• 更新日 : 2025年12月5日

連休明けに仕事を辞める人が多い？企業側が離職を防ぐ対応策を解説

連休明けは「仕事を辞めたい」と感じる人が増えるタイミングです。一体、どのような背景があるのでしょうか？

本記事では、なぜ連休明けに退職を考える人が多いのか、心理的要因を解説します。

また、連休後に離職者が出やすい職場に共通する特徴を整理し、自社の職場環境に改善の余地がないかを見直すためのチェックポイントもまとめました。

連休明けの退職を防ぐためにできる対策についても詳しく解説します。働きやすい職場づくりに役立つヒントをお伝えします。

連休明けに仕事を辞める人が多い理由

連休明けは「仕事を辞めたい」と感じる人が増えますが、どのような理由があるのかご存知でしょうか？ここでは、連休明けに仕事を辞める人が多い理由をご紹介します。

連休前から仕事に不満を感じている

連休前から仕事が自分に合っていないと感じている場合、モチベーションの低下や成果の伸び悩みなど、自己評価が下がりやすくなります。

その結果、今後のキャリアを見直し、転職を考える人も少なくありません。

企業としては、従業員の適性や興味を客観的に把握し、業務内容や配置を見直すことが大切です。個々の強みを活かせる環境を整えることで、生産性向上や離職防止につながります。

連休前にやり残したタスクが多い

連休前に仕事が片付かず、多くのタスクを残したまま休暇に入ると、休み明けに大きなストレスを感じやすくなります。

連休中にリフレッシュできても、再び忙しい日常に戻ることへの不安や憂鬱感が、退職を考えるきっかけになることもあるでしょう。

企業としては、従業員の負担を軽減するために業務量を適切に調整することが重要です。また、労働時間の管理を徹底することも求められます。

連休前に仕事でミスをした

連休前に起こしたミスを思い出すと、憂うつな気持ちが強まり、「また失敗するかもしれない」という不安を抱くことがあります。

こうした心理状態は仕事への意欲を下げ、出社をためらう要因にもなりかねません。

企業側は、従業員が過去のミスを引きずらないよう支援することが大切です。従業員が起こしたミスの原因を分析したり、再発防止策を一緒に考えたりしましょう。

前向きな改善行動を促すことで、安心して働ける環境づくりにつながります。

連休が充実していて疲労が蓄積している

連休中は休むよりも、旅行や趣味など予定を詰め込む人も多くいます。休暇が充実しているほど、日常との落差を感じやすく、仕事への意欲が下がることもあるでしょう。

さらに、長期の休みで生活リズムが崩れ、夜更かしや不規則な食事が続くと、体調や集中力にも影響が出やすくなります。

心身のリズムを整える工夫を取り入れることで、連休明けの憂鬱を軽減することが大切です。

企業側は従業員に対し、連休中も規則正しい生活を心掛けるように促すことで、スムーズに仕事へ戻る体制を整えられます。

人間関係がうまくいかない

上司との関係がうまくいかない、苦手な同僚がいるなど、人間関係のストレスは退職を考える大きな要因のひとつです。

人間関係の問題を放置すると、職場への適応力や仕事への意欲が低下し、最終的に離職につながる可能性があります。

人間関係が悪化した環境では、出社するたびに精神的な負担が増すでしょう。とくに、連休明けは影響が強く出やすいものです。

従業員とこまめにコミュニケーションを取り、環境改善に取り組むことが重要です。

連休明けに従業員が仕事を辞める職場の特徴

連休明けに退職者が出やすい職場には、いくつかの共通点があります。ここでは、その特徴を整理し、職場環境を見直すためのポイントを解説します。

社内のコミュニケーションが不足している

職場内で相談相手がいない、あるいは日常的な会話が少ない環境では、従業員が孤立感を抱きやすくなります。会社への信頼や安心感をもてない場合、離職につながるケースも少なくありません。

とくにテレワークやシフト制の職場では、人との関わりが減るため、意識的にコミュニケーションを取る工夫が必要です。

普段から社員の悩みや不安に気づける、風通しのよい職場づくりが、定着率を高める鍵となります。

人間関係のトラブル・ハラスメントなどがある

上司や同僚とのトラブル、またはパワハラ・セクハラなどの被害に悩む従業員は、連休でストレスから一時的に解放されると、「もう職場に戻りたくない」と強く感じることがあります。

