• 更新日 : 2026年4月2日

採用管理システムを導入するには?メリットと手順、法令上の注意点を解説

Point採用管理システムの導入を成功させるには?

自社の採用課題を洗い出し、最適なシステムを選べれば、煩雑な業務を自動化して選考のスピードを上げることにつながります。

  • 応募者の情報を一元管理し、共有が楽になる
  • 面接調整などの単純作業にかかる時間を防げる
  • 採用コストの分析により、無駄な支出を抑える

採用管理システムの導入には、現状の業務フローから課題を見極め、必要な機能を整理した上で、現場が使いやすいツールを比較検討することが欠かせません。

採用管理システム(ATS:Applicant Tracking System)とは、応募者情報を一元管理し、選考進捗の可視化、日程調整を自動化することで採用業務を効率化するシステムです。導入によって面接調整や書類転記に費やしていた工数を削減し、採用担当者が本来注力すべき候補者対応や採用戦略に時間を使えるようになります。
本記事では採用管理システムの導入メリットや手順、選定基準、個人情報保護法や労働条件明示義務などの法令上の注意点まで解説します。

採用管理システムを導入するメリットは?

採用管理システムを導入すると、応募者情報の一元化や単純作業の自動化、採用データの可視化などのメリットが得られます。これらが重なることで、採用担当者は戦略的な業務に集中できるようになります。

応募者情報と選考状況を一元管理できる

複数の求人媒体を使っている場合、ツール導入によって媒体をまたいだ応募者情報を1画面に集約でき、情報の転記ミスや見落としをなくせます。媒体ごとに管理画面が分かれていると、応募者データをひとつにまとめるだけで相当な手間がかかります。
採用管理システムに搭載されている主な機能は以下の通りです。

機能内容
応募者データの自動取り込み複数媒体からの応募を自動で収集・統合する
選考ステータスの可視化書類選考・面接・内定など各ステップをリアルタイムで把握できる
評価・コメントの共有面接官の評価メモをシステム上で即時共有し、引き継ぎをスムーズにする
履歴書・職歴書の紐付け候補者ごとに添付ファイルをまとめて保存し、書類を探す手間をなくす
過去履歴の蓄積過去の応募履歴や不採用理由を蓄積し、次回採用に活用できる
レポートの自動作成応募経路データや採用コストなどのレポートを自動的に作成し、次回以降の採用活動に活用できる

情報が一元化されることで、担当者が変わっても対応品質が均一に保たれます。エクセルや紙の書類を探し回る時間がなくなり、本来の採用業務に集中できます。

面接調整などの定型作業を自動化できる

採用管理システムを導入すると、日程調整や合否連絡、リマインドメールなどの定型作業を自動化でき、担当者が本来注力すべき業務に時間を使えるようになります。応募者が増える時期には、メールのやり取りだけで一日が終わることも珍しくありません。

例えば、面接日程調整機能を使うと候補者にカレンダーURLを送るだけで日程が確定し、GoogleカレンダーやOutlookとの自動連携でスケジュール入力の手間もなくなります。

自動化で生まれた時間は以下の業務に充てられます。

  • 求める人物像の再定義や採用計画の見直し
  • 面接官のトレーニングや選考基準のすり合わせ
  • 内定者へのフォロー面談や入社前研修の企画
  • スカウト送信など攻めの採用手法の実行

採用コストの削減と歩留まりを改善できる

採用管理システムを活用すると、媒体別の応募数や内定率、採用単価を自動集計でき、効果の高い媒体に予算を集中させることで採用コストを最適化できます。手作業での集計では、費用対効果を正確に把握するだけで毎月数時間かかります。

また、システムによって対応スピードが上がることで選考離脱(歩留まり悪化)を防げます。優秀な候補者ほど他社からもアプローチを受けており、連絡が遅れると辞退リスクが高まります。

項目手作業での管理システム導入後
データ集計エクセル転記に毎月数時間かかるリアルタイムで自動集計される
経路分析媒体ごとの費用対効果が見えにくい媒体別の応募数・内定率が一目でわかる
歩留まり連絡の遅れによる選考辞退が発生しやすい迅速な対応により辞退率を抑えられる
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採用管理システム導入の具体的な手順は?

導入を成功させるには、①採用課題の洗い出しから要件定義、②比較・トライアル、③運用ルール策定の順に進めます。要件定義を曖昧にしたまま導入を進めると、必要な機能が不足していたり現場が使いこなせなかったりする事態になりやすいため、注意しましょう。

①自社の採用課題を洗い出し要件を定義する

最初のステップは、現在の採用フローのどこにボトルネックがあるかを特定することです。「業務を楽にしたい」という漠然とした理由でツールを選ぶと、自社に合わないシステムを導入しかねません。
現在の採用フロー(募集開始から内定通知まで)を書き出し、「エージェントとの連絡に時間がかかっている」「面接官の評価入力率が低い」など具体的な課題をリストアップします。課題が明確になったら、以下の項目を整理して要件定義を行います。

  • 必須機能(譲れない機能)と歓迎機能(あれば便利な機能)の分類
  • 連携させたい外部ツール(カレンダー・Web面接ツールなど)
  • システムを利用する人数と権限の設定
  • 想定される年間応募者数と採用目標人数

