• 更新日 : 2025年6月2日

36協定における連勤は何日まで可能?連勤の考え方や労働時間のルールを解説

労働基準法では労働者を何日連続で勤務させられるかについて規定があり、違反すると6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。しかし条文を読むだけでは分かりづらく、調べても「6日」「7日」「12日」「13日」「24日」「48日」など様々な数字が飛び交い混乱しがちです。

本記事では「連勤は何日まで許されるのか」というポイントを中心に、36協定(さぶろくきょうてい)における連続勤務のルールと、企業の人事・労務担当者が押さえておくべき注意点を解説します。

36協定における「連勤」の考え方

「連勤」とは休日を挟まずに連続して勤務すること、つまり労働者が何日も続けて休みなく働く状態を指します。連勤が長期間に及ぶと、肉体的・精神的な疲労が蓄積して労働者の健康に悪影響を及ぼす恐れがあります。過重労働は生産性の低下や労働災害(事故)のリスクを高め、ひいては過労死や深刻な健康被害につながりかねません。

そのため労働基準法は週あたりの休日数を定めて連続勤務日数に上限を設けており、企業には従業員に適切な休息日を与える法的義務があります。

法的に「連勤何日まで」が許されるか

まず労働基準法上、連続勤務は何日まで可能かを整理します。労働基準法第35条では、使用者(会社)は労働者に対し「毎週少なくとも1回の休日」を与えなければならないと規定しています。ただし同条の但し書きで例外として「4週間を通じ4日以上の休日」を与える方式も認められています。

これを受けて原則的な連勤可能日数は最大で12日間とされています。週1日以上の休日を確保する場合、例えば「第1週の日曜を休日とし、翌週の土曜を休日とする」というカレンダーを組めば、週休日は両週で1日ずつありますが、その間の月曜から翌週金曜まで12日連続勤務が可能です。「法定休日をずらせば最大12連勤まで法律上許容される」というのが基本的な考え方になります。

では12日を超える連勤は法的に可能なのでしょうか。結論としては、特別な制度を採用しない限り12日が限度であり、これを超えて休日を与えないことは労働基準法違反となります。13日以上休みなく働かせれば、いずれの7日間にも休日がない週が発生してしまい明確に違法です。

一方で労働基準法第35条2項の例外規定を活用すれば、最大で48日連続勤務も可能となります。これは就業規則に「変形休日制」(4週間につき4日の休日を与える)を定めた場合です。例えば建設業など週休制を取りにくい業種では、この変形休日制を導入し、4週間のうち最初の4日を休日とし、続く4週間の最後の4日を休日に設定することで、理論上は最大48連勤が可能となります。

ただし変形休日制を利用する場合は就業規則にあらかじめ明記して周知する必要があり、連続勤務が始まってから急に切り替えることはできません。

なお、労働時間の配分を年間単位で調整する「1年単位の変形労働時間制」を採用している場合は、逆に連勤日数が法的に6日間までに制限される点にも注意が必要です。この制度では原則として週1日以上の休日が必須で、繁忙期など特定期間のみ12日間まで連続勤務を認める例外措置があります。

自社が特殊な労働時間制を採用している場合、その制度固有の連勤ルールを把握しておくことも重要です。

そもそも労働基準法と36協定の関係とは

労働基準法が定める法定労働時間は原則1日8時間・週40時間ですが、これを超えて残業させたり法定の休日に労働させたりするには労使間で協定(36協定)を締結し労働基準監督署に届け出ることが必要です。これが労働基準法第36条に基づくため「36(サブロク)協定」と呼ばれており、正式名称を「時間外・休日労働に関する協定届」といいます。36協定では時間外労働を行う業務の種類や延長時間の上限などを具体的に定め、労働者代表と署名します。

もし36協定を結ばずに残業や休日出勤をさせれば違法となり、先述のとおり6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金の対象です。

では36協定を結べば無制限に働かせられるのかというと、決してそうではありません。36協定はあくまで法定時間を超える労働を可能にするための手続きであり、労働者に休日を与える義務(法定休日の付与)自体が免除されるわけではない点に注意が必要です。つまり、36協定で休日労働の項目を定めた場合に法定休日に出勤させることはできますが、それでも4週間で4日以上の休日を確保するという最低ラインは守らねばなりません。

