• 作成日 : 2025年5月30日

福島県で受けられる創業支援は?補助金や融資、相談窓口などを解説

福島県で起業をする場合、特定創業支援等事業や補助金・助成金など様々な支援制度を利用することができます。 この記事では、福島県で起業を考えている方が利用できる様々な支援制度について、その内容や活用方法を詳しく解説します。

福島県の特定創業支援等事業

福島県では、国が定める「特定創業支援等事業」に基づき、起業家を育成するための様々なプログラムが展開されています。

それでは、特に注目すべきプログラムについて見ていきましょう。

福島県12市町村起業支援金

この制度は、東日本大震災からの復興を目指す12の市町村において、新たな事業を始める方を強力に支援するものです。県外からの移住者に対して、最大400万円の補助金が交付されることが特徴です。

支援を受けるためには、起業する事業が12市町村内で行われること、そして申請者が住民票を移す直前まで連続して3年以上、福島県以外の地域に居住していたことなど、いくつかの要件を満たす必要があります。

この支援金は、単に資金を提供するだけでなく、ふくしま12市町村移住支援センターによる手厚い申請サポートも提供されており、事業計画の作成支援や他の補助金に関する情報提供など、きめ細やかなサポートを受けることができます。

参考:福島県12市町村起業支援金の募集のご案内 | 福島県庁

Fukushima Tech Create

また、福島県では、Fukushima Tech Createというプログラムも展開されています。これは、福島県浜通り地域を中心とした15市町村において、テクノロジーを活用した起業や事業創造を目指す企業や個人を支援するものです。

このプログラムの大きな特徴は、アイデアの実現と事業計画のブラッシュアップを支援する専門家による指導、試作品開発や市場調査のための「イノベーション創出支援補助金」による資金援助、そして事業の現実的かつ迅速な実現をサポートする「FTCサポーター」による支援という、三つの柱で構成されている点です。

成果発表会なども開催されており、支援を受けた企業や個人の実績を広く紹介する機会も設けられています。さらに、海外の投資家や企業との連携を目指したイベントも開催されており、グローバルな視点での事業展開も視野に入れることができます。

参考:Fukushima Tech Create|福島イノベーション・コースト構想推進機構

地域課題解決型起業支援事業補助金

これは、福島県が抱える様々な地域課題に対して、「社会性」「事業性」「必要性」の観点から新たな事業を立ち上げる起業家を支援するものです。

過去の募集では、補助対象経費の1/2以内、最大200万円の補助が行われており、キャンプ用品クリーニングサービスや地元食材を活用したクラフトジン製造(株式会社Kokage)など、多様な分野での起業が支援されています。

福島県での起業で使える補助金・助成金

福島県では、前述の特定創業支援等事業以外にも、起業時に活用できる様々な補助金や助成金が用意されています。

福島県創業促進・企業誘致に向けた設備投資等支援補助金

特に、原子力災害により甚大な被害を受けた12市町村においては、福島県創業促進・企業誘致に向けた設備投資等支援補助金が提供されています。

この補助金は、12市町村内での創業や、12市町村外からの事業展開に対して、その事業に必要な設備投資費用の一部を補助するものです。補助率は補助対象経費の2/3以内(特定の地域では3/4以内)、補助対象経費の限度額は通常1,000万円ですが、特定の地域においては3,000万円まで引き上げられます。補助金交付上限額は、それぞれ666万円(通常地域)、2,250万円(特定地域)です。

その他市区町村ごとの補助金・助成金

県内各市町村においても、独自の創業支援策が展開されています。

川俣町

川俣町商工会や町内金融機関と連携し、新たに創業する方や第二創業を行う方に対して、公的手続きや事業計画の作成を支援する事業が行われています。また、空き店舗を活用した創業を支援する補助金制度も設けられています。

田村市

田村市内で事業を興す個人または法人に対して、事業に必要な費用の一部を補助する「田村市創業スタートアップ支援事業補助金」が提供されており、上限50万円の補助を受けることができます。さらに、ユニークな取り組みとして、キッチンカーを活用した起業を支援するプロジェクトも実施されており、移住者の創業者を支援し、地域の魅力発信にも繋げています。

