• 更新日 : 2026年1月14日

グローカル人材とは?育成方法や事例、グローバル人材との違いを解説

グローカル人材とは、地域と海外の視点を行き来して、地域課題を国際的な知識で解決する人材のことです。地方創生の加速や企業の海外展開、外国人労働者の増加により、ビジネスでの必要性が年々高まっています。

本記事では、グローカル人材の定義や注目される背景、必要なスキルを解説します。効果的な育成方法や自治体の実践事例も紹介しているので、人材戦略や地域事業の推進にお役立てください。

グローカル人材とは?

グローカル人材とは、地域視点と国際視点を併せもち、地域の課題をグローバルな知識で解決できる人材です。海外文化と地域文化の両方に対して深い知見が求められます。近年は、企業の海外展開や地域活性化の推進役として、期待が高まっています。

グローバル人材との違い

グローカル人材とグローバル人材の主な違いは、「活躍する主軸が海外にあるのか、地域と海外の両方にあるのか」という点です。

グローバル人材は、多文化環境での語学力や交渉力を強みに、国際的な舞台で活躍することを主目的とした人材です。

一方、グローカル人材は国際的な経験や知識を活かしながら、地域社会や地域経済の発展にも貢献できる人材を指します。地域の課題を理解しつつ、国際的な視点で解決策を立案・実行する力が求められ、地域企業の海外展開や観光振興などのシーンで活躍します。

たとえば、地域産品の海外輸出プロジェクトでは、次のような力が必要です。

  • 現地ニーズを理解する国際視点
  • 地域の産業構造や生産者の事情を理解するローカル視点
  • 双方を調整するコミュニケーション力

海外展開を視野に入れた地域施策には、グローカル人材の「文化への深い理解」と「現場での調整力」が欠かせません。

グローカル企業とは?

グローカル企業とは、地域に根ざした強みを活かしつつ、海外市場でも価値を提供できる企業のことです。地域資源・文化・産業を理解したうえで、海外向けに商品やサービスをローカライズする施策が特徴です。

海外でのビジネス展開には、現地の文化・法規制・消費者ニーズを踏まえた柔軟な対応が欠かせません。グローカル企業は、このような調整力に優れ、地域と世界の橋渡しとして機能します。

グローカル企業は、海外から人材・技術・情報を取り込むケースも少なくありません。地域産業を外部環境の変化に適した形で広めるため、持続的な発展を実現できます。

グローカル人材が注目される背景

グローカル人材が注目されるのは、地域産業の担い手不足と海外市場の拡大が同時に進んでいるためです。

多文化共生が広がり、外国人労働者が増えたため、異文化調整力をもつ人材の需要が上がっています。地方創生政策や企業の海外戦略の推進により、地域と世界両方の視点をもつ人材の価値も高まりました。

海外進出による地方創生への期待

地域企業の海外進出に伴い、地域と海外の双方を理解する人材が必要とされています。輸出やEC販売、海外バイヤーとの取引では、商習慣や文化の違いを踏まえた調整が欠かせません。

また、国際観光の拡大により、インバウンドを呼び込む取り組みも活発になりました。観光だけでなく、農林水産物・伝統工芸などの魅力を発信するには、グローカル人材の知識と経験が役立ちます。魅力が海外に伝わり、地域特有の作物や工芸品の輸出が進めば、地域経済の押し上げにもつながります。

人口減少が進む地域にとって、海外進出は新しい人の流れを生み出すための重要な手段です。海外のファンづくりや国際交流の促進は、移住・関係人口の増加も期待できます。

人種多様化への対応

現代日本は少子高齢化が進み、労働人口が減少しています。労働力不足を補うため、在留資格制度の拡大や企業の国際化により、外国人労働者が増加しているのも事実です。

企業は多様な文化背景をもつ人材と協働するため、言語や文化によるギャップを乗り越える必要があります。言語の壁はもちろん、仕事観・時間感覚・意思決定のプロセスなど、日本と海外では価値観が異なるケースも少なくありません。時には、トラブルに発展することもあるでしょう。

調整を円滑に進めるには、グローカル人材のスキルが必要です。相手の文化を理解しながら双方の立場をまとめることで、お互いが快適に働ける環境を作れます。

外国人労働者の増加に伴う影響について、さらに詳しく知りたい方は、以下の関連記事もご覧ください。

グローカル人材に求められるスキル6選

グローカル人材には、地域文化と国際文化の双方に対する理解が必要です。状況に応じて視点を使い分ける力や、多様な関係者と協働するコミュニケーション力も求められます。

本項で紹介するスキルは、単独で完結するものではありません。地域と世界の橋渡しをするため、相互に関連し合っています。

1. 語学力・コミュニケーション力

グローカル人材には、海外の関係者と円滑にコミュニケーションできる語学力が必要です。

言葉の理解にとどまらず、背景にある文化や価値観を踏まえて意図を読み取り、正確に伝える姿勢が求められます。たとえば、相手の遠回しな表現の意図を理解したり、曖昧さを避ける説明へ言い換えたりする力は、トラブルを防ぐうえで不可欠です。

