- 更新日 : 2025年6月24日
福利厚生としてマッサージを導入する方法は?相場や経費の取り扱いも解説
近年、働き方改革や健康経営の推進を背景に、企業が福利厚生としてマッサージサービスを導入するケースが増えています。単なる「癒し」の提供ではなく、従業員の心身の健康維持や生産性の向上、離職率の低下といった効果を期待できるため、注目度が高まっています。しかし、導入形式や費用、税務上の取り扱いなど、検討すべきポイントも多岐にわたります。本記事では、福利厚生マッサージのメリットや導入方法、運用のコツまで、初めて検討する方にもわかりやすく解説します。
目次
福利厚生としてマッサージが注目されている理由
近年、企業が福利厚生としてマッサージサービスを取り入れるケースが増えています。この背景には、働き方や企業の経営方針が大きく変化していることがあります。単なるリラクゼーションではなく、組織全体の生産性や従業員満足度にかかわる重要な要素として再評価されているのです。
働き方改革・健康経営との親和性
まず一つ目の要因として、政府や経済団体が推進する働き方改革と健康経営があります。長時間労働の是正、労働生産性の向上といった目標を実現するために、企業は従業員の健康維持や業務効率の改善に向けた取り組みを強化しています。
このような動きの中で、マッサージサービスは短時間で心身の疲労回復が期待できる手段として注目されています。特にデスクワークや立ち仕事など、身体に負荷がかかりやすい業種においては、慢性的な肩こりや腰痛を緩和する効果が期待されます。
また、健康経営を掲げる企業にとっては、従業員の不調を予防する施策を用意することが、医療費の削減や労働損失の防止につながると考えられています。マッサージはこうした企業方針とも親和性が高く、導入する価値があると認識されるようになってきました。
ストレス対策・離職率低下の切り札
次に、企業がマッサージ導入を検討する大きな理由の一つに、従業員のメンタルヘルス対策があります。現代の職場環境では、業務量や人間関係、働き方の多様化に起因するストレスが問題になっており、それに対する企業の責任が問われるようになっています。
マッサージは、肉体的な緊張だけでなく、精神的な緊張を和らげる作用があるとされています。短時間でも定期的に施術を受けることで、気持ちの切り替えがしやすくなり、心の余裕を保てるようになります。
さらに、職場でのマッサージ提供は従業員に対する企業からの配慮として受け止められることが多く、職場への愛着や信頼感を高める効果もあります。その結果、仕事に対するモチベーションの維持や、離職の抑制といった組織課題の改善にもつながると評価されています。
福利厚生にマッサージを導入するメリット
マッサージを福利厚生として導入することで、従業員だけでなく企業にも多くの利点がもたらされます。単に「気持ちがいい」サービスとしてではなく、働きやすい職場環境づくりや経営面の成果にもつながる点が評価されています。ここでは、代表的な5つのメリットについて解説します。
従業員の健康増進と心身のリフレッシュ
福利厚生にマッサージを導入することで、従業員の健康増進と心身のリフレッシュに大きく貢献します。特にデスクワーク中心の業務では、肩こりや腰痛、眼精疲労といった慢性的な身体の不調を感じる従業員が多く存在します。定期的なマッサージは、これらの不調を軽減するだけでなく、ストレス解消やリラックス効果をもたらし、従業員の心身の健康を維持するうえで重要な役割を果たします。また、従業員自身が気づきにくい身体の不調を早期に発見し、予防的なケアにつなげることも期待できます。
医療費の削減と健康維持
慢性的な肩こりや腰痛、眼精疲労などは、放置すると通院や治療が必要になる場合があります。これらの身体的不調を未然に防ぐ手段として、マッサージは非常に有効です。定期的に筋肉をほぐすことで体のバランスが整い、将来的な医療費の抑制や欠勤の予防にもつながります。企業全体の健康管理コストにも良い影響を与える点が見逃せません。
他社との差別化による採用力の強化
福利厚生が充実していることは、求職者にとって重要な企業選びのポイントのひとつです。特に「社員を大切にしている」「働きやすい環境が整っている」という印象を与えるマッサージ制度は、採用活動の場面でアピール材料になります。他社と同業・同条件で比較された際に、マッサージ導入が企業としての魅力を高め、応募者の関心を集めやすくなります。
エンゲージメントの向上
