- 更新日 : 2026年1月30日
マイナ保険証のメリット・デメリットは?登録しない場合についても解説
マイナ保険証とは、マイナンバーカードを健康保険証として利用する仕組みのことです。この記事では、マイナ保険証を利用する際のメリットとデメリットについて詳しく解説します。「作らないとどうなるのか」といった不安を解消し、資格確認書の仕組みや、会社の人事労務担当者が知っておくべき実務対応についても紹介しています。
目次
マイナ保険証を利用するメリットは?
マイナ保険証には、従来の紙の保険証にはなかった、「医療の質向上」や「事務手続きの削減」におけるメリットがあります。
データに基づくより良い医療が受けられる
医師や薬剤師が、過去の健診結果や処方薬のデータを参照できるため、薬の飲み合わせや重複を防げます。
「お薬手帳」を忘れてしまった場合や、初めての病院で病歴を説明するのが難しい場合でも、マイナ保険証があれば正確な情報が医師に伝わります。これにより、より適切な治療を受けられるようになります。
限度額以上の支払額が一時払い不要になる
「限度額適用認定証」の事前申請なしで、窓口での支払いが自動的に自己負担限度額まで抑えられます。
入院や手術で医療費が高額になる際、従来は事前の申請が必要でした。マイナ保険証を利用すれば、手続きなしで高額療養費制度が適用されるため、急な入院でも数十万円単位の現金を立て替える必要がなくなります。
医療費の確定申告(医療費控除)が自動化できる
マイナポータルとe-Taxを連携させることで、医療費の領収書を集計・入力する手間がゼロになります。
年間の医療費データが自動的に申告書に反映されるため、計算ミスを防ぎ、最短で還付金の手続きを完了できます。毎年医療費控除を行っている人にとっては、数時間の事務作業を削減できる劇的なメリットです。
就職・転職・引越し後の保険証切り替えが不要
新しい保険証の発行を待つ空白期間がなくなり、データ登録さえ完了すれば即日受診できます。
従来は新しい保険証が届くまで1〜2週間かかりましたが、マイナ保険証なら、転職先や役所での加入手続きが完了次第、手元のカードをそのまま使って受診可能です。
救急搬送時や災害時に迅速な身元確認ができる
意識がない状態でも、救急隊がカードから医療情報を読み取ることで、持病や服用薬を考慮した適切な搬送先を素早く決定できます。
現在、救急車にカードリーダーを搭載する実証実験が進んでいます。会話ができない緊急事態においても、正確な医療情報が医師に伝わることで、適切な処置につながる可能性が高まります。
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マイナ保険証を利用するデメリットや懸念点は?
便利なメリットがある一方で、デジタル化特有の「システムリスク」や「管理コスト」というデメリットも存在します。これらを事前に知っておくことが大切です。
医療機関のシステム不具合で受診できないリスクがある
機器トラブルや通信障害により、一時的に保険資格が確認できず、スムーズに受診できない可能性があります。
顔認証付きカードリーダーも機械である以上、故障や回線トラブルのリスクは避けられません。 実際に、システムエラーでその場で資格確認ができず、一旦10割負担を求められるケースも稀に発生しています。
この対策として、厚生労働省は「資格情報のお知らせ」(スマホ画面や紙)を合わせて携帯することを推奨しています。これがあれば、システムダウン時でも保険診療を受けることが可能です。
暗証番号の管理や更新手続きの手間がかかる
5年〜10年ごとのカード更新や、暗証番号忘れによる再設定など、紙の保険証にはなかった管理の手間が発生します。
従来の保険証は会社から自動的に新しいものが配布されていましたが、マイナンバーカードは以下の更新を自身で行わなければなりません。
- 電子証明書の更新: 5年ごと(役所へ行く必要あり)
- カード本体の更新: 10年ごと
また、顔認証がエラーになった際は暗証番号(4桁)が必要です。これを忘れるとロックがかかり、役所での初期化手続きが必要になります。
個人情報漏洩や紛失時のセキュリティリスクがある
