- 更新日 : 2024年7月17日
アントレプレナーシップとは?定義や背景、必要なスキルなどを解説
近年、ビジネスを取り巻く環境は、これまでにないスピードで日々目まぐるしく変化しています。
このような状況下では、変化する環境に素早く適応しイノベーションを起こせるアントレプレナーの活躍が求められてきます。そのような人材にはアントレプレナーシップがあるといわれ、このアントレプレナーシップは産官学から注目を集めています。
本記事では、アントレプレナーシップの定義をはじめ、必要なスキルや身につけ方などを解説します。
目次
アントレプレナーシップとは
初めに、アントレプレナーシップの定義や必要とされる背景を解説します。
アントレプレナーシップの定義
アントレプレナーシップは、日本語で「起業家精神」と訳されますが、その定義は非常に曖昧であり画一的なものはいまだに存在していません。
例えば下記のように、さまざまな研究者がアントレプレナーシップについて独自の定義を提言しています。
- Jean Baptiste Say (1821)「不確実性をよりよく管理するために資源を賢く利用するプロセス」
- Schumpeter (1934)「異なるコンビネーションにより全くの新しいイノベーションを創り出すこと」
- Kirzner (1973)「経済の不均衡にいち早く気づきその機会を掴み取ること」
- Howard Stevenson (2011)「コントロール可能な範囲の経営資源を超えて、機会を追及すること」
Jean Baptiste SayとHoward Stevensonの定義では経営資源の範囲内か範囲外か、SchumpeterとKirznerでは自ら創り出すかそれとも機会を捉えるかというように、しばしば主張が対立することもあります。
一方、共通していることは、「現状から何かを変えようとチャレンジし、新しい価値を生み出そうとする姿勢」であるといえるでしょう。
アントレプレナーシップが注目されている背景
アントレプレナーシップは現在、学術界でも教育界でも非常に人気のテーマとなっています。その背景は、スティーブジョブズやビルゲイツ、イーロンマスクのような著名な起業家が登場し、世の中の既存の仕組みやルールを劇的に変えるケースが増えてきたためと考えられます。
劇的な変化を起こすことが、テクノロジーの進展やグローバル化によってハードルが下がり、またパンデミックや地政学などによって市場の機会を発見しやすくもなっているため、現代ではますます注目されるようになりました。
また働き方が多様化し、企業に勤め給料をもらうだけでない雇用形態を志向する風潮が拡大してきたことや、さまざまなアントレプレナーの支援プログラムが充実してきたことも、アントレプレナーシップが注目される背景として挙げられるでしょう。
アントレプレナーシップに必要なスキル
次に、アントレプレナーシップを獲得するために、またそのような人材を見極めるために必要なスキルについて解説します。
前章で紹介した各学者のアントレプレナーシップの定義に基づくと、能力とマインドの両面で次のようなスキルが必要であるといえるでしょう。
<能力面>
- 社会や市場の課題や機会に気付く問題発見力
- ノベーティブなアイデアを生み出す創造性
- 経営資源をコントロールするためのマネジメント力
<マインド面>
- 市場の変化や機会に反応する好奇心
- 自分自身で何かを変えたいと思う責任感と高いコミットメント
- リスクや不確実な状況に積極的にチャレンジする気概
Amazon創業者・ジェフベゾスが、インターネットの登場に際してオンラインストアの可能性にいち早く気づいたように、まずは適切な機会や課題を見つける発見力や好奇心が不可欠です。
その上でテスラの共同創業者、イーロン・マスクのように、電気自動車を単なる移動手段としてではなく情報を扱うソフトウェアへと価値転換するなどの創造性と、これを実現するコミットメントも必要となるでしょう。
また多くの起業家や経営者のように、目指すべき理想像に向けて限られた経営資源を最適に配分し、日々の変化に柔軟に対応するマネジメントスキルと意欲も、重要なスキルです。
アントレプレナーシップの身につけ方
続いてアントレプレナーシップはどのように身につけたらいいのか、個人レベル・組織レベルの両面から解説します。
アントレプレナーシップは才能か?それとも教育で身につくのか?
ここまで紹介してきたような、グローバルで有名な稀代の起業家・経営者の事例を耳にすると、このようなアントレプレナーシップは才能や生まれた環境によって左右されるものではないかと考える方も多いのではないでしょうか。
しかし決してそうではなく、アントレプレナーシップは後天的に身につけることが可能です。教育プログラムが拡充していることは、まさにそれを示す例であるといえるでしょう。
そのための具体的なアクションは、個人でできることと組織でできることの2つに大別されます。
個人レベルで必要なアクション
何よりもまず、アントレプレナーシップを身につけるには、とにかく経験を積むことが肝要です。下記ステップのサイクルを回して、アイデアを磨いていきましょう。
1. まずは身近な範囲で、解決したい問題や機会を探求する
2. 自分が採れる手段の中で実現できそうなことと、別のケイパビリティがあれば実現できることを考えてみる
3. 知り合いなどにアイデアをぶつけブラッシュアップを図る
その中で自分が興味を持てるテーマが見つかれば実際に事業計画を練り、共感する仲間を集めます。多くのアイデアは自分1人で実現するには困難であり、ケイパビリティを補完し互いに高め合う仲間の存在も不可欠といえるでしょう。
またこのアクションは、自ら会社を立ち上げなくとも、現在勤めている企業の中でも実現可能です。
一方で、自分自身が興味を持てるテーマが見つからない場合も起こり得るでしょう。その主たる理由は、市場の機会や変化に目を向けられるようになるためのインプットが不足していることが挙げられます。読書や調査などでインプットを増やして、興味関心の幅を広げることを心掛けましょう。
組織レベルで必要なアクション
企業などの組織内で、次の起業家やアントレプレナーシップを持つ人材を育てたい場合に適したアクションもあります。
主なアクションとしては、次の5点が挙げられます。
1. 裁量権を与えること
2. KPI設計を変えること(例:アイデア創出数、失敗をマイナス査定にしないなど)
3. 自発的にアイデアを生み出す仕組みを作ること(例:アイデアコンテスト、Google 20%ルールなど)
4. 専門チームを組成し投資を行い、また必要に応じて研修などを行うこと(例:Sony startup acceleration program、ボーダレスジャパンなど)
5. 失敗を許容しチャレンジを促す文化を醸成すること
まとめ
本記事ではアントレプレナーシップの定義や必要とされる背景、求められるスキルなどを紹介しました。アントレプレナーシップにはいまだに画一的な定義が存在しないものの、その重要性はさまざまな分野で高まっています。
アントレプレナーシップは決して先天的なものではなく、日々の努力によって身につけることも可能で、誰でも身につけることができるといっても過言ではないでしょう。また、企業が後継者探しや新規事業開発などを目的に、従業員を育成することも可能です。
この変化の激しい現代を生き抜き、イノベーションを起こせる人材になるべく、本記事の内容を参考にしながらアントレプレナーシップを身につけることを目指してみてはいかがでしょうか。
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