- 更新日 : 2023年5月19日
かき氷屋を開業したい!開店までの流れや必要な許可・資金を紹介
キッチンカーなどのビジネスモデルがよく見られるようになりました。かき氷屋も移動販売に向いたビジネスです。かき氷屋を開業したい場合、どのような販売許可や資格が必要で、どれくらいの開業資金を準備しておくとよいのでしょうか。かき氷屋の開業について知っておきたいポイントをご紹介します。
目次
かき氷屋を開業するメリット・デメリット
かき氷屋の開業にはどのようなメリット、またはデメリットがあるのでしょうか。ここでは、主なメリット2つとデメリット1つを取り上げます。
比較的利益を出しやすい
メリットの1つ目は、かき氷屋は比較的利益を出しやすいビジネスであることです。特別なトッピングが楽しめるかき氷屋もありますが、シンプルなものであれば氷とシロップがあればかき氷を提供できます。
かき氷屋では業務用のブロック氷を使うことが多いようですが、ブロックアイスの価格は一般的なものであれば4貫目(14kg前後)で3,000~4,000円程度です。カップの大きさや削り方などでも変わってきますが、50~120杯くらいの氷の量になります。4貫目3,500円で100杯できる場合、1杯あたりの氷の原価は35円です。
次にシロップですが、市販の一般的なものは1本1,000mlで300~1,000円程度です。1本600円のシロップで30杯できる場合、1杯あたりのシロップの原価は20円です。
このほかにもトッピングがあれば、トッピングの原価、かき氷機にかかる費用などがありますが、氷とシロップのシンプルなものだと原価50~100円前後でかき氷を作れる計算になります。このようにかき氷は原価を抑えられることから利益が出やすいのです。
SNSなどで評判になる可能性も
かき氷屋を開業するメリットの2つ目は、SNSで拡散されることで一躍人気店になれる可能性があることです。
特に、SNS映えするようなおしゃれなトッピングのかき氷、インパクトのあるかき氷、見た目がわくわくするようなかき氷、ふわふわでおいしそうなかき氷などが注目を集めやすい傾向にあります。
SNSを意識したお店独自の特別なメニュー作りなどに力を入れることで、広く知ってもらえる可能性があります。
暑い時期以外の事業も検討しておく必要がある
かき氷屋を開業するデメリットは、かき氷が売れるシーズンに偏りがあることです。暑くてかき氷を食べたくなる夏は売れますが、涼しくなってくると、かき氷の売上は上がりにくくなります。寒い冬のシーズンだけでなく、春や秋も売上が大きく落ち込むことがあるでしょう。
通年でかき氷を販売することも可能ではありますが、売上につながらない可能性も考えると、暑い時期以外の在り方も考えておく必要があります。
寒い時期は、かき氷とは全く別のものを販売したり、かき氷はサブ程度に販売したりするなど、シーズンごとに事業について検討が必要です。開業したばかりの頃は、シーズンの全体感がつかめずに失敗するリスクもあります。
かき氷屋を開業するまでの流れ
かき氷屋を開業する際にはどのような準備が必要になるのでしょうか。かき氷屋開業までの流れと準備するべき事項についてご紹介します。
必要な資格や技術を身に付ける
かき氷屋の開業にあたって、かき氷を作って販売するための特別な資格は必要ありません。また、かき氷は、基本的にかき氷機などの機械を使用して作ることになります。角度や削り方で食感に違いが出ることはありますが、かき氷を作るための特別な技術は必要ありません。特別な資格や技術がなくても開業できる点は、かき氷屋開業のメリットともいえるでしょう。
ただし、かき氷屋は食品を扱う事業ですので、食品を扱う全ての施設で必要になる、食品衛生法に定められた食品衛生責任者の設置が求められます。食品衛生責任者になる資格がない場合は、開業までに取得しておく必要があります。後述する営業許可にも関係してきますので、早めに取得しておきましょう。
なお、食品衛生責任者になれる資格は、食品衛生協会の実施する講習会を受講すれば、取得できます。講習会の情報は、管轄の保健所などで確認しておくことをおすすめします(調理師や製菓衛生師など特定の資格保有者は講習会の受講が免除されます)。
コンセプトを考え事業計画に落とし込む
かき氷屋として継続的に事業を展開するには、リピートしてもらえるような特徴のあるかき氷屋にしていくことが重要です。
出店する前に、開業するエリアやターゲットにしたい層などを洗い出して、具体的にどのようなかき氷屋にしていくか設計していきましょう。
例えば、他では楽しめないフレーバーを売りにしたかき氷屋、トッピングが豊富なかき氷屋、生のフルーツにこだわったかき氷屋など、ターゲット層などをもとにコンセプトを決めていく方法があります。コンセプトが決定したら、事業計画に落とし込み、いつまでにどのようにして開業していくかなども細かく決めていきましょう。
物件を探して営業許可も取る
