• 更新日 : 2026年1月14日

休職者が多い職場の特徴とは?人事が知るべき職場改善ポイントを紹介

「職場で休職者が増えている」、「一人が休むと次々に休職者が出る」そんな悩みを抱える人事担当者は少なくありません。

休職者が多い職場には、長時間労働や人間関係の悪化など複数の特徴があります。

本記事では、厚生労働省のデータをもとに、休職者が多い職場の特徴と具体的な改善策を解説します。

休職者が多い職場とは?休職率の定義と平均データ

厚生労働省の「令和6年労働安全衛生調査」によると、メンタルヘルス不調で連続1カ月以上休んだ社員がいる事業所は12.8%で、企業にとって無視できない課題です。

休職率は「休職者数÷従業員数×100」で計算でき、この数値で自社の休職者が多いかどうかを判断できます。

同業他社や業界平均と休職率を比較することで、自分が所属する企業の状況をより客観的に評価できるでしょう。

また、自社の休職率を前年度と比較したり、特定の部署に偏りがないか確認したりすることで、客観的な現状把握ができます。

そして、休職とは会社のルールで定められた「仕事を休める期間」のことで、法律で決められた制度ではありません。

そのため、企業によって休職制度の有無や内容は異なります。

休職期間や休職中の給与支給の有無なども、各社の就業規則によって定められています。

参照:メンタルヘルス対策に関する事項|厚生労働省

休職者が多い職場の5つの特徴は?

休職者が多い職場には、長時間労働や休日出勤が常態化していたり、職場内の人間関係が悪化したりといった、共通する特徴があります。

ここで紹介する特徴は、厚生労働省の調査でもストレス要因として報告されており、単独ではなく複数が同時に存在することで、より深刻な状況を生み出します。

所属する組織に当てはまるかを以下の特徴に照らし合わせてチェックし、職場環境の改善につなげましょう。

  • 長時間労働や休日出勤が常態化している
  • 職場内の人間関係が悪化している
  • 業務量が過多で適切に分散されていない
  • 上司と部下のコミュニケーションが不足している
  • メンタルヘルスケアの体制が整っていない

