• 更新日 : 2026年1月28日

アルバイトの有給計算はどう行う?金額の算出式や付与日数、注意点を解説

アルバイトやパートタイマーの有給休暇計算で、多くの担当者が頭を悩ませるのが「有給を使うといくら支払うのか?」「日数はどう決まるのか?」という点です。

この記事では、まず「金額の計算方法(3つのパターン)」と「計算シミュレーション」から解説し、続けて週の労働日数に応じた「比例付与日数の早見表」や発生条件を整理します。さらに、シフト制特有のトラブル回避策や計算業務を効率化するポイントまで網羅して説明します。

アルバイトの有給計算方法は?

アルバイトの有給計算方法は、法律で定められた3つのパターンのうち、会社の就業規則で決められている方法で計算します。

計算方法は会社が自由に都度選べるわけではなく、あらかじめ就業規則(賃金規程)で定めたルールを適用します。まずは自社の規定がどれに当てはまるかを確認してください。最も一般的で計算しやすいのは「1. 通常の賃金」です。

方法1:通常の賃金(時給×所定労働時間)で計算する

「その日にシフトに入って働いていたら貰えたはずの金額」を支払う方法です。計算がシンプルで従業員にも分かりやすいため、多くの企業でこの方法が採用されています。

時給 × その日の所定労働時間

例えば、時給1,200円のスタッフが「5時間勤務」のシフトが入っている日に有給を使った場合、以下のようになります。

1,200円 × 5時間 = 6,000円

方法2:平均賃金(過去3ヶ月の実績)で計算する

シフトが完全に自由で「その日の所定労働時間(何時間働く予定だったか)」が特定できない場合などに用いる計算方法です。

以下の「原則」と「最低保証」の2つの式で計算し、高い方の金額を採用します。

  • 原則の式: 過去3ヶ月の賃金総額 ÷ 過去3ヶ月の暦日数(カレンダーの日数)
  • 最低保証の式: (過去3ヶ月の賃金総額 ÷ 過去3ヶ月の労働日数)× 60%

都度計算が必要なため、給与計算システム等での管理が必須となります。

方法3:標準報酬日額(定額)で計算する

健康保険の「標準報酬月額」を30で割った固定額を支払う方法です。 

この方法を採用するには労使協定が必要であり、社会保険未加入のアルバイトには適用できないため、採用事例は少なめです。

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アルバイトの有給計算のシミュレーション

よくあるモデルケースを用いて、実際に「いくら支払うことになるか」を計算してみましょう。

【モデルケース:Bさん】
  • 時給:1,100円
  • 契約:週3日勤務
  • 直近3ヶ月のデータ:総支給額 198,000円 / 労働日数 36日 / 暦日数 91日

パターンA:通常の賃金を用いる方法

Bさんが「5時間勤務」の予定が入っている日に有給を申請した場合。

  • 計算手順: 時給に、予定しているシフト時間を掛けます。
  • 答え: 1,100円 × 5時間 = 5,500円

最もシンプルで、従業員にとっても「働いた時と同じ額」が貰えるため納得感が高い計算結果になります。ただし、この方法を取る場合、長時間のシフトが入っている日に休んだ方が得ということになってしまい、有給申請が重なる恐れがあります。

パターンB:平均賃金を用いる方法

平均賃金方式を採用している場合。

  • ステップ1(原則): 198,000円 ÷ 91日 = 2,175.82円
  • ステップ2(最低保証): 198,000円 ÷ 36日 × 60% = 3,300円
  • 答え: 高い方の3,300円を採用します。

この方法は、支払額が低く抑えやすい点が、事業主にとってのメリットです。ただし、通常の賃金を支払う場合(5,500円)に比べると金額が低くなる(約6割)ため、従業員への説明が必要になることがあります。

アルバイトの有給付与日数はどう計算する?

アルバイトの有給日数は「比例付与」という仕組みで決まりますが、これは週の労働時間が短い人向けの特別な計算ルールです。

正社員のように一律「10日」ではなく、契約日数や実績に応じて付与日数が細かく変動します。正しい日数を導き出すために、まずは対象者の条件を確認しましょう。

比例付与の対象となる基準(週30時間未満など)

通常の付与日数(10日〜)ではなく、日数が少ない「比例付与」の対象となるのは、以下の2つの条件を両方とも満たす場合に限られます。

  1. 週の所定労働時間が30時間未満
  2. 週の所定労働日数が4日以下(または年間の所定労働日数が216日以下)

逆に言えば、アルバイトであっても「週30時間以上」または「週5日以上」働いている場合は、正社員と同じ日数が付与されます。

週の労働日数に応じた付与日数一覧(早見表)

