- 更新日 : 2026年1月14日
組織を壊す人の特徴は?会社の危険人物がもたらすリスクや対処法を解説
組織を壊す人とは、その言動によって職場の生産性や士気を低下させ、最悪の場合、組織崩壊を招く危険人物を指します。彼らは自己中心的であったり、ルールを無視したり、中には高業績のエース社員や組織をダメにするリーダーであるケースもあります。こうした要注意人物を放置すると、離職率の増加やコンプライアンス違反につながるかもしれません。この記事では、組織を壊す人の具体的な特徴や、会社がとるべき予防策、さらにはトラブル後の事後対応までをわかりやすく解説します。
目次
組織を壊す人に共通する行動特徴とは?専門的視点から分類して解説
組織を壊す人には、組織心理学で「トキシック従業員(Toxic Employee)」と呼ばれる行動特性が見られます。これらの特徴を理解しておくことで、問題が深刻化する前に早期発見につなげることができます。
本章では、危険人物に共通する行動を 攻撃性・規範違反・協働性の欠如 の3つの観点から整理します。
攻撃性・自己中心性が強い「トキシック行動」
もっとも典型的な特徴が、自己中心的な思考と他者への攻撃性です。具体的には以下の行動が見られます。
- 自分の利益を最優先し、チームの目標を軽視する
- 嘘をつく、情報を隠すなど不誠実な言動
- 責任転嫁を繰り返し、他者の意見を尊重しない
こうした行動は心理的安全性を損ない、周囲のモチベーション低下やハラスメント発生の温床となります。
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規範違反が常態化する「逸脱行動(CWB)」
危険人物は、企業ルールや社会的規範を軽視し、「自分だけは許される」と考えがちです。
たとえば、勤怠ルールの無視、情報セキュリティ違反、社内の手続きを勝手に省略するといった行動が挙げられます。
こうした行動は CWB(Counterproductive Work Behavior:非生産的職務行動) と呼ばれ、コンプライアンス違反による企業リスクを大きく高めます。
高業績だが協働性が低い「ブリリアントジャーク」
一見、優秀で成果を出しているエース社員が、実は組織に深刻な悪影響を及ぼすケースがあります。
いわゆる ブリリアントジャーク(Brilliant Jerk) と呼ばれる存在で、以下のような行動が特徴です。
- 特別扱いを当然とする
- 他者を見下す態度をとる
- 業務を独占し、知識を共有しない
短期的には成果を出しても、長期的には離職増加や組織文化の衰退を招く危険なタイプです。
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危険人物を早期に見抜く10の行動チェックリスト
- 会議で他者の発言を頻繁に遮る
- 自分の非を認めず、責任を他者に押し付ける
- 重要な情報を共有せず、独占する
- 個人の成果を過剰に誇り、他者の成果を認めない
- ルールを無視し、「自分は特別だ」と言動に出すことがある
- 特定の社員・部署でトラブルや離職が続いている
- 叱責・皮肉・攻撃的な言動が目立つ
- 直属の部下が疲弊し、心理的安全性が低下している
- 評価が「上司から高評価・現場から低評価」という極端なギャップを持つ
- 業務を独占し、マニュアル化・仕組み化に消極的
危険人物の行動を分類する3つのタイプ【行動科学によるマトリクス】
組織心理学では、危険人物の行動は 「攻撃性」「協働性」「規範遵守」 の3つの軸で捉えると本質が見えやすくなるとされています。
これら3軸の掛け合わせから浮かび上がるのが、次の 3タイプの危険人物 です。
それぞれが組織にもたらす影響と、現場で見られやすい行動パターンを解説します。
① 攻撃性が高い「トキシック型」
攻撃性が強く、他者を萎縮させる発言や態度をとるタイプです。 このタイプの特徴は、相手を傷つけることへの抵抗が低く、感情的な反応が多い点にあります。
チームの雰囲気が悪化し、社員が意見を言いづらくなるため、 イノベーションの停滞・離職増加・ハラスメント問題 に直結しやすいタイプです。
② 規範違反が多い「逸脱行動(CWB)型」
CWB(Counterproductive Work Behavior:非生産的で有害な行動)と呼ばれるグループで、ルールやコンプライアンスを軽視する傾向が強いタイプです。たとえ攻撃性が高くなくても、「自分だけは許される」という意識から組織を危険に晒します。
このタイプは 企業の信用低下・コンプライアンス違反・損害リスクと直結します。
特に管理職ポジションにこの傾向がある場合、組織全体が「ルールを守らなくてよい」という
誤ったメッセージを受け取ると、リスクが一気に拡大します。
③ 高業績だが協働しない「ブリリアントジャーク型」
短期的には高い成果を上げる一方で、協働性が極めて低いために組織に深刻なダメージを与えるタイプです。 このタイプは組織にとって“分かりにくい危険人物”です。 なぜなら、目に見える成果を出すため、上層部が問題を過小評価しやすいからです。
しかし実際には、優秀社員の離職・組織文化の崩壊・心理的安全性の低下 といった長期的ダメージをもたらし、組織の持続的成長を阻害します。
行動分類マトリクス
| 協働性が高い | 協働性が低い | |
|---|---|---|
| 業績が高い |
– チームに貢献する – 情報共有・育成に積極的 |
– 他者を見下す – 業務を独占しがち |
| 業績が低い |
– 協力的だが能力不足 – 丁寧な育成で改善余地がある |
– 攻撃的・否定的な態度 – 責任転嫁・ネガティブ影響が大きい |
組織を壊す危険人物が会社にもたらすリスクは?
