- 更新日 : 2025年11月21日
残業とは?定義、法定内残業と時間外労働の違いも解説!
残業とは、一般的には企業が定めた所定労働時間を超えて働くことです。ただし、労働基準法には労働時間の上限時間の定めがあり、法定労働時間を超えて働いた時間と残業時間が一致するとは限りません。
正しい労務管理のためには残業の意味や定義を理解し、割増賃金や上限規制など、労働基準法の規定を踏まえた運用をすることが重要です。
目次
残業とは?
残業とは、企業が定めた所定労働時間を超えて労働することを指します。残業には法定内残業と法定外残業(時間外労働)の2種類があり、それぞれで残業代の計算方法が異なります。
残業とは1日8時間、1週間40時間を超えた労働
労働基準法の定義では、法定労働時間を超えた労働を時間外労働と呼びます。法定労働時間とは、労働時間の原則となる「1日8時間・1週間40時間」です。一方、企業が就業規則などで独自に設定する労働時間は所定労働時間と呼ばれます。所定労働時間は、「1日7時間・週35時間」のように上述の法定労働時間に満たない場合もあります。
一般的には、上述の2つを区別せずに、所定労働時間を超えた労働をすべて「残業」と呼ぶことは珍しくありません。ただし、給与計算においては割増賃金が発生するかどうかの違いがあり、明確に区別する必要があります。
法定内残業と法定外残業の違い
給与計算での残業の考え方について、法定労働時間を超えた分と、所定労働時間を超えた分について整理してみましょう。
「1日7時間・週35時間」の労働契約を結んでいる従業員が、7.5時間労働した場合、0.5時間分は法定労働時間内となります。このような法定労働時間内の残業を「法定内残業」と呼びます。法定内残業については、企業は労働契約で定められた賃金のうち割増賃金の計算の基礎に含まれる賃金(基礎賃金)をもとに残業代を計算します。
一方、上述の従業員が1日8.5時間労働した場合、「1日7時間以上8時間未満」の1時間分は法定内残業ですが、「8時間以上」の0.5時間分は法定外残業(時間外労働)となります。法定外残業は、時間外労働や休日労働など、残業の種類に応じた割増賃金率を基礎賃金に乗じて残業代を計算しなければなりません。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
時間外労働の管理 労基法違反から守る10のルール
年5日の有給休暇の取得が義務化され、企業には正確な休暇管理が求められています。
本資料では、有給休暇に関する基本ルールをはじめ、よくあるトラブルへの対処方法を社労士がわかりやすく解説しています。
労働時間管理の基本ルール【社労士解説】
多様な働き方を選択できる「働き方改革」が世の中に広まりつつありますが、その実現には適切な労働時間管理が欠かせません。
労働時間に関する用語の定義や休憩・休日のルールなど、労働時間管理の基本ルールを社労士が解説します。
36協定の締結・更新ガイド
時間外労働や休日労働がある企業は、毎年36協定を締結して労働基準監督署に届出をしなければなりません。
本資料では、36協定の役割や違反した場合の罰則、締結・更新の手順などを社労士がわかりやすく解説します。
割増賃金 徹底解説ガイド(時間外労働・休日労働・深夜労働)
割増賃金は、時間外労働や休日労働など種類を分けて計算する必要があります。
本資料では、時間外労働・休日労働・深夜労働の法的なルールを整理し、具体的な計算例を示しながら割増賃金の計算方法を解説します。
残業のルール
ひと昔前の日本企業では、「サービス残業」という言葉に代表されるように、従業員ができるだけ長く働く風習がありました。しかしながら、労働基準法に照らし合わせると、残業のルールを無視して従業員を長く働かせた場合には、労働基準法違反と見なされます。
以下で、法定労働時間を超えて従業員を働かせる場合の基本ルールについて解説します。
残業を命じるためには36協定を締結する必要がある
企業が従業員に時間外労働や休日労働をさせる場合には、「36協定(サブロク協定)」を締結する必要があります。法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて労働者を残業させる場合には、労働基準法第36条に基づき労使協定(36協定)の締結と、所轄の労働基準監督署への届出を行わなければなりません。
なお、36協定では、残業を命じる場合の業務の種類のほか、1日・1カ月・1年あたりの時間外労働の上限や有効期限を定めることが求められます。
残業時間には上限規制がある
36協定を結んだ場合でも、労働基準法によってさらに時間外労働の上限が定められています。月45時間・年間360時間が時間外労働の原則的な限度時間であり、これを超えて従業員を残業させた企業には罰則が課される恐れがあります。
ただし、特別条項付きの36協定が締結されている場合には、原則的な時間外労働の限度時間を超えて労働させることが認められます。ただし、その場合でも下記の上限時間を上回ることはできません。
- 年720時間以内(時間外労働のみカウント)
- 月100時間未満(時間外労働と休日労働をカウント)
- 2~6ヵ月の複数月の平均で80時間以内(時間外労働と休日労働をカウント)
- 月45時間を超えることができるのは年間6カ月まで
参考:36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針|厚生労働省
時間外労働の割増賃金の計算方法
時間外労働が発生した場合、企業は労働者の基礎賃金の1時間当たりの単価に割増賃金率を乗じて残業代を計算します。割増賃金率は、時間外労働(月60時間以下)、時間外労働(月60時間超)で異なります。また、法定休日に労働させた場合の休日労働や、深夜22時から翌5時までに労働させた場合の深夜労働でも割増賃金が発生します。
【割増賃金率の種類:2023年3月末まで】
| 時間外労働 | 休日労働 | 深夜労働 | ||
|---|---|---|---|---|
| 月60時間以下 | 月60時間超 | |||
| 大企業 | 25%以上 | 50%以上 | 35%以上 | 25%以上 |
| 中小企業 | 25%以上 | 25%以上 | 35%以上 | 25%以上 |
なお、月60時間を超えた時間外労働の割増賃金率は、これまで特例として中小企業は25%以上とする猶予措置がありましたが、2023年4月以降は大企業と同様の50%以上の割増賃金率が適用されます。
参考:月60時間超の時間外労働の割増賃金率が引き上げに!中小企業がとるべき対応とは?