連休中は加害者と距離を置けるため、連休明けの出社が精神的な負担になるケースも多いです。

ハラスメントを放置する職場では、突然の退職につながるおそれがあります。早期の問題解決と、相談体制の整備が不可欠です。

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適材適所の採用・配属となっていない

日頃から、仕事内容や職場に違和感を抱いている人は、長期休暇で気持ちを整理するなかで「この環境は自分に合わない」と再認識することがあります。

結果として、連休明けに退職を決断する場合もあるでしょう。

とくに新入社員や中途入社者は、入社前の期待と実際の業務とのギャップに直面しやすいといえます。5月の連休明けなどは、早期離職につながりやすい時期です。

企業としては、採用時に仕事内容や職場の実態を正確に伝え、個々の適性に応じた配属を行うことで、ミスマッチを防ぐ努力が求められます。

評価制度やルールが整っていない

人事制度や評価基準があいまいな職場では、従業員が不公平さや理不尽さを感じやすくなります。

たとえば、有給が取りにくい雰囲気や、定時退社が悪い印象を持たれるような環境では、働きにくいと感じるかもしれません。結果的に、退職を考える人が増える傾向があります。

また、評価の基準や判断プロセスが不透明だと、自分の努力が正当に評価されていないと感じることもあるでしょう。不平等感は、モチベーションの低下や離職につながるおそれがあります。

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裁量が不足している

業務における裁量が不足していて仕事にやりがいを感じられない環境では、従業員のモチベーションが下がり、離職につながりやすくなります。

たとえば、単純作業の繰り返しや、自分の判断で動けない職場では、成長や達成感を得にくいでしょう。これにより、従業員が仕事への興味を失ってしまうことがあります。

一方で、適度な挑戦や裁量が与えられる職場は定着率が高い傾向です。

企業は、従業員が自分の仕事の意義や成果を実感できるような、業務設計やフィードバックの仕組みを整えることが大切です。

連休前に従業員にできる働きかけ

連休前は、業務の引き継ぎやタスクの確認に追われがちです。しかし、仕事の話だけで終わらせず、相手を気遣うひと言を添えることが大切です。

たとえば、「ゆっくり休んでね」や「困ったことがあれば相談してね」と声をかけることで、従業員は自分を気にかけてもらえていると感じやすくなります。

こうした小さなコミュニケーションが信頼関係を深め、連休明けの出社への不安を和らげます。これにより、前向きに仕事へ戻るきっかけになるでしょう。

連休明けに従業員が仕事を辞めることを防ぐ対策7選

連休明けの退職を防ぐには、日頃の職場づくりが大切です。ここでは、従業員が辞めにくい環境を整えるための、具体的な対策を7つ紹介します。

業務量を調整する

連休明けに出勤した際、いきなり多くの仕事を抱えると、従業員に大きな負担がかかり、モチベーションの低下につながる可能性があります。

休暇中に生活リズムが乱れている場合も多く、通常のペースに戻るには時間が必要です。

企業としては、連休直後は無理のないスケジュールを組むことが大切です。比較的、軽い業務から再開できるよう配慮しましょう。

段階的に仕事の感覚を取り戻せる環境づくりが、離職防止にも効果的です。

テレワークや時短勤務など多様な働き方を可能にする

テレワークや時短勤務など、柔軟に働ける仕組みを整えることで、従業員の心身の負担を減らせます。

とくに重要なのは、「自分に合った働き方を選べる」という選択肢をもてることです。

柔軟な働き方は、仕事とプライベートのバランスを取りやすく、連休明けのストレスや疲労感の軽減につながります。

社員一人ひとりが、無理なく働ける環境を整備しましょう。

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職場環境を整える

職場にリラックスできる空間をつくることは、従業員のストレス軽減に効果的です。

たとえば、休憩スペースにコーヒーマシンを設置したり、観葉植物を置いたりすることで、気分転換しやすい環境を整えられます。

また、デスク周りを整理し、清潔な状態を保つことも重要です。整えられた環境は、仕事への意欲低下を防止できます。

相談窓口を設置する

従業員がストレスや悩みを抱えたときに、気軽に相談できる場所があると、心理的な安心感があります。

社内にメンタルケアの相談窓口を設置し、必要に応じてカウンセラーや産業医などの専門家へつなげられる仕組みをつくるとよいでしょう。

総務や人事の担当者が橋渡し役となり、相談しやすい環境を整えることが大切です。従業員一人ひとりに合った支援により、離職防止につながります。

コミュニケーションを積極的に取る

上司や同僚が積極的に声をかけ合える職場は、従業員の安心感を高め、離職を防ぐ効果があります。

従業員同士でも、仕事に関する不安や悩みを共有できることで、ストレスが軽減し、問題解決のきっかけにもつながります。

連休明けには、「しっかり休めた？」「また一緒に頑張ろうね」といった温かい言葉をかけることで、部下の緊張を和らげられるでしょう。社内全体で、前向きに仕事へ戻れる雰囲気をつくることが大切です。

