• 更新日 : 2026年1月28日

年間休日とは?105日と120日の違いや計算方法・カレンダー作成手順を解説

人事労務担当者にとって「年間休日」の管理は、法律を守るための守備(コンプライアンス)であると同時に、優秀な人材を獲得するための攻撃(採用力強化)の要でもあります。しかし、その正確な定義や、業界ごとの「平均日数」、採用に有利な「目安」を即答できる人は多くありません。この記事では、法律上の最低ライン(105日)やホワイト企業の基準(120日)といった算出ロジックから、実務での正しいカレンダー作成手順までを包括的に解説します。

年間休日とは?

年間休日とは、会社が就業規則などで定めた「労働義務のない日(公休)」の1年間の合計日数です。

これは、カレンダー上の土日祝日や、会社独自の夏期・冬期休暇など、全社員に対してあらかじめ特定されている休みの総和を指します。

重要なのは、従業員が個人の事情で申請する「年次有給休暇」はここに含まれないという点です。企業は、労働基準法および自社の規定に基づいて1年間の休日カレンダーを作成し、従業員に明示する義務があります。

法定休日と所定休日の違い

年間休日は、法律で義務付けられた「法定休日」と、会社が独自に上乗せする「所定休日」の2種類で構成されています。

  • 法定休日:労基法で定められた「週1回または4週4日以上」の休日。
  • 所定休日:法定以外に会社が設定した休日(例:完全週休2日制の土曜日など)。

両者は休日出勤をした際の「割増賃金率」が異なるため、実務上は明確に区別して管理する必要があります。

▼法定休日と所定休日の比較

区分・定義割増賃金の率備考
法定休日・法律上の最低基準(週1日またはまたは4週4日)35%以上原則0時〜24時の暦日で確保
所定休日・会社が独自に定めた休日25%以上法定労働時間(週40時間)超の場合

年間休日と有給休暇の違い

原則として、年次有給休暇は年間休日には含まれません。

  • 年間休日:会社があらかじめ定めた「公休」(労働義務がない日)。
  • 有給休暇:労働義務がある日に、従業員が「権利を行使」して休む日。

求人票などで「計画年休を含む」として合算表記するケースもありますが、本来これらは別物です。求職者の誤解を避けるため、実務上は「年間休日数」と「有給取得率」を明確に分けて記載しなければなりません。

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法律上の最低ライン「105日」の根拠とは?

1日8時間のフルタイム勤務の場合、労働基準法を遵守するために確保すべき年間休日の下限は「105日」です。

労働基準法の条文には「年間休日〇〇日以上」という直接的な規定はありません。しかし、「1日8時間・週40時間」という法定労働時間の上限を守りながらシフトを組むと、計算上どうしても105日の休日が必要になります。この日数を下回ると、恒常的に時間外労働(残業)が発生している状態となり、36協定(サブロク協定)の締結や割増賃金の支払いが必要、あるいは法違反となるリスクが生じます。

最低ラインが「105日」となる計算根拠

1年間の総日数から「法律上働かせることができる最大日数」を引くことで、必要な休日数が算出されます。

具体的な計算ロジックは以下の通りです。

  1. 1年間の週数を算出 365日 ÷ 7日 ≒ 52.14週
  2. 年間の法定労働時間の上限を算出(週40時間ルール) 52.14週 × 40時間 ≒ 2085.7時間
  3. 年間の労働可能な最大日数を算出(1日8時間勤務の場合) 2085.7時間 ÷ 8時間 ≒ 260日
  4. 最低限必要な年間休日数を算出 365日 - 260日 = 105日

この計算式により、1日8時間勤務の企業では、年間休日が105日確保されていないと、変形労働時間制などを導入しない限り、法定労働時間をオーバーしてしまうことがわかります。

年間休日が105日未満でも適法となる例外

1日の所定労働時間が8時間未満の場合や、変形労働時間制を採用している場合は、年間休日が105日を下回っても適法となる場合があります。

労働基準法の規制はあくまで「週40時間」という総量規制がベースであるため、1日の労働時間が短ければ、その分勤務日数を増やす(=休日を減らす)ことが可能です。

計算例(1日7時間30分勤務の場合):

 2085.7時間 ÷ 7.5時間 ≒ 278日(労働可能日数) 365日 - 278日 = 87日

このように、1日7.5時間勤務であれば、理論上は年間休日が87日でも法的には問題ありません。しかし、現代の採用市場において「年間休日87日」は非常に少ない部類に入ります。法的に問題がなくとも、採用競争力の低下や既存社員の離職リスクを招く可能性が高いため、慎重な検討が必要です。

年間休日の平均と日数別(105〜125日)の設定・働き方目安

厚生労働省の最新データ(令和6年)によると、調査対象企業の平均年間休日は112.1日です。 しかし、ひとくちに「平均」といっても、設定する日数によって現場のシフトや採用への影響力は大きく異なります。

