• 更新日 : 2021年9月10日

会社設立の際、固定電話の番号は必要?

会社設立の際、固定電話の番号は必要?電話回線の種類や特徴も解説

会社設立の準備として、多くの会社では固定電話の取得を考えます。なぜ、携帯電話が普及した現代においても、固定電話を取得する会社が多いのでしょうか。

今回は、会社設立時の電話番号の取得について、固定電話を取得した方が良い理由から、電話回線の種類、特徴まで解説していきます。

会社設立時に固定電話番号が必要な理由とは?

会社設立において、会社の電話番号は登記事項に含まれません。従って、設立される会社の存在を公的に示す手続きである商業・法人登記を理由に、固定電話を取得する必要はありません。固定電話がなくても、会社の設立は問題なく行えます。

しかし結論から言うと、会社という形で運営していく以上、固定電話番号の用意には大きなメリットあります。なぜなら、固定電話番号があることによって、社会的な信用が向上すると考えられているためです。

会社の連絡先が携帯電話のみの場合、おそらく多くの人は「本当に存在する会社なのだろうか」「途中で連絡がつかなくなるのでは」などと不安に思うでしょう。これはサービスを利用する一般消費者だけでなく、法人間でも同じ感想を抱くでしょう。

固定電話番号があることによって、事務所が存在し誰かが常駐していることのアピールになります。また顧客や取引先からの窓口を用意する姿勢にも繋がるため、会社としての信用の裏付けにも繋がります。固定電話番号があることで、安心して連絡できる会社として信用度は高まります。

また、FAXを頻繁に利用できる環境を整えたい場合も、固定電話の用意が必要です。近年のビジネス現場ではペーパーレス化が進んでいますが、まだまだFAXが現役という職場も少なくありません。固定電話回線がなくても利用できるインターネットFAXもありますが、電話回線を使ったFAXよりも利用料金が割高なため、固定電話を使ったFAXが必要な職場もあるでしょう。

固定電話番号が必要な場面とは?

固定電話番号が必要な場面の多くは、社会的信用を必要とする場面です。具体的には、金融機関への融資申し込みや、法人用のクレジットカード作成などです。

これらの申請書類では、固定電話番号の有無の記入が求められる場合があります。必須事項にはされていなくても、法人としてしっかりとした体制を整えているか、審査項目のひとつとして見られている可能性があります。社会的な信用が求められる場面があるなら、固定電話番号は取得しておくべきでしょう。

ほかにも、新規顧客の獲得を積極的に考えるなら、固定電話番号はあって損はしません。自社ホームページやチラシ・パンフレットに掲載されている電話番号が携帯電話では、先の事例のように「すぐに繋がらなくなるんじゃないか」といった疑念を抱かれかねません。一個所に根を下ろしたビジネスを展開しているとアピールするためには、固定電話番号の力は絶大といえます。

電話回線の種類や特徴は?

会社で固定電話番号を使用する方法にはどのようなものがあるのでしょうか。電話番号の取得や利用について、種類やそれぞれの特徴、利用料金の目安などを解説していきます。

NTT加入電話

NTT東日本、NTT西日本が提供する固定電話サービスを、NTT加入電話といいます。一般的にも広く知られている電話回線で、市外局番が付与されることから、信頼性が高いです。

NTT加入電話を利用するためには、NTTで固定電話利用の契約を行います。この契約には初期費用として、契約料と約4万円の施設設置負担金(電話加入権)を負担しなければなりません。また毎月の使用料として、2,500~4,000円ほどの回線使用料に加え、キャッチホンなどの付加機能使用料、通話料金なども発生します。

NTT加入電話については、電話加入権を負担しないプランもありますが、代わりに回線使用料が高くなります。長期的な利用であれば、施設設置負担金を支出して回線を取得した方がお得です。

IP電話

IP電話は、インターネット回線を使った音声通話サービスです。取得できる電話番号は、050から始まる番号に限定されています。

NTT加入電話と比べて安価で利用できるのが特徴です。電話加入権のような高額の初期費用はかからず、月々の利用料金も数百円程度の基本料金にわずかなオプション使用料が加算される程度。通話料も3分あたり7~8円と安く、国内の固定電話相手であれば、全国一律の料金で利用できます。また同じ電話会社同士など、特定のIP電話同士であれば、通話料金が無料になるサービスが展開されていることもあります。

ただし、110や119などの緊急ダイヤルやフリーダイヤルなど、一部の電話番号への通話ができない場合があります。またインターネット回線を利用する電話のため、インターネット契約が必須です。

光IP電話

インターネット回線を利用したIP電話のうち、光回線を利用したものを、光IP電話といいます。NTT東日本/西日本の「ひかり電話」のほか、多くのインターネット事業者から提供されているサービスです。

通話料金はIP電話と同程度ですが、比較的月額の基本料金が高めに設定されています。その一方で、高速通信により音声通話の音質が高く、NTT加入電話に近い品質で利用できるのが特徴です。さらに050からの番号に固定されるIP電話と異なり、03などの市外局番から始まる固定電話と同じ番号を取得できます。
なお、IP電話では接続できなかった110などの緊急通報は利用可能ですが、0170(伝言ダイヤル)など、一部接続できない番号があります。またインターネット回線の不通時には電話もできなくなる点には注意が必要です。