現代では、地域の魅力や取り組みを海外へ発信する場面も増えています。商品のストーリーや地域資源の価値を、相手国の文化に合わせて伝えるスキルは、観光誘致や海外展開の成否を左右するでしょう。

語学力とコミュニケーション力を組み合わせることで、地域と海外の双方に信頼を築く土台が整います。

コミュニケーション能力については、関連記事もご参照ください。

2. 課題発見力

グローカル人材には、地域の現状だけでなく、海外の動きや世界的なトレンドを踏まえて課題を捉える力が必要です。こうした国際的な視点をもつことで、より本質的な問題が見えてきます。

行政・企業・住民・海外パートナーなど、関係者の立場によって重視するポイントは異なります。それぞれの立場から見た課題を整理し、優先順位をつける力は、プロジェクトの進行に欠かせません。

現場の情報を集め、仮説を立てながら改善策を探る姿勢も重要です。地域と海外、双方の文脈を照らし合わせて解決策を考える力が、グローカル人材の価値を高めます。

3. 異文化への理解

グローカル人材には、国や地域ごとに異なる文化への理解が必要です。価値観や商習慣を柔軟に受け入れ、文化的背景を考慮して行動を調整する力は、立場間の摩擦を軽減します。文化的な前提が異なる相手と仕事を進める際には、小さな誤解が大きなトラブルにつながるため、相手を尊重したコミュニケーションが欠かせません。

また、地域資源を国際的な文脈で発信する際にも役立ちます。商品の魅力や地域のストーリーを海外へ伝えるときは、文化背景や価値観の違いを踏まえて表現を選ぶ必要があります。相手が理解しやすい形に翻訳する力は、海外展開の成功に直結する能力といえるでしょう。

以下の記事では、異文化理解を深めるために必要なことや具体的な企業の取り組みを紹介しています。あわせてご覧ください。

4.グローバルな視点

グローバルな視点とは、海外情勢や国際的なトレンドを把握することです。地域の課題を地域の事情だけで捉えていては、解決につながりません。問題を世界基準の考え方から見直すことで、新しいビジネス機会や連携の可能性が見えてきます。

たとえば、市場が伸びている国の需要変化に合わせた商品開発を進めたり、国際規格に合わせて改善点を整理したりできるでしょう。

国際競争が激しくなるなかで、地域企業が生き残るにはグローバルな視点が不可欠です。海外の成功事例や技術動向を参考にしながら、自社や地域に合った形で応用する力が求められます。

5. ローカライズ能力

ローカライズ能力とは、海外で得た知識や手法を、地域の文化・産業構造に合わせて最適化する力を指します。地域企業の製造工程や住民の価値観を理解したうえで、海外基準をローカルの現状に合わせて調整する取り組みが必要です。

海外で流行する技術を導入する際には、地域資源や既存の仕組みに馴染むかを見極め、調整することになります。ローカライズには、国際的な視点・流行を地域にフィットさせる柔軟さが求められます。

逆に、地域の魅力を海外に発信するときは、文化的背景に合わせて伝え方を変える工夫が必須です。

6. サーバントリーダーシップ

サーバントリーダーシップは、メンバーを支える「支援型」のリーダーシップです。地域と海外のステークホルダーが関わる場では、価値観や目的が異なるため、対話を基盤とした進行が求められます。

サーバントリーダーシップをもつ人材は、メンバーが安心して意見を出せる環境の整理が得意です。必要な支援を行いつつ、プロジェクトを前に進める姿勢は、協働の質を高めます。

相手の立場に耳を傾け、合意形成を丁寧に行うことで、地域と海外の双方に信頼関係を築けます。

サーバントリーダーシップのメリットや特性については、関連記事をご参照ください。

グローカル人材を効果的に育成する3つの方法

グローカル人材の育成には、海外経験や多文化環境に触れる機会が欠かせません。実際に地域課題の現場に参加することで、地域と海外両方の視点をもった人材が育ちます。

語学力や異文化理解、課題解決力も必須です。研修やOJTを組み合わせ、現場で役立つスキルを身につけましょう。

1. 海外留学・派遣

海外留学や海外派遣は、グローカル人材の育成に不可欠です。異なる文化の中で生活し、学びながら働く経験は、価値観の違いを理解するきっかけになります。新しい環境への適応を通じて、柔軟な思考や多文化コミュニケーション力の向上も可能です。

