• 更新日 : 2025年6月19日

マイナ保険証を使うメリット・デメリットは?手続きの流れ〜よくある疑問を解説

マイナ保険証とは、マイナンバーカードを健康保険証として利用できる仕組みのことを指します。

2021年から導入が進み、2024年には従来の健康保険証が原則廃止され、現在はマイナ保険証の利用が原則となっています。

とはいえ、「本当に便利になるの?」「マイナ保険証のデメリットは?」と、不安や疑問の声があるのも事実です。

この記事では、マイナ保険証の主なメリット・デメリットをわかりやすく解説します。

制度の概要や利用方法、注意点も踏まえて、実際に利用するかどうかの判断材料にしていただければ幸いです。

マイナ保険証とはマイナンバーカードを健康保険証として利用すること

マイナ保険証とは、マイナンバーカードを健康保険証として使用できる仕組みのことです。

マイナ保険証ではマイナンバーカードを専用のリーダーにかざすことで、オンライン上で保険資格の確認が可能です。

病院や薬局では、マイナンバーカードを提示するだけで本人確認と最新の保険情報のチェックが即時に行えるため、受付や手続きの効率化につながります。

政府はこの制度の普及を推進しており、2024年12月2日をもって従来の健康保険証の新規発行を終了し、マイナ保険証への一本化を進めています。

マイナ保険証と従来の健康保険証の違い

マイナ保険証と従来の健康保険証にいくつか違いがあり、下記の通りです。

項目マイナ保険証従来の健康保険証
情報の反映オンライン資格確認により、最新の保険情報が即時反映される保険情報は紙またはカードに記載、情報反映に時間がかかる場合がある
保険証の回収そもそも保険証は発行されず、手続きが完了している資格情報がオンラインで反映される転職・転居のたびに新たに発行・古い保険証の回収が必要
診療履歴の共有過去の診療履歴・薬剤情報を医療機関と共有可能情報共有はされないため、口頭での申告が必要
紛失時の対応マイナンバーカードと一体化しているため、再発行はカード単位で対応保険証単体で再発行手続きが必要