特徴① 長時間労働や休日出勤が常態化している

長時間労働が常態化している職場では、メンタル不調による休職者が増加します。

厚生労働省の過労死認定基準では、時間外労働が月80時間を超えると健康障害のリスクが高まるとされています。

長時間労働は睡眠不足を招き、心身の疲労が蓄積するため、注意が必要です。

また、休日出勤が当たり前の職場では回復時間を確保できず、ワークライフバランスが崩壊してしまうでしょう。

家族との時間や趣味の時間が失われ、プライベートでストレスを発散する機会も奪われます。

慢性的な疲労状態が続くと、集中力の低下やミスの増加につながり、さらに労働時間が延びる悪循環に陥ります。

残業時間の上限管理や休日取得の徹底など、労働時間の適正化が必要です。

参照:脳・心臓疾患の労災認定|厚生労働省

特徴② 職場内の人間関係が悪化している

人間関係の悪化は、メンタルヘルス不調による休職の主要原因です。

厚生労働省の「労働安全衛生調査」を確認すると、仕事のストレス要因として対人関係を挙げる労働者が毎年一定数存在します。

パワハラによる過度な叱責や無視、仲間外れは社員の自尊心を傷つけ、職場に行くことが苦痛になります。

さらに、上司からの人格否定や同僚からの陰口なども、深刻なストレス要因となるでしょう。

また、同僚間のコミュニケーション不足も深刻で、相談できる相手がいない孤立状態では小さなストレスが蓄積してしまいます。

ハラスメント研修の実施や相談窓口の設置など、心理的安全性の高い職場づくりが求められます。

参照:労働安全衛生調査|厚生労働省

特徴③ 業務量が過多で適切に分散されていない

特定の社員に業務が集中している職場では、休職リスクが高まります。

業務の属人化が進むと、その人物しかできない仕事が生まれ、体調が悪くても休めず限界まで無理を重ねてしまうためです。

ある社員だけが常に残業している状況は危険信号といえます。

周囲が定時で帰る中、一人だけ深夜まで働き続けるような環境では、心身の健康を保つことは困難でしょう。

また、慢性的な人員不足や業務の優先順位が不明確な状態も、社員を疲弊させる要因です。

特定の部署やチームで休職者が続出する場合、業務配分に問題がある可能性を疑いましょう。

業務の棚卸しを行い、複数人で対応できる体制を整えることが重要です。

特徴④ 上司と部下のコミュニケーションが不足している

上司と部下の対話不足は、部下が問題を一人で抱え込む原因となります。

1on1ミーティングなどの定期的な対話機会がない職場では、部下の変化に気づけず、メンタル不調が深刻化してしまうでしょう。

業務指示が一方的で部下の意見を聞かない上司や、部下の様子の変化に気づかない上司も問題です。

忙しさを理由に部下との対話を後回しにすると、小さな悩みが大きな問題に発展してしまいます。

以下のような変化は要注意のサインといえます。

  • 遅刻や欠勤の増加
  • 表情が暗く元気がない
  • ミスや報告漏れの増加

定期的な面談を通じて、部下の状況を把握する仕組みづくりが必要です。

特徴⑤ メンタルヘルスケアの体制が整っていない

メンタルヘルスケア体制の不備は、休職者増加の要因となります。

厚生労働省の「令和6年労働安全衛生調査」では、メンタルヘルス対策に取り組む事業所は63.2%とまだ十分ではありません。

ストレスチェックを実施していても結果を活用していなかったり、高ストレス者を把握しても産業医面談につなげなかったりと、形骸化しているケースが見られます。

制度があっても運用が伴わなければ、従業員の健康を守ることはできません。

また、産業医との連携が取れていないことや、相談窓口が信頼されていないことも問題です。

実効性のあるメンタルヘルスケア体制の構築が求められます。

参照:令和6年労働安全衛生調査|厚生労働省

休職者が多い職場で起こる3つの問題

休職者が多い職場では、以下のような深刻な問題が発生します。

  • 残った社員への業務負担増大
  • 連鎖的な新たな休職者の発生
  • 職場全体の生産性低下

また、すべてが絡み合い負の連鎖が起こると、改善するのにも大きな負担がかかります。

ここでは、それぞれの問題についてご紹介します。

問題① 残った社員への業務負担が増大する

休職者が出ると、残った社員への業務負担が増大します。

休職者の業務を同じチームの他のメンバーがカバーすることになり、一人当たりの業務量が大幅に増加するためです。

毎日遅くまで残業し、週末も出勤するようになれば、プライベート時間がなくなりワークライフバランスが崩壊します。

家族との時間や趣味の時間が失われ、心身の疲労が蓄積してしまうでしょう。

問題② 連鎖的に新たな休職者が発生する

最も深刻な問題が、連鎖的に休職者が出ることです。

一人の休職で残ったメンバーの負担が過大になると、今度はその人がメンタル不調で休職し、負のスパイラルに陥ります。

さらに残ったメンバーの負担が増え、また新たな休職者が出る悪循環が続きます。

最初は一人の休職でも、最終的には部署全体が機能停止状態に陥る恐れがあるでしょう。

問題③ 職場全体の生産性が低下する

休職者が増えると、職場全体の生産性が低下します。

人員不足により業務が予定通りに進まず、納期遅れや品質低下といった問題が頻発するためです。

さらに、重要なメンバーが休職するとプロジェクトが遅延または中止せざるを得なくなります。

そして属人化した業務がある場合は完全にストップしてしまうでしょう。

生産性低下が積み重なり、最終的には売上や利益の減少につながる恐れがあります。

休職者を減らすための5つの対策

休職者を減らすには、以下の5つの対策が必要です。

  • 業務の可視化と適切な分散
  • 労働時間管理の徹底
  • 定期的な1on1ミーティングの実施
  • ストレスチェックの効果的な活用
  • 復職支援プログラムの整備