開業するエリアを決めたら、物件探しを進めていきます。店舗型で開業する場合は、立地や利用のしやすさなども考え、コンセプトに合うような場所に絞って探していくとよいでしょう。キッチンカーなど移動販売型の場合は、移動販売に必要な車を取得します。
なお、この段階において営業許可の取得も進めていきます。かき氷は簡易的な食品加工になるため「菓子製造業」には該当しませんが、調理を行い販売することから「喫茶店営業」の許可が必要です。
営業許可を得るには、それぞれの営業許可の取得で求められる施設基準を満たす必要があります。施設基準に沿った施設の構造や設備などにするには、店舗の内装工事を行う際に基準を反映させる必要がありますので、併せて進めていきましょう。
食品関連の営業許可は保健所の管轄になりますので、施設基準など営業許可の申請前から保健所に相談しておくとよいでしょう。
必要な機材を調達する
かき氷屋の開業で必須なのが、氷を削るかき氷機です。機能などで異なりますが、一般的なものだと相場は数万円から十数万円程度になるでしょう。
このほか、店舗の規模や出店の仕方などにもよりますが、業務用の冷凍庫や冷蔵庫、業務用の製氷機(自店舗で氷を作る場合など)などが必要になることもあります。
業務用の冷凍庫や製氷機などはどの程度のものを用意するかにもよりますが、1台あたり10万~100万円程度は見込んでおきましょう。新品でそろえる方法もありますが、予算に応じて、中古やレンタルなども検討してみるとよいかもしれません。
かき氷屋の開業に必要な資金は?
かき氷屋を開業する場合、どの程度の資金が必要になるのでしょうか。開業方法別に、資金の目安や調達方法についてご紹介します。
賃貸物件を利用して開業する場合の目安
物件を借りて店舗型のかき氷屋を開業する場合、かき氷機などの設備のほか、店舗の賃借料や改装のための工事費用が必要です。
まず、賃貸物件を借りるためには、月々の家賃のほか、初期費用として保証金や不動産会社への仲介手数料などを支払う必要があります。保証金は、だいたい半年から1年程度が目安です。物件の賃料が15万円の場合、半年だと90万円の保証金が必要な計算になります。家賃にもよりますが、物件を借りるための初期費用としてだいたい100万円~で考えておくとよいでしょう。
次に、かき氷屋として営業できるようにするための店舗の内装工事費や外装工事費についてです。飲食店の場合、工事にかかる費用は、坪単価30万~80万円程度となります。店舗の規模にもよりますが、工事費として数百万円程度は見込んでおくとよいでしょう。
このほか、かき氷機などの設備費用や椅子・テーブルなどの備品が必要です。出店するエリアやお店の規模でも変動しますが、300万~500万円程度が目安になります。
キッチンカーで開業する場合の目安
キッチンカーでかき氷屋を開業する場合は、店舗型と比べて初期費用を抑えられる可能性があります。店舗ほど厨房設備などの工事費用がかからないためです。
取得するキッチンカーや設備にもよりますが、だいたい200万~500万円程度が目安とされています。中古のキッチンカーであればさらに費用を抑えられるでしょう。
初期費用をできるだけ少なくして開業したいなら、リースやレンタルでキッチンカーを用意する方法もあります。リースなどをうまく活用すれば、100万円以下でかき氷屋を開業することも可能でしょう。
融資や何かあったときの保険も検討しておくと安心
事業開始後の返済を考えると自己資金の活用を優先して考えた方がよいですが、自己資金だけでは思い描くようなかき氷屋を開業するために足りないこともあります。日本政策金融公庫など創業者向けに融資を行っている機関もありますので、必要に応じて融資の利用を検討するとよいでしょう。
また、万が一のことを考えて保険の加入も検討することをおすすめします。キッチンカーで営業する場合は、交通事故も想定して任意自動車保険に加入しておきましょう。
また、食中毒による損害賠償に備えて、PL保険(製造物賠償責任保険)の加入も検討しておいてください。
計画をしっかり立てて人気かき氷屋を開業しよう!
かき氷屋は、高い利益率を見込めることや、初期費用を抑えて開業できることからメリットがありますが、通年の営業が難しいなどのデメリットもあります。
かき氷屋を開業して人気店になるには、しっかりコンセプトを作り込み、暑い時期以外はどうするかなどについてもよく計画を練っておくことが重要です。しっかり事業計画を立てて、売れるかき氷屋を開業しましょう。
よくある質問
開業までにどんな資格が必要?
かき氷開業のための特別な資格は必要ありませんが、食品を扱うため食品衛生責任者の設置が必要です。詳しくはこちらをご覧ください。
手軽に始める際の資金の目安は?
かき氷屋の開業資金の目安は100万~500万円程度です。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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