経営陣への稟議の際にも、課題と要件が整理されていれば投資対効果を説明しやすくなります。

②複数のシステムを比較検討しトライアルを実施する

要件定義が完了したら、条件に合うシステムをいくつかピックアップし、無料トライアルで実際の操作感を確認します。カタログスペックだけでは操作感や自社業務フローへの適合度はわかりません。

トライアル期間中は以下の観点で評価します。

  • パソコン操作に不慣れな面接官でも直感的に評価を入力できるか
  • 既存の応募者データをスムーズにインポートできるか
  • サポート窓口の対応スピードと的確さは十分か

初期費用や月額費用、オプション料金の内訳も確認し、導入後に想定外のコストが発生しないよう料金体系を把握しておきます。

③現場を巻き込んで運用ルールを作成する

現場の面接官を早い段階から巻き込み、新しいフローへの合意を形成することが定着につながります。人事部門だけでルールを決めてしまうと、現場から不満が出やすくなります。

運用ルールに盛り込むべき主な項目は以下の通りです。

  • 面接終了後、何時間以内にシステムへ評価を入力するか
  • 候補者への連絡は誰がどのタイミングで行うか
  • 選考ステータスの変更ルールとフラグの使い分け
  • 応募書類の閲覧権限と個人情報の取り扱いルール

ルールが決まったら、スクリーンショット入りの簡易手順書を用意します。長文マニュアルより目的別の手順書の方が現場に定着しやすく、運用開始直後はこまめなサポートを行うと効果的です。

採用管理システム導入時の法的注意点は?

採用管理システム導入するにあたり、公正な採用選考の担保や個人情報の管理、2024年改正への対応など、設計段階で確認すべき法的注意点を解説します。

エントリーフォームの収集禁止情報を設定から除外する

採用管理システムのエントリーフォームに、法令上収集してはならない情報が含まれていないかを確認してください。

厚生労働省の「公正な採用選考の基本」では、以下の情報の収集が禁止されています。

  • 本籍・出生地・家族の職業・資産・住宅状況(社会的差別につながるおそれがある事項)
  • 思想・信条・宗教・支持政党・購読新聞(基本的人権の侵害につながるおそれがある事項)
  • 身元調査・健康診断に関する事項(採用選考の場で実施する場合)

これらをシステムのエントリーフォームに設定したまま運用すると、職業安定法第5条の5(求職者等の個人情報の取り扱い)および男女雇用機会均等法第5条(性別による差別的取り扱いの禁止)違反につながるリスクがあります。システム導入前後で必ずフォーム項目を見直してください。

参照:公正な採用選考の基本|厚生労働省
参照:職業安定法第5条の5(求職者等の個人情報の取り扱い)|e-Gov法令検索

候補者の個人情報取り扱い方針を定める

採用管理システムへのデータ集約によって、個人情報漏洩や不正アクセスのリスクが高まります。候補者から個人情報を取得する際は利用目的を明示し、同意を得るプロセスをシステム上に実装することが個人情報保護法上の義務です。

特に注意が必要な管理ポイントは以下の通りです。

  • 採否に関わらず、取得データをいつまで保管するかを定める
  • 保管期限を過ぎたデータを確実に削除する手順を整備する
  • 社内のアクセス権限を役割ごとに厳格に管理する
  • 候補者から情報の開示・削除を求められた場合の対応フローを用意する

参照:個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)|個人情報保護委員会

2024年改正の労働条件明示ルールとハローワーク求人票の整合性を確認する

2024年4月施行の改正により、求人票・労働条件通知書に記載すべき事項が追加されました。システム内の求人票テンプレートが旧来のままの場合、法令違反となるリスクがあります。

新たに明示が義務付けられた主な事項は以下の通りです。

  • 就業場所の変更の範囲(将来的な転勤の可能性など)
  • 従事する業務の変更の範囲(将来的な配置転換の可能性など)
  • 有期雇用の場合の更新上限(通算契約期間や更新回数の上限)
  • 無期転換申込権に関する事項(有期契約労働者が対象)

加えて、採用管理システムで作成・管理している求人票の内容が、ハローワーク掲載票や各転職媒体の記載と相違している場合も違法となります。2024年改正では「求人票の労働条件と実際の雇用条件が相違する場合は速やかに変更手続きを行う義務」が明確化されました。システムで求人情報を更新する際は、外部媒体への反映漏れがないかを運用ルール上チェックする仕組みを設けてください。

また、システムの自動送信機能で労働条件通知書を電子交付する場合は、候補者がPDFなどの形式で出力できることを確認し、本人の同意を得た上で交付します。

参照:労働条件明示のルールが改正されます(2024年4月1日施行)|厚生労働省
参照:ハローワークインターネットサービス|求人情報の変更・取消し手続き

内定取消しリスクとシステム上の記録管理

採用管理システムで「内定」ステータスを付与した時点で、判例上は労働契約が成立したと扱われます。内定取消しは客観的に合理的な理由がなければ違法となり、損害賠償リスクが生じます。システムの運用設計でこのリスクに備えることが重要です。