従業員が会社に対して感じる信頼や愛着を高めることは、組織運営において極めて重要です。マッサージを提供することで、会社が従業員の健康や働きやすさを重視している姿勢を具体的に示すことができます。このような配慮は従業員満足度の向上に寄与し、職場に対するポジティブな意識やエンゲージメントの向上を促します。
離職率の低下
働きやすさを感じられる職場環境は、離職の抑止力になります。特に、体調や気分が整いやすい職場では、従業員が長期的に働く意欲を持ちやすくなります。福利厚生の一環として定期的なマッサージを受けられることは、日常の中での満足感や安心感につながり、結果として退職者の減少につながる可能性があります。
福利厚生のマッサージの種類
企業が福利厚生としてマッサージを導入する方法には、大きく分けて3つのタイプがあります。それぞれの特徴を理解し、自社の環境や目的に合った方法を選ぶことが、導入効果を最大化するための鍵となります。ここでは、出張型・社内常駐型・提携サービス利用型の三つの導入方法について、メリット・デメリット・導入ステップの観点から詳しく解説します。
出張型マッサージ
出張型マッサージは、施術者が企業のオフィスへ訪問し、決められた時間内に従業員へマッサージを提供する形式です。最も導入しやすく、比較的柔軟に運用できる点が特徴です。
出張型マッサージのメリット
従業員はオフィス内でそのまま施術を受けられるため、外出の必要がなく利便性が高い形式です。施術用のベッドやタオルといった備品は通常サービス提供側が用意するため、企業の事前準備も最小限で済みます。また、休憩時間や業務終了後など、従業員が利用しやすい時間帯に合わせた柔軟な運用が可能です。
出張型マッサージのデメリット
出張型には一定のデメリットもあります。施術を行うための会議室や空きスペースなど、静かな場所の確保が必要となるため、オフィス環境によっては実現が難しい場合もあります。さらに、利用人数が多い場合には予約管理やスケジュール調整に手間がかかり、運用負担が増す可能性があります。また、他の形式と比較して1回あたりのコストが高くなる傾向も見られます。
出張型マッサージの導入方法
出張型を導入する際には、まず複数の事業者からサービス内容や料金プランを比較し、自社に適したサービス提供者を選定します。次に、施術の頻度や時間、料金の上限などを決定し、社内での運用方針を固めます。予約システムの整備と従業員への告知を行い、施術に必要なスペースを確保したうえで、サービスを開始します。
出張型マッサージの費用相場
出張型マッサージの費用は、施術者1名あたりの1時間単価で10,000円〜30,000円程度が相場とされています。中には1時間あたり6,000円〜の比較的安価なプランを提供している事業者もあります。一般的には、3時間の派遣で約28,000円〜29,000円程度の料金設定が多く、初期費用として5万円前後が発生するケースもあります。
社内常駐型マッサージ
社内常駐型マッサージは、オフィス内に専用の施術スペースを設け、常時または定期的にマッサージ師が勤務する形式です。従業員にとって非常に身近で利用しやすい制度であり、従業員満足度の向上を目的とする企業にとって効果的な選択肢となります。
社内常駐型マッサージのメリット
この形式の最大の利点は、従業員がいつでも気軽にマッサージを受けられる点です。定期的に同じ施術者が対応することで、従業員ごとの体調や好みに応じたきめ細かな対応が可能になります。こうした継続的なケアは信頼関係の構築にもつながり、従業員の心身の安定に寄与します。
また、企業が社員の健康を重要視していることを明確に示す制度であるため、社内外へのイメージ向上にもつながります。実際に、大手IT企業などでは、企業文化の一部として社内マッサージ制度が定着しているケースも見られます。
社内常駐型マッサージのデメリット
一方で、初期費用や維持費が高額になりやすい点が課題となります。専用のマッサージルームの設置費用や施術者の人件費などが継続的に発生するため、十分な利用率が見込めないとコストパフォーマンスが低下する可能性があります。また、導入後も施術環境の維持管理や従業員の利用促進など、一定の運用負担が伴います。
社内常駐型マッサージの導入方法
導入にあたっては、まず静かで落ち着いた専用スペースを社内に確保し、施術に必要な設備を整えることから始まります。そのうえで、国家資格を持つ施術者を直接雇用するか、専門業者と契約する形で施術体制を整えます。
さらに、利用時間や料金、予約方法といった運用ルールを明確に定めたうえで、従業員にわかりやすく告知します。制度を定着させるためには、開始当初から積極的に社内で周知・啓発を行い、利用のハードルを下げる工夫が求められます。
社内常駐型マッサージの費用相場
