- 更新日 : 2025年11月6日
再雇用中や契約満了の退職は自己都合、会社都合?失業保険の受給条件まとめ
再雇用制度を利用して働き続ける中で、退職を考えることがあるかもしれません。その際、「自己都合退職」になるのか、「会社都合退職」になるのかによって、失業保険(基本手当)の受給条件や給付の開始時期が異なります。特に、60歳以降の雇用形態は複雑なため、正確な知識を持っておくことが大切です。この記事では、再雇用期間中の退職がどのように扱われるのか、失業保険の受給条件や手続きについて、わかりやすく解説します。
目次
再雇用中の退職は自己都合退職とされる?
再雇用契約の途中で従業員が自らの意思で退職を申し出た場合、原則として自己都合退職と判断されます。
再雇用制度は、定年退職後も企業と新たに雇用契約を結び、労働を継続する仕組みです。この契約期間の途中で従業員が自らの都合で退職を選択した場合、一般的な退職と同じ扱いになります。企業としては、再雇用契約書に退職に関する取り決めを明確に示し、従業員に対し十分に説明しておくことが、後々の誤解を防ぐ上で大切です。
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再雇用の自己都合退職で失業保険はもらえる?
再雇用の自己都合退職でも一定の条件を満たせば失業保険(基本手当)は受給できます。ただし、給付制限があるため、すぐには支給されません。
原則として、退職後7日間の待機期間に加え、1か月の給付制限が設けられています。なお、過去5年間に2回以上の自己都合退職がある場合は、制限期間が3か月に延びることがあります。
受給開始時期は退職理由と過去の離職歴によって変わるため、ハローワークでの確認が必要です。
失業保険がもらえる年齢と受給条件
失業保険を受給するには、以下の条件を満たす必要があります。
求職の申し込みをしていること
ハローワークで就職する意思と能力を示し、積極的に求職活動を行っていると認められることが必要です。
雇用保険は12ヶ月以上
離職日の前の2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算で12ヶ月以上あることが条件です。再雇用期間中の雇用保険加入期間も、定年退職前の期間と合算して計算されます。
65歳未満であること
離職した時点で65歳未満であることが条件です。65歳以降に離職した場合は、「高年齢求職者給付金」の対象となります。
失業保険の金額と期間
失業保険の金額は、退職した直前6か月の平均賃金によって決まります。失業保険の1日あたりの支給額は「基本手当日額」と呼ばれ、賃金総額を180で割った「賃金日額」に、年齢や賃金水準に応じた給付率(おおよそ50%~80%)をかけて計算されます。
正確な金額や上限は年度ごとに変わるため、詳しくはハローワークで確認するのが確実です。
支給期間は、雇用保険の加入期間や離職時の年齢、退職理由(自己都合または会社都合)によって異なります。
自己都合退職の場合、加入期間が10年以上20年未満であれば支給期間は原則120日です。再雇用中の加入期間も通算対象となるため、定年前の加入期間と合わせて計算されます。
再雇用契約も雇用保険の対象であれば、その期間は支給日数に反映されます。
失業保険の手続き
自己都合退職後に失業保険を申請する際は、以下の手順で進めます。
- 離職票の受け取り:会社から発行される離職票(雇用保険被保険者離職票-1、-2)を受け取ります。
- ハローワークでの求職申し込み:居住地を管轄するハローワークへ行き、求職の申し込みを行います。
- 必要書類の提出:離職票、本人確認書類、写真、印鑑、振込先口座の通帳などを提出します。
- 受給資格の決定:ハローワークが受給資格を審査し、決定します。
- 説明会の参加:雇用保険受給者初回説明会に参加します。
- 失業の認定と求職活動:原則4週間に一度、失業の認定を受け、その間に所定の求職活動を行います。
再雇用の契約満了での退職は自己都合か会社都合か
再雇用契約の満了で退職した場合でも、条件によっては会社都合退職として扱われることがあります。
再雇用契約は一般に有期雇用であり、期間が終了すれば契約が切れます。しかし、本人が契約更新を希望していたにもかかわらず、更新されなかった場合は「雇い止め」とみなされることがあり、これは会社都合退職(特定理由離職者)として扱われる可能性もあります。会社都合退職として扱われた場合、失業保険の給付制限期間が免除されることがあります。
会社都合退職と判断される主なケース
- 契約期間が3年以上で、契約更新を希望したにもかかわらず更新されなかった場合。
- 契約更新の際、合理的な理由なく契約条件を大幅に引き下げられたために退職した場合。
- 事業所の移転や組織再編など、会社都合で通勤が困難になった場合。
これらの条件に該当するかどうかは、個別の状況やハローワークの判断によります。再雇用契約の満了で退職する際は、自身の状況が特定理由離職者に該当するかどうかをハローワークに相談することが大切です。