36協定があれば法律上は連勤を「延長」することは可能になりますが、次の節で述べるように企業には労働者の健康を守る安全配慮義務があり、現実には無制限な連勤は許されないのです。

36協定と時間外労働・休日労働の割増賃金

36協定と時間外労働・休日労働の割増賃金との関係も押さえておきましょう。法定時間外の労働には25%以上(月60時間超の部分は50%以上)、深夜労働(22時~5時)には25%以上、法定休日の労働には35%以上の割増賃金率が適用されます(労基法37条)。36協定で休日労働が可能でも、法定休日に出勤させた場合は通常の残業割増に加えて35%の割増賃金が必要です。

ただし事前に休日と平日の勤務日を振り替えておけば(振替休日)、その出勤日は法定休日ではなく通常の労働日扱いとなるため割増賃金は発生しません。一方で事後に代償として休ませる代休の場合は、法定休日に出勤した事実は変わらないため割増賃金の支払い義務が残ります。

このように休日の種類(法定休日かどうか)によって賃金計算も異なるため、企業側は就業規則上の休日区分を明確にし適正な賃金支払いを行う必要があります。

連勤に関する労働時間のルール

労務管理担当者は、連勤に関して以下のような労働時間ルールをしっかり理解しておくことが重要です。

週1日以上の休日(法定休日)を与える義務

原則として毎週少なくとも1回の休日、または4週4日の休日を与えなければなりません。法定休日を適切に設定しない連続勤務は違法となります。休日の配置によって12日や48日の連勤も理論上可能ですが、必ず規定数の休日を労働者に与えることが企業の法的責任です。

法定労働時間の遵守

原則1日8時間・週40時間を超えて労働させないこと。これを超える時間外労働や休日労働を命じるには36協定の締結・届け出が必要です。36協定なしに残業させれば労基法違反となります。

年次有給休暇(年休)と休日の違い

年休は労働義務のある日を労働者の請求で休みにする「休暇」であり、法定休日のように会社が与える「休日」とは別物です。

有給休暇を取得した日は法定休日とはみなされません。したがって連続勤務の途中に年休を挟んでも、その日は労基法上の「休日」ではないため連勤日数のカウントはリセットされません。

例えば週1日休みの体制で12連勤中に1日有給を取っても、それは休日ではなく有休消化日なので連勤が途切れたことにはならないのです。

この点も踏まえ、企業は年休とは別に法定どおりの休日を確保する必要があります。

残業時間の上限規制

従来、労働基準法では時間外労働の上限は月45時間・年360時間とされており、これを超えて残業させるには36協定に特別条項を付加する必要がありました。2019年の法改正により、月45時間・年360時間という上限が罰則付きの法的制限となっています(詳細は後述)。企業は36協定の範囲内であっても安易に長時間残業させない計画を立てることが求められます。

その他の留意事項

労働基準法34条により6時間超勤務で45分以上、8時間超で1時間以上の休憩を就業時間の途中に与える義務があります。また2019年の働き方改革関連法で勤務間インターバル制度(終業から次の始業まで一定時間の休息確保)導入が努力義務化されました。可能な限り11時間など十分なインターバルを設けることが望ましいとされています。

これら休憩・休息に関する規定も、労働者の疲労を蓄積させないための重要なルールです。

36協定の時間外労働の規制と例外

36協定における時間外労働の規制や、連勤に関連する例外措置について解説します。

36協定における労働時間の上限

36協定で延長できる残業時間の上限は、特別条項のない場合で1ヶ月45時間・1年360時間と定められています。これは行政通達による「限度基準」として長年運用されてきましたが、2018年の労基法改正(2019年4月施行)により法定化され、違反すれば罰則の対象となりました。そのため36協定を締結していても、社員に月45時間・年360時間を超える残業をさせれば36協定違反(ひいては労基法違反)となります。

例えば36協定で「時間外労働は月45時間まで」と定めているのに繁忙期に50時間の残業をさせれば、それは協定違反です。また法定休日労働も時間外労働に含めて算入する点に注意が必要です。労働基準法上、休日労働も「時間外労働および休日労働」として扱われるため、月の残業時間に休日出勤分を合算して管理しなければなりません。