社内常駐型マッサージの場合、施術者の常勤体制を整える必要があるため、人件費や設備投資がかさみます。月額で20万円〜50万円以上の予算を見込む必要があり、企業規模や利用者数によって金額は変動します。常駐ではなく、定期的な派遣型を採用することで費用を抑える企業もあります。
提携サービス利用型マッサージ
提携サービス利用型マッサージは、企業が外部のマッサージ施設や福利厚生サービス会社と連携し、従業員がその施設を割引料金で利用できるようにする仕組みです。社内でのスペース確保が難しい場合や、コストを抑えて導入したい企業にとって有効な選択肢となります。
提携サービス利用型マッサージのメリット
この導入方法の大きなメリットは、初期投資や設備の準備が不要であることです。施術スペースやマッサージ師の手配といった煩雑な手続きが不要なため、企業側の管理負担が軽く、導入までのスピードも比較的早い傾向にあります。
また、福利厚生代行サービスを通じて導入する場合には、既に全国に提携施設を持っている事業者のネットワークを利用できるため、従業員が自宅や勤務地近くで気軽にサービスを利用しやすくなります。個々のニーズに応じて柔軟な利用が可能な点も、従業員にとって魅力的です。
提携サービス利用型マッサージのデメリット
一方で、企業側が利用実績を直接把握しづらい点や、従業員の居住地や勤務地によっては提携施設が近くにない場合もあるという課題があります。そのため、実際の利用率が想定よりも低くなってしまう可能性もあります。
さらに、従業員が自ら施設を選び、予約や支払いを行う必要があるため、人によっては利用までのハードルが高く感じられる場合もあります。制度としての利便性を活かすには、利用方法をわかりやすく案内する工夫が求められます。
提携サービス利用型マッサージの提携方法
導入を検討する際には、まず従業員の居住エリアや勤務場所を踏まえて、利用可能な施設の範囲を確認します。そのうえで、福利厚生代行サービスの導入や、個別のマッサージ施設との提携を進めていきます。
提携内容の交渉やプランの選定を行い、割引率や利用上限、支払い方法などを明確にします。最後に、提携施設の情報とあわせて、従業員に対して利用方法を丁寧に周知します。会員ポータルやアプリなどを活用することで、よりスムーズな運用が可能になります。
提携サービス利用型マッサージの費用相場
提携サービス利用型マッサージの費用は、従業員1名あたり月額数百円〜数千円が一般的です。福利厚生代行サービスを活用することで、多数のマッサージ施設を割引価格で利用できるようになり、管理面でもスムーズな運用が可能です。個別施設と直接契約を結ぶ場合は、利用頻度や契約内容によって金額が大きく変わります。
福利厚生のマッサージを導入するポイント
マッサージ制度を社内に導入する際、どのように運用すれば従業員にとって使いやすく、企業にとっても持続可能な制度になるのかは重要なポイントです。制度として定着させるためには、導入形式だけでなく、利用促進の仕組みや運用面での工夫も必要になります。ここでは、制度設計時に知っておきたい代表的な運用のポイントをご紹介します。
契約書を作成する
外部のマッサージ事業者と業務を委託する場合、サービスの内容や費用、トラブル時の対応などを明確にするために、契約書を取り交わすことが不可欠です。口頭やメールのみのやりとりでは、後々の誤解や責任の所在が不明確になる可能性があります。
契約書には、最低限以下のような内容を盛り込む必要があります。
- サービスの提供内容(施術時間、対応可能な人数、施術内容の範囲)
- 契約期間と更新条件
- 費用・支払い条件(施術単価、交通費、キャンセル時の対応など)
- 設備や備品の提供主体(マッサージベッドやタオル類の持ち込み有無)
- 機密保持や個人情報の取り扱い
- 万が一の事故・けがが発生した場合の責任の所在
これらを明記することで、企業側・施術側の双方にとって安心して業務が行える基盤を整えることができます。
もし社内に法務部門がない場合や初めて外部業者と契約する場合は、契約書の雛形を活用するのも一つの方法です。業種に特化したテンプレートを提供しているマッサージ業者もあるため、比較検討しながら自社に合った形式に調整することが大切です。
また、契約書の文面に不安がある場合は、顧問弁護士など法律の専門家に事前確認してもらうことで、法的リスクを最小限に抑えることができます。
チケット制を導入する
チケット制は、企業がマッサージサービスを現物支給する形で提供する運用方法の一つです。従業員に「マッサージチケット」を配布し、指定の施術施設や提携店舗で利用してもらうことで、柔軟かつ公平な制度運用が可能になります。