紛失時に身分証明書としての悪用リスクがあり、即時の利用停止手続きが必要です。ただし、医療情報が芋づる式に流出することはありません。
カードのICチップには受診履歴や税情報などのプライバシー情報は入っていないため、カードを落としただけで医療データが盗まれることは仕組み上ありません。しかし、顔写真や住所が入った公的な身分証を失うことになるため、警察への届け出や、24時間365日対応のコールセンターへの連絡といった初動対応の負担は、紙の保険証よりも重くなります。
高齢者や代理受診時の手続きが複雑になる
本人が窓口に行けない場合、家族などの代理人がマイナンバーカードを預かって受診する手続き(暗証番号の共有など)が煩雑です。
寝たきりの高齢者や、子供の代わりに親が薬を受け取る場合、顔認証が使えません。 代理人がカードを持参する場合、暗証番号を本人から聞き出しておく必要があり、運用上のハードルが高くなります。
こうしたケースでは、マイナ保険証よりも後述する「資格確認書」を利用する方がスムーズです。
保険証の有効期限が券面で確認できない
カード券面に保険情報の有効期限が記載されていないため、保険資格が切れていることに気づかず誤って使ってしまうリスクがあります。
従来の保険証には「令和○年○月○日まで」と明記されていましたが、マイナ保険証は見た目だけでは有効かどうかが分かりません。 退職直後や扶養から外れた直後など、すでに資格がないのに使ってしまい、後日医療費(7割分など)の返還を請求される「無資格受診」のトラブルが起きやすい点に注意が必要です。
マイナ保険証を登録しないとどうなる?
マイナ保険証の利用は義務ではないため、登録しないという選択をしても公的医療保険制度から除外されることは一切ありません。
デジタル管理への不安やデメリットが気になる場合は、これまで通りの受診方法を継続する手段が法的に用意されています。
従来の健康保険証は原則使用不可
従来の健康保険証は2025年12月1日をもって、原則使用できなくなりました。現状は「マイナ保険証」か「資格確認書」を医療機関に提示することになります。
ただし、暫定措置として2026年3月末までは、期限切れの健康保険証であっても、医療機関の窓口で資格確認が取れれば使用は可能です。
マイナ保険証がない人には資格確認書が交付される
マイナ保険証を持たない人には、申請不要で資格確認書が交付され、従来通り受診できます。
資格確認書とは、従来の健康保険証の代わりとなる書類(カード型または紙)です。
マイナンバーカードを取得していない、または保険証利用登録をしていない人に対しては、保険者(協会けんぽ等)から職権で交付されます。そのため、「マイナ保険証がないと病院に行けなくなる」という心配は無用です。
マイナ保険証と資格確認書、どちらを利用すべき?
マイナ保険証、従来の健康保険証、そして新たに導入される資格確認書には、それぞれ機能や発行手順に明確な違いがあります。
ご自身のライフスタイルやITスキルに合わせて最適なものを選択できるよう、それぞれの特徴を比較整理しました。
マイナ保険証・従来証・資格確認書の違い
マイナ保険証は「便利さとデータ活用」、資格確認書は従来通りの安心感に特化しています。
それぞれの機能や対応の違いは以下の通りです。従来の保険証と資格確認書は、どちらも紙(またはプラスチック)のカードであり、基本的な使い勝手は共通しています。
| 比較項目 | マイナ保険証 | 資格確認書(従来の保険証) |
|---|---|---|
| 情報の反映 | 最新情報が即時反映 | 発行・郵送に時間がかかる |
| 高額療養費 | 限度額認定証が不要 | 認定証の事前申請が必要 |
| 医療情報共有 | 過去の薬・検診データを共有可 | 不可(お薬手帳を持参) |
| 救急・災害時 | 顔・データで身元確認可 | 破損・紛失リスクあり |
| 紛失時の対応 | カード再発行(約1ヶ月) | 保険者へ再交付申請 ※従来証は再発行不可 |
タイプ別の判断基準
メリットを重視するか、変化を避けるかという個人の価値観に合わせて選んで問題ありません。