システム上で整備すべき記録管理の要点は以下の通りです。

  • 「内定」ステータスの付与タイミングを採用規程と一致させる(口頭内定の時点で契約成立となりうるため注意)
  • 内定通知書・誓約書の送付記録をシステム上に残す
  • 採用選考で知り得た情報(健康状態・経歴詐称の有無など)をメモ欄に記録し、内定取消し事由の根拠として保全する
  • 内定取消し事由を採用規程に明記し、システムのステータス変更と連動したフローを設計する

参照:採用内定の取消 具体的な裁判例の骨子と基本的な方向性|厚生労働省

外部委託先(ベンダー)のセキュリティ対策を確認する

採用管理システムはクラウドサービスとして提供されるのが主流であり、自社の個人情報を外部に預けるため、ベンダーのセキュリティ水準の確認が必要です。万が一データが流出した場合、企業の信用問題に発展します。

導入前にベンダーへセキュリティチェックシートの記入を依頼し、以下のポイントを確認します。

  • 通信経路とデータベースが適切に暗号化されているか
  • ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)などの第三者認証を取得しているか
  • データのバックアップが定期的に取得され、別地域に分散保存されているか
  • システムへのアクセスログを記録し、不正アクセスの検知体制があるか

自社に合う採用管理システムの選定基準は?

自社に合うシステムを選ぶには、採用手法との相性や既存システムとの連携、費用対効果とサポート体制を軸に評価することが重要です。新卒採用と中途採用では必要な機能が大きく異なるため、自社の採用プロセスに合致したツールを選ぶことが前提になります。

自社の採用手法との相性を確認する

採用対象によって重視すべき機能は異なります。新卒採用には説明会管理やナビサイト連携が必要で、中途採用ではエージェント対応機能やスカウト連携が重要です。自社が注力する採用領域に強みを持つシステムを選ぶことが、投資対効果を高める近道です。

採用対象特徴的な業務重視すべき機能
新卒採用イベント管理・大量応募対応説明会予約管理・一括メッセージ配信・ナビサイト連携
中途採用エージェント対応・通年採用エージェント向け管理画面・スカウト連携
アルバイト複数店舗の面接・即日採用スマホ対応の面接調整・店舗ごとの権限管理

既存の人事システムとの連携と操作性を確認する

採用管理システムに蓄積した候補者情報を人事評価システムや給与計算システムへスムーズに連携できるかが、バックオフィス業務の効率を左右します。API連携やCSVファイル出力が柔軟に行えるシステムを選べば、入社時のデータ転記作業をなくせます。

操作性については、実際にシステムを使う面接官に複数名でデモを触ってもらい、意見を集約してから決定すると判断の精度が上がります。確認すべきポイントは以下の通りです。

  • スマートフォン・タブレットからも見やすく評価を入力しやすいか
  • どこにどの機能があるか、直感的にわかる画面設計になっているか
  • 検索機能が充実しており、過去の候補者をすぐに見つけられるか

費用対効果とサポート体制を見極める

採用管理システムの料金体系は月額固定制や従量課金制などさまざまです。自社の年間採用目標人数でシミュレーションし、初期費用だけでなく規模が拡大した際のランニングコストも確認しておくことが重要です。初期費用が安くても応募者数が増えるとコストが跳ね上がるプランもあります。

導入後のサポート体制についても、以下の点を確認します。

  • 初期設定をどこまで代行・支援してくれるか
  • チャット・メール・電話など問い合わせ窓口の種類と対応時間
  • マニュアル・FAQ・活用セミナーの充実度

電子帳簿保存法への対応を確認する

システムの自動送信機能で労働条件通知書や雇用契約書を電子交付・電子保存する場合、電子帳簿保存法の要件を満たした形での保存が必要です。対応していないシステムでは、書面交付と同等の法的効力が認められないリスクがあります。

選定時に確認すべき対応要件は以下の通りです。

  • 真実性の確保:タイムスタンプの付与またはシステムへのアクセスログ保存ができるか
  • 可視性の確保:ディスプレイ・プリンタで速やかに出力できる形式(PDF等)に対応しているか
  • 検索機能の確保:日付・取引先などの項目で検索・抽出できるか

労働条件通知書を電子交付する場合は、電子帳簿保存法の要件に加えて候補者本人の事前同意が必要です。システムに同意取得フローが組み込まれているかも確認してください。

参照:電子帳簿保存法について|国税庁

採用管理システムを導入して採用業務を効率化しよう

採用管理システムを導入すると、応募者情報を一元管理し、定型作業を自動化し、採用データを可視化することで採用業務の効率が上がります。導入にあたっては自社の採用課題を洗い出して要件を定義し、無料トライアルで操作感を確認してから決定することをおすすめします。

法令対応の面では、エントリーフォームから収集禁止情報を除外し、個人情報保護法上の同意フローを整備し、2024年改正の労働条件明示事項に対応、内定取消しリスクに備え電子帳簿保存法への対応を確認することを、事前に済ませてください。早期に運用ルールを作成することが、システムの定着につながります。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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