対象者が確定したら、以下の表に「週の労働日数」と「勤続年数」を当てはめて日数を算出します。表の幅が広いため、勤務日数が多いケースと少ないケースで2つの表に分けています。

A. 週3日〜4日勤務(または年間121日〜216日)の人

勤続年数週4日(年169〜216日)週3日(年121〜168日)
0.5年7日5日
1.5年8日6日
2.5年9日6日
3.5年10日8日
4.5年12日9日
5.5年13日10日
6.5年以上15日11日

B. 週1日〜2日勤務(または年間48日〜120日)の人

勤続年数週2日(年73〜120日)週1日(年48〜72日)
0.5年3日1日
1.5年4日2日
2.5年4日2日
3.5年5日2日
4.5年6日3日
5.5年6日3日
6.5年以上7日3日

シフト制で週の労働日数が決まっていない場合

契約書上で「週〇日」と確約しておらず、シフトによって毎週日数が変わる場合は、表内の( )に記載されている「年間所定労働日数」を基準に表を適用します。

  • 実績を用いる:
    基準日(有給付与日)の直前1年間の勤務実績日数を数え、それを「年間所定労働日数」として表に当てはめます。
  • 予定を用いる:
    入社半年後などで実績が十分にない場合は、これまでの実績を1年分に換算して予定日数を算出します。

アルバイトの有給計算の前提となる発生条件とは?

有給休暇の計算(付与)を行う対象となるのは、以下の「2つの条件」を同時に満たしたスタッフのみです。

計算を始める前に、対象者が法的要件をクリアしているか必ず確認してください。どちらか一方でも欠けている場合は、有給休暇は発生しません。

条件1:雇入れの日から6ヶ月継続勤務していること

「継続勤務」とは、会社に在籍している期間を指し、実働日数ではありません。

たとえ週1回の勤務であっても、入社日から退職せずに6ヶ月経過していれば、この条件はクリアとなります。

  • 試用期間の扱い:
    試用期間も継続勤務に含まれます。例えば、試用期間が3ヶ月あったとしても、入社日(試用期間開始日)から起算して6ヶ月後に有給が発生します。
  • 契約更新の扱い:
    1ヶ月更新や3ヶ月更新など、短期契約を繰り返している場合でも、実質的に雇用関係が続いていれば「継続勤務」とみなされます。
  • 定年後の再雇用:
    定年退職して間を置かずに嘱託社員やアルバイトとして再雇用された場合、通算して勤務期間をカウントするのが原則です。

条件2:全労働日の8割以上出勤していること

「全労働日」とは、雇用契約上で働くことになっていた日(シフトが入っていた日)のことです。

そのうち8割以上出勤していれば条件クリアです。ここでの計算ポイントは、「実際には休んでいるが、計算上は出勤したものとみなす日」が存在することです。これを間違えると、本来付与すべきスタッフに付与漏れが発生してしまいます。

出勤率の計算式

出勤率 = 出勤した日数 + 出勤とみなされる日数}{全労働日 - 除外される日数

【重要】出勤率計算における「特殊な休暇」の扱い

通常の欠勤とは異なり、法律上「出勤」としてカウントすべき休暇と、「分母から除外」すべき日があります。

区分具体的なケース計算上の扱い
出勤とみなす日
  • 年次有給休暇を取得した日
  • 産前産後休業
  • 育児休業、介護休業
  • 業務上の怪我・病気による療養期間(労災)
分子(出勤日数)に含める

※実際は働いていなくても、出勤率が下がらないように守られています。

全労働日から除外する日
  • 会社都合の休業(使用者の責に帰すべき事由)
  • 不可抗力による休業(天災地変など)
  • 生理休暇(就業規則等による)
分母(全労働日)から引く

※この日が原因で出勤率が下がらないよう、計算の母数から外します。

欠勤扱いとなる日
  • 私用での欠勤(風邪、旅行など)
出勤日数に含めない

※これが多いと8割を下回る原因になります。

前年度に「育児休業」を取っていたスタッフは、実働が0日でも「出勤とみなす」ため、出勤率は100%となり翌年の有給が発生します。ここを「働いていないからナシ」と判断しないよう特に注意してください。