参考:福島県田村市キッチンカー移住チャレンジ

南相馬市

福島県12市町村起業支援金に加え、独自の「南相馬市創業者支援事業助成金」を提供しており、市内での創業に必要な費用の一部を助成しています。特に、旧避難指示区域内での創業や、ベンチャーキャピタルからの資金調達を行っている場合は、補助率や上限額が優遇される制度設計となっています。

飯舘村

「飯舘村スタートアップ補助金」として、事業を開始する村民に対して経費の一部を補助する制度があります。また、国や県の補助金交付決定を受けた方を対象とした、さらなる支援策も用意されています。

富岡町

「富岡町創業・事業展開支援補助金」として、町内で創業する方や町外から町内へ事業展開する事業者に対して、事業に必要な経費の一部を補助しており、町内の買い物環境の向上を目指しています。補助上限額は350万円とされており、積極的な創業支援が行われています。

これらの市町村独自の補助金・助成金は、地域経済の活性化や雇用創出といった、それぞれの地域が抱える課題に対応した内容となっているのが特徴です。起業を検討している地域が明確な場合は、その地域の情報を重点的に収集することが重要と言えるでしょう。

福島県で利用できる補助金・助成金一覧

補助金・助成金名提供主体対象地域最大補助金額概要
福島県12市町村起業支援金福島県12市町村400万円県外からの移住・起業者向け
福島県創業促進・企業誘致に向けた設備投資等支援補助金福島県12市町村1,000万円 (特定地域は3,000万円)設備投資費用の一部補助
地域課題解決型起業支援事業補助金福島県福島県全域200万円地域課題解決に資する起業
川俣町空き店舗活用事業補助金川俣町川俣町360万円(24年度実績)空き店舗を活用した創業支援
田村市創業スタートアップ支援事業補助金田村市田村市50万円市内での創業費用の一部補助
南相馬市創業者支援事業助成金南相馬市南相馬市500万円 (特定条件で600万円)市内での創業費用の一部補助
飯舘村スタートアップ補助金飯舘村飯舘村200万円 (スタートダッシュ), 30万円 (スタートサポート)村民の創業費用の一部補助
富岡町創業・事業展開支援補助金富岡町富岡町350万円町内での創業・事業展開費用の一部補助
福島県田村市キッチンカー移住チャレンジ田村市田村市補助金給付無しキッチンカーによる開業・運営のサポート、補助金等の活用支援
大学発イノベーティブベンチャー創出事業福島県福島県全域(公募型補助金ではない)大学研究成果の事業化支援

福島県での起業で融資を受けるには?

福島県では、様々な融資制度を通じて、起業家の資金調達を支援しています。

福島県起業家支援保証制度を利用する

その中でも重要な役割を担っているのが、福島県起業家支援保証制度です。これは、これから創業を行おうとする方や、創業後間もない方を対象とした保証制度で、金融機関からの融資を受けやすくするためのものです。

特に、「創業関連保証枠」は、事業を営んでいない個人が1か月以内(認定特定創業支援事業による支援を受けて創業する場合は6か月以内)に新たな事業を開始する具体的な計画を有する場合や、2か月以内(同様に6か月以内)に会社を設立し事業を開始する計画がある場合などに利用できます。

保証限度額は3,500万円で、運転資金や設備資金に利用でき、保証期間は10年以内です。原則として、法人の代表者以外は保証人を立てる必要がない点も、起業家にとっては大きなメリットと言えるでしょう。

さらに、一部の市町村では、この保証制度を利用した融資に対する金利や保証料の補助を行っている場合もあります。川俣町では、無担保・第三者保証人なしの創業関連保証枠が1,500万円に拡充され、郡山市では、福島県創業支援資金の保証料が県から全額負担されるといった独自の支援も行われています。

参考:起業家支援保証制度資金|福島県庁

日本政策金融公庫を利用する

また、日本政策金融公庫も、起業家にとって重要な資金調達の選択肢となります。

特に、新規開業・スタートアップ支援資金は、創業間もない方やこれから創業する方を対象としており、事業計画や資金計画に基づいて融資を受けることが可能です。

地方銀行や信用金庫を利用する

各地域の地方銀行や信用金庫も、地域経済の活性化を目指し、起業家向けの融資制度を用意している場合があります。これらの金融機関は、地域の特性やニーズを理解しているため、より親身な相談やサポートが期待できるでしょう。

