• 作成日 : 2026年2月16日

トマト農家は儲からない?きついと言われる理由や年収を上げるための経営戦略を解説

Pointトマト農家は儲からない?

トマト農家が儲からない理由は高額な設備投資と価格変動にありますが、適切な経営規模の維持と販路の多角化で高収益化は十分に可能です。

  • 販売額1,500万〜2,000万円規模が所得の安定目安
  • 燃料高騰に負けないIT活用のデータドリブン経営
  • 規格外品を宝に変える加工品開発(6次産業化)の実践

赤字を回避し利益を最大化するには、市場出荷に依存せず、ECや直販を組み合わせたポートフォリオを構築し、自ら価格決定権を持つことが重要です。

トマト栽培は農業の王道と言われる一方で、「トマト農家は儲からない」という声も少なくありません。

本記事では、トマト農家の経営がきつい理由や、収益性の高い農家との違い、そして赤字を脱却して安定した事業運営を実現するための具体的な手順を解説します。

トマト農家が儲からない・きついと言われる理由は?

トマト経営が苦境に陥る最大の要因は、「高額な固定費」と「不安定な収量・価格」が利益を圧迫する構造にあります。

1. 初期投資と減価償却の負担

トマト栽培、特に安定出荷を目指す施設園芸(ハウス栽培)では、多額の初期費用が発生します。

  • 簡易なパイプハウス:1反(10アール)あたり約300万〜500万円
  • 耐候性の高い鉄骨ハウス:1反あたり約1,500万〜3,000万円
  • 環境制御システム:数百万円〜1,000万円以上(暖房機、自動灌水など)

大規模な借入をして就農した場合、毎年の返済と減価償却費が固定費として重くのしかかり、売上があっても手元に現金が残らない「勘定合って銭足らず」の状態に陥りやすくなります。

2. 燃料費・資材費の高騰

設備投資後の経営を直撃するのが、近年の世界情勢による変動費の上昇です。冬場の暖房に使用するA重油や灯油、肥料、ハウス用ビニールなどの価格高騰により、収穫量が変わらなくても利益が半分以下になるケースも珍しくありません。厳密なコスト管理と損益分岐点の把握が不可欠です。

3. 市場価格の変動と冬場の暴落リスク

トマトの利益は需給バランスに大きく左右されます。特に冬場は、産地の重なりや消費動向によって価格が暴落することがあります。天候不順で収量が減るリスクと、豊作時に単価が下がるリスクの両面が、安定経営の壁となります。

4. 労働集約型できつい作業実態

トマト栽培は自動化が難しく、脇芽取り、授粉、誘引、収穫、選果など、非常に多くの手作業を必要とします。規模を拡大しようとしても、必要な労働力を確保できなければ、管理が行き届かなくなり経営破綻や成長の停滞を招く原因となります。

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​​トマト農家の年収が安定する販売規模の目安は?

個人経営のトマト農家で所得率が安定しやすいのは、販売額が1,500万〜2,000万円規模の層です。

この規模は、家族経営に数人のパート労働者を加えた「目が届く範囲」での管理が可能です。過剰な設備投資や人件費の膨張を抑えつつ、効率的なコスト管理が行えるボリュームゾーンと言えます。一方で、これより小規模すぎると機械化による効率向上の恩恵を受けにくく、大手との価格競争において不利になる傾向があります。

儲かっているトマト農家に共通する経営戦略は?

利益を出しているトマト農家は、中間マージンを排除する直販ルートの開拓と、高糖度トマトなどのブランド化による高付加価値戦略を徹底しています。

1. 直販ルートの開拓による利益率の向上

農協(JA)出荷は全量買い取りの安心感がある一方、手取りが売価の3〜4割程度になることもあります。高収益農家は、以下のような直販を組み合わせています。

  • ECサイト:食べチョクやポケットマルシェ、自社サイトでの直接販売
  • 直売所:道の駅や農産物直売所への出品
  • 直接契約:地元のレストランやスーパーとの取引