組織を壊す危険人物の存在を放置することは、会社にとって大きな損失とリスクにつながります。そのリスクは、単なる職場の雰囲気の悪化にとどまりません。
生産性・士気の低下
組織を壊す人がいると、職場の雰囲気が悪くなり、社員は萎縮して本来の能力を発揮できなくなります。これが生産性の低下に直結します。
組織崩壊の4段階を加速させる
組織崩壊は段階的に進むといわれます。ある研究では、組織崩壊の過程を以下の4段階で説明しています。
- 問題の発生
特定の社員による問題行動が起こる - 無視・隠蔽
経営層や管理職が問題を認識しながらも、見て見ぬふりをする - 無関心・諦め
他の社員が問題解決を諦め、無関心になる - 崩壊
問題行動がエスカレートし、組織が機能不全に陥る
危険人物を放置することは、この組織崩壊のプロセスを加速させることになります。とくに、組織をダメにするリーダーのような立場の人材が問題行動を起こすと、その影響は組織全体に急速に広がるでしょう。
離職率の増加と採用コストの増大
組織を壊す人との仕事は、他の社員にとって大きなストレスになります。その結果、「この人と一緒に働きたくない」「この環境では長く働けない」と感じ、優秀な社員から順に離職してしまうことが多くあります。離職率が増加すると、会社は採用コストと教育コストの増大という経済的な打撃を受けます。さらに、業務の引き継ぎがうまくいかず、残された社員の業務負担が増えるという悪循環も生まれるでしょう。社員の定着率低下は、会社にとって長期的かつ深刻な問題となります。
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コンプライアンス違反による企業イメージの悪化
ルールや規範を無視する傾向のある危険人物は、情報漏洩や不正行為といった重大なコンプライアンス違反を引き起こす可能性が高まります。さらに、彼らのハラスメント行為や攻撃的な言動が社外に漏れ出れば、会社の企業イメージ(ブランド)が大きく低下します。とくに、SNSなどの発達した現代において、一度悪いイメージが広がるとなかなか払拭できません。企業イメージの悪化は、採用活動の難化や顧客離れにつながり、会社の存続にも関わるリスクとなります。
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組織を壊す危険人物がいる職場の前兆サイン
組織を壊す人の行動は、ある日突然問題となるわけではありません。その職場には、前兆サインとしていくつかの「異変」が現れるものです。これらのサインに気づくことが、早期の対処、すなわち組織崩壊の予防につながります。
評価のギャップが極端に大きい
特定の社員に対する評価のギャップは、危険人物がいる職場の典型的なサインかもしれません。危険人物は、上司や経営層の前では良い顔をし、成果も出すため、高く評価される傾向があります。一方で、部下や同僚に対しては高圧的、あるいは攻撃的な態度をとることがあるため、現場の評価は低いという状態が発生します。
特定部署でトラブル・離職が集中する
特定の部署やチームで、人間関係のトラブルやミスが常態化している場合も、前兆サインの一つです。このトラブルの中心に、組織を壊す人がいるケースが多く見られます。たとえば、「その部署だけミスが多い」「あのチームはいつもピリピリしている」「その部署からの異動希望者が多い」といった状況があれば、その部署の管理者(リーダー)や中心メンバーに問題があるかもしれません。単なる部署間の相性ではなく、組織を壊す人が意図的に混乱を生み出している可能性もふまえる必要があります。
コミュニケーションが閉鎖化し心理的安全性が失われる
危険人物がいる職場では、コミュニケーションがオープンでなく、閉鎖的になりがちです。これは、社員が危険人物を恐れて発言を控えたり、情報を共有しなくなることによって起こります。
オープンなコミュニケーションは、組織を健全に保つ土台です。これが崩れ始めたら、組織崩壊の前兆ととるべきでしょう。
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危険人物を生まないための対策を体系化する:一次・二次・三次予防モデル
以下は組織開発・労務管理で用いられる「予防モデル」をベースにした整理です。一次・二次・三次予防の視点を取り入れると、危険人物への対応が個人任せにならず、組織としての一貫した仕組みになります。
一次予防:危険人物が“生まれにくい”環境をつくる
一次予防では、そもそも問題行動が起きにくい組織環境を整えます。
- 行動規範やハラスメント基準を明確にし、社員へ浸透させる
- 上司だけに偏らない、公正な評価制度(360度評価など)を取り入れる
- 心理的安全性を重視したマネジメントを社内全体で実践する