これらの対策を継続することで確実に職場環境は改善していきます。

対策① 業務の可視化と適切な分散を行う

業務の偏りを解消するには、まず現状の可視化が必要です。

各メンバーの業務内容と所要時間を1週間記録する「業務の棚卸し」を実施し、誰にどれだけ業務が集中しているかを明確にしましょう。

業務量の偏りを確認したら、スキルや経験を考慮しながら再配分を行います。

さらに、業務を標準化しマニュアル化することで、業務の属人化を防ぎ、誰でも対応できる体制を作れます。

四半期に一度程度の頻度で業務分担を見直す仕組みを作り、継続的に改善することが重要です。

対策② 労働時間管理を徹底する

長時間労働を防ぐには、客観的な労働時間の把握が不可欠です。

労働安全衛生法では、時間外・休日労働が月80時間を超える労働者に対し、本人の申出により産業医による面接指導の実施が義務付けられています。

まずは、クラウド型の勤怠管理システムを導入し、リアルタイムで誰が何時間働いているかを把握しましょう。

データを可視化することで、特定の社員への負担集中を早期に発見できます。

そして、週1回のノー残業デーを設定し、管理職が率先して定時退社することで職場全体に浸透させられます。

さらに、有給休暇の計画的取得を推奨し、上司から休暇取得を確認する声かけを行いましょう。

対策③ 定期的な1on1ミーティングを実施する

上司と部下の対話不足を解消するには、定期的な1on1ミーティングが効果的です。

月1回以上、30分から1時間程度の時間を確保し、上司が傾聴の姿勢で部下の話をじっくり聞きましょう。

業務面だけでなく私生活の悩みも聞き、プライバシーに配慮しながら部下が話したいことを話せる環境を提供します。

表情が暗い、遅刻が増えた、ミスが多くなったなど、メンタル不調のサインを見逃さないことが重要です。

また、キャリアや目標について話し合うことで、部下のモチベーション維持にもつながります。

対策④ ストレスチェックを効果的に活用する

メンタルヘルス不調を未然に防ぐには、ストレスチェックの効果的な活用が重要です。

労働安全衛生法では、50人以上の事業場では年1回の実施が義務付けられています。

そして、個人結果だけでなく集団分析を行い、「どの部署にストレスが高い人が多いか」、「どのような要因がストレスの原因か」を特定しましょう。

高ストレス者には産業医面談を推奨し、集団分析結果を職場改善に活かすことが求められます。

実施時期を年間スケジュールに組み込み、毎年確実にチェックすることが大切です。

結果を経営層と共有し、組織的な改善につなげましょう。

参照:ストレスチェック制度に関する法令|労働安全衛生法

対策⑤ 復職支援プログラムを整備する

休職者の再発を防ぐには、段階的な復職支援が不可欠です。

厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」に沿って、無理のない復職を実現させてください。

休業期間が長い場合には、復職の前に勤務時間を徐々に伸ばしていく試し出勤を行ったり、職業センターのリワーク支援などを利用したりすることも検討しましょう。

たとえば、1ヶ月目は週3日の4時間勤務、2ヶ月目は週5日の6時間勤務というように段階的に増やします。

また、正式復職前に復職支援プログラムを活用し、本人も会社も復職できる状態かを確認することも有効な手段です。

復職後も上司や産業医が定期的にフォローアップ面談を実施し、必要に応じて配置転換も検討しましょう。

休職者が続出するのを防ぐための3つのポイント

休職者が出た際に最も危険なのは、職場内で連鎖的に休職者が出ることです。

何の対応もせず放置すると、残ったメンバーは不安とストレスを抱え、休職の負の連鎖が発生する可能性が高くなります。

ここでは、連鎖的不調を防ぐための以下のポイントを紹介します。

  • 定期的に情報共有を行う
  • 業務の属人化を防ぎ負担を分散する
  • 休職者が出たら迅速に対応する

ポイント① 定期的に情報共有を行う

休職者が出た際は、チーム全体での情報共有が重要です。

プライバシーに配慮しつつ、業務上必要な情報を共有しましょう。

誰が何を担当するのか業務分担の変更を明確に伝え、週に一度15分程度のミーティングで現在の状況や困っていることを共有します。

口頭だけでなく、書面やチャットツールでも共有することで、認識のズレを防げるでしょう。

そして、残ったメンバーの「自分の業務は増えるのか」「いつまで続くのか」といった不安を、上司が個別に聞き取ることが大切です。

上司から積極的に声をかけることで、メンバーに安心感を与えられます。

ポイント② 業務の属人化を防ぎ負担を分散する

業務の属人化を防ぐには、複数人で対応できる体制づくりが不可欠です。

重要な業務にはメイン担当者とサブ担当者を決め、業務が特定の人に集中しないよう気を配りましょう。

サブ担当者は普段からメイン担当者の業務を部分的に手伝い、いざというときに代われるようにします。

月に一度は実際にサブ担当者が主担当として業務を行う機会を設けると、スキル習得が進むでしょう。

さらに、業務手順をマニュアル化し、定期的にローテーションを行うことで、複数の人がその業務を経験できます。

担当者が休んだ際の引き継ぎ先を事前に決めておくことも重要です。

特定の人に依存しない仕組みが、休職者発生時のリスクを最小限に抑えます。

ポイント③ 休職者が出たら迅速に対応する

休職者が出た際は、迅速な対応が求められます。

当日、遅くとも翌日には業務を誰が担当するかを決定し、特定の一人にすべてを押し付けず複数人で分担しましょう。

残ったメンバーには個別に面談を行い、心理的ケアを実施します。

また、社内だけで業務を回すのが困難な場合は、派遣社員の活用や外注、他部署からの応援などを検討することが大切です。

業務再配分後も週に一度それぞれの業務量を確認し、問題があればさらなる見直しや追加リソース投入を検討しましょう。

一時的な対応で終わらせず、継続的にフォローすることが重要です。


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