050IP電話アプリ

050IP電話アプリは、スマートフォンから050から始まるIP電話番号を使った通話ができるサービスです。050IP電話アプリを使用するには、アプリを提供している事業者とのIP電話の契約が必要です。IP電話の契約なしに、050IP電話アプリだけを利用することはできません。

利用料金は、IP電話契約を利用したサービスのため、固定電話として契約するIP電話と同じです。IP電話と同じように、緊急通報などの一部電話番号への発信はできないので注意しましょう。

クラウドPBX


PBX(Private Branch Exchange)とは、社内で複数の電話機を使うときに必要な電話交換システムのことです。
ビジネスフォンよりも大規模な運用に向いており、本社と支店などの拠点間を内線で結べるのが特徴です。

一般的なPBXの運用には、複数の電話機を制御するための本体装置を設置する必要があります。しかしクラウドPBXは、これらの機能をクラウド上で制御し、現物としての本体装置が必要ありません。電話機端末は携帯電話を使用するため、有線の電話回線が不要。PBXで管理された携帯電話から市外局番で始まる番号で外部発信ができる上、携帯電話間を内線で結べるため、場所を取らずに内部・外部とのコミュニケーションが行えます。

料金は、初期工事費用が1~2万円程度、月額料金3,000円以上で内線が増えるごとに料金が上がるしくみになっています。電話回線のスマート化や内線の少ない会社には向いていますが、非クラウドのPBXに比べ、あまり大規模な会社向きではありません。

その他の電話番号取得の方法

ここまで、会社固定の電話番号を取得する方法を紹介してきました。ほかにも、03転送電話サービスのような市外局番の電話番号をレンタルする方法、電話番号の貸し出しを含めた電話代行サービスを利用する方法も考えられます。

これらのサービスは、ひとりで会社を立ち上げた場合など、小規模で運営する場合、電話でのやり取りが限られる場合などに役立ちます。

固定電話番号を取得するにあたっての注意点は?

固定電話番号を取得したものの、
「思ったより月々の料金がかかる」
「音声が安定しない」
「取引先の特定の番号に発信できない」
など問題が生じることがあります。

問題の多くは、選択する電話回線の種類が会社の実態に合っていないために起こるものです。

固定電話を取得する際は、利用料金や利便性などひとつのことばかりに目を向けず、会社の運営上必要なポイントが抑えられているか確認した上で契約しましょう。

契約前に、代表番号のほかに電話番号はいくつ必要か、電話機の数はどのくらい必要か、どのくらいの発着信が予想されるか、発信先は主にどこになるかなど、会社設立後の状況をシミュレーションしておくことが大切です。

シミュレーションを行うことで、会社にとってどの方法や回線が適切か判断しやすくなるため、固定電話番号の取得と契約の失敗を減らせます。

また、会社の規模によっては、ビジネスフォンと家庭用電話機のどちらを採用するか迷うケースもあるでしょう。ある程度の人数規模になるならビジネスフォンが便利ですが、ひとりまたは少人数なら家庭用電話機で十分かもしれません。事業規模、事務所の規模に応じて、適切なシステムを選ぶのが重要です。

なお、電話回線の開設には準備が必要ですし、工事に日数を要する場合もあります。固定電話回線を設置するなら、余裕をもって契約や準備を進めるようにしましょう。

会社の特徴にあわせて電話番号を取得しよう!

会社の設立にあたって固定電話番号は必須ではないですが、ビジネス上のやり取りのしやすさ、融資の利用などを考えるなら取得しておいた方が良いです。固定電話番号の回線の種類には、従来のNTT加入電話のほか、IP電話や光IP電話、クラウドPBXなどがあります。また、固定の番号を所有する方法だけでなく、必要に応じてレンタルすることも可能です。

なお、固定電話番号の取得形態や回線によって、利用料金、特徴などが異なります。会社の規模や固定電話の使用頻度などで何が適しているか異なりますので、今後の利用状況も踏まえてサービスを選択すると良いです。

固定電話番号は、会社設立の手続きに必須ではありませんが、ビジネス上の信用や融資の通りやすさに影響すると考えられています。

一方で、ひと昔前ほど固定電話の重要性も薄れ、小規模の法人であれば携帯電話での対応も許容されるようになりました。また光IP電話やクラウドPBXのように、市外局番から始まる番号を利用できる電話サービスも登場しています。事業規模や従業員数などを鑑みて、どの形態での固定電話番号導入が最適か、十分なシミュレーションの上で決定すると良いでしょう。

よくある質問

会社設立に固定電話番号は必要?

商業・法人登記の場面では固定電話は必要ではないです。詳しくはこちらをご覧ください。

多くの会社が固定電話番号を取得するのはなぜ?

社会的信用を得てビジネスを円滑にするため、融資を受けるためなどが主な理由です。詳しくはこちらをご覧ください。

電話回線の種類は?

NTT加入電話のほか、IP電話や光IP電話などがあります。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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