自身の状況に合わせて、以下のように判断するのがスムーズです。
- 利便性・節税・医療の質を重視する人
→ マイナ保険証への切り替えがおすすめです。 - デジタル管理が不安・現状維持がいい人
→ 無理に作らず資格確認書を利用する方法があります。
マイナ保険証を利用する際に知っておきたいポイント
いざ使い始めてから「やめたい」「困った」となった場合に備えて、事前に把握しておくと安心なポイントをまとめました。 解除方法や緊急時の対応を知っているだけで、利用への心理的なハードルはぐっと下がります。
マイナ保険証の登録解除方法
マイナ保険証は、マイナポータルからいつでも解除手続きが可能です。
「一度登録したら戻せないのでは?」と不安になる必要はありません。 マイナポータル上の「健康保険証利用の申込状況」から利用停止を選択することで、登録を解除できます。解除手続きが完了すると、後日、保険者から資格確認書が交付されます(※反映まで1〜2ヶ月かかる場合があります)。
暗証番号を忘れた場合
住民票のある市区町村の窓口で、初期化(再設定)の手続きが必要です。
スマートフォンのアプリ等から遠隔でリセットすることはできません。 セキュリティ上、本人がマイナンバーカードを持参して役所へ出向く必要があるため、平日に時間が取れない方にとっては注意が必要です。
紛失時の対応
カードだけで医療情報を見ることはできません。すぐに利用停止の連絡をしてください。
マイナンバーカードのICチップ自体には、診療履歴や税情報などのプライバシー情報は入っていません。また、情報閲覧には暗証番号や顔認証が必要です。 ただし、身分証としての悪用を防ぐため、紛失時は速やかに「マイナンバー総合フリーダイヤル」へ連絡し、カード機能を一時停止してください(24時間365日受付)。
人事労務担当者が知っておくべきマイナ保険証対応は?
企業の人事労務担当者は、従業員の選択の自由を尊重しつつ、トラブルのないように制度移行を進める必要があります。
保険証の回収業務がなくなるなどのメリットを活かしながら、実務上で注意すべきポイントを押さえておきましょう。
従業員への周知と保険証回収の廃止
退職時の保険証回収業務はなくなりますが、資格喪失届の提出は引き続き必要です。
物理的なカード回収の手間や紛失トラブルは解消されます(※現在有効な紙の保険証がある場合は回収が必要)。
ただし、資格喪失の手続き自体がなくなるわけではないため、退職後は速やかに手続きを行い、元従業員が国民健康保険等へ切り替えられるように手配する必要があります。
マイナ保険証を持たない従業員への対応
マイナ保険証の取得を強制してはいけません。資格確認書の選択肢を正しく案内してください。
「会社の方針として全員マイナ保険証にする」といった強制はトラブルの元です。
入社時や扶養追加時には、「マイナ保険証を利用しますか? それとも資格確認書の発行を希望しますか?」と意向を確認するフローを設けるのが、最も安全で適切な実務対応です。
マイナ保険証のデメリットとメリットを理解し、最適な選択と実務対応を
マイナ保険証には、医療費控除の自動化や高額療養費の一時払い不要といった家計や手続きを助ける大きなメリットがある一方で、システム障害時の受診リスクや暗証番号管理の手間といったデメリットも確実に存在します。
重要なのは、必ずしも全員がマイナ保険証を持たなければならないわけではなく、デジタル管理に不安を感じる場合は従来の保険証と同じように使える資格確認書を選ぶ権利が保証されているという点です。
企業の人事労務担当者の皆様においては、これらの特徴を十分に理解した上で、従業員が自身の価値観に合わせて選択できる環境を整えることが重要です。マイナ保険証の取得はあくまで任意であり、会社が強制することはできないため、不安を感じる従業員には資格確認書の利用が可能であることを正しく案内し、トラブルのないスムーズな健康保険の手続きを進めましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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