- 更新日 : 2024年8月9日
日本ITソフトウエア企業年金基金に加入するメリットまとめ
毎月の給与などで年金分の金額を引かれるように、全ての国民には年金を払う義務があります。年金は65歳になって初めて受け取ることができる制度です。
今回はその年金基金の中でも、日本ITソフトウエア企業年金基金についてご紹介します。
目次
日本ITソフトウエア企業年金基金とは
日本ITソフトウエア企業年金基金(別名ITS基金)とは、IT業界向けに設立された企業年金制度です。企業がこれに加入していることで、厚生年金に加え、基金からも年金を受け取ることができるようになります。
国が運用する厚生年金の平均利回りが2.83%であるのに対し、日本ITソフトウエア企業年金基金の平均利回りは4.39%という好成績となっています。
日本ITソフトウエア企業年金基金の加入要件
日本ITソフトウエア企業年金基金に加入するためには以下の3つの要件を満たしている必要があります。
日本ITソフトウエア企業年金基金と関東ITソフトウェア健康保険組合の違い
日本ITソフトウエア企業年金基金は公的年金を運営する組織です。対する関東ITソフトウェア健康保険組合は医療給付を提供する組織です。名前は似ていますが、提供しているサービスは全く異なりますので注意が必要です。
また、関東ITソフトウェア健康保険組合については、「関東ITソフトウェア健康保険組合の3つのメリットまとめ」を併せてご覧ください。
AIJ問題と年金基金
日本ITソフトウエア企業年金基金を語る上で、知っておきたい内容として「AIJ問題」という出来事があります。
AIJ問題とは、企業側が国の厚生年金を借りて厚生年金基金の資金を大きくしようとしていましたが、バブル崩壊やリーマンショックから運用環境が悪化した結果、1兆1,000億円の損失が国の資金である厚生年金まで出ることになってしまった一連の事件を指します。
AIJ問題が起こる前は、厚生年金は国に納付するシステムでした。それを、企業側からの私的な厚生年金基金を運用したいという要請につき厚生年金の運営を私企業に代行させていました。
しかし、AIJ投資顧問会社が投資に失敗し企業年金約2,000億円が損失となってしまったのを機に、企業側の運営を見直す法案が成立しました。そのため、企業が代行している厚生年金の運用を全廃して、国が運営する本来のシステムに戻そうという動きがあります。
厚生年金基金制度の見直しに対して
厚生年金基金は法案により全廃する方向で進められていますが、優良な基金団体に関しては存続することが認められています。
日本ITソフトウエア企業年金基金は全国543基金の中でも存続要件を満たしている「58基金」の中に入っています。
しかし、厚生年金の代行部分に関しては法案通り返上を行なうものとし、厚生年金基金に関する部分を確定給付企業年金に移行する措置をとることになりました。その結果、今後は国の厚生年金に加えた確定給付企業年金制度に移行します。
まとめ
国の厚生年金ではない厚生年金基金は必ずしも加入する必要はありません。ですが、早いうちから加入しておくことで将来受け取ることができる年金を増やすことができます。
もちろん将来のメリットだとわかっていても、なかなか加入しようと思えない方も多いのではないでしょうか。ですが、日本ITソフトウエア企業年金基金の様に年金を受給する前から様々な特典を受けることができる基金もあります。まずは、他にはどんな特典があるのか調べてみるところから始めてみてはいかがでしょうか。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
厚生年金の試算・計算方法について – 将来もらえる年金額を予測
会社員や公務員は、老齢になると2種類の年金を受け取ることができます。国民年金から受け取る年金が老齢基礎年金、厚生年金から受け取る年金が老齢厚生年金です。老齢基礎年金は、基本的に加入期間による定額部分だけであるのに対し、老齢厚生年金は加入期間…
詳しくみる国民年金保険料が免除される年収はいくら?申請に伴う注意点も解説!
収入の減少や失業、産前産後といった理由により国民年金保険料の支払いが困難になった場合には、免除や猶予を受けることができます。前年の年収(所得)が基準の範囲内である場合に対象になりますが、収入の見込額を用いる新型コロナウイルスの特例も設けられ…
詳しくみる社会保険の証明書発行手続きについて解説!健康保険被保険者資格証明書など
日本では国民皆保険・国民皆年金が実現しており、すべての国民は何らかの公的医療保険と公的年金に加入しています。 適切に加入手続きがなされていれば、各種の社会保険の被保険者資格が与えられますが、所得・喪失の現況について、証明書によって確認を求め…
詳しくみる過労死とは?定義や症状および防止策を解説
繁忙期や納期の短縮などにより、どうしても長時間労働を行わざるを得ない状況となることもあるでしょう。しかし、長時間の労働は労働者の心身の健康を蝕み、最悪の場合は過労死という痛ましい結果にもつながってしまいます。 当記事では、過労死の定義や症状…
詳しくみる共働き世帯の子供はどちらの扶養に入れるのがお得?扶養制度を利用するコツを解説
共働きで子どもを育てている家庭は珍しくありません。しかし、そのような場合には、どちらの扶養に子どもを入れることが正解なのでしょうか。また、その判断基準はどこにあるのでしょう。 当記事では、共働き世帯における扶養について解説します。制度を活用…
詳しくみる厚生年金の受給に必要な加入期間 – 10年未満の場合はどうなる?
日本の公的年金制度は2段階です。会社勤めで厚生年金保険に加入していた方は、国民年金の制度で受け取れる老齢基礎年金に加え、老齢厚生年金が上乗せされます。 国民年金の支給額が年間約78万円のため、厚生年金がいくらもらえるか気になる方も多いでしょ…
詳しくみる