福島県の起業について相談できる窓口

福島県で起業を検討する際には、様々な相談窓口を活用することで、疑問や不安を解消し、スムーズな事業開始に繋げることができます。

福島県よろず支援拠点

福島県よろず支援拠点は、中小企業・小規模事業者、そして創業を予定している方にとって、頼りになるワンストップ相談窓口です。

経営に関する様々な課題に対応しており、売上拡大、経営改善、資金繰り事業承継など、幅広い相談に無料で応じてくれます。創業・起業に関する相談も積極的に受け付けており、経験豊富なコーディネーターが専門的なアドバイスや情報提供を行ってくれます。

福島市と郡山市にオフィスがあるほか、二本松市、会津若松市、白河市、いわき市にもサテライトオフィスが設置されており、県内各地で気軽に相談できる体制が整っています。

参考:福島県よろず支援拠点 

福島県産業振興センター

また、福島県産業振興センターも、創業に関する相談窓口を設けています。

特に、創業補助金の申請に関する相談や、事業計画の作成支援など、具体的なサポートを受けることができます。

参考:創業・起業したい|公益財団法人 福島県産業振興センター

各市町村の商工会議所や商工会

さらに、各市町村の商工会議所や商工会も、地域に根ざした創業支援を行っています。例えば、川俣町や田村市の商工会では、創業に関する相談や各種制度の紹介、事業計画作成の支援などを行っています。

これらの機関は、地域の経済状況や特性を熟知しているため、より地域に合ったアドバイスや情報提供が期待できます。

その他の福島県の創業支援制度

福島県では、資金援助や相談窓口の提供以外にも、起業家を支援するための様々な制度が用意されています。

インキュベーション施設

その一つが、インキュベーション施設の提供です。これは、創業間もない企業や新たな事業展開を目指す企業に対して、オフィススペースや設備などを安価に提供し、事業の成長を支援するものです。

福島県内には、福島市のコラッセふくしま内にあるインキュベートルームや、郡山市の郡山地域テクノポリスものづくりインキュベーションセンターなど、複数の施設が存在します。これらの施設では、単に場所を提供するだけでなく、インキュベーションマネージャーによる経営相談やアドバイス、セミナーや交流会なども開催されており、起業家同士のネットワーク形成や知識習得の場ともなっています。

参考:福島県インキュベート施設ネットワーク協議会|福島県庁

専門家によるメンタリングやアドバイス

また、多くの支援プログラムにおいて、専門家によるメンタリングやアドバイスが提供されています。経験豊富な経営者や専門家から、事業計画の策定、資金調達、販路開拓など、様々な側面について具体的なアドバイスや指導を受けることができます。

セミナーやイベント

さらに、起業に関するセミナーやイベントも頻繁に開催されています。これらのイベントは、起業に必要な知識やノウハウを学ぶだけでなく、他の起業家や支援機関とのネットワークを築く貴重な機会となります。

起業型地域おこし協力隊

そして、地域に貢献しながら起業を目指す方には、起業型地域おこし協力隊という制度もあります。これは、特定の地域に移住し、地域資源を活用した事業などを展開することで、地域の活性化に貢献する取り組みです。

活動期間中は、自治体から活動費の給付や住居の提供などの支援を受けることができます。

福島県の創業支援制度を積極的に活用しよう

福島県は、東日本大震災からの復興という大きな課題を抱えながらも、新たな未来を切り拓こうとする起業家を積極的に支援する体制を整えています。

手厚い資金援助、専門家による相談支援、そして成長を後押しするインキュベーション施設やネットワーク形成の機会など、多岐にわたる支援制度が用意されています。特に、被災した12市町村においては、移住と起業をセットで支援する独自のプログラムが展開されており、地域経済の再生に大きな期待が寄せられています。

起業を志す方にとって、福島県は決してハードルの高い場所ではありません。本稿で紹介した情報を参考に、ぜひ福島県での起業という新たな一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。


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