求人市場でよく見かける「105日・110日・120日・125日」の4つのパターンについて、その計算根拠と具体的な働き方の違いを解説します。

出典:令和6年就労条件総合調査の概況|厚生労働省

① 105日:法律上の最低ライン

1日8時間労働の場合、法律を遵守するために最低限確保しなければならない日数です。労働基準法の週40時間ルールに基づくと、原則としてこれ以上休日を減らすことはできません。

  • 計算式:365日 - 260日(労働上限) = 105日
  • 働き方:完全週休2日(土日休み)の確保できる最低ラインです。そこに1日休日が追加されています。土日に休む場合には、祝日の出勤が必須となるでしょう。
  • 解説:法律(週40時間労働)を守るためのギリギリの日数です。飲食・サービス業などのシフト制勤務で多く見られますが、求職者からは「休みが少ない」と判断されやすい水準です。

② 110日:かつての標準(現在は平均以下)

最低ライン(105日)に、お盆や年末年始などの独自休暇を数日上乗せした水準です。かつては中小企業の目安とされていましたが、現在の平均(112.1日)を下回るため、採用面ではやや不利になる可能性があります。

  • 計算式:105日 + 会社独自の休日5日 = 110日
  • 働き方:完全週休2日に加えて、祝日もある程度休むことが可能です。祝日を出勤日として、年末年始休暇などに振り分ける場合もあります。
  • 解説:かつては「年間110日あれば普通」と言われていましたが、現在の平均(112.1日)を下回っています。中小企業に多い設定ですが、採用競争力を考えると、まずはここから平均以上への引き上げが課題となります。

③ 120日:カレンダー通りの休み(ホワイト企業の基準)

「完全週休2日制(土日)」に加え、「国民の祝日」もすべて休みとした場合の日数です。一般的に「カレンダー通りの休み」と言われ、求職者がホワイト企業かどうかを判断する重要な指標となります。

  • 計算式:104日(土日)+ 16日(国民の祝日) = 120日
  • 働き方:「完全週休2日(土日)」+「祝日」:がしっかり休める状態です。
  • 解説:いわゆる「カレンダー通りの休み」が確保されており、求職者が「しっかり休める会社」と判断する重要なボーダーラインです。多くの求職者がここを基準に企業を探します。

④ 125日:長期休暇がある「採用に強い」基準

カレンダー通りの休みに加え、夏季休暇や年末年始などの大型連休を会社指定休日として設定した水準です。大手企業や人気企業で多く見られ、ワークライフバランスを重視する人材に対して強力なアピール材料となります。

  • 計算式:120日(土日祝)+ 5日(夏期・年末年始) = 125日
  • 働き方:カレンダー通りの休みに加え、:「お盆休み」「年末年始休暇」:などが会社指定休日として設定されています。
  • 解説:大手企業や人気企業でよく見られる水準です。求人サイトの検索条件でも「年間休日120日以上」の上位互換として「125日以上」が存在するため、この水準を満たすと採用力が格段に向上します。

正しい年間休日カレンダーの作成手順は?

作成したカレンダーは単なる予定表ではなく、労基署対応や給与計算の根拠となる「法的書類」です。

そのため、年度末(12月または3月)までに翌年度分を確定し、従業員へ周知することが原則となります。以下の3つのステップに沿って、法的不備のないカレンダーを作成しましょう。

ステップ1:年間の土日・祝日の洗い出し

まずは対象年度のカレンダーを用意し、土曜日、日曜日、国民の祝日をすべてリストアップします。

  • 注意点: 「春分の日」「秋分の日」は年によって日付が変わるため、必ず国立天文台等の公式発表(暦要項)を確認します。
  • 振替休日: 祝日が日曜日に重なった場合の振替休日も忘れずに休日に設定します。
  • 推奨ツール: GoogleスプレッドシートやExcel等の表計算ソフトを使用し、日付・曜日・休日区分(法定/所定)を一覧化するのが効率的です。

ステップ2:会社独自の休日(盆・正月など)の設定

次に、就業規則で定めている会社独自の休日(所定休日)を組み込みます。

  • 夏季休暇(お盆休み): 一般的には8月13日〜15日前後。土日と接続させて連休にするか検討します。
  • 年末年始休暇: 一般的には12月29日〜1月3日。行政機関の休日に合わせるケースが多いです。
  • その他: 創立記念日、メーデー、地方の祭礼日など、慣習的な休みがあれば設定します。

この段階で一度、暫定的な合計休日数をカウントします。

ステップ3:法定労働時間との整合性チェック

すべての休日を配置した後、年間の合計休日数を基に、労働時間が法定(週40時間×52週)に収まっているか最終確認します。

もし計算の結果、1日8時間勤務で年間休日が105日を下回ってしまった場合は、以下のいずれかの対応が必要です。

  1. 休日を追加調整する: 祝日のある週の土曜日が出勤日になっていれば休みに変更する、あるいは飛び石連休の間の平日を「会社指定休日」にするなどの対応を行います。
  2. 所定労働時間を短縮する: 1日の所定労働時間を8時間から7時間45分に短縮し、年間総労働時間枠を広げます(これにより必要休日数が減ります)。

休日設定における注意点とは?