36協定の届出内容を超えた残業・休日出勤は違法となりますので、まずは通常時の上限である「月45・年360」を超えない勤務計画を立てることが原則です。

しかし、どうしても臨時的な特別の事情で45時間・360時間の範囲を超えて残業させる必要がある場合、36協定に特別条項を付けることで一定の延長が可能です。特別条項付き36協定では、あらかじめ定めた特別な理由(例:年度末の繁忙や大規模クレーム対応など一時的かつ避けられない事情)が発生した月に限り、45時間を超える時間外労働を命じることができます。

特別条項付き36協定の運用

特別条項付き36協定を適切に運用するには、押さえておくべき制限事項があります。法改正により、特別条項を適用する場合でも以下の絶対的な上限を超えることはできません。

  • 年間720時間以内
    どんなに特別の事情があっても、時間外労働時間は年間合計720時間が上限です。
  • 単月100時間未満
    時間外労働と休日労働を合わせて、1ヶ月に100時間未満とする必要があります。これを1時間でも超えると違法になります(いわゆる「過労死ライン」の月100時間)。
  • 複数月平均80時間以内
    2ヶ月~6ヶ月間の平均で見て、時間外労働(休日労働含む)が月80時間を超えてはいけません。例えばある四半期(3ヶ月)の平均残業時間が81時間だった場合、たとえ単月では100時間未満でも違法となります。
  • 月45時間超の月は年6回まで
    残業が月45時間の限度を超えてよいのは年間で6ヶ月が限度です。7回以上、月45時間超の残業をさせた時点でアウトになります。

以上のように、特別条項によって一時的に月45時間を超える残業をさせること自体は可能ですが、その場合でも「月100時間未満・複数月平均80時間以内・年720時間以内・年6回まで」という厳格な枠内で行わなければなりません。これらは法律で定められた上限であり、違反すれば罰則の適用対象です。

さらに、特別条項を運用する際にはできる限り限度時間内(45時間以内)に収める努力をすることも求められています。特別な事情がある場合でも、「できるだけ具体的に事由を定め、残業は限度時間にできる限り近づけるよう努める」旨が指針に明記されています。言い換えれば、特別条項は本当にやむを得ない場合の例外措置であって、常態化させてはいけないのです。

特別条項発動月を事前に予測した上で、可能な限り人員配置を見直す・応援要員を確保するなどして残業時間を抑制する努力義務があります。

連勤が続いた場合の企業リスク

仮に法律の範囲ギリギリまで連勤・残業を続けた場合、企業にはどのようなリスクがあるでしょうか。

法的リスク

まず、労働基準法違反による行政処分・刑事罰が挙げられます。法定の休日を与えなかったり36協定の上限を超えて労働させたりすると、労働基準監督署から是正勧告や指導を受け、悪質と判断された場合には、書類送検されたうえで、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられるおそれがあります。近年は「ブラック企業」への社会的視線も厳しく、労基法違反で送検・公表される企業もあります。企業の信用失墜やイメージ悪化といった社会的リスクも看過できません。

労働者の健康・安全面のリスク

連勤が長く続けば疲労が蓄積し、集中力の低下やミスの増加、労働災害の発生確率が高まります。過重労働が原因で従業員がうつ病を発症したり、最悪の場合自殺や脳・心臓疾患で命を落としたりすれば、企業は安全配慮義務違反として損害賠償責任を問われる可能性があります。実際、労働契約法第5条に基づき、使用者は労働者の安全・健康に配慮する義務を負っています。

たとえ36協定の範囲内であっても長時間労働が続けば過労死等との関連性が高まることが医学的にも示されており、企業はその事実に留意しなければなりません。

さらに、過度な連勤は従業員の士気や定着率にも悪影響を及ぼします。休みなく働かされる職場ではモチベーションが下がり、優秀な人材から離職してしまう恐れがあります。結果的に人手不足が深刻化し、残った社員の負担が増してさらに連勤が続くという悪循環にもなりかねません。

総じて、法定ギリギリの連勤・残業は企業にとってリスクが大きいと言えます。現実には「36協定があるからどこまでも連勤させていい」というものではなく、先述のように望ましくは12日程度で休日を取らせるのが安全とされています。企業は法律遵守はもちろん、従業員の健康や職場環境にも十分配慮した勤務計画を立てる必要があります。

