• 更新日 : 2023年11月29日

人材紹介会社を起業する方法は?必要な資金や準備について解説!

人材紹介会社を起業する方法は?必要な資金や準備について解説!

「起業を検討しているが、どの業界がよいのかわからない」という方におすすめなのが、「人材紹介会社」の開業です。その際に心配なのが、どのような準備が必要なのかという点ではないでしょうか。

そこで、今回は人材紹介会社開業について詳しく紹介します。会社を設立する場合はオフィスや資本金をどうすべきか、必要な申請や把握しておくべき法律、またコストや集客についても解説します。事業を成功させたい方は、ぜひ参考にしてください。

人材紹介会社を起業する方法は?

人材紹介会社を起業する際は、注意点や必要な申請がいくつかあるので、押さえておきましょう。

資本金の準備

人材紹介業(有料職業紹介業)は誰でもすぐに開業できるものではなく、資本金が必要です。その金額は、厚生労働省の規定に準ずる必要があります。規定を確認しておきましょう。

  • 資産(繰延資産及び営業権を除く。)の総額から負債の総額を控除した額(以下「基準資産額」という。)が500万円に申請者が有料職業紹介事業を行おうとする事業所の数を乗じて得た額以上であること。
  • 事業資金として自己名義の現金・預貯金の額が、150万円に申請者が有料職業紹介事業を行おうとする事業所の数から1を減じた数に60万円を乗じた額を加えて得た額以上となること。

※厚生労働省「有料職業紹介事業の許可基準」より抜粋

つまり、1ヵ所の事業所で人材紹介会社を運営する場合は、資本金500万円、そのうち150万円が自己資金、しかも現金である必要があるということです。まずは、この条件を満たせるかどうかを検討してから開業に向けて動きましょう。

厚労省の要件を満たしたオフィスの契約

オフィスについても、厚生労働省の要件を満たさなければなりません。節約のために自宅の一室をオフィスにすることは、ほぼ不可能ということです。厚生労働省の「職業紹介事業の業務運営要領」では、オフィスについて以下のように規定しています。

イ 位置が適切であること
ロ 事業所として適切であること

具体的には相談者(求職者)のプライバシーに配慮し、「個室の設置」もしくは「パーテーション等の区分」が求められています。また、事業所の面積はおおむね20㎡以上であることも必須です。

オフィスの要件から少し外れますが、面談の際は予約制にし、求職者同士が同室にならないような配慮も求められています。

上記の要件に当てはまるのであれば、レンタルオフィスの個室でも問題ありません。ただし、オープンスペースのみは不可です。オフィス内に個室が準備できない場合は、同ビル内の貸会議室を利用するという方法もあります。

人材紹介の許認可申請免許取得

人材紹介会社を営む際は、いくつかの許認可申請や免許の取得が必要です。主なものを紹介します。

受けるべき講習

職業紹介を仕事にしたいのであれば「職業紹介責任者講習」を受け、資格を取得する必要があります。職業紹介責任者の資格がない人は、人材紹介会社の経営ができません。

職業紹介事業許可申請書の提出

職業紹介責任者の資格を取得したら、「職業紹介事業許可申請書」を提出できます。この書類は、会社を設立する予定の都道府県の労働局に提出してください。

提出の際、職業紹介を有料、無料のどちらで行うのかも決める必要があります。その他、事業所の所在地、代表者の氏名も記載しなければなりません。

職業紹介事業計画書の提出

職業紹介事業許可申請書と併せて、「職業紹介事業計画書」の提出も必要です。こちらには以下の内容を記載します。

  • 許可・届出番号
  • 事業所名
  • 年間の職業紹介計画(区分や有効求人者見込数)
  • 職業紹介業務に従事する人の数
  • 資産状況

資産状況の報告が必要になることに注意してください。資産(現金・預金、土地・建物など)だけでなく、負債についても記載が求められます。

事業報告も忘れずに

人材紹介会社を開業した後は、定期的に事業報告書を提出することも求められます。毎年4月30日までに、前年度の状況を報告しなければなりません。提出先は都道府県の労働局です。

人材紹介事業で知っておくべき法律は?