この方法は、出張型や常駐型と違ってオフィスに施術スペースを設ける必要がなく、テレワーク中の従業員や地方拠点のスタッフにも利用しやすいという特徴があります。また、利用回数や金額に上限を設定しやすいため、コスト管理のしやすさも魅力です。
制度化する際は、提携先施設とあらかじめチケットの価値や有効期限を取り決めておくと、従業員・企業双方にとってスムーズな運用が可能です。
福利厚生代行サービスを活用する
マッサージ制度をゼロから構築するのが難しいと感じる企業には、福利厚生代行サービスの活用が有効です。代表的なサービスとしては、ベネフィット・ワン、リロクラブ、イーウェルなどがあり、これらを利用することで、多数のマッサージ店舗や施術サービスと簡単に提携することができます。
代行サービスでは、従業員がスマートフォンや専用の会員ページから施術施設を検索・予約できる仕組みが整っており、企業側の運用負担を最小限に抑えることができます。また、月額の利用料は従業員数に応じて変動するため、企業規模に合わせた柔軟な導入が可能です。
サービスを選ぶ際には、マッサージの取り扱い施設数や地域対応範囲、利用状況のレポート機能などを比較検討すると良いでしょう。
福利厚生費として認められるための条件
福利厚生費とは、従業員のために企業が支出する費用のうち、税務上、損金として計上できるものを指します。マッサージの導入も、その目的や運用方法によっては福利厚生費として認められますが、税務上は以下のような要件を満たしている必要があります。
全従業員が平等に利用できること
福利厚生制度は、特定の個人や役職者のための優遇ではなく、広くすべての従業員が利用できるものでなければなりません。正社員だけでなく、契約社員やアルバイト、パートタイマーなど雇用形態にかかわらず、平等に利用の機会が与えられていることが原則となります。
制度上利用可能であっても、実際に偏りが生じていると判断されると、福利厚生費としては認められない場合があります。制度導入時には、利用対象者を明確に定め、社内全体へ周知することが重要です。
社会通念上、相当とされる金額であること
マッサージの利用にかかる費用が、一般的な常識から見て高額すぎる場合、税務上は「福利厚生の範囲を超えている」と判断される可能性があります。たとえば高級スパと同等のサービスや、過剰な頻度での提供は、業務上必要な範囲を超えるとみなされることがあります。
適正な価格帯のサービスを選び、企業としての支出内容が合理的であることを説明できる体制を整えておくことが求められます。
現金支給ではないこと
福利厚生費として認められるためには、原則として現物での支給であることが必要です。そのため、マッサージサービスを受けるための費用を事前や事後に会社が支給するような場合は、福利厚生費として認められないことがあります。
福利厚生のマッサージを導入するうえでの税務上の注意点
マッサージ制度を導入し、税務リスクを回避するためには、制度設計だけでなく日々の運用管理も重要です。以下の点を実務でしっかり対応することが求められます。
領収書を保管する
マッサージサービスの利用にかかる費用を福利厚生費として計上する場合、その支出を証明できる領収書の保管が必須となります。どの事業者に対して、どのようなサービスを受けたのかがわかるように記録を残しておくことが大切です。
利用状況の記録を残す
従業員が実際にサービスを利用していること、そしてそれが公平な制度に基づいていることを示すには、利用者名・日時・利用時間などの記録が有効です。予約システムや申請書など、形式は企業ごとに異なって構いませんが、記録の有無が制度の透明性を左右します。
一部従業員負担がある場合に注意する
企業によっては、全額会社負担ではなく、従業員が一定額を負担する制度設計を取ることもあります。この場合でも、企業側が負担する部分については、上記の条件を満たしていれば福利厚生費として認められる可能性があります。ただし、従業員負担があることを明確にルール化し、経理処理も分けて行うことが望まれます。
必要に応じて専門家に相談する
税務処理の取り扱いは、同じ制度であっても企業の業種・規模・運用方法によって判断が異なることがあります。そのため、制度を導入する際や、初めて経費処理を行う際には、税理士や会計士などの専門家へ相談することが非常に重要です。
制度設計の段階でアドバイスを受けておくことで、後々のトラブルや税務調査時の対応リスクを大幅に減らすことができます。特に、福利厚生費としての取り扱いに不安がある場合は、事前の確認を怠らないようにしましょう。
個人事業主が福利厚生のマッサージの求人を探すには?