直販は梱包の手間は増えますが、自分で価格を決めるプライシングパワーを持てるため、利益率は圧倒的に高まります。

2. ブランディングによる差別化

価格競争を避けるため、指名買いされるための付加価値をつけています。

  • フルーツトマト:水分を制限する特殊農法で糖度を高め、「贈答品」として販売
  • 機能性表示食品:リコピンやGABAの含有量をアピールし、健康意識の高い層へ訴求 「〇〇さんのトマトだから買いたい」というファンを作ることで、市場価格に左右されない経営が可能になります。

参考:機能性表示食品について | 消費者庁

3. IT導入によるデータドリブン経営

感覚や経験をデータで裏付けし、再現性の高い農業を実践しています。

  • 環境制御:スマホでハウス内の温度やCO2濃度を監視し、最適な環境を維持
  • 労務管理:従業員の作業時間をアプリで記録し、コストを可視化
  • 経費管理:クラウドソフトを活用し、日々の経費をリアルタイムで見える化

参考:スマート農業|農林水産省

トマト農家が収益を安定させるポイントは?

トマト栽培で収益を安定させるためには、需要のある品種選定、加工品販売による六次産業化、そしてリスク分散のための販路の多角化という3つのステップが重要です。

1. 需要の高い品種選定と栽培管理

まずは、売れるトマトを選んで作ることが重要です。

一般的に、ミニトマトは大玉トマトに比べて単価が高く維持されやすい傾向にあります。お弁当やサラダの需要が安定しており、主婦層からの人気が高いためです。地域の需要や競合をリサーチし、初心者の場合は病気に強い「耐病性品種」を選ぶことで、全滅のリスクを回避し、まずは安定して良品を生産できる体制を整えましょう。

2. 加工品販売による6次産業化

規格外品の廃棄をなくし、利益に変えるために加工品への展開を検討しましょう。

  • トマトジュース:無添加・果汁100%のプレミアムジュースとして販売
  • トマトケチャップ・ピューレ:こだわりの調味料として商品化
  • ドライトマト:保存性を高め、パスタやおつまみ用として販売

加工品にすることで賞味期限が長くなり、生鮮トマトが収穫できない時期でも売上を作ることができます。自社設備がなくても、地域の業者に委託する「OEM」を利用すれば初期投資を抑えて商品化が可能です。

参考:農林漁業の6次産業化|農林水産省

3. 販路の多角化とファン作り

販売チャネルを複数持ち、リスクを分散させます。「JA出荷だけ」といった一本足打法は、取引停止が即、経営危機に直結します。

理想的なポートフォリオの一例として、以下のような構成が考えられます。

  • JA・市場出荷(50%):大量のトマトを安定してさばくための基盤
  • 直販・EC(30%):高い利益率を確保し、ファンと直接つながる
  • 契約栽培・加工品(20%):価格変動の影響を受けにくい安定収入

さらに、SNSで日々の農作業を発信してファンを増やせば、サブスクリプション(定期購入)モデルの導入も可能になり、毎月の売上が予測しやすくなります。

トマト栽培に活用できる補助金や経営支援制度は?

農業は公的な支援が手厚いため、利用できる制度を漏れなく活用してキャッシュフローを改善します。

  • 新規就農者育成総合対策:就農準備資金・経営開始資金の交付
  • 強い農業づくり交付金:ビニールハウスや機械導入の補助
  • 農業近代化資金:設備投資のための低利融資

詳細は農林水産省の公式サイトや、各自治体の農政課へ問い合わせることを推奨します。

参考:就農準備資金・経営開始資金|農林水産省強い農業づくりの支援|農林水産省農業近代化資金|農林水産省

トマト農家が儲からない状況を打破するために

トマト農家が儲からない状況を打破するには、栽培技術の向上による収量確保と、販売戦略による単価アップの両輪が必要です。初期投資の大きさやコスト高といった課題はありますが、データに基づいた経営管理と多様な販路を組み合わせることで、他職種に負けない高年収を実現することは十分に可能です。儲からない理由を冷静に分析し、一つひとつ対策を講じることが、持続可能な経営への近道となります。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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