人材紹介会社を経営するのであれば、関連する法律についても把握する必要があります。簡単に紹介します。

労働基準法

働く人を守る法律で、労働条件などを交渉する際に必要です。「労働条件の明示義務」「解雇制限や解雇予告について」「賃金の支払い規定」「休日を与える義務」などについて規定されています。

労働契約法

労働契約の終了に関する規定です。「理由がない雇い止めを認めない件」や「合法的な理由がない解雇が無効になる件」などが定められています。労働基準法と同様に、求職者と企業の間に入る人材紹介会社が知っておきたい法律です。

有期雇用労働法

パート・アルバイトの紹介を行う場合に知っておきたい法律です。「同一労働・同一賃金」についてもこの法律で定められています。

男女雇用機会均等法

性別を理由に労働者を差別することは認められていません。男女どちらであっても、平等に取り扱うことを定めた法律です。

人材紹介事業にかかる費用は?

人材紹介会社を始めるにあたり、かかる費用を確認しておきましょう。

初期費用

前述のとおり、人材紹介会社を開業する際は資本金を準備しなければなりません。資本金は500万円以上、そのうち150万円は自己資金、そして現金である必要があります。コストをかけない「スモールスタート」はしづらいジャンルといえるでしょう。会社を設立するのであれば、登記費用などで10万~25万円ほどかかります。

オフィスの準備も必要です。広さは20㎡以上、相談スペース用の個室、もしくはパーテーションでの区切りを作らなければなりません。オフィスの場所によっては敷金や礼金、保証料などを含めて、数十万円程度かかることもあるでしょう。

また、職業紹介責任者講習の受講費用も必要です。例えば、講習実施機関の一つである全国民営職業紹介事業協会の場合、会員は8,800円(税込)、非会員は1万2,500円(税込)です。
※講習実施機関は、厚生労働省ホームページで確認できます。

人材紹介業の免許取得も必要です。登録免許税9万円、収入印紙5万円がかかります。

ランニングコスト

人材紹介事業を立ち上げた後のランニングコストも考えておきましょう。オフィスの賃料はもちろんですが、広告関連費用の他、ウェブサイトもある場合はその運営費用もかかります。また、従業員を雇う場合は人件費も必要です。

これらの費用は会社の規模にもよりますが、100万円単位でかかることも珍しくありません。

人材紹介会社の起業に成功するためのポイントは?

これから人材紹介会社を起業し、成功するためのポイントを押さえておきましょう。

力を入れるジャンルを明確にする

人材紹介事業に参入する事業者は少なくありません。その中で他社との差別化を図るためには、力を入れるジャンルを明確にすることが重要です。「この業界についての紹介が得意」「この仕事に必要な技能を持つ人材が揃っている」など、他社にはない強みがあれば成功に近づくでしょう。

集客に力を入れる

人材紹介会社はたくさんあるため、どの会社も求職者を集めるのに苦労しています。集客のために求人サイトを有効活用することも重要ですが、「この業界の紹介ならば当社」といった強みを持つことも必要です。

営業に力を入れる

求職者が多く集まっても、紹介する企業がなければ収益が上がりません。営業に力を入れ、紹介できる企業を増やしておくことも重要です。紹介できる企業が多いと、さらに求職者が集まることが期待できます。

人材紹介会社向け事業計画書のテンプレート、ひな形

事業計画書のテンプレート・フォーマット

人材紹介会社の許認可を取得する際のひな形は、厚生労働省であらかじめ定められています。厚生労働省のホームページから「有料・無料職業紹介事業計画書(様式第2号)」をダウンロードし、事業計画書を作成しましょう。

参考:令和5年4月1日から適用される職業紹介事業の業務運営要領|厚生労働省

銀行へ提出する事業計画書も、テンプレートやひな形を活用した方が便利です。以下のページでは、人材紹介の事業計画書のテンプレート・作成例をダウンロードできます。

人材紹介会社の起業を検討する際は、まず資金の準備を

転職が当たり前になりつつある昨今、人材紹介事業が果たす役割はこれまで以上に大きくなっています。そのため、これから人材紹介会社を開業しても成功する可能性は非常に高いといえるでしょう。

ただし、人材紹介会社を開業する際は定められた金額以上の資本金が必要です。またオフィスにも規定があるため、コストをかけずに開業、というわけにはいかないのが現状です。

起業を検討する際は、まずは資金を準備できるかどうかを確認することをおすすめします。

よくある質問

人材紹介会社を起業する方法は?

まず、厚生労働省の要件に適したオフィスの確保が必要です。その後、職業紹介責任者資格の取得、職業紹介事業許可申請書、職業紹介事業計画書の提出を経て、人材紹介会社を立ち上げられます。詳しくはこちらをご覧ください。

人材紹介事業にかかる費用は?

資本金500万円の準備は必須です。うち150万円は、自己資金かつ現金で準備しなければなりません。その他、オフィスに関する費用や人材紹介業の免許取得費用、会社の設立登記費用などもかかります。詳しくはこちらをご覧ください。


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