関わり方を見直すと、対話の質は改善できます。

ここでは人事・上司の立場から実践しやすい対策を整理し、1on1を継続的に機能させるための具体的なポイントを紹介します。

目的を確認する

1on1を有意義な時間にするためには、まず「何のために実施するのか」という目的を明確にする必要があります。

1on1の実施目的が共有されていないまま進めると、目的の異なる会話が一つの場に持ち込まれ、上司も部下も話の軸を見失うケースも少なくありません。

たとえば、信頼関係の構築やキャリア支援、業務上の課題整理といった前提を事前に伝えておき、部下がどのような観点で話せばよいかを把握しやすい状況をつくりましょう。

目的を確認したうえで、アジェンダや質問の意図を共有すれば、話題探しに時間を取られにくくなり、限られた時間でも中身のある対話になります。

テーマを選定する

1on1では、部下一人ひとりに合ったテーマを選定し、話す内容に明確な意図を持たせる姿勢が欠かせません。

テーマが曖昧なまま進めると、業務報告に偏って緊張感が高まったり、雑談だけで終わったりして、育成につながらない時間になりがちです。

部下の業務状況や性格を踏まえ、業務の振り返りやキャリア、心身のコンディションなど複数の切り口からテーマの調整をおこないましょう。

また、「プライベートな話題はやめてほしい」と感じる部下も一定数いるため、踏み込みの度合いを調整する姿勢を示し、発言しやすい空気づくりを心がける意識も重要です。

テーマ候補を事前に共有し、部下自身に話したい内容を整理してもらうと、上司側の準備負担も軽減できる点もテーマ選定におけるメリットのひとつです。

進行の型を整える

1on1では、その場の流れに任せるのではなく、あらかじめ進行の型を整えておきましょう。

たとえば、「近況確認」「テーマの深掘り」「次のアクション整理」といった流れを決めておくだけでも、面談全体の見通しが立ち、時間の使い方を意識しやすくなります。

さらに、アジェンダや質問リストを事前に共有しておくと、業務連絡と雑談が混ざる進行を避けられ、部下も話題を準備したうえで面談に臨めます。

進行が毎回安定すると、「その場しのぎの会話」ではなく、1on1が継続的な対話の時間として機能しやすくなるでしょう。

1on1で使えるテーマ例4つ

1on1では、あらかじめ「どの切り口で対話するのか」を整理しておくと、話題に迷いにくくなり、限られた時間でも中身のあるやり取りがしやすくなります。

ここでは、1on1で使いやすく、実務に落とし込みやすい代表的なテーマ例を4つ紹介します。

①業務の進捗・振り返り

業務の進捗や振り返りは、1on1の中でもとくに取り上げやすく、部下が話しやすいテーマのひとつです。

現在取り組んでいる業務内容や進み具合、業務量を確認しておくと、遅れや負荷の偏り、つまずいているポイントを把握しやすくなります。

あわせて、うまくいっている点や工夫している点、改善したいと感じている部分を言語化できると、部下自身の自己評価や成長実感にもつながります。

さらに、目標設定や達成状況の確認、スキルアップに関する話題も、業務の延長として自然に展開しやすい切り口です。

エンジニアや専門職の場合は、技術的な課題や成果物を題材にすると、具体性のある対話になり、表面的なやり取りを避けられます。

②組織に関する悩み・課題

1on1では、個人の業務だけでなく、組織やチームに関する悩みや課題も扱いましょう。

職場環境や業務量、役割分担について話すと、日常業務では表に出にくい違和感や不満を把握しやすくなります。

さらに、チーム内のコミュニケーションや連携のしづらさ、チームワークに関する話題は、働きやすさや生産性の改善につながりやすいポイントです。

また、会社の理念やビジョン、戦略・方針についての理解度を確認しておき、現場との認識の食い違いも把握しましょう。

上司や組織に対するフィードバックを受け取る場として1on1を活用すれば、部下の声を組織改善に反映できる点もメリットのひとつです。

③日常・プライベートの出来事