- 役割や権限を整理し、独断で行動しにくい仕組みを整える
こうした土台が整うと、危険人物が育ちにくく、組織の健全性を保ちやすくなります。
二次予防:兆候を早めにキャッチして問題を広げない
問題行動が少し見えはじめる段階で、早期に対応するのが二次予防です。
- 離職率やサーベイ結果、トラブル件数などを定期的に確認する
- 1on1面談で部下からの声を吸い上げる機会をつくる
- 行動改善に向けた面談や指導を計画的に行う
- 必要に応じて異動や業務の再配置を検討する
早い段階での介入は、組織崩壊の加速を防ぎ、被害を最小限に抑える効果があります。
三次予防:問題発生後の対応と再発防止
トラブルが実際に起きた場合の対処と、再発を防ぐ仕組みづくりが三次予防です。
- ヒアリングや証拠収集など、客観的な事実確認を行う
- 就業規則に基づき、公正な手続きで懲戒や配置転換などを判断する
- 対応方針を組織内に適切に共有し、透明性を確保する
- 同じ問題を繰り返さないため、制度や業務プロセスを見直す
問題が起きたあとこそ、組織としての姿勢が問われます。
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組織を壊す危険人物へのマネジメント方法
すでに組織に危険人物がいる場合、彼らの能力をポジティブな方向で活かす道を探る必要があります。とくに、高いスキルを持つエース社員に対しては、単純な排除ではなく、適切な役割配置が有効です。
マネジメントからの切り離し
攻撃性や自己中心的な傾向があり、チームを率いることに向いていないと判断できる場合は、管理職コースから外すことを検討しましょう。
スペシャリストコースを示す
「危険人物にはマネジメントではなくスペシャリストコースを示す」という考え方が重要です。彼らの高い専門性を活かし、技術開発や特定の専門業務など、人と関わる機会が少ないポジションに配置転換することを提案します。これにより、組織への貢献を保ちつつ、他の社員との摩擦を最小限に抑えることができるかもしれません。
組織を壊す危険人物への事後対応
危険人物が実際にトラブルや問題行動を起こしたあとは、迅速で公正な対応が必要です。
事実関係の調査
問題行動の事実を、関係者からのヒアリングや証拠収集を通じて客観的に調査します。
就業規則にもとづく処分
調査結果にもとづき、就業規則にふまえて懲戒処分などを行います。処分内容は、問題の重大性に応じて戒告・けん責から解雇まで検討します。このプロセスは、透明性と公平性を保つことが求められます。
組織への説明と再発防止
トラブルの原因と会社がとった対応を、秘密保持に配慮しつつ適切に組織内に説明します。再発防止策を策定し、組織の信頼を回復させることが重要です。
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管理職にしてはいけない人の特徴と評価すべきリーダー資質は?
組織を壊す人の多くは、リーダーや管理職になった際にその悪影響を最大限に発揮します。そのため、「管理職になってはいけない人」を事前に見極めることは、組織崩壊を防ぐために極めて重要です。
管理職選定時には、短期的な営業成績や技術力だけでなく、ヒューマンスキルやリーダーシップの質を多角的に評価することが必要です。
共感性・傾聴力が著しく低い人
部下の話に耳を傾けず、一方的に指示をする人。多様な意見を吸い上げ、チームの心理的安全性を確保する能力が欠けている人は、管理職には向きません。
指導ではなく支配をする
部下の成長をサポートするのではなく、自分の手足のように使おうとする人は、組織をダメにするリーダーになる可能性が高いでしょう。
責任を回避し、自分の非を認めない人
失敗や問題が発生した際に、自己反省ができず、責任を他人に押し付ける人は、組織の信頼を損ないます。リーダーは模範であるべきです。
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組織を壊す人を正しく理解し、会社を守る体制を築く
組織を壊す人は、職場に潜む危険人物であり、その行動は生産性の低下や離職につながる深刻なリスクを会社にもたらします。
特に組織をダメにするリーダーやエース社員による影響は甚大です。大切なのは、前兆サインを見逃さず、彼らの特徴を正しく理解することです。問題のある人材には、スペシャリストコースを示すなど、能力を活かしつつ悪影響を抑える対応が求められます。
管理職の選定基準を見直し、公正な評価と明確なルールをもって、組織の健全性を保つことが、会社の持続的な成長を支える土台となります。
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