マイナ保険証では、転職や転居などで保険情報が変更された場合でも、新たに発行されることはないため回収の手間がありません。

診療履歴や薬剤情報も医療機関と共有できるため、重複処方の防止や適切な治療にも役立ちます。

ただし、マイナ保険証の利用には顔認証付きカードリーダーが必要で、未導入の医療機関では利用できない場合がある点には注意が必要です。

マイナ保険証を活用する4つのメリット

マイナ保険証を活用することで、いくつかのメリットがあります。

ここでは、マイナ保険証を利用することで得られる代表的な4つのメリットについて、解説します。

データにもとづいた医療を受けられる

マイナ保険証を利用すると、受診時・調剤時に患者の同意のもとで、医療機関は過去の診療履歴や服薬情報、特定健診データなどを閲覧できるようになります。

医師は、患者の既往歴や薬の処方状況を踏まえて診察できるため、重複投薬やアレルギーのリスクを避けながら、より適切な治療方針を立てやすくなるでしょう。

また、薬の飲み合わせによる健康被害を防ぐなど、安全性の高い医療につながります。

個人の情報提供はすべて患者の同意のもとに行われるため、プライバシー保護にも配慮された仕組みとなっています。

保険証不要で診療できる

マイナ保険証を利用すれば、従来の健康保険証を持ち歩く必要がなくなります。

マイナンバーカード1枚を医療機関のカードリーダーにかざすだけで、本人確認と保険資格の確認が完了するため、保険証を忘れたことによる受付トラブルも防げます。

また、保険証の紛失や盗難による個人情報漏洩のリスクも軽減され、再発行の手続きにかかる時間や手間も不要になるでしょう。

転職や引越しのタイミングでも、それぞれ必要な手続きが完了すればマイナ保険証の資格情報に反映されるため、従来の保険証と比べて管理が簡単です。

限度額以上の支払額が不要になる

マイナ保険証を利用して医療機関を受診した場合、高額療養費制度における「限度額適用認定証」の提出が不要になります。

限度額適用認定証とは、医療機関の窓口での支払いを自己負担限度額までに抑えるための証明書です。

オンライン資格確認により、保険者側で事前に登録された自己負担限度額が自動的に適用されるため、窓口での支払いが限度額内に抑えられます。

入院や手術など高額な医療費が発生した場合でも、限度額を超える額を一旦支払う必要がなくなり、経済的な負担の軽減につながります。

事前の申請手続きも不要であるため、急な入院時にも安心です。

医療費の確定申告を簡単にできる

マイナ保険証を使って医療機関を受診すると、医療費データが自動的にマイナポータルに記録されます。

従来は、1年分の医療費領収書を保管し、医療費控除の明細書を手作業で作成・添付する必要がありました。

しかし、マイナ保険証を利用すればマイナポータルに集約された医療費通知情報をもとに、明細が自動で作成されます。

また、マイナポータル上で医療費データをダウンロードし、そのままe-Taxに取り込んで申告ができるため、手続きの手間を大幅に省けます。

日々の記録を忘れがちな人でも、確実かつ正確に医療費控除を活用できる仕組みです。

マイナ保険証を活用する4つのデメリット

ここでは、マイナ保険証を活用する上であらかじめ理解しておきたい4つのデメリットについて解説します。

医療機関によっては利用できない

マイナ保険証は全国の医療機関で順次導入が進められていますが、すべての病院や診療所で対応しているわけではありません。

個人経営のクリニックや小規模な医療機関では、顔認証付きカードリーダーなどの機器が未設置のケースもあり、マイナ保険証が使用できない可能性があります。

そのため、受診時には従来の健康保険証があれば念のため持参しておくのが安全です。

健康保険証や資格確認書のいずれも手元にない場合には、「資格情報のお知らせ」を携帯することで、マイナ保険証に対応できていない医療機関でも受診が可能です。

制度上はマイナ保険証の利用が義務化されていますが、現場レベルでは未対応の医療機関があることを知っておきましょう。

個人情報が漏洩してしまう可能性がある

オンライン資格確認システムを通じて医療情報がやりとりされることで、セキュリティ上の不安を感じる人も一定数います。

マイナ保険証はマイナンバーカードと一体化しているため、万が一カードの紛失・盗難の場合には、個人番号が見知らぬ第三者に知られてしまうリスクがある点に注意が必要です。