長時間労働に関する法改正や企業事例

近年、長時間労働を是正するための法改正が相次ぎました。法改正や企業事例について見ていきましょう。

直近の法改正や判例

近年、長時間労働を是正するための法改正が相次ぎました。特に2019年4月の「働き方改革関連法」施行は重要です。この改正により前述した36協定の残業上限(月45時間・年360時間)が法的拘束力を持ち、違反企業への罰則適用が開始されました(中小企業は2020年4月から適用)。

また同時に年次有給休暇の取得義務化(年5日の時季指定取得)や勤務間インターバル制度の努力義務など、長時間労働の是正と働き方の見直しに関する制度が導入されています。さらに2024年4月からは建設業など猶予されていた業種にも残業時間の上限規制が適用され、労働時間を巡る法規制は一段と強化されました。人事・労務担当者は最新の法改正情報を常にアップデートし、自社の36協定や就業規則を適合させる必要があります。

判例についても、過労死や過労自殺に関する損害賠償請求事件では、会社側の違法な長時間労働管理が厳しく問われる傾向にあります。その中でも、連続勤務日数が争点となった代表的な事例として知られているのが「天辻鋼球製作所事件」(大阪地方裁判所 平成20年4月28日判決)です。この事件では、原告社員が発症した疾患と長時間労働との因果関係が問題となり、裁判所は発症前の12日間で61時間もの時間外労働を行い1日も休まず連続勤務していた事実を重視しました。

判決文でも「12日間に休日がなく連続勤務であったという側面から見ても業務の負担は大きい」と認定されており、法的に許容される範囲内(12連勤)であっても労働者に重大な過重負担となり得ることが示されています。この判例は、企業が連勤を可能だからといって安易に運用すれば安全配慮義務違反に問われうる点を示唆しており、連続勤務のリスクを改めて浮き彫りにしました。

企業の実例

連勤や長時間労働が問題となった企業の実例も確認しておきましょう。最も社会に衝撃を与えたのは大手広告代理店・電通の過労自殺事件(2015年)です。2016年に電通の新入社員が過労の末に自ら命を絶った事件は、日本中に大きな衝撃を与え、働き方への危機意識を高める契機となりました。この事件をきっかけに電通では労務管理の実態が調査されましたが、その過程で電通が労働組合との間で締結していた36協定が無効(労組が社員の過半数代表ではなかった)だったことが判明しています。

つまり電通では当時、法定時間を超える残業や休日出勤が形式上は36協定なしで行われていたことになり、労基法違反の状態でした。この問題発覚を受けて電通は労働基準法違反容疑で書類送検され、最終的に罰金刑の有罪判決を受けています。36協定の不備や違反が重大な経営リスクとなり得ることを示す象徴的なケースと言えるでしょう。

同様に、外食チェーンのサトレストランシステムズ(和食さと運営会社)でも違法な長時間労働が発覚し、2016年に労働基準監督署から是正勧告を受けた事例があります。この際も、労働者代表の選出方法に不備があり36協定が無効だったことが明らかになっています。中小企業など労働組合がない職場では労働者の過半数代表を適切に選出して36協定を結ぶ必要がありますが、これを怠ることや、形式だけの代表で済ませていると法的に無効となり得ます。結果として残業や休日出勤がすべて労基法違反となり、企業は大きなリスクを負うことになります。

これらのケーススタディから学べるのは、単に連勤日数や残業時間が多いこと自体が問題なだけでなく、企業側の手続きや管理体制の不備が追及されるという点です。電通や外食チェーンの事例では、長時間労働の是正とともに36協定の締結体制そのものが問われました。特に36協定は労使協定でありながら、その締結プロセスに瑕疵があると一切効力が認められません。

企業はこうした実例を他山の石として、自社の労務管理が法令遵守の観点から適切かを検証・改善していく必要があります。

連勤リスクを避けるための対策

最後に、企業の人事・労務担当者が連勤リスクを避けるために取るべき実務対応策を整理します。

法定休日の確実な付与

まず基本として、毎週1日の休日(または4週4日の休日)を必ず与えるよう勤務シフトを組みます。忙しい時期でも法定休日なしの週を作らないことが肝心です。変形休日制を導入する場合は就業規則に規定し、計画的に休日を配置します。社員に無理な連勤を強いないスケジューリングが最優先です。