定年退職は自己都合か会社都合か
定年退職は、原則として自己都合退職とも会社都合退職とも異なる離職として扱われます。
定年退職は、あらかじめ就業規則で定められた年齢に達したことによる離職であり、本人の意思や企業の都合によるものではありません。そのため、自己都合でも会社都合でもない中立的な退職とされます。
定年退職後に就職を希望する場合、7日間の待機期間の後に、1か月間の給付制限期間が設けられ、支給はその期間が終了してから始まります。ただし、65歳以上で退職した場合は「高年齢求職者給付金」の対象となり、基本手当のような継続的な支給ではなく、一時金での支給です。
定年退職後も働く意欲がある方は、早めにハローワークで求職登録を行い、必要な手続きを進めておくことがスムーズな受給につながります。
再雇用中の退職と失業保険のポイント
再雇用中に退職する際、失業保険について知っておくべき点がいくつかあります。
退職理由で失業保険の支給時期が変わる
退職理由によって、失業保険の給付開始時期や制限の有無が異なります。再雇用期間中に本人の意思で辞めた場合は自己都合退職となり、原則1か月の給付制限があります。一方、契約更新を希望していたのに更新されなかった場合は「雇い止め」に該当する可能性があり、会社都合退職とみなされて給付制限がなくなります。
退職前に会社と退職理由を確認し、離職票にどのように記載されるかを把握することが大切です。
雇用保険の加入期間は通算して確認
失業保険を受給するには、原則として退職前の2年間に雇用保険に12か月以上加入している必要があります。再雇用契約中の加入期間は、定年前の加入期間と通算されます。加入期間が長いほど支給日数にも影響するため、ハローワークで正確な期間を確認しておきましょう。
65歳を超えた退職は「高年齢求職者給付金」が支給される
65歳以上で離職すると、「高年齢求職者給付金」が支給されます。これは原則として一時金の扱いであり、被保険者の加入期間や離職理由に応じて金額が決まります。支給額の目安は、6か月以上の加入で30日分、1年以上で50日分です。制度が異なるため、65歳を超えて退職を検討する方は事前に制度の内容を確認しておきましょう。
自己都合退職でも前向きな理由を伝える
再雇用中に自己都合で退職した場合、その理由を履歴書や面接で説明する場面があります。再雇用契約の終了や健康、家庭の事情など前向きな理由を整理しておくことで、再就職活動でも不利の扱いを免れます。退職の背景が明確であれば、応募先にも納得してもらいやすくなります。
企業が押さえるべき再雇用と退職
企業が再雇用制度を運用し、従業員の退職に対応する上で、いくつかの点を把握しておきましょう。
契約内容は再雇用契約書に明記しておく
再雇用契約書には、契約期間、業務内容、賃金、退職時の対応などを具体的に記載しておきます。特に、契約更新の条件や雇い止めの基準を明示しておくことで、従業員とのトラブルを防ぐことができます。退職の取扱いについても事前に共有しておくと安心です。
制度の内容は従業員に丁寧に伝える
再雇用を始める際や更新時には、制度内容や退職後の失業保険に関する扱いについて、従業員に丁寧に説明することが大切です。特に、自己都合退職による給付制限や、高年齢求職者給付金の内容は誤解されやすいため、口頭だけでなく書面でも説明しておくと安心です。
高年齢雇用継続給付金も案内する
60歳以降も継続して働く従業員に対して、賃金が下がった場合に利用できる「高年齢雇用継続給付金」の案内も忘れずに行いましょう。この制度は、賃金が60歳時点と比べて75%未満に低下した場合に、月々の賃金の最大15%が支給される仕組みです。申請手続きは企業を通じて行うため、制度の概要と必要書類についてのサポートが求められます。
離職票作成や説明はハローワークと連携
再雇用契約の満了や雇い止めによる退職が発生した場合、離職票の作成やハローワークへの報告が必要です。離職理由の確認や証明が求められる場面もあるため、ハローワークとの情報共有や事前連携をしておくことで、退職後の手続きをスムーズに進められます。
再雇用での退職と失業保険の受給条件・年齢制限を正しく理解しよう
再雇用中の退職では、自己都合か会社都合かによって失業保険の支給時期が変わります。雇用保険の加入期間が通算12か月以上あれば、原則65歳未満であれば基本手当の受給が可能です。65歳以上は「高年齢求職者給付金」が一時金として支給されます。
契約満了による退職でも、条件によっては会社都合と認められ、早期の受給が可能な場合があります。離職票の内容を確認し、不明な点は、ハローワークで相談しましょう。
関連:【テンプレート付き】再雇用契約書とは?作り方や手続きの業務を解説!
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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