シフト制アルバイトの有給計算・管理における注意点

勤務時間や日数が変動しやすいシフト制アルバイトでは、計算時のルール決めがトラブル防止の鍵です。

ここでは、現場で特によくある3つの「計算・管理の困りごと」とその対策を解説します。

1. 日によって労働時間が違う場合の計算

「平日は3時間、土日は8時間」という契約の場合、「通常の賃金」方式だと取得する曜日によって支給額(3時間分 or 8時間分)が変わってしまいます。

  • 対策: 法的に問題はありませんが、従業員間の不公平感を防ぐために、平均賃金方式を採用する企業もあります。

2. 契約日数と実態が異なる場合の付与日数

契約書は「週2日」となっているが、繁忙期などの影響で実態は恒常的に「週4日」働いている場合、どちらの日数で有給計算すべきか迷うケースです。

  • 対策: 付与日数の計算は「実態」を優先すべきという考えが一般的です。直近半年〜1年の勤務実績に基づき、週4日の区分(比例付与表)で日数を計算・付与しましょう。また、トラブル防止のため実態に合わせて雇用契約を再締結するのが最善です。

3. 退職時の有給消化

退職時に残っている有給をまとめて消化したいと申し出があった際、退職日までのシフトが組まれていなかったり、組まれていても勤務日数が少なかったりする場合が問題になります。

  • 対策: このような場合、退職日まで公休日を除いて全て出勤日としてシフトを組み、消化し切ってから退職することが理想です。日数が足りず、消化し切れない有給がある場合でも、残りを会社が買い取れば退職者の不満も少なくなるでしょう。揉め事を避けるため、退職時の有給処理についても就業規則でルール化しておくことを推奨します。

アルバイトの有給計算を効率化させるポイント

複雑な比例付与や平均賃金の計算をミスなく行うには、デジタルツールの活用や運用ルールの統一が効果的です。

アルバイトスタッフが増えるほど、手計算での管理は限界を迎えます。以下のポイントを参考に、自社に合った効率化を進めてください。

Excel(エクセル)で管理台帳を自作する場合のコツ

コストをかけずに管理したい場合、Excelやスプレッドシートが有効ですが、計算式を正しく組む必要があります。特に「期限管理」と「付与日管理」は自動化しましょう。

  • 基準日(付与日)の自動計算基: EDATE関数を活用します。EDATE関数は、基準となる日から、指定の月数を前後させた、同じ日付の値を計算するため、基準日の管理に最適です。
  • 時効(消滅)の管理: 有給休暇は付与から2年で消滅します。「付与日+2年」の日付を計算し、TODAY関数と比較して期限切れのアラート(色付けなど)が出るように条件付き書式を設定すると、管理漏れを防げます。

勤怠管理システム導入による自動化のメリット

従業員数が多く管理が煩雑な場合は、クラウド型の勤怠管理システムの導入が最も確実です。システムは以下のような複雑な計算をすべてバックグラウンドで処理してくれます。

  • 出勤率の自動判定: 日々の打刻データから「全労働日の8割以上出勤」しているかを自動判定し、有給付与の対象者をリストアップしてくれます。
  • 比例付与の自動計算: シフト実績や契約内容に基づき、そのスタッフが「週何日契約」に該当するかを判断し、正しい付与日数を自動で割り当ててくれます。
  • 給与ソフトとの連携: 有給を取得した日の賃金(通常の賃金など)を、設定通りに給与明細へ自動反映できるため、手入力によるミスがなくなります。

基準日(付与日)の統一による管理負担の軽減

法的には「入社日の6ヶ月後」に個別に有給を付与しますが、スタッフごとに入社日が違うと管理が大変です。そこで、全従業員の付与日を「4月1日」などに揃える「基準日の統一(斉一的取扱い)」という手法があります。

  • メリット: 「誰がいつ有給発生か」を個別にチェックする必要がなくなり、年に1回まとめて計算・付与処理を行えば済むようになります。
  • 注意点:統一する際は、法定よりも前倒しで付与するなど、従業員にとって不利にならないような調整(初回の付与日を早める等)が必要です。

アルバイトの有給計算ルールを明確にし、正確に管理しよう

アルバイトの有給計算において最も重要なプロセスは、まず自社の就業規則を確認して賃金の算出方法が「通常の賃金」か「平均賃金」のどちらに設定されているかを把握することから始まります。その上で、対象者の週の労働日数や勤務実績に合わせて「比例付与」の表を正しく適用し、付与日数を算出します。加えて、シフト制特有の労働時間の変動などに備えて、計算ルールを事前に明確化しておくこともトラブル防止には欠かせません。

特に金額の計算は給与支給額に直結するため、計算ミスは許されません。担当者は計算式の仕組みを正しく理解した上で、Excelや勤怠管理システムなどを活用して計算業務の自動化を進め、正確性と業務効率を向上させていくことを推奨します。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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