適正な36協定の締結・運用

時間外労働や休日労働が見込まれる場合は、労働者の過半数代表の適法な選出を行い36協定を締結します。36協定には法定の様式に則り延長時間の上限や特別条項の有無を明記し、所轄の労働基準監督署へ届け出ましょう。協定の有効期間は1年以内ですので毎年更新が必要です。

内容に沿った労務管理を行い、協定範囲を超える残業・休日出勤は決して命じないことが大前提となります。特別条項付き協定の場合でも、発動は本当に必要な場合に限定し、乱用しないよう社内ルールを設けると良いでしょう。

労働時間のモニタリング強化

従業員の勤務状況を正確に把握し、長時間労働や連勤の兆候を早期に察知する仕組みを整えます。タイムカードや勤怠管理システムを活用して残業時間をリアルタイムで集計し、月45時間・年360時間に近づいた社員がいれば所属長にアラートを出すなどの対応が効果的です。昨今はクラウド型の勤怠管理ツールも発達しており、適法な労働日数・時間の管理にはシステムの活用が不可欠です。属人的な管理では見落としが生じがちなため、客観的記録に基づくチェック体制を敷きましょう。

休日労働時の代替措置

やむを得ず社員を休日出勤させる場合は、できるだけ振替休日を事前に設定し、同じ週内または4週内に休ませるようにします。

振替休日を与えれば法定休日労働にならず割増賃金も不要となるため、社員の連勤日数を抑えつつ企業の費用負担も軽減できます。事前振替が難しく代休対応となる場合でも、できるだけ速やかに代休を取得させ、連勤状態を長引かせないことが大切です。

勤務間インターバルの導入

日々の勤務と勤務の間に十分な休息時間を確保するよう努めます。終業から次の始業まで11時間以上空けることが望ましいとされています。連勤そのものだけでなく、勤務間隔の短さも疲労蓄積の一因です。全社員に一律のインターバルを設けるのが難しくても、深夜残業した社員は翌日は午後出社にする等の配慮で実質的な休養時間を与える工夫をしましょう。

社員の健康管理と休暇促進

産業医や保健スタッフと連携し、長時間労働者への面談指導や健康診断結果のフォローアップを行います。加えて年次有給休暇の取得を奨励し、心身のリフレッシュの機会を設けます。2019年の改正で年5日の有休取得が義務化されたのを機に、有休を計画的に消化させる仕組みづくりも大切です。有休取得日は法定休日の代わりにはなりませんが、十分な休養を取ることで結果的に過労防止につながります。

職場風土の改善

「休んではいけない」「残業するのが当たり前」といった風土が連勤の常態化を招くケースもあります。経営トップや管理職が率先して休暇を取得したり、残業削減のメッセージを発信したりすることで、適切に休める職場文化を醸成しましょう。連勤や長時間労働を美徳としない風土づくりも、法令遵守と従業員の健康確保には欠かせません。

このような対策を講じることで、企業は法定範囲内で健全な労務管理を実現できます。事・労務担当者は最新の法令やガイドラインを踏まえ、自社の勤務実態を定期的に点検・是正することが重要です。

まとめ

36協定における連勤の制限について解説してきました。労働基準法上、週1日以上(または4週4日以上)の休日を与えることが義務付けられており、原則として連続勤務は最大でも12日間までしか許されません。変形休日制を導入すれば48連勤も可能ですが、いずれにせよ適切に休日を与えて労働者を休ませることが企業の法的責務です。

連勤が続く状態は労働者の健康を害し、ひいては企業にとっても法違反リスクや生産性低下というデメリットしかありません。近年の判例や事件例が示すように、過重労働の放置は企業責任を厳しく問われる時代です。労働時間を管理し、必要な休息日・休暇を確保することが、結果的に従業員のエンゲージメント向上や優秀人材の定着にもつながるでしょう。

36協定の正しい理解と運用、そして連勤リスクを避けるための職場環境づくりに努め、健全で持続可能な働き方を実現していきましょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事