企業向けにマッサージを提供する仕事は、近年フリーランスや個人事業主の施術者にとっても注目されています。特に「出張型」「社内常駐型」のマッサージサービスでは、業務委託契約による求人募集が行われることが多く、柔軟な働き方を希望する施術者に適したフィールドといえます。
求人を探す方法としては、以下のような手段があります。
- 福利厚生マッサージを専門に提供する企業の求人ページをチェックする
- 業務委託型求人に強い求人サイトを活用する
- マッサージ師向けの専門メディア・コミュニティに参加する
また、求人情報を見る際には、施術内容・拘束時間・移動距離・報酬体系(時給制 or 出張費込みか)などをよく確認しましょう。特に個人事業主の場合、交通費や道具の持ち込み有無なども業務負担に大きく影響します。
福利厚生マッサージに関するよくある質問
福利厚生としてのマッサージ制度は、導入する企業にとっても、サービスを提供する施術者にとっても関心の高いテーマです。
ここでは、制度の検討段階で多く寄せられる質問について、わかりやすくお答えします。
社員数が少ない企業でもマッサージ制度を導入できる?
はい、小規模な企業やスタートアップでも、マッサージ制度を無理なく導入する方法があります。特に以下のような形式が適しています。
- 月1回などの低頻度で導入する出張型マッサージ
- 福利厚生代行サービスや外部提携施設を利用するチケット制
- 少人数での利用に特化した部分的トライアル制度
大がかりな常設スペースを設ける必要はなく、スモールスタートで様子を見ながら導入を拡大していく方法が現実的です。従業員のニーズを把握するために、事前のアンケート調査を実施することもおすすめです。
マッサージ費用が課税対象になることはある?
制度の設計や運用が適切であれば、マッサージにかかる費用は福利厚生費として損金処理が可能です。しかし、税務上の取り扱いにはいくつか注意点があります。
たとえば以下のようなケースでは、福利厚生費として認められず、従業員への給与とみなされる場合があります。
- 一部の役員や管理職のみが利用している
- 社会通念上不相当に高額なサービス
- 費用を現金で社員に支給している
このようなリスクを避けるためには、「全従業員を対象とした制度」であることを文書で示しておくことが有効です。必要に応じて、税理士への事前相談も検討しましょう。
社員の利用率が低い場合、マッサージ制度はやめるべき?
利用率が低いからといってすぐに制度を終了してしまうのではなく、まずはその原因を分析し、改善策を講じることが重要です。利用率の低下には、次のような背景があることが考えられます。
- 予約手続きが煩雑で、利用のハードルが高い
- 提供時間帯が勤務時間と合っていない
- サービスの内容や制度自体が十分に周知されていない
これらに対応するには、予約システムの簡素化、提供時間の調整、社内掲示やイントラでの周知強化などが効果的です。さらに、利用者への簡単な満足度アンケートを実施し、制度を従業員ニーズに合わせてチューニングしていくことで、徐々に利用が定着する可能性があります。
個人事業主が福利厚生のマッサージの求人を探すには?
企業向けにマッサージを提供する仕事は、近年フリーランスや個人事業主の施術者にとっても注目されています。特に「出張型」や「社内常駐型」の形式では、業務委託契約に基づいた求人が多く、柔軟な働き方を希望する方に適しています。
求人を探す手段としては、以下のようなものがあります。
- 福利厚生マッサージを専門に扱う企業の公式サイトや採用ページ
- 業務委託型の求人に強い求人サイト(Indeed、求人ボックス、クラウドワークスなど)
- マッサージ師向けのコミュニティや団体が運営する掲示板やSNS
また、施術内容や拘束時間、報酬体系(固定・歩合・交通費の有無など)については事前によく確認し、納得のいく条件で契約することが大切です。
福利厚生のマッサージ制度は効果的な取り組みのひとつ
福利厚生としてのマッサージ制度は、従業員の健康増進と企業の成長を両立させる、効果的な取り組みのひとつです。出張型やチケット制など、企業規模や働き方に応じて柔軟に選択できる点も魅力です。制度を適切に設計し、税務上の条件を満たすことで、企業にとっても費用対効果の高い福利厚生となります。まずは小さく始め、従業員の声を反映しながら育てていくことが、成功の鍵です。この記事が制度導入の第一歩となれば幸いです。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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