「制度の混同」や「計算の甘さ」は、直ちに未払い賃金トラブルや法違反に直結します。これが年間休日運用における最大のリスクです。

人事担当者が「これくらい大丈夫だろう」と判断した事例が、実は違法だったというケースは少なくありません。特にミスが起きやすいポイントを解説します。

振替休日と代休の混同

「振替休日」と「代休」は全く別の制度であり、混同すると割増賃金の支払漏れが発生するリスクがあります。

  • 振替休日: 事前に休日と労働日を入れ替えること。休日労働にはならず、割増賃金も発生しません(ただし週をまたぐ場合は週40時間超えの残業代が発生する可能性あり)。
  • 代休: 休日労働させた後に、事後的に代わりの休みを与えること。休日に働いた事実は消えないため、休日割増賃金(35%)の支払いが必要です。

年間休日カレンダーを運用する際、業務都合で休日を変更する場合は、可能な限り「振替休日」として処理するよう手続きを整備すべきです。

「半休(0.5日)」を年間休日に含めるリスク

会社指定の休日として「半休」を設定し、それを年間休日の0.5日分としてカウントすることは原則として推奨されません。

労働基準法上の「休日」とは、原則として「暦日(0時〜24時)」で労働義務がない日を指します。そのため、半日勤務がある日は「休日」ではなく「労働日」として扱われます。年間休日105日などの計算をする際は、あくまで「丸一日休みの日」をカウントするのが基本です。もし半日出勤を行う場合は、その日の労働時間を合算して週40時間以内に収まっているかを厳密に確認する必要があります。

就業規則と実態の不一致

就業規則に定めた休日ルールと、実際のカレンダー運用が食い違っているケースも散見されます。

よくあるのが、「祝日は休み」と規定しているのに、祝日が土曜日に重なった際、独自の判断で「土曜日はもともと休みだから振替なし」としてしまうケースです。就業規則の記載(例:「祝日が所定休日に重なる場合は翌労働日に振り替える」等の文言があるか)によっては、自動的に振替休日が発生し、休ませないと契約違反になる可能性があります。毎年のカレンダー作成時に、必ず就業規則の条文と照らし合わせるフローが必要です。

閏年(うるうどし)の計算漏れ

年間休日が法定ギリギリ(所定労働時間7時間30分の87日など)で設定されている場合、4年に1度の閏年(366日)に注意が必要です。

1年が1日増えることで、年間の総労働時間枠の計算がわずかに変わります。ギリギリの設定で運用していると、閏年だけ法定労働時間(週40時間換算の年間総枠)を数時間オーバーしてしまう可能性があります。年間休日数が所定労働時間に応じた法律上の最低限しか確保できていない企業では、閏年には休日を1日増やすなどの微調整が必要になる場合があります。

パート・アルバイトへの休日付与

「年間休日」は正社員だけの話だと誤解されがちですが、パート・アルバイトにも法定休日の規定は適用されます。

シフト制のパートタイマーであっても、「毎週少なくとも1回」または「4週を通じて4日以上」の休日は必ず確保しなければなりません。特にダブルワークをしている従業員や、繁忙期に連勤が続くスタッフについては、法定休日の確保ができているか、個別のシフト管理表で厳格にチェックする必要があります。

自社の休日設定を見直し、法令遵守と採用力を両立しよう

年間休日の適切な設定と管理は、単なる事務作業ではなく、企業の成長を左右する重要な経営戦略です。

まず押さえるべきは、年間休日は有給休暇を含まない「公休」の合計であり、1日8時間労働であれば法律上「105日」が最低限必要になるという点です。ただし、優秀な人材を獲得するためには、この最低ラインにとどまらず、土日祝休み相当の「120日」を目指すことがホワイト企業の基準として求められます。

実務担当者は、これらの数字の根拠を正しく理解した上で、週40時間の法定枠を超えないよう厳密に計算し、法定休日と所定休日を明確に区分して管理しなければなりません。まずは現在の就業規則と年間カレンダーを照らし合わせ、ズレや法的リスクがないかを確認することから始めてみましょう。適切な休日設定は、従業員の安心感を生み、結果として組織の生産性向上へとつながります。


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