また、語学力に限らず、現地の課題や商習慣を学ぶ機会にもなります。地域と海外の共通点を見つけたり、逆に相違点を実感できたりするでしょう。自分の文化を外から捉え直す機会から、グローカル視点の基礎を学べます。

海外での実体験は、国内に戻ってからの仕事にも役立つでしょう。地域企業の海外展開や多文化職場での協働に役立つ貴重な経験を積めます。

2. 海外経験をもつ人材の採用

グローカル人材を短期間で確保したい場合は、海外経験をもつ人材の採用が有効です。国際ビジネスや異文化対応の経験が備わっているため、海外展開の即戦力として活躍できます。

海外経験のある人材は、次のようなスキルを習得しているでしょう。

  • 商習慣の理解
  • 交渉の進め方
  • 海外パートナーとのコミュニケーション方法

海外経験がある人材の採用によって、実務に直結するノウハウを組織に素早く取り込むことが可能です。経験者が知識を共有することで、他の社員が国際業務に触れるきっかけにもなります。

また、人材がもつ海外の人脈や現地のリアルな情報は、戦略を検討する際に役立つでしょう。

理想の人物を採用する際に役立つ「採用ペルソナ」については、別記事で解説しています。

3. グローカル人材研修

グローカル人材研修は、語学・異文化理解・課題解決力といった基礎スキルを学ぶ研修です。近年は、地域の事例・海外の成功例を組み合わせた、現場で応用しやすいプログラムが増えています。

一般的な研修スタイルは、ワークショップ形式です。地域企業が抱える課題を国際的な視点で整理し、海外知見の取り入れ方を考えます。また、外国人講師や海外拠点とのオンライン演習を取り入れ、実際に異文化コミュニケーションを取る研修もあります。

グローカル人材研修は、企業の海外戦略に合わせて内容をカスタマイズすることも可能です。輸出強化やインバウンド拡大など、目的に応じて研修内容を変更すれば、組織の成長に直結するスキルを習得できます。

従業員に対する研修の方法は、関連記事をご参照ください。

【地方創生】グローカル人材育成の事例3選

グローカル人材の育成は、全国で広がっています。2025年現在は、地域資源を活かしながら海外との協働を取り入れる「ローカル×グローバル型」の教育プログラムが主流です。

自治体・大学・企業が連携し、学生や若手社会人が地域と世界の双方で活躍する人材の育成が進んでいます。実際に、国際協働プロジェクトや海外研修を通じて、地域産業の振興や新しいビジネス創出につながる事例も生まれました。

【長崎県】グローカル人材育成プログラム(GP)

長崎県の「グローカル人材育成プログラム(GP)」は、県内11の教育機関が主体となる取り組みです。

過去のプログラムでは、留学生を迎える交流イベントや、季節行事をテーマにしたパーティー、海外の教育機関との交流会などが企画されました。イベントは単なる交流にとどまらず、相手に配慮した内容設計や運営方法を考える実践の機会とされています。

また、大学の講座と連動した取り組みとして、企画力や運営力を高める講義・演習の受講も可能です。学生自ら企画の立案・進行に関わり、グローカル社会に必要な視点を学びます。

さらに、GPプレゼンテーション大会への関与を通じて、企画内容を伝える力や評価の視点を学ぶ機会もありました。

参考:長崎発グローカル人材育成プログラム(GP)

【愛媛県】愛媛グローカル人材育成プラットフォーム

愛媛グローカル人材育成プラットフォームは、地域の未来を担う人材を育成し、地域と世界をつなぐことを目的とした取り組みです。県・大学・民間団体・JICAなどが連携し、海外と地域の双方に関わる経験や学びの機会を体系的に企画しています。

取り組みの中心は、JICA海外協力隊の経験を活かした地域づくりです。開発途上国での活動を通じて培われた多文化理解や課題解決力を、帰国後に愛媛県内で発揮できるよう、学び・仕事・暮らしをつなぐ支援策を用意しています。

このようにして、グローカル人材が愛媛で活躍する機会をつくり、地域社会に貢献できる流れを生み出すことを目指しています。

参考:愛媛グローカル人材育成プラットフォーム

【島根県】グローカル人材育成支援事業

島根県のグローカル人材育成支援事業は、海外留学と地域企業等での実践機会を組み合わせ、地域活性化に貢献する人材育成を目的とした事業です。学生は海外留学を通じて、国際的な視野を広げると同時に、島根県が抱える産業や地域課題への理解を深めます。

留学前後には、県内企業との交流やインターンシップ、セミナーが組み込まれているのも特徴です。学生が島根の産業振興や国際展開を担うよう、卒業後のU・Iターンや、県内就職につながることが期待されています。

参考:島根県グローカル人材育成支援事業


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