日常の出来事やプライベートに関する話題は、相互理解を深め、1on1の雰囲気を和らげる役割を持ちます。

体調や心身のコンディション、最近あった出来事などは、業務の話題に比べて切り出しやすく、会話のきっかけとして有効です。

雑談を通じて価値観や考え方を把握できると、その後の業務やキャリアに関する話題にも自然につなげやすくなります。

部下の反応を見ながら話題を選び、無理に深掘りしない対応を心がけると、安心して発言できる関係を築きやすくなります。

④キャリアパス・成長への期待

キャリアや成長に関するテーマを扱うと、中長期的な視点を持って1on1を進められます。

たとえば、今後やってみたい仕事や伸ばしたいスキルについて話を聞いた場合、部下の意欲や関心の方向性を把握しやすくなります。

あわせて短期的な業務目標だけでなく、数年後を見据えたキャリアの方向性も確認しておくのも重要なポイントです。

評価や目標に対する考え方を共有すると、今後どのような経験を積みたいのか、どんな役割を目指すのかといった将来の選択肢まで話を広げやすくなります。

1on1を前向きな時間にしたい場合は、成長やキャリア支援をテーマに据えて、将来につながる対話を生み出す意識を持ちましょう。

1on1を運用する側が押さえておきたい注意点

1on1は実施するだけで成果が出る取り組みではなく、面談の扱い方や運用方法によって、対話の価値が大きく変わります。

たとえば、記録の残し方や時間の使い方、組織としての支援体制が曖昧なままだと、1on1は次第に形だけの面談になりがちです。

ここでは、1on1を一過性の取り組みに終わらせず、継続的な対話として機能させるために、運用する側が意識したい注意点を整理します。

記録を残す

1on1の内容は、その場で話して終わりにせず、必ず記録として残し、次回につなげる意識を持ちましょう。

1on1で明らかになった課題や本人の発言内容を振り返れる状態を整えておくと、対話が積み重なり、部下自身も変化や成長を実感しやすくなります。

また、必要に応じてフィードバックや業務改善のアクションにつなげ、1on1の内容を実務に反映しましょう。

あわせて、人事と上司の間で「どこまでを、誰が、どの範囲で共有するのか」を事前に決めておく取り組みも重要です。

共有ルールを明確にしておけば、1on1が属人的な取り組みにならず、組織全体の育成施策として活かしやすくなります。

時間管理を徹底する

1on1では、限られた時間の中で何を優先するのかを意識し、時間配分を管理しながら進める姿勢が求められます。

時間を意識せずに進行すると、序盤の話題に時間を使いすぎ、本来扱うべきテーマに入れないまま終了するケースも少なくありません。

あらかじめ話す時間と整理する時間を分けて考えておくなど、大まかな時間の区切りを決めておくと話が脱線しにくくなり、面談全体の見通しも立てやすくなります。

アイスブレイクや雑談は関係づくりに有効である一方で、時間を区切らないと本題を圧迫しやすいため注意が必要です。

面談の最後に、次回までの確認事項や行動の方向性を整理しておき、1on1を次につながる場として機能させましょう。

1on1を組織としてフォローする

1on1の質を安定させるには、上司個人の力量や工夫に任せきりにせず、組織として支える仕組みを整える意識が重要です。

進め方や期待値が上司ごとに異なる状態では、部下の受け止め方に差が生まれ、1on1そのものへの信頼が揺らぐケースも少なくありません。

そこで、人事がテンプレートやアジェンダ例を用意しておくと、上司の準備負担を軽減しながら、一定の進行イメージを共有しやすくなります。

また、1on1に関するトレーニングや情報共有の場を設ければ、上司同士が悩みや工夫を交換でき、運用上の課題も見えやすくなる点も大切なポイントです。

1on1を継続的にフォローする体制を整えて、組織全体の対話文化を定着させましょう。


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