定期的に面談する機会を設ける

連休明けには、従業員との面談を実施するのがおすすめです。主に、生活リズムの乱れや業務量に関する悩みを共有することで、不満やストレスを軽減できる可能性があります。

とくに新入社員は、職場に慣れはじめた時期に違和感を覚えやすいため、丁寧なフォローが必要です。

面談で得た情報は、人材配置や業務分担の見直しに活かします。

ストレスチェックを実施する

連休明けに「なんとなく仕事がつらい」と感じても、従業員自身が原因を把握できないことは多いでしょう。

企業全体で行うストレスチェックを実施し、ストレスの原因を客観視する場を設ける対策も有効です。

ストレスチェックにより、従業員自身が気づいていない心身の不調や、ストレスの兆候を早期に把握できます。

従業員の状態は時間とともに変化するため、定期的にストレスチェックを実施しましょう。また、職場環境の改善や早めのサポートにつなげることが大切です。

連休明けの離職についてよくある質問

連休明けに退職者が増える理由や対策について、よくある質問を取り上げ、わかりやすく解説します。

従業員が休み明けに鬱になるのはなぜ？

日頃の生活リズムは、自律神経や睡眠のサイクルを整え、心の安定を保つ重要な要素です。

しかし、連休中に夜更かしや朝寝坊が続くと、体内時計が乱れやすくなります。

さらに朝日を浴びる機会が減ることで、気分を安定させるセロトニンの分泌が低下し、心のバランスが崩れることもあります。

その結果、連休明けに気分が落ち込みやすくなったり、仕事への意欲が湧かなくなったりすることがあるのです。

連休明けに仕事を辞める人の前兆は？

退職を考えている従業員には、いくつかの共通したサインが見られます。

たとえば、仕事への意欲が下がり、生産性が落ちます。これは、会社への期待値が低下している明確な証拠です。また、「頑張っても意味がない」という無力感から、新しい仕事や責任を避ける傾向があります。

ほかにも、会議での発言が減ったり、遅刻・早退が増えることもあるため注意が必要です。

昼食を一人で取る、雑談や飲み会に参加しなくなるなど、周囲との関わりを避けはじめるのも、退職の前兆として挙げられます。

なぜ従業員の離職を防ぐべきなのか？

離職を防ぐべき大きな理由のひとつは、退職者の業務をほかの従業員が引き継ぐことで、周囲の従業員の負担が増加するためです。

退職者が出ると、職場全体の働き方が悪化するおそれがあります。

日本では、少子高齢化の影響で労働人口が減少しており、今後ますます人材確保が難しくなることが予想されています。

人手不足が進むと、一人あたりの業務量が増え、退職が連鎖的に発生するリスクも高まるかもしれません。企業が退職者を出さないために、日頃から対策することが大切です。

離職率を下げるためのポイントは？

離職を防ぐうえで見落とされがちな要因のひとつが、上司のマネジメント力不足です。

部下への対応や言動が不適切な場合、本人に悪意がなくても離職を引き起こす原因となることがあります。しかし、こうした問題を指摘しにくいと感じる人事担当者も少なくありません。

無自覚なハラスメントを防ぎ、健全な職場環境を保つためには、管理職に対して定期的にマネジメント研修を実施することが有効です。上司が、適切な指導やコミュニケーション力を身につけることが重要です。

• 監修：遠藤良介（社会保険労務士）

  大学卒業後、ビールメーカーの営業、地方公務員、大手飲食チェーンの店長など多彩な業界・職種を経験。現場で人材マネジメントの重要性を痛感し、社会保険労務士を志す。社労士事務所勤務中に国家試験に合格し、2021年に愛知県でReメンバー労務オフィスを開業登録。製造業からサービス業まで幅広い顧問先の労務課題に向き合い、「会社と従業員を、笑顔に」をモットーに採用・定着支援、就業規則整備、労務トラブル未然防止などに奔走している。