政府は、通信の暗号化や端末認証などの対策を講じ、セキュリティ強化を進めています。

そのため、マイナンバーが知られてしまったからといって、マイナンバーに紐づく情報も知られてしまうことはありません。

それでも完全にリスクがゼロになるわけではありません。

セキュリティ対策を個人でも行う際のポイントは以下の通りです。

  • マイナンバーカードは厳重に管理する
  • 万が一の紛失時はすぐに利用停止手続き
  • マイナポータルで利用履歴を確認する

安心して使うためには、カードの管理を徹底するほか、紛失時の手続きを理解しておくことが大切です。

紐付け手続きに時間がかかる

マイナ保険証を利用するには、マイナンバーカードと健康保険情報をあらかじめ紐付けておく必要があります。

紐付けは医療機関での受診時に行う方法のほか、マイナポータルやセブン銀行ATMなどからも可能ですが、申請後すぐに反映されるわけではありません。

データ反映までには数日を要することがあるため、申込みから即日での利用を期待する場合は注意が必要です。

受信予定がある場合や、引越し・転職など保険情報が切り替わる時期には、早めに紐付け手続きを済ませておくことが推奨されます。

カードの有効期限が切れると利用できない

マイナンバーカードには有効期限が設定されており、通常は10年(18歳未満の未成年者は5年)です。

有効期限がすぎると、マイナンバーカードとしては無効になるものの、

マイナ保険証としての利用に限り、有効期限切れ後も3ヶ月間は引き続き利用できます。

マイナンバーカードの有効期限から3ヶ月が経過すると、マイナ保険証機能も完全に無効となります。

更新手続きには時間がかかるため、余裕をもって期限を確認し、早めの更新対応を心がけましょう。

マイナ保険証の手続きの流れ

マイナ保険証を利用するためには、事前にマイナンバーカードと健康保険証情報を紐付ける手続きが必要です。

紐づけの手続きは、スマートフォン・パソコン・窓口のいずれかで行え、自分の都合に合った方法を選べます。

方法手順
スマホ(マイナポータルアプリ)アプリを起動 → マイナンバーカード読み取り → 「健康保険証利用の申込み」から登録
PC(ICカードリーダー使用)マイナポータルにアクセス → カードリーダーでログイン → 健康保険証利用を申請
窓口/ATMセブン銀行ATMまたは医療機関窓口で「健康保険証利用の申込み」を選択 → 案内にしたがって操作・同意

もっとも手軽な方法は、マイナポータルを利用したオンライン手続きです。

スマホやPCからマイナポータルにログインし、「健康保険証利用の申込み」から登録することで、数日後にはマイナ保険証としての利用が可能になります。

また、対応医療機関の窓口やセブン銀行ATMでも手続きが可能です。

手続きを済ませておくことで、病院や薬局でスムーズにマイナンバーカードを保険証として使用できます。

マイナ保険証に関するよくある疑問

マイナ保険証に関してよくある3つの質問を取り上げ、それぞれの対処法を解説します。

制度が変わる中で不安を感じている方でも安心して対応できるよう、具体的な対応方法をわかりやすくご紹介します。

マイナ保険証を使えない場合は?

マイナ保険証が使えない場合は、いくつかの対処法があり、下記の通りです。

  • 従来の健康保険証や資格情報のお知らせを持参する※従来の健康保険証は2025年12月1日まで使用可能
  • 役所やマイナポータルで状況を確認する
  • 医療機関の受付で登録手続きをする

従来の健康保険証を持参しておくことで、通常通りの診療が可能です。

なお、従来の健康保険証は2025年12月1日まで有効とされています。

また、医療機関のシステムトラブルやネットワーク不具合などにより使えないケースもあるため、万が一に備えて健康保険証や「資格情報のお知らせ」を携帯しておくと安心です。

一部の病院では、その場でマイナ保険証の登録ができる受付機も用意されていますので、必要に応じて活用しましょう。

マイナ保険証を利用したくない場合は?

マイナ保険証の利用は現時点で義務ではなく、希望しない場合は従来の健康保険証を使い続けられます。

2025年12月1日までは従来の健康保険証が有効で、その後も希望者には資格確認書が発行される仕組みは継続される予定です。

マイナ保険証を使いたくない理由がある方は、入社のタイミングや役所での手続き時に資格確認書の発行を希望する旨を伝えましょう。

また、2025年12月1日までは病院や薬局で健康保険証で受診したい旨を伝えれば、従来通りの対応が受けられます。

マイナ保険証は自分の判断で選択できる制度となっていることを理解しておきましょう。

マイナ保険証の登録を解除する方法は?

マイナ保険証としての利用登録を行ったあとでも、希望すれば解除することが可能です。

流れとしては以下の通りです。

  • マイナポータルにアクセスする
  • 健康保険証利用の申込状況ページへ進む
  • 利用停止または解除を選択する
  • 内容を確認して手続きを完了する
  • 数日以内に機能が停止される

解除手続きは、スマホやパソコンからマイナポータルにアクセスし、「健康保険証利用の申込状況」ページに進んで「利用停止」または「解除」を選ぶだけで完了します。

手続き後、通常は数日以内にマイナ保険証としての機能が無効となります。

再度利用したくなった場合は、同様の手順で再登録が可能です。


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