働き方改革関連法による時間外労働の上限規制
2019年4月から施行された改正労働基準法により、時間外労働の上限が明確に定められました。
現行では、時間外労働を労働者に命じる場合には、企業は以下の点を遵守しなければいけません。
- 法定労働時間を超えて従業員を残業させる場合や法定休日に残業させる場合には36協定を締結・届出する
- 時間外労働の上限は、原則として月45時間・年360時間
- 臨時的な特別な事情があり労使が合意する場合でも、以下の上限を超えることはできない
- 年間720時間以内
- 月45時間を超えるのは年間6ヵ月まで
- 時間外労働と休日労働をあわせて、月100時間未満、1~6ヵ月の複数月の平均が80時間以内
参考:時間外労働の上限規制わかりやすい解説|厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署
これらの上限規制に違反した企業には、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される恐れがあります。
残業について理解を深め、適切に勤怠管理を行いましょう!
1日8時間・週40時間の法定労働時間を超えた分の残業は、時間外労働として割増賃金が発生します。企業は、労働基準法に定められた時間外労働の上限や、割増賃金率を正しく理解し、長時間労働が発生しないように従業員の就業環境を整える必要があります。
以前は特別条項付き36協定を締結すれば、実質的には上限無く時間外労働の限度時間を超えて労働させることが可能でしたが、働き方改革関連法施行に伴い労働基準法が改正され、明確な上限規制と罰則が定められています。法改正の内容を理解し、適切な勤怠管理を行いましょう。
よくある質問
残業とは何ですか?
残業とは、企業が定めた所定労働時間を超えて労働することをいいます。労働基準法では1日8時間・週40時間となる法定労働時間を超えた労働を時間外労働と呼び、これらには割増賃金が発生します。詳しくはこちらをご覧ください。
法定内残業と時間外労働の違いは何ですか?
法定内残業とは企業が定める所定労働時間を超えているものの1日8時間・週40時間の法定労働時間を超えない残業を指します。法定内残業には割増賃金が発生せず、法定労働時間を超えた時間外労働には発生します。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
【始末書テンプレ付き】打刻をする意味とは?打刻漏れした時のリスクや対応を解説!
出勤時間・退勤時間の正確な把握は、法律を遵守した勤怠管理に欠かせません。タイムカードやICカードを利用した打刻などによる客観的な記録で時間管理を行うことで、従業員の労働時間を正確に…
詳しくみる【事例で学ぼう】労基法の是正勧告 企業の労務リスクと予防対策とは
ある日突然、労働基準監督署から届く「是正勧告書」。これは、法令遵守が求められる企業経営において、決して無視できない重要なシグナルです。 本記事では、どのような違反が是正勧告につなが…
詳しくみるテレワーク(在宅勤務・リモートワーク)の報告書とは?書き方、記入例、ポイントを解説
コロナ禍以降、テレワークやリモートワークなど、在宅勤務が急速に普及しました。テレワーク等は、上手く利用すれば業務の効率化にもつながる働き方です。しかし、労働時間が把握しづらいなどの…
詳しくみる【社労士監修】36協定の本社一括届出とは?適用条件や申請の流れ・注意点を解説
企業が従業員に法定時間外の残業や休日労働をさせる場合、労使間で36協定(サブロク協定)を締結し、所轄の労働基準監督署へ届け出る必要があります。従来、この届出は原則として事業所ごとに…
詳しくみる労働基準法第56条とは?未成年者・年少者・児童の労働についてわかりやすく解説
労働基準法第56条は、事業主が一定年齢未満の年少者(未成年者)を働かせることを原則禁止する規定です。本記事では、労働基準法第56条の基本内容(適用対象や具体的な制限事項、例外規定)…
詳しくみる【記入例付き】勤務形態一覧表の書き方は?通所介護(デイサービス)の例をもとに解説
勤務形態一覧表は、指定申請・変更届・実地指導等で提出を求められる重要な書類です。この記事では、初めて作成する方にも理解しやすいよう、勤務形態一覧表の基本的な書き方から、間違いやすい…
詳しくみる



.png)